御 修 復 の あ ゆ み

阿弥陀堂縁
かえる また
り美掃工事
どです。
寧な組 物 に も そ の よ う な 特 徴 が あ
戸 筋 廻 りの﹁蟇股彫刻﹂、広縁に
ら われています。また、これらの
えん まわ
阿 弥 陀 堂の 縁 廻 り に は さ ま ざ ま
阿弥陀堂は阿弥陀仏の浄土の荘
る。
ひじ き
画の下地としても使われる。
すなどして製作される。漆や日本
然カキを風化させたものを磨り潰
石灰質が多いイタボガキという天
れる日本の伝統的な白色顔料で、
※胡粉⋮人形の面部などにも使用さ
ません。
仕上げ材であることは間違いあり
の百年の歩みを支えてきた有効な
ていることから、両堂のこれまで
護性能がある他、施工性にも優れ
きた胡粉と同じような耐久性と保
組物において肘木を受け
はり
※肘木…主に荷重を受けるための部材で前後左右に伸
を増やすとともに、軒を支えた
の日本でまだまだ未知である材料
を使用したのは、当時の棟梁であ
る伊藤平左衛門です。彼の西洋の
最先端の建築技術や材料に対する
造詣の深さから、組物へのペンキ
の使用が決定されました。この影
響から、五十年前の宗祖七百回御
遠忌における修復では両堂ともに
木口にペンキが用いられました。
ペンキは、伝統的に使用されて
をしている四角い部材。
やかな金箔などの仕上げや精微な
れもののマスのような形
り、梁にかかる上からの荷重を分
斗
彫刻などに特徴があり、複雑で丁
肘木
ました。開国して間もない、当時
阿弥陀堂の組物の断面図
び こう りょう
かけ られた﹁ 海 老 虹 梁 ﹂、そして
海老のように曲がっていることから「海老虹梁」と呼ばれています
え
な 意 匠 をこら し た 匠の 技 が 施 さ れ
くみ もの
組物は組手を増やし装飾的な要素
ひじ き
厳をあらわすことから、堂内の華
ふ
ご ふん ぬり
料として白いペンキが使われてい
が、御影堂の再建時の組物には塗
が用いられていました。ところ
もので阿弥陀堂も再建時には胡粉
築物の木口には胡粉塗が施される
※
ところで通常、伝統的な木造建
装を施します。
破風の内側にある組物にも木口塗
は
の他にも虹梁の側面の彫刻部分や
的な面を持っています。また、こ
色とのコントラストからなる装飾
ます
斗 ※と肘木 ※を組み合わせた組物な
ご はい
ています 。虎や龍などの向 拝・唐
います。
散 さ せ る 等 の 役 割 を兼ねそなえて
竹虎の蟇股彫刻(阿弥陀堂向拝)
このたびの美掃工事では、それ
こ ぐち
らの組物や蟇股の木口︵木の切断
面︶を白の塗料で塗り直す作業を
行っています。工程では、木部全
般の長年の埃や煤を丁寧に払い、
前回修復時︵宗祖七百回御遠忌︶
の塗料を ブ ラ シ を 用 い て 削 ぎ 落 と
し 、 下地の処理をしていきます。
そして、木部の割れやひびなどが
見受けられる箇所について
は埋木をしたり、樹脂を用
いた補修を施します。
次に、そのような下地の
調整作業が終わった後は、
木口の表面に白の塗料を塗
っていきます。その際、塗
料のムラをなくし、きれい
に見えるように二回ほど塗
りを繰り返します。
これらの塗料は痛みやす
い木口をカビなどの腐朽要
因から守る保護材としての
役割に加えて、白と木部の
※斗…お酒やお米を計る入
ます
繰り返して塗料を塗っていきます
びている横木。また先端や中心には斗を乗せる。
木口塗装を終え、当時の輝きを取り戻しました
御
修
復
の
あ
ゆ
み
美掃作業前の蟇股
52
2014年
(平成26年)4 月
真 宗
真 宗
53 2014年(平成26年)4 月