尿検査について(試験紙による検査)

けんさの豆知識
2001 年 4 月発行
[10]尿検査について(試験紙による検査)
2010 年 12 月改訂
尿検査は侵襲性がなく、何度でも繰り返し検査することが可能な検査です。体内で不
要となった物質が、尿として体外に排出されますので、腎臓疾患だけでなく様々な疾患
によって異常を示します。
尿試験紙で行うことができる検査には、尿蛋白・尿糖・ケトン体・ビリルビン・ウロビリ
ノーゲン・潜血・亜硝酸塩・白血球定性・pH・比重などがあります。
ご自宅で行うことのできる検査は尿蛋白・尿糖・潜血などがあり、そのうちの1~2項
目を検査することが多いと思います。
今回は、尿試験紙を使用する時の注意点と病院の尿検査でわかる事をとりあげました。
1.自宅で使用するときの注意点
実際に検査をされている方も多いと思います。使用説明書を読んで検査をしていただ
ければ難しくはありませんが、こんなところにちょっと注意してください。
①試験紙は湿気が大敵
試験紙がビンに入っているタイプの場合、使用時に1枚取りだしたら、すぐに蓋を閉
めてください。(1枚ずつの包装のタイプもあります)使用期限内でも封を切ってしまっ
たものは、なるべく早く使用してください。湿気、直射日光および熱を避けて密封した
状態で保管して下さい。
②きれいな容器で
尿をコップなど容器に入れて検査する場合、必ずきれいに洗った容器を使用してくだ
さい。ジャムのビン(きれいに洗っていない)に取ったら尿糖が陽性に出たということも
あります。
③使用期限は守って
封を切っていなくても使用期限が過ぎてしまったものは、正確に検査結果がでないこ
とがあります。
④試験紙の判定は時間通り
に
添付されている判定用の色
調表に、反応時間が記載され
ています。30秒とか、直ち
にとか書いてありますので、
その時間を守って、色調表と
見比べて判定してください。
時間が超過すると色調が変化
してしまうものがあります。
⑤メーカーによって異なる
表示値
色調表の表示値の1+は標
準化され、どのメーカーも統
一されていますが、1+以外はメーカーによって異なる場合もあります。
2.検査でわかること (病院で使用される一般的な試験紙)
①尿の色[正常値:淡黄色あるいは麦わら黄色]
水分摂取量に応じて多少濃い薄いはありますが、淡黄色です。
・黄褐色-ちょっと濃い色は、ビリルビン尿の可能性もあります。ビタミン剤を飲む
と黄色くなることもあります。
・赤色-尿に血液が混じると尿が赤く見えます。
②臭気[正常:わずかな特有な芳香臭]
・アンモニア臭が強い場合は、細菌尿が考えられます。
・アルコールやアスパラガスなど飲食によっても特有な臭いがします。これは腎臓が
一生懸命働いて不必要な成分を体外に早く出そうとするためで異常ではありません。
・芳香臭のあるときは、アミノ酸代謝異常の可能性があります。
③尿蛋白[正常値:陰性(-)]
・腎前性-腎尿路系以外の疾患によって蛋白が陽性になる場合で、心不全、甲状腺機
能亢進症、貧血などがあります。
・腎性-腎臓そのものの障害による場合で、糸球体を中心とした腎疾患などです。
・腎後性-腎臓以外の膀胱や尿道などの尿路系の結石・腫瘍などがあります。
④尿糖[正常値:陰性(-)]
糖尿病で陽性になることが多いのですが、過食やストレス、妊娠などによる生理的な
尿糖陽性もあるので、陽性だからといって必ずしも糖尿病とは限りません。
⑤ケトン体[正常値:陰性(-)]
糖尿病や食べ物が食べられないときに、糖の代わりのエネルギー源として脂肪の分解
が促進され、その結果としてケトン体が増えて、陽性になります。
・糖尿病のコントロールの指標とすることが多い検査です。
・小児では嘔吐、下痢などで陽性になります。
⑥ビリルビン[正常値:陰性(-)]
ビリルビンは、肝臓で作られる胆汁色素の主成分で、生成や排出の異常により尿中に
排泄され陽性になります。
・肝細胞性黄疸や閉塞性黄疸などで陽性になります。
⑦ウロビリノーゲン[正常値:Normal(±)]
ウロビリノーゲンは、ビリルビンが腸で還元されつくられるので、ビリルビンと同様
肝臓や胆道系の異常で陽性になります。
・溶血性黄疸や肝細胞性黄疸などで増加します。
⑧潜血[正常値:陰性(-)]
尿中に赤血球あるいは壊れた赤血球がでていると陽性になります。
・血尿(尿路系の出血)-炎症、異物、腫瘍などにより出血している場合、陽性にな
ります。
・腎臓から出血する糸球体性疾患など腎臓の障害が
ある場合も陽性になります。
・ヘモグロビン尿-血管中で赤血球がこわれた場合、
尿中に出できます。
・ミオグロビン尿-筋肉の障害・壊死で血中にミオ
グロビンが増加し、尿中に出ます。
⑨亜硝酸塩[正常値:陰性(-)]
細菌の硝酸塩を還元する能力を利用し、細菌尿かど
うかを調べる検査です。硝酸塩還元能のある細菌(大
腸菌や腸球菌など)がある程度膀胱内で増殖した場合
に陽性になります。
・尿路感染症(膀胱炎,腎盂腎炎など)が最も考えられ
ます。
⑩白血球[正常値:陰性(-)]