2016

2016年 熊本地震による地盤災害
(益城町・西原村)
萩野知、清田隆
Geo-disaster Mitigation Engineering
二度の大きな地震
熊本地震により、益城町と西原村では住宅や道路に顕著な被
害が発生した。4月14日のMw6.2に続いて発生した16日の地震
(Mw7.0)により、被害が拡大したことが多くの証言より明らかに
なっている。複数回発生する大地震が、構造物や地盤の安定性
に及ぼす影響を解明することは、今後の地震工学分野の大きな
テーマとなろう。
住宅・道路被害とその復旧(益城町)
図1 益城町・西原村の調査ルート
益城町では、住宅が高い割合で倒壊した。顕著な被害
が生じたエリアでは、駐車場・道路上のクラック、埋設管埋
戻し土の沈下や液状化による噴砂が確認された。いずれ
も軽微な変状であり、当該地の住宅被害は振動による影
響が支配的であると考えられる。一方、個々の宅地盛土
写真1 地震動による住宅被害
の変状による住宅被害も散見された。
写真2 地盤変状に起因する住宅被害
図2 益城町の住宅被災エリアにおける地盤変状調査結果
益城町内の国道443号線では、地山と二次堆積物の境界部
や軟弱地盤上の盛土部に大きな変状が生じた。一方、被災地
写真3 益城町国道443号線の被害と復旧状況
全体を通じて、道路の応急復旧はかなり迅速に行われた。
県道28号線の被害(西原村)
西原村山間部の県道28号線では、
地震断層の近傍において道路の大
きな変状、斜面崩壊、橋梁被害、トン
ネル被害など、様々な形態の被害が
発生した。道路被害は盛土部に集中
し、擁壁の被害も多く発生した。また
、県道28号線沿いに分布する集落
の家屋被害率も比較的高い。
写真4 盛土部で発生した道路の変状
写真5 県道28号沿いで発生した大規模斜面崩壊
KIYOTA Lab., Institute of Industrial Science, The University of Tokyo
2016