阿弥陀堂の屋根改修工事(PDF) 『真宗』2014年2月号掲載

メートル付近︶の修復工事を進めて
阿弥陀堂の屋根改修工事
阿 弥 陀 堂 で は、屋 根 の 下 地 と
修復にあたっての調査で確認され
箇所の突出部分を削り、減退して
ました。そのため、湾曲している
大棟は明治度の再建から約百二
いる箇所には埋木を行うなどし
います。
十年もの長い年月を経た中で、全
なる土居葺き板の改修をほぼ終
ます。中でも現在は、その屋根の
加えて、大棟の南北部分の先端
の素屋根の一角で、大棟の原寸大
既報のとおり、これまで阿弥陀堂
おに だい
ており、それを支える﹁鬼台﹂の
設置も完了しました。今回の工事
高さの位置の調整を行いました。
雨水は高いところから低いと
こ ろ へ 流 れ て い き ま す。屋 根
のほとんどは斜面になってお
り、瓦 も 重 な っ て い る た め 雨
水が入り込むことはありませ
ん が、屋 根 の 頂 上 の よ う に 風
雨の影響を受け易いところは
雨水が入り込みやすくなりま
す。そ こ で、そ の 部 分 に 平 瓦
を半分にした熨斗瓦を何枚も
重 ね て 防 水 性 を 強 化 し、上 に
むね
丸瓦を置いて雨水の進入を防
おお むね
ぐ も の を﹁棟﹂と い い ま す。
屋 根 の 頂 上 の も の を﹁大 棟﹂
、
大棟からおりているものを
くだりむね
ち ご むね
た棟があります。
よ こ ざん
きます。
熨斗瓦を段上に積み上げてい
分。こ こ に 釘 と 銅 線 を 用 い て
を支えるための下地となる部
大 棟 に 取 り 付 け る﹁熨 斗 瓦﹂
横桟
の し がわら
にも﹁隅棟﹂や﹁稚児棟﹂といっ
すみむね
﹁降 棟﹂と い い ま す。そ の 他
棟
むね
て、棟が適切な曲線となるように
体的に東面に湾曲していることが
おお むね
頂上部分である大棟 ︵地上約二十七
間に取り付ける工法を採用し、ま
し がわら
地 部 分 に 新 し く 木 材 を 付 け 加 え、
たその上に乗せていく熨斗瓦の勾
の
修復が進められました。また、雨
再建時の反りになるように調整が
配を急にして雨水が内部に侵入し
にくくなるよう改良します。そし
は本来上にそり上がるように伸び
模型を用いた風雨に対する瓦の葺
ま た 本 誌 ︵二〇一 一 年 十 月 号︶で
ていますが、地盤の沈みや葺き上
き方の実験を行ってきました。こ
では明治期の鬼台の上に新しく作
の形状に修復しました。
げられた瓦の重みなどにより全体
の実験の結果を受けて、大棟の下
成した鬼台を乗せ、下がっていた
て、大棟の先端には﹁獅子口﹂と
的に十五センチほど下がり、棟と
地 と な る 部 分 を 補 修 し た 後 に は、
呼ばれる非常に大きな瓦が葺かれ
しては起った︵上方に凸形に反っ
﹁ル ー フ ィ ン グ﹂と い う 透 湿 防 水
大棟の模型を用いた瓦の葺き方の実験
むく
て い る︶状 態 に な っ て い ま し た。
素材の特殊シートを 下地と横桟の
よこ ざん
そのため修復では元々の大棟の下
下地が修復された大棟
え、順 次 瓦 が 葺 き 上 げ ら れ て い
鬼台(大棟の先端にある
「獅子口」を支える台)
を取り付けています
水で腐食している部分を取り除
修復前の大棟
施されました。
← 阿弥陀堂大棟位置
き、新しい木材で埋め木を行い元
大棟の下地部分
御
修
復
の
あ
ゆ
み
ルーフィング
(透湿防水素材の特殊シート)
の大棟下地への取り付け作業
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2014年
(平成26年)2 月
真 宗
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