33 池 田:花 崩 岩 地形 の特 徴 花 尚岩地 形の特徴 一 組 織 地 形 学 の視 点 か ら 一 池 田 碩* OntheCharacteristicsofGraniticLandform HiroshiIKEDA* 1.地 形 の形 成 現 在 存 在 して い る地 形 は 不 動 の もの で は な く、 長 い 歴 史 の 中 で 生 ま れ 、 そ して 変 形 して きた も ので あ り、 今 後 も変 化 して い く。 だ か ら我 々 が 見 て い る もの は 、 現 在 の 時 点 の 地 形 にす ぎ な いo 地 形 形 成 に か か わ り、地 形 を 支 配 す る要 因 に は 、組 織 ・構 造 ・地 殻 変 動 ・気 候 ・時 間 な ど が あ げ られ る。 これ ら の うち 、 筆 者 は 組 織 と地 形 と の 対 応 関 係 とい う視 点 か ら 「花 崩 岩 」 が つ く る地 形 を 調 査 して きた 。 一 般 に 組 織 の概 念 に は 、 地 形 に影 響 を与 え る岩 石 の 性 質 と地 質 構 造 が 含 ま れ る。 しか し筆 者 は 現 在 の 地 形 を 対 象 とす るた め 、 本 論 で は 岩 石 の 性 質(物 性)と 地 形 に つ い て 考 察 す る・ この た め 、 組 織 地 形 と岩 石 地 形 と は ほ ぼ 同意 と考 え て い る。 い ろん な地 形 を 構 成 す る岩 石 の 種 類 に よ って そ れ ぞ れ の 岩 石 の 性 質 の ち が い を 反 映 した 固有 の地 形(岩 石 制 約)が で き る。 そ れ に は さ ら に気 候 ・気 象 環 境 の ち が い が0層 地 形 の 変 化 を助 長 させ る た め 、 世 界 に は 地 域 性 に 富 ん だ 地 形 が形 成 さ れ る 。 一 方 、 同一 気 候 、 同一 の 岩 石 か ら な る地 域 で も地 形 形 成 後 の 時 間(年)や 地 形 が位 置 して い る場 の 条 件 の差 に よ っ て 、 多 様 な 風 化 段 階 の地 形 が 出現 す る。 以 下 、組 織 地 形 の視 点 か ら花r^r岩 ・花^.岩 地 域 の 地 形 の 事 例 を 紹 介 し、 基 本 的 な 考 え方 を 述 べ る。 2.花 2-1.な 嵩岩地形 ぜ 「花 嵩 岩 」 か 地 球 上 に は種 々 な 岩 石 が 存 在 す る 。 同一 の 岩 石 が 山 地 を 形 成 して い た り、 風 化 作 用 を 受 け て 分 解 ・土 壌 化 した り、 さ らに は侵 食 作 用 の 結 果 洗 い 流 され て堆 積 した と こ ろ で は 、 そ の 岩 石 に 起 因す る地 形 や 土 壌(地 層)を 平 成9年9月30日 受 理*地 形 成 して い る。 理 学 教 室Dept.ofGeography 34 奈 良 大 学 紀 要 第26号 この た め各 地 域 の 地 形 や 土 壌 は 、 そ の 地 域 に 分 布 す る岩 石 の 性 質 を 反 映 して い る も ので あ る 。 そ の場 合 、 同一 の 岩 石 が広 く分 布 して お れ ば 、 当然 そ の 地 域 の 地 形 や 土 壌 の特 徴 も全 域 的 に 類 似 して い る。 そ の 中 に 他 岩 種 の もの が 分 布 して くれ ば 、 地 域 の 性 質 は複 雑 と な る。 しか しそ れ は 研 究 者 に と っ て は 、 そ れ ぞ れ の 岩 種 間 で の 性 質 の特 徴 と地 形 や 土 壌 とな っ た 場 合 の 差 異 を 知 る 良 い機 会 で もあ る 。 通 常 地 形 は 、 時 間 の 経 過 と と も に地 表 か ら変 質 ・変 形 して い くが 、 石 灰 岩 の よ う に地 中 か ら も地 下 水 に よ る溶 食 に よ っ て 変 化 し、 特 異 な地 形 を 作 り出 す こ と も あ る 。 筆 者 は 、 数 あ る岩 石 の うち か ら 「花ttr岩」 を 選 択 して 、 花ttr岩が 分 布 す る地 域 の 地 形 の特 徴 とそ の 形 成 過 程 を 調 査 して き た 。 そ れ に は 、 ま ず 花 崩岩 の 分 布 が 身 近 な地 域(筆 勤 務 す る近 畿 地 方)か 者 が 居 住 し、 ら、 日本 各 地 に 、 そ して世 界 的 に も広 く分 布 して い る こ と。 しか もそ れ ぞ れ の 地 域 に お け る地 質 構 造 の 条 件 、地 形 が 位 置 して い る場 の 条 件 や 気 候 環 境 の差 異 に よ っ て 、 形 成 され る地 形 ・微 地 形 に著 しい 多 様 性 が 生 じる こ と に よ る。 これ ら両 者 の か か わ り方 に よ って 、 各 地 の 、 さ ら に は世 界 の 花 崩 岩 地 形 を 体 系 的 に 整 理 し、 花 崩 岩 地 域 の 各 地 形 の 成 因 を解 明 し、 地 形 誌 を編 む こ とが 可 能 に な るで あ ろ う と考 え た 。 0 図 一1日 本 列 島 の お け る 花w岩 の 分 布1) 池 田:花wr+岩 我 が 国 に お け る花w岩 地 域 は 、 図11)に 35 地 形 の特 徴 示 す ご と く、 日高 山 地 の 中 南 部 、北 上 山地 、 阿 武 隈 山地 、 関 東 山地 北 部 、北 ・中央 ・南 ア ル プ ス、 近 畿 地 方 の 中 北 部 、 中 国 山地 、 北 九 州 の 山 地 、 屋 久 島 まで 、 ほ ぼ 日本 全 域 に分 布 す る。 そ して 日本 の 花 崩 岩 地 域 の 特 徴 は 、 環 太 平 洋 造 山帯 で しか も大 陸 と海 洋 プ レー トの接 触 部 に位 置 す る弧 状 列 島 で 、 そ の 中 で も隆 起 部 の 変 動 帯 に 当 っ て い る た め 岩 石 の 割 れ め の 密 度 が きわ め て 高 い こ と。 しか も 四面 海 に 臨 み 、 加 え て モ ソ ス ー ン 気 候 下 に あ るた め 過 去 の 氷 期 お よび 現 在 を 通 して 湿 潤 な 気 候 環 境 下 に あ り、 風 化 土 壌(マ サ) 化 が 進 み や す く、 時 に は ま る で 砂 山 の よ う に深 層 ま で 風 化 して い る。 筆 者 は この よ うな 島 弧 変 動 帯 の 激 しい 風 化 環 境 下 の 日本 の 花 崩 岩 地 域 か ら研 究 を ス タ ー トし た が 、 そ の う ち に海 外 の 文 献 を 通 じて 同 じ花w岩 地 域 で あ る の に 、 日本 で は ま っ た く見 られ な い よ うな 地 形 が 存 在 して い るの に気 づ きだ した 。 そ こで しば ら くは、 可 能 な 限 り 日本 よ り も外 国 の花 崩 岩 地 域 の 調 査 に集 中 す る こ とに した 。 そ れ は 、 日本 とは で き る だ け 対 照 的 な地 質 構 造 を 有 し、 しか も異 な っ た気 候 環 境 地 域 で 調 査 す る こ とが 、 日本 の 花 崩岩 地 形 とそ の 特 異 性 を 浮 き彫 りに して い く上 で も有 効 で あ る と考 え た か らで あ る。 つ ま り地 質 構 造 か らは 、 不 安 定 な 島 弧 変 動 帯 に位 置 して い る 日本 に 対 して 、 安 定 して い る大 陸 地 塊 が 広 い面 積 を 占 め る ア メ リカ 、 ア フ リカ、 オ ー ス トラ リア を フ ィー ル ドと した 。 さ ら に 気 候 か ら は 多湿 な モ ソス ー ソ気 候 下 の 日本 に 対 して 、 砂 漠 を 中 心 とす る乾 燥 ・半 乾 燥 地 域 と 、 氷 河 ま た は か つ て 氷 河 に お お わ れ て い た 地 域 の 地 形 を 観 察 、 調 査 した 。 そ の 結 果 、 これ まで は 文 献 のみ で見 て い た ヌナ タ ク ・巨大 な岩 塊 流 や構 造 土 ・イ ソ ゼル ベル ク ・ボル ソハ ル トや フル ー ト ・タ フ オ ニ ・グナ マ な ど多 くの 我 が 国 で は 存 在 しな い か ま た は ご く一 部 例 外 的 に しか 見 られ な い 地 形 の典 型 的 な もの の 実 態 を 知 る こ とが で き た 。 しか も、花 崩 岩 地 域 は 、 世 界 に 広 く分 布 す る た め 、 そ れ ぞ れ の地 域 で 人 々 の 生 活 との か か わ りも大 き い 。 花w岩 そ の もの を 「石 材 」 と して利 用 す る 立 場 で の か か わ り方 も あ れ ば 、 風 化 作 用 の 進 ん だ 山 地 が地 震 や 豪 雨 に 襲 わ れ る と崩 壊 や 土 石 流 を 発 生 させ や す く 「災 害 」 とい うマ イ ナー な立 場 で か か わ る場 合 もあ る。 この よ うな 花 崩岩 地 形 の 応 用 的 側 面 か ら の研 究 も重 要 で あ る。 2-2.花 A.花r一 嵩 岩 の性 質2)3)4) 岩の鉱物 組成 花r-i--r岩 を 形 成 して い る 主 要 な造 岩 鉱 物 は 、 長 石 ・石 英 ・雲 母 で あ る 。 そ れ ぞ れ の 鉱 物 粒 子 が ほ ぼ 等 間 隔 に配 列 して お り、 語 源 も ラ テ ソ語 の 粒 状 か ら き て い る。 この う ち長 石 は カ リ長 石 と 斜 長 石 の 両 方 を 含 む が 、 斜 長 石 の 方 が 多 くな る と粗 粒 の 花 崩 閃 緑 岩 ・ア ダ メ ロ花 崩岩 とな る。 化 学 組 織 的 に は 、酸 性 岩 でSiO2の 量 が65∼77%を 占 め 、 優 白質(色)で あ るが、有 色鉱物 の量 が 増 加 す る に従 い 淡 紅 色 や 灰 黒 色 とな る。 B.花 崩岩 の 生 成 花 崩 岩 は 、 マ グマ が 地 下 深 所 で 固 結 した 岩 体 ・岩 石 で あ る。 火 成 岩 中 の 深 成 岩 の 中 で も、最 も低 温 で ゆ っ く り固 結 した もの と され る。 成 因 的 に は 、 岩 漿 分 化 作 用 に よ る最 後 の 産 物 で あ る が 、 さ らに 変 成 作 用 あ るい は花 崩 岩 化 作 用 に よ って も形 成 さ れ る。 C.岩 体 の 隆 起 と そ の 後 の侵 食 花 崩岩 は 、 深 成 岩 で あ る た め 地 表 で は 形 成 され な い 。 そ れ な の に各 地 に 広 く花 崩 岩 地 域 が 存 在 す る の は 、 そ の 土 地 が 隆 起 し続 け た た め 、 花 崩 岩 体 の 上 部 を お お っ て い た 他 の 岩 体 が 侵 食 さ れ た結 果 、 地 表 に 露 出す る よ う に な った た め で あ る。 36 奈 2-3.花w岩 A.地 良 大 学 の特 徴 紀 要 第26号 ◎ 表 へ の 露 出 に 伴 な う風 化 ・侵 食 の 開 始 若 い 山地 で は 、 しば しば ま だ 花w岩 が 一 部 に 露 出 した ば か りで 、 周 囲 に は ま だ 花 崩 岩 体 を お お って い た 岩 石 か らな る部 分 の 方 が 広 い 山 地 も多 い 。 しか し地 表 に 露 出 した 花 崩岩 は 、 周 囲 の 岩 石 よ り も風 化 作 用 の 進 む 速 度 が 早 い た め 、 侵 食 も進 む 。 そ の 結 果 、 山地 の 中 で も最 も隆 起 し た 部 分 に 露 出 した 地 形 が 時 間 の 経 過 と と も に侵 食 が 進 み 、逆 に周 囲 の 山地 よ り低 くな って い く 、 こ とが 多 い 。3-3-Aで B.風 示 す 比 叡 山地 は そ の例 で あ る。 化 作 用 とそ の状 況 風 化 作 用 が 他 の 岩 石 よ り早 く進 む の は な ぜ だ ろ うか 。 理 論 的 に は 、 風 化 作 用 は大 き く 「機 械 的 風 化 作 用 」 と 「化 学 的 風 化 作 用 」 と に 分 け ら れ る 。 機 械 的 風 化 作 用 は 、 岩 の 割 れ め に 起 因す る も の で 、 割 れ め の 密 度 と割 れ め の 増 加 や拡 大 を 促 進 させ 、 岩 石 を 劣 化 さ せ て い く作 用 で あ る 。 そ れ に は 岩 質 と して の節 理 の ほ か 、 花 歯岩 体 の 隆 起 に 伴 う テ ク トニ ッ クな 割 れ め や 、 地 表 に近 づ くに 従 い 荷 重 が 減 じる と生 じて くる シー テ ィ ソ グに よ る割 れ め 、 寒 冷 地 域 で の 凍 結 ・融 解 の く り返 しに よ っ て 生 じる 割 れ め 、 乾 燥 地 域 を 主 と す る 昼 夜 の 温 度 差 に よ る 岩 石 表 面 の 収 縮 に よ る割 れ め 、 さ らに 樹 木 の成 長 に伴 う樹 根 の成 育 に よ る割 れ め の拡 幅 な ど が あ げ られ る 。 化 学 的風 化 作 用 は 、 地 表 か らの 空 気 や 水 の滲 透 に よ る水 和 作 用 に よ る風 化 で あ る。 そ の うち 、 地 表 近 くの 土 壌 化(数10cm∼ m+α)を 数m)を 表 層 風 化 と称 し、 地 下 深 所 ま で の 砂 状 化(数m∼ 数10 深 層 風 化 と い う。 次 に 、 実 際 の地 形 、 特 に 我 が 国 の花w岩 割 れ め の 規 模 」 と 「風 化 土 壌 化(マ サ化)」 の場 合 の 風 化 の 調 査 か ら は 「割 れ め の 密 度 の 高 さや の差 に よ る ちが い が き わ め て 著 しい こ と に気 づ く。 そ こで そ れ ぞ れ の状 況 につ い て 、 特 徴 を 整 理 して お く。 花ttr岩の 割 れ め の 密 度 ・割 れ め の規 模 を 、 実 際 の 地 形 で 定 量 的 に測 定 す る こ とは た い へ ん む つ か しい。 筆 者 は 現 地 調 査 を も と に 、 地 形 ・微 地 形 の 形 成 に か か わ って い る割 れ め の状 況 と規 模 か ら観 察 し、 次 の よ う に分 け て い る 。 表1花 微小(ひび)割れ一 小 中 割 割 大 割 南岩 の割 れめ の間 隔 と地形 の特 徴 一 表 面 の み が 小 さ く割 れ て 、 波 状 ・曲 線 状 と な る れ 一1㎝ ∼30㎝ 一 地 上 に コア ス トー ソ を 作 らな い れ 一30㎝ ∼1m一 地 上 に コア ス トー ソ を 作 る れ 一1m∼3m一 コ ア ス トー ソ 多 ・ トア も作 る 巨 大 割 れ 一3m∼ 一 トア 多 ・ボ ル ソ ハ ル トも作 る 日本 の よ う な変 動帯 大 陸 の安定 した 地 域 わ が 国 の花 崩 岩 山 地 の 場 合 は 、 経 験 的 に 小 割 れ ・中 割 れ ・大 割 れ で 分 級 で き るが 、 大 陸 の 安 定 陸 塊 地 域 で は割 れ め の 密 度 が き わ め て 低 い た め 、 巨 大 割 れ を 付 け 加 え ね ば な らな か っ た 。 風 化 土 壌 化(マ サ化)の 状 況 に つ い て 観 察 す る と 、 わ が 国 の 山 地 に お け る風 化 土 壌 化 の 特 徴 は 、A・ 風 化 土 壌 化 の 程 度 の 差 と 幅 が きわ め て 大 き い こ と。B・ 特 に風 化 土 壌 化(マ サ化)の 進 ん で い る と ころ で は 、 ま さ に砂 山 の よ う な状 況 に ま で 至 っ て い る こ とで あ る。 す な わ ちAは 、 各 地 に滝 ・峡 谷 や 採 石 場 が あ る よ うに 未 風 化 の 山 地 か ら、 ま る で 砂 の 山 で は と疑 い た くな る ほ ど風 化 して い る と こ ろ も あ る 。 そ の差 に よ っ て 同 一 岩 石 内 に あ りな が ら も、 地 形 は 大 き く異 な る 。3-2-Aの 田上山地 はその典型 的な例 を示す。 Bは 、 山 頂 小 起 状 平 坦 面 を 有 す る 山地 か 、 高 原 に 存 在 して い る 。 そ の よ うな 地 形 の 成 因 は 、 37 池 田:花 崩岩 地 形 の特 徴 隆 起 準 平 原 山地 で あ る こ とか ら、 風 化 作 用 は す で に か つ て 平 野(低 地)で あ った ころ か ら継 続 して い る も の で あ り、 山頂 小 起 状 平 坦 面 の 風 化 は 準 平 原 風 化 と言 って も よい 。 C.ま た 我 が 国 の 花 崩 岩 山 地 で は 、 一 般 的 に前 述 した よ うに 割 れ め の 密 度 が 高 い 上 に 気 候 が 湿 潤 で あ る た め 、 風 化 が 進 み や す い 環 境 下 に あ り、 概 して 岩 石 の表 面 は 急 速 に ボ ロ ボ ロに な り や す い 。 そ の こ とが 、我 が 国 に フル ー ト ・タ フ オ ニ や グナ マ な どの 地 形 を形 成 させ に く く して い る もの と考 え る。 3.花 3-1.割 A.割 嵩岩 地 域 と地 形 の例 れ め と地 形 れ め の 規 模 の地 域 差 と地 形 の 例 一 六 甲 山地5) 六 甲 山地 で は 、 図 一2で 示 す よ う に花rtr岩 の割 れ め の規 模 に 明 瞭 な地 域 性 が あ る。 南 東 部 に 大 割 れ が 、北 西 部 に 中 割 れ が 、 北 東 部 に 小 割 れ が 集 中 して い る 。 緊欝 議 譲勢 ミ ● ・ サ 1磯 ・ 。 O ・。 。 婁 !ノ 。 蕪}、 、 ノ〃 嚇 域 域域辮 穐 赫4 ⋮⋮⋮口 ・ 勢 ー 飼磐 o芦 ﹁ 翻 耀2 - 11 〆 . ( ∼ ∼ノ 斐 。 ! γ蓼 /レ い ミ 図 一2六 [。 0 ト9'こ"・ \つ今 0/ . 図ノ 0ゆ 。 。。荒地山 0 L [ー 1 罵 レ鴨♪ ひ ー 川 螂泌 (験 癖 船 堕 ハぱ ㌦.諸L バ ノ0 ま サリ Lコ 、 レ _4 \)1 , / / \ \\ 甲山地 にお ける花 嵩岩 の割 れ め密 度分 布 図 この よ うな 割 れ め の 規 模 の地 域 差 と地 形 と の 間 に は 、 密 接 な対 応 関 係 が認 め られ る。 特 に 、 岩 塊 ・岩 屑 な どの 生 産 物 の 大 き さの 差 に そ の ま ま 反 映 して い る。 これ が さ ら に 、 山 地 の 開析 の 差 とな り、 斜 面 形 ・山腹 崩 壊 の 状 態 を変 化 させ 、 河 床 や 崖 錐 ・扇 状 地 な どの 構 成 物 の 大 き さや 、 風 化 土 壌 化 の 進 む 地 域 で の バ ッ ドラ ソ ドの 景 観 に も大 き な 差 を 生 じて い る(図 こ の よ うな 地 域 差 は 、1995年1月 地 震 時 に発 生 した 山 腹 崩 壊 地 の 分 布(図 一3)。 一4)の 瞭 に現 わ れ た 。 す な わ ち崩 壊 地 が 集 中 して い る の は 、 小 割 れ 地 域 に あ た る北 東 部0帯 部 へ の延 長 域 で 、両 図 は ほ ぼ 一 致 して い る こ とが わ か る。 差 に も明 とその南 38 奈 良 大 学 紀 要 第26号 羅 → ↓ 19 図 一3小 割れ 地域(上)と 大割 れ 地域(下)で 凡 例 山腹崩壊 発生箇 所 一 活 断層 である ことが確 実な もの T〒 ・活 断層で ある と推定 される もの r。一 活 断層の 疑いの ある リニアメント 1 の バ ッ ドラ ン ド形 と景の 相違 ン癖♪ C垂 ヨ 震 度7の分布(気 象庁) 六 騨 聯 逆 瀬川 仁川地すべり が 'F 1遡 〆 館﹂禦 屋川 \ 11 . ゐ 石 七協 賀 川 ( 観 音寺 川 、西 郷川 己 C聖 新湊川 妙法寺川 ゼ込 幾 \ 層 〆噺 う ﹄ヤ布 '轟 脚、 .慣 千森 川 輔の谷川 二の谷 三の谷 川 敦盛 塚 境川 錘 繍 麟 い憾 8頻 ● 図 一4兵 塩 谷. ・ 支多田川 庫 県南 部地 震 に よる崩壊 地 の分 布(六 甲砂防 工事 事 務所 、1995) (右方 の ワ ク内 は図 一2の 範 囲 を示す) B.節 理 に 沿 う谷 と沿 わ な い 谷 一 田上 山 地6) 田上 山地 に お い て 、1次 谷 を 例 に節 理 に 沿 う谷(写 真Cペ ペ ー ジ上 右)で 、 谷 の 形 態 や 発 達 の 状 況 を 比 較 して み た 。 そ の 結 果 は 図 一4、 図 一5お ー ジ上 左)と 沿 わ な い 谷(写 真C よび 表 一2で 示 した よ う に著 しい ち が い を 見 せ て い る。 両 谷 ま で の 大 き く異 な る点 は 、 節 理 に 沿 う谷 の 方 で は 、 当 然 な が ら完 全 に節 理 に支 配 され 谷 は 直 線 的 に 流 下 、 しか も平 行 して ほ ぼ 等 間 隔 に発 達 して い る 。 水 流 も多 く、 谷 の 断 面 は 深 くて 長 い 。 谷 の形 す なわ ち 谷 の 形 成 は 水 流 侵 食 に よ っ て 進 行 して い る。 これ に対 し、 節 理 に 沿 わ な い 谷 は そ の方 向 に 統 一 性 が 無 く、 直 線 的 で も な い 。 流 水 量 も少 な く澗 谷 の 方 が 多 い 。 谷 幅 の 割 に 谷 は 浅 い。 谷 の 形 、 谷 の 形 成 は す べ て を 水 流 侵 食 に よ っ て は い な く、 風 化 物 の 甫 行 移 動(飽 和 地 下 水 面 に規 制)に よ る。 39 池 田:花 崩岩 地 形 の 特徴 ①i② の谷床 彰 ① 地 表 の風 化 段 階 土 壌 化:… 岩 塊 化::: 1Z3en !瞳 、 未 風 化 の 岩 盤///, 砂 防 堰 堤1m以 下 職ン 。一 一A 砂 防堰 堤1.1∼2.0取B 砂 防 堰 堤2.1m以 上 匝C 、 植 生の 分布 と その密 度 ⑨ ⑥・⑤(軌 成 長 した松 ・散 在o や碗 あ 鎌灘 ④ 鍾 CI型 の谷 ・およ びC∬ 型 の谷 を発辺 警せ る B型 の谷 の横勝 面摂式図 ・『 二猛 o'. 季 離雛葉艦 v 100m 、 図 一5節 表2節 理 に沿 う谷 の スケ ッチ と断面 理 に沿 う谷 と沿 わ ない谷 の地 形比 較 1 比較 事項 節 理 に沿 う谷 節理 に沿 わ な い谷 水 流 の 有 無 抽 出 谷9本 (夏の乾期 の調 査) 水量 は谷 の規 模 に比例 す る 水量 は少 ない 谷 直線 的で 谷 の間隔 は谷 の長 さに比 例 谷 の規模 不 規則 30∼50m間 谷 の幅 不規 則 の 配 列 中 、7本 で湧 出 隔 で発 達 抽 出 谷9本 中 、2本 で湧 出 聯 谷 の 流 域 形 細長 い長 方形 じ ょ う ご型 谷の横断面形 谷幅 が狭 い割 に は深 く、谷 壁 は急 谷 幅 は 広 く、 浅 い 谷の縦断面形 直線 的で 長 く、全 体 に コソケイ ブ 上 部 が コ ソケ イ ブ、 下 部 が コ ソ ベ ク ス が 多 風 化 の 程 度 上部 は土 壌化 、 中部 は岩 積 に移行 い 上部 は 土壌 化、 中部 は岩 塊 の分布 多 、株 は 岩壁 縦 断 面 で 下部 は中 部 と変わ らない 下流 へ 向か うほ ど順 次未 風化 へ と移 行 横 断 面 で 上部 と下 部で 風化 進 む、 中部 が最 も 上部 は 全体 に風 化 、中部 やや 風 化、 下部 未 未風化 風 化へ 明瞭 な水 流 に よる侵食 形 上部 で は風 化 が進み 、崩 落 ・崩 壊 な ど重 力 谷 の 侵 食 形 移 動 に伴 う くぼ み に沿 う。 下流 に な ると水 流 侵食形 に移行 1 戯O 噛 亀 一 ◆ , ' 9 ρ ル 7 ︾ 海 .塑 .ボ 皇;≡ 県 汁 態 ※α 矧 . . ⑱⑲ ちr艦 く 30・ 坦弊 ・ ヂ 血 ⑳・ 副 . 蘇 ・ ・ ガ 、 , σ 、 9 ﹁ 暫 ♪ げ 」- 面 醗 10 20 又 薗 縦 30 へ 一 〆一、. ∼ 藩 N①壷 Ψ 艦 〆.・ コ , ⑫ V ロ ら爵" 6.' ⑮ ⑭ つ 軍メ ワ 扇 つ コ ●.. 。 U/ . 漁ン 9ノク 7 1ノ ノ/ ヲ 多/ ヨ 物 、 D ・1 17、 D!・ ⑪t⑲ はC翌型の谷の番号を示す 、、 、 \ 、 も 、\ Z〃ノ ◎ C' / D多 喝 ● \ 鈎 〔・ ∵ ゼ∵ C C ノ 雛 ご ・:{こ ●'こ ・ ,. .∴ . ノ ク ノ 奮 ・● 智穿 育 諺 ・ .・.'へ 刺 ・ ●●・ i. ・ド . .●..・㌢ ● ⑬⑲ 略略 B B・'盒 ク ニ∵ ∫罷 ⑰ 1' 議 F・ ∵'鞠1!' .'●● ● ∵i ⑯ ,・5r∴.÷ i Q7 ・ 、A' .● ㌦ ・ . ⑭ pr.,「 ・ 9 ・二'. ...;;・ ⑬ 図 ■ ● A 』 .∴ ⑫ " ⑪ ・二∴ ぐ A÷i. 慌 41 池 田:花 崩岩 地 形 の 特 徴 3-2.風 化 土 壌 化(マ A.風 サ 化)と 地 形 一地 形 が 位 置 す る場 の 条 件 に よ る 多 様 性 化 の 差 に よ る 同 一 山 地 内 で の 地 形 の 多 様 性 の 例 一 田上 山地7) m 鯵 田上 山地 全 体 に つ い て 、 現 在 の 地 形 の 位 置 づ け を 中心 に 、 山地 の 形 成 と侵 食 ・解 体 状 況 を 含 め た 地 形 発 達 の 概 念 図 を 描 い た の が 図 一7で あ る。 、 、 、 ' 、 ' ' 、 、 ︽ ' 、 ' \ ︾ ノ + .十 . ↓ ーBー ●・% ..・冷 . . ● ・ ら ● 十 斗 、 C 十 十 C C r㌔ ∵ . + + ・ . B ・ 恥 。 ● . ← :,ン " .. . ㌦冠 H 、 ' ( ' ーAー B ー A ー ー + 十 十 噛 + 風化状況 A:風 化 土 壌(マ サ) B:風 化 土 壌化 過 程 C:未 風 化 岩 皿 ト (A ーB ー C 1 ㌔.・ ・ 斗 地 形 の状 態 1平 坦 面 風 化 ・深 層 風化 IIバ ッ ドラ ソ ド 皿 岩 骨 露 出 起伏 面 d高 位谷 d':現 輪 廻 谷 nn':河 床 傾 斜変 換 点 (遷急 点) 図 一7花 大 き くは1:風 嵩岩 山地 の風 化地 形模 式 断面 図 化 土 壌 化 の 著 し く進 ん で い る標 高500m程 した 小 起 伏 面 の侵 食 後 退 後 の 現 輪 廻 面 、 お よびH:現 の 前 輪 廻 小 起 状 平 坦 面 、 皿:風 輪 廻 面 の 拡 大(急 激 な侵 食 域)前 化 線付近 の3地 域 に 分 け られ る。 前 輪 廻 面 で は 、 深 層 風 化 が 進 み 、 砂 山 状 の 小 起 状 が 山 頂 平 坦 面 上 を お お うの に対 して ・ 現 輪 廻 面 で は 岩 骨 状 の 尾 根 と谷 の 起 状 の 大 き い地 形 を形 成 して い る。 侵 食 前 線 付 近 で は バ ッ ドラ ソ ドが 出 現 、 さ らに 前 線 側 へ と拡 大 させ て い る。 この よ うに 風 化 状 況 が 相 異 す る地 域(段 階)毎 に 、地 形 ・微 地 形 の ち が い 、 す な わ ち多 様 な 地 形 を 作 りあ げ て い る 。 3-3.花 A.山 歯 岩 と中 ・古 生 層 の 地 形 の ち が い 一 ロ ッ ク コ ン トロ ー ル の 事 例 地 を構 成 す る岩 石 の 種 類 と風 化 お よび 地 形 の 相 異 の 例 一 比 叡 山 地8) 比 叡 山地 一 帯 の 基 盤 は 、 中 ・古 生 代 の チ ャー ト ・砂 岩 ・粘 版 岩 な ど の互 層 か らな る堆 積 岩 で あ る。 そ して 中 生 代 白亜 紀 に この 地 下 に マ グマ が 貫 入 して き 、 ゆ っ く り固 結 して花 崩 岩 バ ソ リ スとなった。 そ の 後 第 四 紀 に 入 る と 、地 盤 の 隆 起 が 進 み 地 塊 山地 と化 して くる が 、 そ の 過 程 で 高 い部 分 が 侵 食 さ れ た 結 果 、花r^r岩 が地 表 へ 露 出 した 。 さ ら に 、 花 崩 岩 の 露 出部 分 は 山地 の 侵 食 に 伴 って 拡 大 した 。 花qtr岩は 風 化 作 用 が 中 ・古 生 層 の 岩 石 よ り著 し く速 く進 む の に 対 し、 花ttr岩 と接 す る部 分 の 中 ・古 生 層 は マ グマ の 貫 入 時 に接 触 変 成 を 受 け て 硬 化 しホ ル ソヘ ル ス と化 して い るた 42 奈 良 大 学 紀 要 第26号 め 、 この 部 分 だ け が 差 別 侵 食 を 受 け て 突 出す る こ と に な った 。 そ の うち 北 方 に位 置 して い るの が 比 叡 山 延 暦 寺 の 位 置 す る 周 辺 で あ り、 南 方 に 位 置 して い る の が 京 の 夏 の 夜 を こが す 大 文 字 焼 の 火床 の 周 辺 で あ る。 そ れ ぞ れ の立 地 位 置 の 選 定 の確 か さ に は 敬 意 を 表 した い 。 な お 、 この 地 の花wt-r岩地 域 に は 、 大 正 時 代 頃 ま で 採 石 場 が あ っ た 。 そ の 位 置 も風 化(マ サ 化)の 進 む地 域 で あ りな が ら図 中 に 示 した よ う に 、 ご く限 られ た 未 風 化 な 基 岩 が 採 取 で き る位 置 に 当 っ て い る。 比叡山 延暦寺 如意 ヶ岳 蓬 懲2 図 一8比 1.中 B.地 ・古 生 層2.ホ 十 → 。 一←3 5 十 笏1 掩 繰4 叡 山地の 地形 模式 断 面図 ル ソ ヘ ル ス3.花w岩4.風 化 花 崩 岩5.採 石 場(跡) 質 の 差 に よ る非 対 称 斜 面 の形 成 例 一比 良 山 地9) 図 一9の 中央 部 の 破 線 で 示 す 南 北 方 向の 尾 根 付 近 を 境 に、 安 曇 川 に 向 か う中 ・古 生 層 の 砂 岩 ・ 頁 岩 ・チ ャ ー トな どの 互 層 か らな る 西 側 斜 面 と、 琵 琶 湖 側 の花 歯 岩 か らな る東 側 斜 面 に 出 現 す る地 形 ・微 地 形 を 比 較 した 。 そ の 結 果 は 、 表 一3に 示 した よ う に 、基 本 的 に は花ttr岩 か らな る斜 面 の 方 が 谷 密 度 が 高 く、 崩 壊 地 も多 く、 斜 面 全 体 の 開 析 が 速 い 。 以 上 の5例 は 、 我 が 国 の 同0気 候 下 で 、 同 一 花 歯 岩 山 地 内 に 生 じる 花 嵩 岩 地 形 の 多様 性 を 示 した 。 故 に 、 この よ うな オ ー ダー で 世 界 の 気 候 帯 毎 に 調 査 して い け ば 、 一層 多 様 な地 形 ・微 地 形 が 現 わ れ て くる。 そ れ らの 見 体 的 例 は 、 現 在 雑 誌 「地 理 」 に 連 載 しつ つ あ るの で 本論 文 で は 省 略 す る。 武奈ケ岳△ 丹波 \山地 古生層 ,..沖 蕊 _《 乙 、 積 層 一グ 正面谷 、"K 炉 壷 南比 良峠 谷 岩 、 , 大 \ 、 、 、 ・' " ' 詑 V 認 ノ ♂ " W岳 塗 図 一9比 良 山地 中央部 に おけ る変形 地 の分 布 図 43 池 田:花 崩岩 地 形 の特 徴 表 一3比 比 較 事 良山地 の岩 石 を異 にす る東 ・西 両側 斜面 で の非 対称性 の 比較 西 項 側 斜 面 東 側 斜 面 や わ らか い カ ー ブ 届 曲 した 小 刻 み の カ ー ブが 多 く、 少 ない 切 り込 みが 深 い 多い 大規 模1小 規模 多数 中規 模 な し 中規 模 多数 大 規模 な し 大 ・小 規 模 の 谷 と も有 ほ とん ど な し 水流 の性格 表層流的 滲透流的 変形地(主 と して崩 壊地) 少ない 多い 斜面開析量 小 大 割れ め の密度(相 対的 に) 粗 密 風化 の程 度 小 大 基盤 の岩 石 中 ・古 生 層 の砂 岩 ・ 頁 岩 ・チ ャ ー ト 花r 等 高線 の状態 谷 密 度 谷 の規 模 東 ・西斜 面 に現わ れ る谷 を !「 、 対 称 的 に 大 ・中 ・小 規 模 に 、分 け て み る と. 通 常時 水流 の有 無 (地形 図 に も とつ く) 4.さ 筆 者 は 、 これ まで 組 織 地 形(学)・ 岩 類 い ご に 岩 石 地 形(学)の 立 場 か ら、 我 が 国 の み な らず 世 界 的 に も広 く分 布 す る花 崩岩 ・花 崩 岩 地 域 を取 り上 げ 、 地 形 の 特 徴 とそ の 形 成 に つ い て 調 査 して きた 。 花 崩岩 が 作 る地 形 は 、 深 成 岩 で あ る花r^r-r岩 が地 表 に露 出 して か らの 時 間 や 岩 質 と気 候 環 境 と に よ っ て ヌ ナ タ ク ・岩 塊 流 ・イ ソ ゼ ル ベ ル ク ・ボル ソハ ル ト ・ トア ・タ フ ォ ニ ・グ ナマ ・ポ ッ トホ ー ル 等 、 さ ま ざま な地 形 を 作 る。 さ らに 同 一 地 域 に お い て も、 花 崩岩 山 地 の形 成 過 程 と風 化 の程 度 や 侵 食 段 階 の 差 に よ っ て 、 厚 く風 化 して い る 準 平 原 山地 の 地 表 、 侵 食 が勢 い よ く進 む と こ ろに 生 じ るバ ッ ドラ ソ ド、 風 化 した 土 壌 が 侵 食 され て しま って 岩 骨 状 の 尾 根 と谷 と な って しま った 地 形 な ど 、 多 様 性 に 富 ん だ 地 形 を 作 る。 この よ うに 同 一 岩 石 が作 る地 形 と して は 「花 崩岩 」 は 、 他 の い ろ ん な 種 類 の 岩 石 よ り もは る か に地 域 性 と多 様 性 に 富 ん だ 地 形 を 作 る こ とが わ か った 。 花rtr岩 ・花 崩 岩 地 域 は 、 世 界 的 に 分 布 して い る た め 、 そ こは 多 くの 人 々 の 生 活 空 間 とな って い る。 そ の た め 、 花rrtr岩そ の もの を 建 物 や橋 そ の他 の 石 材 と して 利 用 して い る 。 一 方 風 化 土 壌 化 作 用 が 進 み や す い岩 石 だ げ に豪 雨 や 地 震 に 襲 わ れ る と 、 しば しば 崩 壊 、 土 石 流 が 多 発 し悲 惨 な 地 形 災 害 を 発 生 して きた 。 そ れ だ げ に地 域 性 と多 様 性 の な りた ち を 明 らか に す る こ と は 、応 用 面 と して も重 要 で あ ろ う。 そ の た め に も体 系 化 を 目指 し 「花 崩岩 地 形 学 」 とい う分 野 の確 立 が 望 ま れ る。 ち な み に ドイ ツ10)・フラ ソ ス11)・オ ー ス トラ リア12)・イ ギ リス13)では そ の 分 野 の 著 作 が 出 版 さ れ て い る。 し か し我 が 国 で は 、体 系 化 を遂 行 す る に は 余 りに も基 礎 的 情 報 が 欠 如 して い る。 そ の 状 況 を ふ ま え て 、 今 回 は花ttr岩地 形 に対 す る基 本 的 な考 え 方 と 、 同 一 地 域(同0山 地)に お け る花 崩 岩 地 形 の 多 様 性 の例 を 取 り上 げ紹 介 した 。 な お 筆者 は 、 世 界 各 地 の花 歯 岩地 形 お よ び人 間 生 活 と の か か わ り方 に 関 して は 、 雑 誌 「地 理 」 に24回 にわ た って 紹 介(1996年1月 ∼97年12月 号)し て い る14)。 44 奈 写 真A=小 割 れ(1∼30cm)地 良 大 学 紀 要 第26号 域の状 況 六 甲 山地 の 東 北 部 (分 布 範 囲 は 図 一2に 示 す) 右 上 ・小 割 れ 山 地 コ ア ス トー ソ を 作 ら な い 簸蠣 鮎拶 響 毎 ﹃厩 讐 ▼ 霧響 纒 ・懲 叢 …嵐 鋸 饗 璽螺 糠 驚謙 総 . 耀 雛 響 ぐ♪ 左 中 ・斜 面 か ら谷 間 に は 岩 屑がおお う 左 下 ・分 解 が お くれ て い る 岩 塊 に も、割 れ め が 多 数 入 って い る(中 央 は 小 型 カ メ ラ ・長 辺10cm) 45 池 田:花 崩 岩地 形 の特 徴 写 真B:大 割 れ(1∼3m)地 域 の状況 .辮 ダ惣 ゼ ぎヤ ∫麟 ζ 嚢麟 … ・耀 撫 峨 タsも 烈 ,、 ・議 懸鯉 バ 壷 譲 、〆 ,.ぜ ・ ・:'ン:じ'ノ 六 甲山地の東南 部 酒 穐 μ 上 ・大 き な 岩 塊 が お お う 山 地 \ ぐ 、 弓 、認 ・ 藁 轡・ 辱 譲lll, 灘 、 ∴ 麟嚢 ㍉ 中 ・起 伏 の 頂 部 を 形 成 す る コア ス トー ソ群 下 ・河 谷 に も大 き い岩 塊 が 多数散在 ヤ ・ ㌧ ヒ 朔 ・ 油 汁 態 沖 む 嬉 鳶 轡 ㌻ ヅ 貯 ぬ 蔭① む 鋳攣 灘駆 癖' 諮 製、 奪 藩 卜。①如 海 齋霧 写 真C=節 理 と谷 の 発 達 田上山地北部 左 ・節 理 の 目立 つ 斜 面 の 全 景 上 左 ・節 理 に 沿 う谷 、 上 ・沿 わ な い 谷 池 田:花w岩 鴫へ 化 と侵食段 階 による地形 の多様性 ふ 犠" ㍗ も﹂ し 田上 山地 南部 駆写 ふ 轟短 、 ∵ ♂ ひ ん お めラ 嚇 夢 酒 ∵㌘ 、 ゐ 一 。 灘無 聾 . ハ ㌧\2 . そ え ㌦ 脚 ご も ≒ 地 く ・ 銅 . 。㌦§ 。. 奪 ・、 〆 乳 ぎ ご な 斗 ご ン 透 ㌔、∴ ∼鑓 ∵! ご綜 . : 餌 ジ る 画い ヘ轄レ 繭 ㍗ ξ 漁∴ 潔 薫タ f ヴ 粛 ∵ 毫羅 藤 乳い 写 真D=風 47 地 形 の特 徴 》7触 霧 ㍉ 』噸 亀 ぷ が 榎 獄 彫 ゑ野 リ ン 畷驚 、N'、 も 履論 ギー 階 左 中 ・図 一7のH段 階 左 下 、 右 下 ・図 一7のm段 階 ゾ ら ま ・ 左 上 ・図 一7の1段 噸 右 上 ・上 方 が1、 下 方 がHの 段階 蜘鍛 ㌃ 「 _,、 ・ 耀魂 購鴨 漉 ノ〃 驚 轟 #<<Sノ 議 ㌔ 姦 鐙 嘉 ぐ鵬 評 。鰍 糖 鍔嚇 腰轡 養 窪 ∫ ㌦ ・㌦ ㌦, 翻撫 噛』繕 触 毒 ∴ぐ 編灘 欝誕㌧ 壽 愚丁 川 48 奈 良 大 学 紀 票 第26号 注 1)杉 谷 隆 ・他(1993):日 本 列 島 の花 崩岩 分布 図 ・ 「国土 数 値 情 報」 国土 地 理 院 を もと に作 成.風 景 の な か の 自然 地 理 ・所 収,古 今書 院. 2)柴 田秀 賢編(1967):日 3)久 城 育 夫 ・荒 巻 重雄 ・青 木 謙 一郎(1990):花 本 岩 石誌 第2巻 、深 成 岩 一 花 嵩岩 類.朝 倉書 店. 4)地 形 学 辞 典(1981):花 崩 岩,日 本 の 火 成岩 ・所 収,岩 波 書 店. 崩 岩 ・風 化 作 用 ・他 ・ 二 宮 書 店 ・ 地 学 辞 典(1981):花 嵩 岩 ・花 崩 岩 化 作 用 ・ 花+-r岩マ グマ ・他 、平 凡 社. 5)池 田碩 ・他(1967):六 甲山地 にお け る花 崩岩 の 割 れ め ・風 化 と地 形 、 阪 神 とそ の周 辺 の地 形 所 収 、地 理 学 評 論40巻11号. 6)池 田碩(1964):花 崩 岩 地 域 の 地 形 学 的 研 究 一 信楽 山地 北 緑 堂 山 付近 を事 例 と して 一立 命 館 大 学 紀 要 第 233号. 7 上 山 地 の 地 形 、 近 江 盆 地 ・琵 琶 湖 周 辺 の 地 形 所 収.建 池 田 碩(1974):比 叡 山 地 一 そ の 自 然 ・開 発 ・災 害 一 、 国 土 と教 育 池 田 碩(1975):比 良 山 地 の 地 形 、 近 江 盆 地 ・琵 琶 湖 周 辺 の 地 形 所 収.建 設 省 近 畿 地 方 建 設 局. 8 池 田 碩(1975):田 第24号 、 築 地 書 館. 9 設 省 近 畿 地 方 建 設 局. 10 H.Wilhelmy(1958):KlimamolphologiederMassengesteine,Westermann. 11 A.Godard(1977):PaysetpaysagesduGranite.Puf. 12 C.R.Twidale(1982):GraniteLandforms.Elsevier. 13 A・J・Gerrard(1988):Landformsongraniticrocks,RocksandLandforms.UnwinHyman. 14 池 田 碩(1996):花 崩 岩 地 形 の 世 界1∼24、 月刊 雑 誌 「地 理 」1996.1∼97.12、 古 今 書 院. Summary TheauthorhasstudiedgraniteandgraniticregionsbothinJapanandelsewhereforalongtime fromtheviewpointofstructuralgeomorphologyandrock-controlgeomorphology.Author'shas examinedtheirgeomorphologicalcharacteristicsaswellastheprocessesoflandformdevelopment . Granitetopographyisformedofplutonicrockswhichovertimecometobeexposedonthe surfaceandisacteduponbytheclimaticenvironmenttoformnunatac,moraines,bornhardt , tor,tafoni,gnammaandotherweatheredsandyhilllandformsofgreatvarietyandeachhavinga distinctregionalcharacter. Furthermore,eveninthesamearea,differingdegreesofweatheringanderosionmayresultin agreatdiversityoflandforms,fromdeeplyweatheredpeneplainmountainstohighlyeroded badlands.Whentheweatheredsoiliserodedaway ,rockyridgesorvalleysmayremain; landscapesofgreatvarietyinarelativelysmallarea. Thelandformsthatdevelopinsuchareasofhomogeneousgraniticrocksthusresultinagreater varietyofregionalcharacteristicsanddiversitythaninotherkindsofrocktypes .Graniteand graniticregionscanbefoundallovertheworldandthusaffectthelivesofagreatmanypeople. Graniteisoftenusedasabuildingmaterialortobuildbridgesetc.Furthermore ,inareaswhere weatheredsoilprocessesoperateeasily,heavyrainfallsoftenresultinlandslides ,mudflowsand otherkindsofdamage-causinghazards.Regionalcharacteristicsanddiversityareimportantto studyandconsiderfromthe.viewpointofapplication preventionetc. ,asinthecaseofhazardpredictionand 池 田:花 嵩岩 地 形 の 特 徴 Itistheauthor'stasktonowpulltogethermanyyearsofresearchinthisfield.However,in Japanthefieldof"granitegeomorphology"remainstobeestablished.Theauthorwillworkto establishandsystematizethisnewfieldas.onerecognizedfieldofgeomorphology. Someofbasicwaysofthinkingaboutgranitegeomorphologyandtheissueofthediversityof landformsinhomogeneousgraniticareasarebrieflyintroducedinthispaper. 49
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