仕様書(PDF:241KB) - 中部経済産業局

平成28年度地域経済産業活性化対策調査
「北陸地域を中心とした産業基盤整備に伴う産業構造変化に対応した産
業競争力強化の方策と東海・北陸両経済圏の連携に関する可能性調査」
仕
様
書
1.調査事業の目的
中部地域の産業ビジョンである「TOKAI VISION」及び「北陸産業競争力強化戦
略」は策定後2年を過ぎ、時勢の大きな変化や、新たな産業の芽も出始めていること
から両戦略の見直しの検討が必要。特にこれまでフォローアップがされていない北陸
地域については、昨年、金沢まで延伸された北陸新幹線の開業やインバウンドの大
きなうねりが地域経済や産業界に与えているインパクト(取引関係の変化、来訪者の
変化、これらによる東海地域等への影響)などを整理・分析した上で、現行戦略の補
完・強化を検討する必要が生じており今回の調査でそのための基礎調査を実施する。
加えて、TOKAI VISION 及び北陸産業競争力強化戦略をベースに今回の調査結果
を踏まえ東海と北陸双方の産業・経済の連携のあり方をRESAS分析等を活用しつ
つ検証する。
2.調査事業の内容
東海地域には、自動車や航空機産業を始めそれらを支える周辺産業群として部品
産業、加工産業等高度なものづくり企業が集積し、世界に冠たるものづくりの拠点を
形成している。また、北陸地域には高機能素材関連の集積やジェネリック医薬品等ラ
イフサイエンス関連企業の集積がある。さらに、北陸新幹線金沢延伸により、関東圏
からのアクセスが向上しインバウンド観光が増大しているところ。
また最近では、炭素繊維を核とした連携など、一部で東海と北陸の連携も見られて
いるが、中部地域全体でみれば、東海と北陸の両地域が面的広がりを持って連携し
ているとは言いがたい状況でもあるところ。
他方、中部地域には世界市場で競争力を有するコアとなる企業が既に多数存在し
ており、東海・北陸間で今後多面的な連携を図り、産業面、インバウンド観光面等で
パフォーマンスを上げることで、「世界に冠たるグローバルバリュー創出拠点」となる
ポテンシャルを秘めていることから、今後“世界と戦うコア・リージョン”として存在して
いくためにも、東海と北陸の産業・経済の連携強化が必要不可欠となっている。
また、北陸新幹線金沢延伸にともない商流、物流、人流が大きく変化し関東圏や関
西圏とのつながりが深まりつつあり、今後の東海圏と北陸圏の連携のあり方にも影
響を及ぼす可能性がある。
このような中、東海、北陸それぞれの現行戦略の策定から2年が経過し、我が国、
世界においては、IoT、ビッグデータ、ロボットといった分野の急速な進展や、TPPの
調印など、経済・社会活動に極めて大きなインパクトを与える新たな情勢変化が生じ
ており、現行戦略の内容もこれらを踏まえたレビュー等が必要になっている。
特に、これまでフォローアップや見直しが行われていない北陸産業競争力強化戦
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略については、ライフサイエンスと高機能新素材と並ぶ新たな戦略の柱立てについて
の可能性を調査するとともに、例えば高機能新素材の分野におけるセルロースナノ
ファイバーといった新たな素材の芽に関する動きなど、最新の動向や今後の成長可
能性、企業集積の状況等を調査する必要があることに加えて、北陸新幹線金沢延伸
の影響・効果の検証を踏まえた今後の広域的な施策展開の方向性を検討する必要
が生じていることから、以下の2つの視点で調査・分析を行う。
(1)調査の詳細
① 産業面での影響調査
経済活動の活発化に伴い既存産業における人材不足が発生している。このよ
うな中、自治体が企業誘致活動を実施しても、人手確保が難しいため企業誘致
活動がスムーズに実施できない状況が起こりつつある。
延伸前は首都圏にビジネスが吸い取られるいわゆる「ストロー効果」が懸念され
たが、実際は北陸の拠点性が高まり、例えば石川県では、県外に本社を持つ企
業の支社、支店が30ほど増加。逆に県内の支店を廃止して東京へ移転したと
いうケースは見受けられず、正に「逆ストロー効果」が発生している。
1)この状況を踏まえ、新幹線を産業インフラとして見ることで、企業移転、新規立
地場所の選択にどのような影響を与え、実行したか
2)既存の産業集積があることに加え、産業インフラたる新幹線が加わったことで、
今後新たな企業移転、新規企業立地により産業集積は起こりえるか
3)また、大型インフラ整備のストック効果として、東海・北陸コンポジットハイウェイ
構想等のような地域間連携が中部地域のみならず広域的に発生しうるか。さら
に、東海北陸道4車線化の実現や東海環状自動車等西回りの整備によるス
トック効果として産業集積の兆しや可能性はありえるのかを調査・分析する。
② 観光面での影響調査
北陸新幹線を利用した入り込み客数はJRが見込んだ2倍を超え3倍となって
いる。長野県では金沢延伸により、首都圏の客が素通りするのでは、という懸念
があったものの、延伸後は関西方面から金沢を訪れた観光客が長野にまで流れ
る状況がみられており、長野県は連携に意欲的になっている。また、逆に長野県
に来るオーストラリアからのスキー客を富山、金沢に呼び込めるメリットも見込め
るところ。
1) 観光客等を対象とする飲食、宿泊業は勝ち組、地元住民を主要な客とするデ
パート、スーパー等は負け組といわれていることに加え、地域的には金沢一
人勝ちとの評価があるが、その本質を探るとともに、地域間格差がもたらす経
済への影響を調査・分析し、今後の観光のあり方を検証する。
2) また、昇龍道エリアが今後新たなゴールデンルートとして確固たるものとなる
ために東海・北陸地域がそれぞれの地域資源(観光資源だけでなく食品や工
業品も含め)を有機的に連携させインバウンドの流入を広げるのに必要なこと
は何か
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これらの視点で現状調査・分析を行い産業基盤整備に伴う産業構造の変化が産
業・経済に与えるインパクトを調査した上で、「TOKAI VISION」及び「北陸産業競争力
強化戦略」をベースに、中部地域全体を俯瞰しつつ、中部圏域にとどまらない関東圏
や関西圏とのつながり強化も見据えながら、中部地域が今後100年「世界に冠たる
グローバルバリュー創出拠点」として輝き続ける地域となるために必要な方向性、ポ
イント、政策ニーズ等を整理・検討する。
これらを実施するにあたっては、地域の産業構造変化についての客観的分析を行
うとともに、今後世界に打って出るための起爆剤として期待される分野や施策ニーズ
等について企業や有識者等から生声の聞きとりを行い、方向性やポイント等の抽出、
整理、検討の材料とする。
(2)調査の方法
上記(1)に記載の① 1)~3)及び② 1)、2)を調査するにあたり、適切な文献・資料に
よりインフラ整備等に伴う環境変化の事例(ex.支社・支店の増加、ホテル・旅館の売
り上げ増など)及びインバウンドの魅力となりうる地域資源(観光分野に限定せず)の
実態に係る情報収集を行う。
また、これら調査内容に関連の深い企業経営者、大学、自治体担当者等有識者の
うち主要な対象に対し、10カ所(東海及び北陸5カ所ずつ)のヒアリング調査を行い
中間報告を秋頃に実施する。その後20カ所(東海及び北陸10カ所ずつ)にヒアリン
グし合計30カ所のヒアリングを実施する。
加えて、アンケート設計の上、1,000カ所程度に対するアンケートを実施し、傾向
をとりまとめる。
中間報告については、第一段階のヒアリングにより今後の中部地域に必要となる
施策の方向性やポイント等の仮説を構築。その後のヒアリングで仮説の検証を実施
する。
(3)調査報告書の作成
2.(1)の結果をとりまとめた調査報告書を作成する。
※ 調査報告書は、PowerPoint形式で、概要版と詳細版を作成すること。
※ 直観的にわかりやすいものとなるように、画像・イラストやポンチ絵などを、
多数、入れるなど、ビジュアルにとりまとめること。
※ 2.(1)で情報収集・考察する事例は、1事例あたり1スライド以上でとりまと
めること。2.(1)は、20スライド程度でとりまとめること。
※ 各スライドの構成は、当局担当者と協議し、その指示に従って、作成するこ
と。
※ 調査報告書は、オープンデータ(二次利用可能な状態)として公開されるこ
とを前提とし、経済産業省以外の第三者の知的財産権が関与する内容を
調査報告書に盛り込む場合は、①事前に当該権利保有者の了承を得た上
で、②調査報告書内に出典を明記し、③当該権利保有者に二次利用の了
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承を得ること。
※ 調査報告書電子媒体の具体的な作成方法等は、下記URLを参照のこと。
http://www.meti.go.jp/topic/data/e90622aj.html
3.調査事業実施期間
委託契約締結日から平成29年3月31日まで。
4.成果物
(1)納入物
① 調査報告書(概要版・詳細版)
② ヒアリング調査結果
③ その他、作成、購入・入手等した資料
3式
1式
1式
(公表用)
(非公表用)
(非公表用)
※①は、PowerPointファイル及びそのPDFファイル(透明テキスト付き)とし、
電子媒体(CD-R等)によって納入する。
※ ②及び③は、電子媒体(CD-R等)又は紙媒体によって納入する。
(2)納入期限
平成29年3月31日
(3)納入先
経済産業省 中部経済産業局 総務企画部 企画課
5.その他
(1)実施にあたっての留意事項
○ 本調査の実施にあたっては、当局担当者と密に連携し、意思疎通に務め、
定期的に進捗状況等について報告すること。
(月1回程度以上、その時点までの調査結果のとりまとめを行い、報告を行
うこと。報告の内容や時期等については当局担当者と十分協議すること。)
○ ヒアリングの実施にあたっては、当局担当者も同行することができるよう、
あらかじめスケジュール調整を行うこと。
(ヒアリング結果は個別にとりまとめること。)
○ 事業の遂行において疑義が生じた場合には、当局担当者と協議し、その指
示に従うものとする。
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(2)権利の帰属
○ 本事業にて生じた知的財産及び成果物にかかる使用及び処分に関する一
切の権利は、中部経済産業局に帰属するものとする。
(3)秘密保持
○ 事業の遂行にあたり、知り得た情報については、いかなる理由をもっても実
施期間中及び終了後において、第三者に漏らしてはならない。また、情報
漏洩に対する措置を講ずること。
(4)提案書作成にあたっての留意事項
○ 提案書には、以下の提案を盛り込むこと。
①「産業面での影響調査」に係るヒアリング先候補及びアンケート項目、ア
ンケート対象のイメージ
②「観光面での影響調査」に係るヒアリング先候補及びアンケート項目、ア
ンケート対象のイメージ
③東海経済圏と北陸経済圏の連携のイメージ、その際に必須の事象は何
か
④昇龍道エリアへのインバウンド観光の取り込みに必要なものは何か
⑤インフラ整備等に伴う環境変化の事例に係る事前調査の手法及び調査
対象のイメージ
※③、④は仮説として記載。
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