第5章 総括 第 1 章は、本研究の焦点と本論文の構成についてである。 第 2 章は、本研究の根幹となる、貯留層の圧密とケーシング、セメントについての概略 である。 第 3 章は、圧密貯留層におけるケーシングシフトという一般貯留層では考慮されていな かった障害についての解析である。ここでは、一般貯留層ではケーシングシフトによるパ ーフォレーションの閉塞による生産障害は頻繁には起こらないが、わずかなケーシングシ フトでもセメントの破壊とせん断フラクチャーの形成、さらにそれを通じた流体移動とい う問題とその対処案を示した。 第 4 章は、圧密貯留層帽岩内におけるケーシングの引張による破壊という通常起こりえ ないと考えられていた障害についての解析である。近年生産の盛んな地域で得られたケー シングのデータよりこの破壊の存在に至り、研究を行った。ここでは、Petroleum Engineer が API 規格や鋼管会社のデータに従い、あまり考慮しなかったケーシングの引張に関する 解析を行い、グレードの特性からケーシングの問題とその対処案、新しいケーシング設計 やデータ更新への提案を示した。 第 5 章は、本論文の総括である。 最後に本研究では、2 つのケーシングにかかわる問題を解析したが、本論の中で述べたよ うに、実際の貯留層や帽岩内での応力状態は非常に複雑であり、それを完全に把握するこ とは困難である。それに対して条件設定や近似を行い、問題の把握に努めた。ケーシング シフトと引張破壊の問題は貯留層の条件設定が異なるために、単純に相互比較することは できない。しかし、双方の問題をこれから先、考慮することで、石油生産技術の発展に寄 与する提起であるとともに、さらなる研究対象・実際の採油における考慮対象として示す ことができたと考えられる。 125
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