539 セルフメディケーション(自主服薬)推進のためのスイッチOTC薬控除

平成 28 年 5 月 30 日
No.539
セルフメディケーション(自主服薬)推進のための
スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の創設
平成 28 年度税制改正大綱で発表されていた「特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例」
(以下
「セルフメディケーション税制」)が創設されました。この規定に基づき、平成 29 年 1 月 1 日以降に支払った一定の
スイッチOTC医薬品の購入費用について、所得控除を受けることができます。
(1)背景
セルフメディケーションとは、
「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と世界
保健機関(WHO)において定義されています。この規定は、健康管理や疾病予防に対する国民の自助努力を促し、国
民がセルフメディケーションに自発的に取り組む環境整備を行うことを目的として創設されました。
(2)内容
健康の維持増進及び疾病の予防への取組として、一定の取組(注 1)を行う個人が、平成 29 年 1 月 1 日から平
成 33 年 12 月 31 日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOT
C医薬品(注 2)の購入の対価を支払った場合において、その年中に支払ったその対価の額の合計額が 1 万 2 千円
を超えるときは、その超える部分の金額(その金額が 8 万 8 千円を超える場合には 8 万 8 千円)について、その
年分の総所得金額等から控除する。
(注 1)一定の取組とは
次の検診等又は予防接種(医師の関与があるものに限る)を受けていることを要件とします。
①特定健康診断 ②予防接種 ③定期健康診断 ④健康診査 ⑤がん検診
(注 2)対象となるスイッチOTC医薬品とは
これまでは医師の判断でしか使用できなかった医薬品を、市販薬として薬局で買えるようにしたのが
スイッチOTC医薬品です。対象となる医薬品については、6 月中下旬に具体的な商品の販売名等が厚
生労働省のホームページ等で公表される予定です。
対象となる医薬品の薬効の例・・・かぜ薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬、肩こり・
腰痛・関節痛の貼付薬
上記薬効の全てが対象となるわけではありません。
本特例の適用を受ける場合には、現行の医療費控除の適用を受けることができません。
【相違点】
セルフメディケーション税制
対象医療費
スイッチOTC医薬品の購入対価
現行 医療費控除
医師等の診療等の対価、
治療等に必要な医薬品の購入対価等
医療費の額-保険金等による補てん額-100,000 円※
控除額
医療費の額-保険金等による補てん額-12,000 円
(※総所得金額等が200 万円を超えない場合、
総所得金額等×5%)
控除限度額
適用対象者の条件
適用期間
88,000 円
2,000,000 円
一定の取組を行う個人(上記注 1 参照)
無し
平成 29 年 1 月 1 日~平成 33 年 12 月31 日
期限の定め無し
(3)まとめ
現行の医療費控除では自己負担額が 10 万円を超えない場合には対象とならないことが多かったですが、このセル
フメディケーション税制により金額的なハードルが下がったため、今まで対象とならなかった方も関係してくるので
はないでしょうか。今後のスイッチOTC医薬品の発表にも注目です。
(担当:西村 文香)