留萌市かずの子条例(説明付) (目的) 第1条 この条例は、留萌市のニシンの千石場所から連なる伝統的なニシンによる 食文化、とりわけ、子孫繁栄の縁起物かずの子の生産又は加工並びに利用及び消 費の拡大に関し、基本理念を定め、市、議会、議員、かずの子事業者及び市民の 役割を明らかにするとともに、これに基づく施策を総合的かつ計画的に推進する ための基本的な事項を定め、もって留萌市のかずの子に関わる産業の振興及び市 民の郷土に対する愛着を深め、豊かで健康的な生活の向上を図ることを目的とす る。 【趣旨】 この条文は、条例の内容が理解できるように、条例で規定している基本的事項や この条例が何を目指しているのかについて、簡潔に表現する「目的規定」です。 【考え方】 ・この条例は、まちを元気にするため、地域資源である「日本一のかずの子」の消 費拡大と地産地消を推進することで、地場産業の振興と郷土愛の醸成を図る趣旨 であることを規定するとともに、最終的には、地域経済の活性化と市民生活の向 上に寄与することを明記しています。 ・この条例は、かずの子に限定するものではなく、ひとつのきっかけとして、地場 産業の振興と地域内経済循環への波及効果が生まれることを期待して定めるもの です。 (定義) 第2条 この条例において、次に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところに よる。 (1) かずの子 市内に事業の本拠を有する者が生産し、又は加工したかずの子 をいう。 (2) かずの子事業者 かずの子の生産又は加工を業として行う者をいう。 (3) 市民 市内に居住し、通勤し、又は通学する者並びに前号に掲げる者以外 の市内で事業その他の活動を行う者及び団体をいう。 【趣旨】 この条文は、条例の中で使われている用語の意味が正確に伝わり、この条例の解 釈上で疑義が生じないように、用語の定義をするものです。 【考え方】 《第1号「かずの子」について》 ・ここでは、「かずの子」を定義するもので、留萌市内の事業者(留萌市に本拠を 有する事業者(法人等))が生産又は加工するかずの子であることを定めています。 《第2号「かずの子事業者」について》 ・ここでは、「かずの子事業者」を定義するもので、ここでいう「生産」と「加工」 の違いとしては、ニシンからかずの子(加工をされる前のもの)を作るのが「生 産」で、それを更に加工して製品としてものを作るのが「加工」というような区 別で考えます。 なお、製品になるまでの全体の一連の工程を広い意味での生産と考える場合も ありますが、ここでは区分自体に大きな意味があるものではなく、「かずの子事 業者」を定義するために、生産や加工といった用語を用いているものです。 《第3号「市民」について》 ・ここでは、「市民」を定義するもので、「留萌市自治基本条例」と同じ考え方で、 市内に住所がある人、市内で働く人、市内の学校に通学する人、かずの子事業者 以外の市内で事業その他の活動を行う人と団体が市民になります。 (基本理念) 第3条 留萌市のかずの子(以下「かずの子」という。)に関する食文化、伝統、 産業を守り、市民の豊かで健康的な生活を実現するための基本理念は、次に定め るとおりとする。 (1) かずの子は、その伝統及び文化が継承されるとともに、新たな価値及び需 要が創造されることにより、常にその魅力が高められなければならない。 (2) かずの子の生産又は加工は、地域社会の活性化に貢献する持続的な産業と して育成されなければならない。 (3) かずの子の生産又は加工は、安全かつ良質な製品を将来にわたり安定的に 供給することができるように守られなければならない。 (4) かずの子に関する情報を広く国内外に発信し、消費拡大及び交流人口拡大 に結び付くよう図られなければならない。 【趣旨】 この条文は、条例全体にわたるかずの子産業振興の基本的な考え方などを明らか にするもので、条例制定の理念や方針を強調するために設けられているものです。 【考え方】 ・基本理念は、条例全体の根幹となる基本的な考え方です。 《第1号について》 ・ここでは、かずの子の伝統的な文化の継承について定めるとともに、かずの子の 振興には、かずの子事業者の自主的な努力が不可欠であり、かつ、重要となるた め、その魅力を高めるための創意工夫などの取組を促進するよう定めています。 《第2号について》 ・ここでは、日本一のかずの子を地域の基幹産業として、持続的に育成していくと とともに、かずの子関連産業は、市民からの応援に応えるため、地域の発展や郷 土愛の醸成にも大きく貢献していくという姿勢について定めています。 《第3号について》 ・ここでは、かずの子の安全な品質の維持と安定的な供給については、市やかずの 子事業者が地域資源として守っていかなければならないことを定めています。 《第4号について》 ・ここでは、かずの子の持つ優位的な地域資源(日本一という知名度など)を活用 し、人、物、情報の交流を活発化し、地域内の経済循環と交流人口の拡大に結び 付けていくことを定めています。 (市の役割) 第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、 関係部署相互間の連携を強化するとともに、かずの子の生産振興、消費拡大及び 交流人口拡大のための施策を総合的かつ計画的に推進するよう努めるものとする。 【趣旨】 この条文は、条例の目的を達成するために市が担う役割について定めています。 【考え方】 ・この条例における市の役割を定めるもので、条例の最初に規定することによって、 「事業者の役割」や「市民の協力」と比べると「責務」に近いものと考えており、 より強い位置付けにしています。 ・市がかずの子振興についての政策を進めるにあたっては、この条例の趣旨に沿っ て、総合的かつ戦略的な振興施策を計画的に実施することを定めています。 (議会及び議員の役割) 第5条 議会及び議員(以下「議会等」という。)は、主催又は参画する会食等に おいて、かずの子を積極的に使用するとともに、参加者及び市民に対しても使用 を呼びかけるなど、かずの子の普及推進に努めるものとする。 【趣旨】 この条文は、条例の目的を達成するために議会と議員が担う役割について定めて います。 【考え方】 ・ここでは、議員提案により定めた条例でもあるため、議会及び議員が責任を持っ て積極的に関わりを持つために、その役割としてかずの子の使用や普及促進に努 めることを定めた条文です。 (かずの子事業者の役割) 第6条 かずの子事業者は、基本理念の実現に向けて主体的に取り組むよう努める ものとする。 2 かずの子事業者は、基本理念に基づき、市が実施するかずの子に関する施策に 積極的に協力するよう努めるものとする。 3 かずの子事業者は、かずの子に関する伝統及び文化の普及並びに新たな価値及 び需要の創出に努めるものとする。 【趣旨】 この条文は、条例の目的を達成するためにかずの子事業者が担う役割について定 めています。 【考え方】 《第1項について》 ・かずの子の振興については、基本理念にあるとおり、かずの子事業者自身の自主 的な努力がまず必要であり、そのことを明確にするため、この条項で規定してい るものです。 《第2項について》 ・ここでは、第4条に基づく市の振興施策等に対しては、かずの子事業者の積極的 な協力が必要であることを定めています。 《第3項について》 ・ここでは、第1項と同様にかずの子事業者の自主的な努力とそれぞれの事業活動 に当たっては、地域社会との信頼関係を築きながら、文化的な取組や製品の新た な価値と需要の創出に果敢に挑戦していくことを求めているものです。 (市民の協力) 第7条 市民は、基本理念に基づき、かずの子の伝統及び文化に関する理解を深め、 市が実施するかずの子普及の推進に関する取組に協力し、かずの子を消費するよ う努めるものとする。 【趣旨】 この条文は、条例の目的を達成するためには、市民の協力が重要かつ不可欠であ ることから定めたものです。 【考え方】 ・市民への意識啓発を行い、留萌市の知名度向上に対するかずの子の重要性や市が 振興施策を進めることについて理解と協力を求めるものです。 ・個人の嗜好を尊重しながら、日常の生活の中でかずの子事業者が供給する製品等 の利用に努めるなど、その振興のための取組みへの自発的な参加と協力を期待す るものです。 ・特に、かずの子事業者以外の小売店や飲食店など、かずの子に関わることが可能 な事業者や団体にあっては、様々な形でかずの子の普及促進に対する協力を期待 するものです。 ※例えば、かずの子を使用した料理の提供、宴会やビアパーティにかずの子を使 う、5月5日のかずの子の日に合わせてセールを行うなどの取組などです。 (連携及び協力) 第8条 市、議会等及びかずの子事業者並びに市民は、かずの子の消費の拡大及び 普及の促進に関し、相互に連携し、協力するよう努めるものとする。 【趣旨】 この条文は、条例の目的を達成するためには、市、議会、議員及びかずの子事業 者がそれぞれに連携し、市民の協力を得る中で推進していくことが最も重要である ことから定めたものです。 【考え方】 ・この条例は、地域資源である「かずの子」の普及促進を図ることで、かずの子の 消費拡大と地産地消を推進し、そのことによって地場産業の振興と地域内経済循 環への波及効果が生まれることを期待し、それぞれの立場で連携して取り組むこ とが重要であることを定めたものです。 (啓発活動等) 第9条 市は、かずの子についての市民の関心及び理解を深めるとともに、かずの 子事業者及び市民がかずの子に関する情報を共有し、相互理解を促進するために 必要な啓発活動等を実施するよう努めるものとする。 2 市は、前項の啓発活動等の実施に当たっては、食育との連携を図るよう努める ものとする。 【趣旨】 この条文は、条例の目的を達成するための「市」が行う具体的な取組として、意 識啓発等の活動を行うことを定めたものです。 【考え方】 《第1項について》 ・ここでは、市民への意識啓発を行い、市の経済にとってのかずの子関連産業の重 要性や市がその振興施策等を進めること対する理解を求めるとともに、かずの子 事業者及び市民との情報の共有を図るようことを定めています。 ・ここで規定する啓発活動等は、第4条の「市の役割」に含まれるものですが、市 民に対する普及啓発の重要性を考慮して、特に規定として設けたものです。 《第2項について》 ・ここでは、市が行う啓発活動等においては、食育との連携も含めて推進すべきで あることから、これを定めたものです。 (情報の発信) 第10条 市及びかずの子事業者は、市内のみならず、国内外の人々がかずの子の 魅力について知る機会の増大を図るため、インターネットの活用その他多様な方 法による情報の発信に努めるものとする。 【趣旨】 この条文は、条例の目的を達成する上で市とかずの子事業者による情報の発信に ついて定めたものです。 【考え方】 ・ここでは、第3条第4号の基本理念に基づく、市及びかずの子事業者による情報 の発信について定めたものです。 (市の積極的使用) 第11条 市は、自ら主催する行事等においては、かずの子又はかずの子を食材と したものを積極的に使用するよう努めるものとする。 2 市は、学校給食の実施に当たっては、かずの子又はかずの子を食材としたもの を積極的に使用するよう努めるものとする。 【趣旨】 この条文は、かずの子の振興を実効のあるものとして推進していくための「市」 が行う具体的な取組を定めています。第9条と同様に、第4条の規定に含まれるも のですが、実効性を確保するために特に規定として設けたものです。 【考え方】 《第1項について》 ・ここでは、市が主催する行事等においては、積極的にかずの子を使用するよう求 めているものです。 《第2項について》 ・ここでは、食育を含め、学校授業や学校給食に積極的にかずの子を活用するよう 求めているものです。 附 則 この条例は、公布の日から施行する。 【趣旨】 附則は、この条例の施行期日を定めたものです。 【考え方】 ・ここでは、条例が公布された日(平成28年9月99日)から施行されることを定め、 「施行」とは、条例の効力が現実に発動されることをいいます。 留萌市議会 留萌市幸町1丁目11 電話 0164-42-1907
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