債権回収と担保(田原 恵) )

債権回収と担保(田原 恵)
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2、3年後期
選択必修
2単位
15回
科目内容・目標
実体法レベルで債権が存在し、訴訟法レベルで債権の存在について裁判所の認容判決がなされても、実際
に債権の内容に則した経済的利益を回収しなければ、債権は画に描いた餅である。そこで、債権を強制的に回
収するために、強制執行という制度が設けられ、勝訴判決を無意味にしないために民事保全という制度が置か
れている。
もっとも、債務者のもとに回収の引き当てとなる財産がなければ、債権者としては、債権回収の制約を受けるこ
ととなるが、それを少しでも回避するために、予め担保を取っておくことになる。こうすることで貸し倒れリスクを軽
減でき、ひいては与信の緩和につながるという利点もある。しかし、過度に担保権者を保護すれば、債務者や競
合する債権者の利益が損なわれることになるため、これら利害関係人の調整が問題になる。
本講義では、①民事執行法・民事保全法の学修を軸としつつ、②債権回収の場面における債権者と他の利
害関係人との調整について学修し、法律実務への対応力を養うことを目標とする。
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授業の基本方針
配布する講義資料に基づいて、民事執行法・民事保全法の基礎理論と手続の流れを学修していく。主にその
上で、配布する講義資料に掲載されている判例等に論及しながら、民法・民事訴訟等の復習になるようにしてい
く。執行法・保全法について、講義が中心となるが、発問等によって理解度を認識していく。なお、理解度確認の
ため 2 回程度の小テストを予定している。
履修に当たっては、民法・民事訴訟法等の知識は不可欠であるが、仮に不十分なところがあっても、講義の中
で反復して確認することで定着させていけばよいし、そうすべきである。その他の要件はない。
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成績評価
期末に筆記試験を行う。評価の割合は、期末試験を7割、講義における提出物の提出状況や内容など授業へ
の取り組み(講義への出席回数そのものは、積極評価の要素とはならない)を 3 割とする。
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教材
下記の教科書を使用するほか、講義資料を配付する予定である。
〔教科書〕 中野貞一郎「民事執行・保全入門[補訂版]」(有斐閣 2013 年)
各自が使用している民法の教科書(なお配布する講義資料のうち、民法の該当箇所は、内田「民法
Ⅲ」に準拠している。
〔参考書〕 高須順一「民法から考える民事執行法・民事保全法」(商事法務 2013 年)
各自が使用している民法・民事訴訟法の教科書
〔判例集〕 上原敏夫ほか「民事執行・保全判例百選[第 2 版]」(有斐閣 2012 年)
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授業計画
第 1 回 民事執行法、~はじめに~・強制執行(1)
民事執行の構成、民事執行の機能、強制執行の基礎
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第 2 回 強制執行(2)
債務名義、執行文、強制執行に対する不服の手続
第 3 回 不動産執行(1)
不動産競売、不動産の差押え、不動産の売却の準備、不動産の売却
第 4 回 不動産執行(2)・不動産の収益からの債権回収・船舶執行・自動車執行
配当要求、配当、引渡命令、強制管理・船舶執行・自動車執行
第 5 回 動産執行
動産執行、動産差押え、配当
第 6 回 債権執行(1)
債権執行、金銭債権の差押え、差押禁止債権
第 7 回 債権執行(2)
債権者競合、取立訴訟、供託、転付命令
第 8 回 債権執行(3)
配当、扶養義務等に係る金銭執行についての強制執行、少額訴訟債権執行
第 9 回 非金銭執行(1)
非金銭執行、渡す義務の強制執行、作為・不作為の強制執行、意思表示義務の強制執行
第 10 回 非金銭的執行(2)
登記手続を求める強制執行
第 11 回 担保権の実行・財産開示手続
担保権の実行としての競売等、不動産担保件の実行、動産競売、形式的競売
財産開示手続
第 12 回 民事保全(1) 概要
第 13 回 民事保全(2)~保全命令に関する手続
第 14 回 民事保全(3)~保全執行に関する手続(1)
第 15 回 民事保全(4)~保全執行に関する手続(2)
以上
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