平成28年度全国学力・学習状況調査抽出調査の活用について

平成28年度全国学力・学習状況調査抽出調査の活用について
平成28年6月16日
小 中 学 校 課
平成28年4月19日実施の全国学力・学習状況調査について、今回初めて本県独自に取り組んだ抽出調査
の活用状況について報告します。
1 抽出調査の目的
平成28年度全国学力・学習状況調査の結果について、国の公表(例年8月末)前に県内における児童生徒
の学力や学習状況調査を早期に把握・分析し、学校現場におけるこれまでの学習指導を振り返ることで、早
期の学習指導の改善・充実に役立てる。
2 抽出調査の対象
県内の市町村(学校組合)立小中学校における実施全学級から、1学級あたり3名を抽出。
(全ての調査を
終了した児童生徒に限る)
<抽出数>
小学校6年生 613人(実施人数 約4,900人)
(抽出率 約13%)
中学校3年生 516人(実施人数 約5,000人)
(抽出率 約10%)
3 抽出調査結果の活用の流れについて
抽出データ回収 → 採点(県教育委員会) → 誤答状況等の分析(市町村教育委員会と合同協議) →
具体的な授業改善例の検討(市町村教育委員会と合同協議) → 各学校に授業改善例を提供 →
各学校内で研究・実践
4 抽出調査の概要について
【小学校】
《国語》
○漢字を正しく読んだり書いたりすること
良好であるもの
○目的に応じて、図と表とを関係付けて読むこと
○用紙全体との関係に注意し、文字の大きさや配列などを決めること
●話し手の意図を捉えながら聞き、話の展開に沿って質問すること
課題であるもの
●目的や意図に応じて、グラフや表を基に、自分の考えを書くこと
●目的に応じて、文章の内容を的確に押さえ、自分の考えを明確にしながら読むこと
《算数》
○除法における計算の確かめの方法を理解すること
良好であるもの
○示された条件を基にほかの正方形について検討し、同じきまりが成り立つかを調べること
●式の中の数値の意味を解釈したり、式の意味の説明を記述したりすること
課題であるもの
●図形を構成する角の大きさを基に、示された四角形を並べてできる形を判断すること
【中学校】
《国語》
○文脈に即して漢字を正しく読むこと
○相手や場に応じた言葉遣いなどに気を付けて話したり、語句の意味を理解し、文脈の中で
良好であるもの
適切に使ったりすること
○目的に応じて必要な情報を読み取ること
●文章の構成や表現の仕方について、根拠を明確にして自分の考えを具体的に書くこと
課題であるもの
●課題を決め、それに応じた情報の収集方法を考えること
●本や文章などから必要な情報を読み取り、根拠を明確にして自分の考えを書くこと
《数学》
○不等式の意味を読み取ること
良好であるもの
○簡単な場合について、確率を求めること
●自然数の意味を理解すること
課題であるもの
●垂線の作図の方法について理解すること
●加えるべき条件を判断し、それが適している理由を説明すること
5 抽出結果を受けての対応について
(1)第1回指導主事等研究協議会(平成28年5月26日)
市町村教育委員会指導主事等と共同して、抽出結果の分析を行い、
全国学力・学習状況調査の意義や活用方法について確認した。
【抽出結果の分析】
(主なものを抜粋)
・活動の前後を比較して変化を捉えず、1つのグラフからいえる課題を取り上げて書いているもの
が多く見られた。これは、報告文の内容や構成を捉えることができず、グラフと関係付けて読む
国
ことができていないことが原因だと考えられる。
語
・国語科の時間以外にも、図表やグラフのどういうところに着目するのか意識し、目的に応じて必
小
要な情報を取り出して自分の考えを明確にする指導を継続的に行っていくことが必要である。
学
校
・解答類型から、式の数値の意味は捉えられているものの、除法が用いられる場合とその意味につ
いての理解が十分でないことが考えられる。
算
数 ・式と図を関連付けながら説明したり、式の表す意味を考える学習を行うことが大切である。また、
自分の表現を見直し修正していく活動を取り入れていくことが大切である。
・文学的文章と図鑑という異なる種類のものを関連付け、問われている内容を整理したうえで、必
要な情報を読み取り、根拠を明確にして自分の考えを書くことに課題があると考えられる。
国 ・生徒が考えを交流する際、文章のどの部分に着目し、どのような事柄を基にして内容を理解した
語
り想像を広げたりしたのか等、根拠を明確にして説明し合うように指導することも大切である。
中
根拠を明確にした話合いは、国語科に限らず他教科・領域においても取り組むことが大切である。
学
・解答類型を見ると、反比例の意味や特徴の理解が不十分であると同時に、これまで学習したこと
校
を自分の言葉で説明する力が不足していると考えられる。
数
・比例、反比例、一次関数、それぞれについては理解できているが、関数としてつながりを意識で
学
きていないことも予想されるので、各学年で関数を扱う際、表・式・グラフの3つを関連付けな
がら、2つの数量の変化の様子を捉えられるようにすることが大切である。
【研究協議会で共通理解した内容】
■求められている学力について正しく理解するためには、全国学力・学習状況調査の問題を全教職員で解
くことが有効であること。
■授業改善にあたっては、具体的なデータに基づき分析することで、目の前の児童生徒の課題を明確にす
るとともに、教員自身が日々の授業づくりを振り返ることが必要であること。
■課題の解決にあたっては、系統的な指導を行うことや教科横断的に取り組む必要があることから、学校
全体での取組が求められること。
※抽出結果の分析及び研究協議会で共通理解した内容については県教育委員会でとりまとめ、
各市町村教育
委員会及び各学校に対して情報提供を行った。
(別紙1・別紙2)
(2)第2回指導主事等研究協議会(平成28年6月10日)
市町村教育委員会指導主事等と一緒に、抽出結果の分析を基に具体的な授業改善例を作成した。
(別紙3)
6 今後の取組について
授業改善例の各学校への配布
各学校における授業改善に向けた取組の参考資料として、
「全国学力・学習状況調査抽出結果
6月下旬
分析を活用した授業改善例」を全小中学校に配布する。
有識者・学校関係者等を交えたワーキンググループ
全国学力・学習状況調査結果の具体的な分析を行い、その結果に基づいた取組の指針につい
7月~9月
てリーフレットを作成する。
教育課程研究集会
抽出分析結果で明らかになった課題について各学校教員に共通理解を図り、課題解決に向け
8月
た具体的な授業改善例について提示する。
学力向上に向けた説明会
9月~10月
市町村(学校組合)教育委員会指導主事等対象と小中学校教員対象に開催する。
リーフレットの配布
10月
学力向上のための指針等を示したものを全小中学校教員及び保護者に配布する。