仕様書(PDF:200KB)

仕
様
書
1.業務名
ジュゴン保護対策事業
2.業務目的
ジュゴンは、西太平洋からインド洋の熱帯及び亜熱帯の浅海域に生息しており、世
界には約 10 万頭が生息していると推測されているが、生息域が限られていることや
生息環境の悪化により、生息数は減少傾向にある。現在、国内においては、沖縄海域
のみで生息が確認されているが、個体数が極めて少ないと推測され絶滅が危惧されて
いる。
本県が平成 17 年 9 月に発行した「沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッド
データおきなわ)-動物編-」においても、ジュゴンはごく近い将来における野生で
の絶滅の危険性が極めて高いものとして、絶滅危惧ⅠA類(CR)に指定されている。
また、国内外においても絶滅の危険性が高い種として報告されるなど、ジュゴンの保
護にむけた取組みが求められている。
近年においては、海底の掘削、埋立や浚渫による地形の改変、各種開発行為や農地
からの赤土流出などにより、ジュゴンの餌場となる海草藻場の減少が懸念されている。
さらには、漁業(定置網や刺網)による混獲やレジャー活動によるストレスなどによ
り、ジュゴンを取り巻く環境は、人間活動により圧迫されている。
沖縄海域に生息するジュゴンについては、多くの調査研究がなされてきたが、その
生息数や生息域、利用している海草藻場の場所など、生態に関する情報が十分に把握
されているとは言えず、具体的な保護対策について検討するに至っていない。
このような状況において、本事業では、沖縄島周辺海域を対象とし、ジュゴンに関
する各種調査を実施し、その保護に関する方策を検討することを目的とする。
3.業務期間
契約の日から平成 30 年3月 31 日
ただし、平成 29 年度以降については、平成 28 年度実績をもとに判断する。また、
県の予算措置を前提としており、2年間の事業を保証するものではない。
平成 28 年度業務履行期間は、契約の日から平成 29 年 3 月 31 日まで
4.業務実施地域
ジュゴンが餌場と利用していると想定される沖縄島周辺海域
上記の海域については、5-(1)-アで実施する既存情報の整理により選定する。
5.事業全体の業務内容
(1)生息状況調査
ア.既存情報の整理
本県におけるジュゴンの保護に関する方策を検討する上で必要な、ジュゴンの生
息状況および餌場として利用している海草藻場の分布状況の把握を目的とし、下記
の情報を文献や関係者ヒアリングを基に整理すること。
(ア)沖縄島周辺海域におけるジュゴンの生息域に関すること
(イ)沖縄島周辺海域における海草藻場の分布に関すること
(ウ)本県におけるジュゴンの生息状況に関すること
(エ)ジュゴンの生態に関すること
(オ)その他、本事業を実施する上で必要なこと
イ.調査対象海域の選定
上記アで整理した情報を基に、ジュゴンの生息海域及びその可能性が高い海域を
調査対象海域とすること。この場合、すでに他の事業や関係機関が実施した調査で
データが蓄積されている海域は除く。
ウ.藻場分布図の整理
上記イで選定された調査対象海域において、既存情報および現地調査などにより
藻場の分布図を作成すること。当該藻場分布図については藻場の種構成ならびに当
該藻場の特性を整理するものとすること。
なお、当該藻場の特性とは、底質、水質、陸域からの影響など、藻場を構成する
上で重要な特性を言う。
エ.生息状況調査
上記ア~ウで整理された情報を基に、ジュゴンの生息可能性が高い海域において、
ジュゴントレンチ調査(食み痕調査)等を実施し、当該海域におけるジュゴンの生
息状況および餌場としての利用状況を把握すること。
オ.藻場特性の整理
上記ア~エで整理した情報より、ジュゴンが利用する藻場の特性を比較すること。
カ.ジュゴンの餌場分布図を作成
上記ア~オで得られた情報を基に、沖縄島周辺海域におけるジュゴンの餌場分布
図を作成し、餌場の利用状況や藻場の特性などから重要藻場を選定すること。
キ.その他提案事項(自由提案)
上記以外で、ジュゴンの保護に関する方策を検討するために必要な調査があれば、
予算の範囲内で実施可能な提案をすること。
(2)ジュゴン保護に関する方策の検討
上記(1)で実施された調査や選定された重要藻場の結果から、ジュゴンの保護
および重要藻場の保全の方策について具体的に検討すること。
(3)検討委員会
業務の実施にあたり全体的な方針、評価等するにあたり専門家を含めた検討委員
会を1回以上開催して検討すること。
また、生息状況調査およびジュゴンの保護に関する方策等の内容の評価にあたっ
ても、専門家を含めた検討委員会を1回以上開催して検討すること。
(4)その他
ア.事業計画書等の作成
請負者は、業務目的を達成するため沖縄県環境部自然保護課と協議の上、事業計
画書及び安全管理計画書を作成する。
事業計画書は、平成 28 年度の事業計画書及び平成 28 年度から平成 29 年度まで
の全体の工程図も作成すること。
イ.関係者との調整
業務実施前に業務内容等について関係者へ十分周知すること。
また、調査や資料の活用などで必要な許可などがあれば調整を図ること。
ウ.調査等状況報告
業務報告等は年4回、調査結果をとりまとめた結果を提出し、改善点等必要に応
じて協議する。
エ.その他
調査により、個体数が極めて少ないジュゴンへ影響がないよう最大限の配慮し調
査を実施すること。
6.平成 28 年度の業務内容
(1)生息状況調査
ア.既存情報の整理
イ.調査対象海域の選定
ウ.藻場分布図の整理
(2)検討委員会
業務の実施にあたり全体的な方針、評価等するにあたり専門家を含めた検討委員
会を1回以上開催して検討すること。
7.成果品
(1)A4版報告書(10 部、概要版 10 部)
平成 28 年度ジュゴン保護対策事業
(2)原稿一式(電子媒体
1部)
8.著作権等の扱い
(1)成果物に関する著作権、著作隣接権、商標権、商品化権、意匠権及び所有権(以
下「著作権等」という。
)は、沖縄県が保有するものとする。
(2)成果物に含まれる請負者又は第三者が権利を有する著作物等(以下「既存著作物」
という。)の著作権等は、個々の著作者等に帰属するものとする。
(3)納入される成果物に既存著作物等が含まれる場合には、請負者が当該既存著作物
の使用に必要な費用の負担及び使用許諾契約等に係る一切の手続を行うものと
する。