2016

2016年 熊本地震による地盤災害
(阿蘇エリア)
前川侑太、萩野知、清田隆
Geo-disaster Mitigation Engineering
火山性堆積土の崩壊
阿蘇エリアでは、主に4月16日の地震(Mw7.0)により顕著な被害が発生し
た。その多くは火山性堆積土の崩壊によるものである。外輪山西部の阿蘇
大橋は、斜面崩壊による土砂に巻き込まれ完全に崩落した。また、非常に
緩い斜面で大規模かつ流動距離の長い崩壊が見られた。破砕性の高い火
山性堆積土の特徴が、被害を拡大させた可能性が考えられる。
地震前(google earth)
図1 阿蘇エリアの調査ルート
写真1 阿蘇大橋を襲った斜面崩壊
写真2 緩斜面で発生した大規模崩壊
住宅造成地の被害
近年開発された住宅造成地に
おいて、地盤変状に伴う道路と
家屋の甚大な被害が発生。被
害発生は、水田を埋め立てて嵩
上げした個所で生じていたこと
が航空写真の比較から判る。
写真3 住宅造成地の被害の様子
図2 被害を受けた住宅地の造成前後の比較
帯状に発生した地盤沈下
カルデラ内北部において、幅数十mの地盤沈下・亀裂が不連
続に数kmにわたって発生。多数の家屋が被害を受けている。
断層活動の影響、旧河道の存在による表層地盤の問題等が
考えられるが、現時点では沈下発生メカニズムは不明である。
図3 UAVによって撮影された帯状の沈下の様子と周辺への被害
KIYOTA Lab., Institute of Industrial Science, the University of Tokyo
2016