『核酸系医薬における フッ素置換基の役割』

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新適塾 -
「未来創薬への誘い」第 35 回会合
『核酸系医薬における
フッ素置換基の役割』
講師:
松田 彰 (まつだ あきら)
北海道大学大学院薬学研究院
創薬科学研究教育センター 特任教授
日時: 2016年7月25日(月) 18:00~20:30
場所: 千里ライフサイエンスセンタービル
講演会 5階 サイエンスホール (18:00~19:30)
懇親会 6階 千里ルーム A 室 (19:30~20:30)
講演・懇親会ともに参加費無料
コーディネーター: 中川 晋作(大阪大学大学院薬学研究科 教授)
コーディネーター: 小比賀 聡(大阪大学大学院薬学研究科 教授)
主 催: 公益財団法人 千里ライフサイエンス振興財団
〒560-0082
大阪府豊中市新千里東町1丁目4番2号
千里ライフサイエンスセンタービル20階
E-mail:[email protected] Tel:06-6873-2001
http://www.senri-life.or.jp
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【要
旨】
フッ素原子は周期表の中で最も大きな電気陰性度を持つ原子であり、炭素に結合すると有
機化合物の中で最も強い結合を作る。フッ素原子の van der Waals 半径は 1.47 Åであり、水素
原子のそれ(1.20 Å)に近い小さな原子であることから分子全体の大きさを変化させない。
また、炭素—フッ素結合は C +–F –と分極しているが、フッ素原子から他の原子への孤立電
子対の供与性を低下させる。しかし、近傍の結合と静電的・双極子相互作用や立体電子的な
相互作用を起こす。
上記のフッ素の特徴を生かした数多くのフッ素含有医薬品が臨床使用されている。それら
は、フッ素原子を導入することで物理化学的性質を変化させ、標的に対する結合性の改善や
代謝安定性の確保などに成功した化合物である。本講演では、特にフッ素含有核酸系医薬(抗
がん・抗ウイルス薬、下図)におけるフッ素置換基の役割、および、最近臨床開発が活発に
行われている核酸医薬に含まれているフッ素置換糖部を持つヌクレオシド類の立体配座や
活性におよぼす影響について述べる。
【参考論文】
1. フッ素含有医薬の最近の総説:E. P. Gillis, et al. J. Med. Chem. 58, 8315-8359 (2015), W. K. Hagmann,
J. Med. Chem. 51, 4359-4369 (2008)
2. フッ素含有ヌクレオシドの最近の総説:H. Wojtowicz-Rajchel, J. Fluorine Chem. 143, 11-48 (2012),
X-L. Qiu, et al. Tetrahedron 66, 789-843 (2010), P. Liu, et al. J. Fluorine Chem. 129, 743-766 (2008)
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【講師略歴】
学歴 昭40.4−43.3
昭43.4−47.3
昭47.4−49.3
昭49.4−52.3
北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部
北海道大学大学院薬学研究科修士課程
同博士課程
職歴 昭52.4−53.3
昭53.4−54.7
昭54.8−57.1
北海道大学薬学部助手
カリフォルニア大学サンフランシスコ校 博士研究員
スロ−ン・ケタリング癌研究所 研究員
昭57.2−60.3
昭60.4−61.10
昭61.11−平3.6
平3.7−25.3
平13.4−16.3
平13.5−16.3
平17.4—20.3
平18.4−20.3
平19.10−20.7
昭和大学薬学部助手
北海道大学薬学部助手
北海道大学薬学部助教授
北海道大学大学院薬学研究院教授
北海道大学評議員
北海道大学総長補佐
北大大学院薬学研究院副研究院長
北大大学院生命科学院副学院長
(株)ジェネティックラボ取締役(研究担当)
平20.4—22.3
平20.4—25.3
平25.4−現在
平27.4—28.3
北大大学院生命科学院学院長
北大大学院薬学研究院研究院長・薬学部長
北海道大学大学院薬学研究院特任教授(名誉教授)
(株)レナセラピューティックス顧問
学位 薬学博士(昭52.3:北海道大学)
【受賞等】
1. 平成 22 年度日本薬学会賞(ヌクレアーゼ抵抗性化学修飾核酸の開発研究)
2. 2012 John A. Montgomery Award (The International Society for Nucleosides,
Nucleotides & Nucleic Acids)
3. 平成 25 年 8 月
日本ハイパーサーミア学会
研究奨励賞
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