Title 呼吸器・消化器外科病棟における看護師と他

Title
呼吸器・消化器外科病棟における看護師と他職種との連
携からみた合同カンファレンスの意義
Author(s)
河村, 公子; 中土居, 智子; 猪原, 美代
Citation
大阪大学看護学雑誌. 13(1) P.33-P.36
Issue Date
2007-03
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/11094/56711
DOI
Rights
Osaka University
大 阪 大 学 看 護 学 雑 誌Vo1.13No.1(2007)
一報 告 一
呼 吸 器
・消 化 器
外
科
病 棟
に お
け
る 看 護
合
カ
フ
ァ
同
ン
河 村 公 子*・
Importance
and
other
of
medical
a
師
と 他
職
レ ン ス の 意
義
中 土 居 智 子*・
in
among
the
Kawamura K, Nakadoi T, Ihara
要
と の 連 携
か
ら み
た
猪 原 美 代*
conference
staffs
種
nurses Surgical
ward M.
旨
呼 吸 器 ・消化 器 外 科 にお い て 、合 併 症 の 多 い 症 例 や 悪 性 腫 瘍 の 再 発症 例 で は 在 院 日数 が長 くな る傾 向 が あ る。ま た 、治
療 の過 程 に お い て エ ン ドス テー ジ とな る場 合 もあ る 。複 雑 多 様 化 す る患 者 のQOLを 高 め る た め 、他 職 種 との 連 携 は 非 常 に
重 要 で あ り、これ を 円 滑 にす す め る た め 、合 同 カ ン フ ァ レン ス を実 施 して い る 。平成17年1月
~10月 ま で の 期 間 で 他 職
種 との 合 同 カ ン フ ァ レ ンス 実 施 は11例 で あ り、医療 ソー シ ャル ワー カ ー へ の 依 頼6事 例 の 平 均在 院 目数 は94.8日 、緩 和
ケ ア 外 来 ・チ ー ムへ の依 頼6事 例 の平 均 在 院 目数 は62日 と通 常 の 入 院期 間 を は る か に上 回 る もの で あ っ た。他 職 種 と の
連 携 の 実 際 と して 、「治 療 過 程 に お い て 医 師 の治 療 方 針 の ギ ア チ ェ ン ジ につ い て検 討 した 事例 」「患 者 ・家 族 の意 向 と医 師
の 治 療 方 針 の食 い 違 い に よ り倫 理 的 問題 が生 じ合 同 カ ン フ ァ レン ス を 行 っ た事 例 」を取 り上 げ検 討 した 結果 、合 同 カ ン
フ ァ レ ンス の 意 義 が 確認 で きた 。
キ ー ワー ド:合 同 カ ン フ ァ レ ンス ・在 院 日数 ・QOL・職 種 間 連 携
*大 阪 大 学 医 学 部 附 属 病 院
一33一
大 阪 大 学 看 護 学 雑 誌Vo1.13No.1(2007)
フ ァ レン ス が あ る。合 同 カ ン フ ァ レン ス の 開 催 は 、通 常
1.は
じめ に
の 術 後 経 過 を と らず 病 態 の把 握 が 困難 で あ る こ と、治 療
呼 吸 器 ・消 化 器 外 科 病 棟 で は、月 間 平 均 約30例 の 手術
方 針 が わ か りに くい こ と、 医師 と患 者 ・家族 間 の 思 い に
を行 って お りぐ在 院 日数 は26.5日 で あ る 。在 院 日数 短 縮
ギ ャ ップ が あ る こ とな ど様 々 な理 由 で行 って い る。ま た
が 叫 ばれ てい る中 、合 併 症 の 多 い 症 例 で は術 前 検 査 に期
必要 に応 じて 、保 健 医 療 福 祉 ネ ッ トワー ク部 や 薬 剤 部 、リ
間 を 要 した り、ま た、悪 性 腫 瘍 の 再 発 のた め術 後 の 回 復
ハ ビ リテ ー シ ョン部 と連 携 し、が ん 看 護 専 門看 護 師 ・ET
に 時 間 を 要 す な どに よ り在 院 日数 が 長 く な っ て い る。中
ナ ー ス ・臨 床 心 理 士 ・MSW・薬 剤 師 ・理 学療 法 士 との合 同
で も、術 後 あ る い は化 学 療 法 後 に エ ン ドス テー ジ とな る
カ ン フ ァ レン ス も実 施 して い る。
場 合 が あ り、在 院 日数 延 長 の原 因 とな って い る。ま た 、複
保 健 医療 福 祉 ネ ソ トワ ー ク 蔀 は 、医療 連 携 を 目的 に平
雑 多様 化 す る 患者 のQOLを 高 め るた め、医師 との連 携 は も
成8年 に設 置 され た 。この部 門 には 、近 隣 医 療 施 設 との 連
ち ろ ん の こ と、 医療 ソー シ ャル ワ ー カ ー(以 下MSWと す
携 や 心 理 面 で の相 談 を受 け付 け る コ ンサ ル テ ー シ ョン 部
る)・ 臨 床 心 理 士 な ど他 職 種 と の連 携 は非 常 に 重 要 で あ
門 、及 び看 護 専 門 外 来 部 門(糖 尿 病 ケ ア ・看 護 外 来 、緩
り、これ を 円 滑 に す す め る た に 、合 同 カ ン フ ァ レ ン ス は
和 ケ ア ・看 護 外 来)が 、ま た 、平成16年
よ り、疼 痛 管 理
意 義 が あ る と 考 え て い る。
を中 心 と した コン サ ル テ ー シ ョン を行 う緩 和 ケ ア チ ー ム
そ こ で今 回 、平 成17年1月
よ り10月 ま で の期 間 中 に 他 職
が設 置 され た。緩 和 ケ ア チ ー ム は 、大 阪 大 学 よ り顧 問 と
種 と の連 携 の実 際 か らみ た合 同 カ ン フ ァ レン ス の 意 義 に
して 人 間 科 学 研 究 科 助 教 授 、医学 系研 究 科 総 合 ヘ ル ス プ
つ い て振 り返 り検 討 した の で 報 告 す る。
ロモ ー シ ョン 科学 講座 教授 、及 び 病 院 内 よ り麻 酔 科 医 師 、
が ん 専 門 看 護 師 、神 経 精 神 科 医 師 、薬 剤 師 で 構 成 され て
2.合
同 カ ン フ ァ レン ス と は
い る。
通 常 、病 棟 カ ン フ ァ レ ン ス で は 、平 日の午 後13時30分
よ り30分 の 時 間 を設 け て看 護 師 間 で の カ ン ブ ァ レ ンス を
3.方
法
実 施 して い る。これ に加 え 、1ヶ月 に4~5回 の 頻 度 で 、受
平 成17年1月 ~10月 ま で の 期 間 の他 職 種 との 連携 の 概
け 持 ち看 護 師 と医 師(執 刀 医 ・外 来 主 治 医 ・病 棟 医 長 な
要 、及 び 連 携 に よ り良 い結 果 を得 られ た2事 例 につ い て の
ど)と の 間 で 病 棟 師長 が 開 催 日を調 整 して い る合 同 カ ン
実 際 を ま とめ た。
表1他
職 種 との 連 携 の 概 要(平 成17年1月
患者 氏名
入 院 日数
か ら10月)
依頼 先
病棟 カ ン ファ レ
合 同カ ンフ ァレンス
ンス の 回 数
実施 の有無
(依頼 して い な い:無)
A氏
114日
MSW
19回
有
B氏
123日
MSW
2回
有
C氏
85日
MSW
16回
有
D氏
142日
MSW
0回
無
E氏
60日
5回
有
F氏
45日
7回
有
G氏
105日
緩 和 ケア※
9回
有
H氏
45日
緩和 ケア※
3回
無
1氏
23日
緩 和 ケア※
7回
有
J氏
85日
緩 和 ケア※
16回
有
K氏
54日
緩 和ケ ア※
12回
有
L氏
191日
無
6回
有
M氏
50日
無
3回
有
MSW・ 緩 和 ケ ア ※
MSW
※ 緩 和 ケ ア は 緩 和 ケ ア チ ー ム 、緩 和 ケ ア ・看 護 外 来 を 指 す
34一
大 阪 大 学 看 護 学雑 誌VoL13No.1(2007)
4.結
果
入 し麻 薬 が投 与 され た 。本 来 、遠 隔転 移 が あ る 場 合 、骨
1)他 職 種 との連 携 の 概 要
盤 内 臓 全 摘 術(本 事 例 で は 、直腸 ・膀 胱 ・膣 ・仙 骨S3以
下 を 切 除)は 適 用 外 で あ る が 、肛 門部 圧 痛 の コ ン トロー
本 期 間 中 に お け る他 職 種 との合 同 カ ン フ ァ レン ス は11
ル が 難 し く、E氏 の 強 い 希 望 に よ り手 術 が施 行 され た。
例 実 施 して お り、全 例 が 複 数 回実 施 した 。この11例 中 、当
病 棟 と特 に関 連 の 大 きいMSWと の 連 携 が5例 、緩 和 ケ ア ・
E氏 は 、元 来 、健 康 に 自信 が あ り、近 隣 の知 人 には 弱 い
看 護 外 来 、緩 和 ケ ア チ ー ム との 連 携 が5例 、両部 門 との 連
面 を 見 せ た くな い と感 じて い た 。ま た 、夫 に は 心 疾 患 が
携 が1例 で あ っ た 。
あ り、長 男 は 会社 を 立 ち上 げ た ば か り、長 女 は 妊 娠 中 で、
(1)医 療 ソー シ ャル ワー カ ー との 連 携 の概 要 につ い て
親 族 に も頼 れ な い と感 じて い た こ とが推 察 され た 。
MSWへ の 介 入 依 頼6例 の 平 均 在 院 目数 は94.8日 で 、通
術 後 の 離 床 に は 意欲 的 で 、歩 行 困難 な状 況 に 関 わ らず
常 の入 院期 間 の 約4倍 の期 間 を 要 して い る。こ の6例 中4
早 期 よ り歩 行 練 習 を 開 始 した 。理 学 療 法 士 の往 診 に よる
例 は再 発 例 で 、1例(D氏)は
訓 練 も希 望 した が 、往 診 は難 し く、 リハ ビ リテ ー シ ョン
化 学 療 法 に抵 抗 が あ り、独
居 で あ っ た た め在 宅 へ の移 行 が難 しか っ た事 例 で 、1例(F
部 へ の 出 診 が 可 能 とな るま で 、回復 へ の あせ りか らしき
氏)は 開腹 手 術 後 、精 神 症 状 の増 悪 、食 事 摂 取 量 の減 少
りに 不 安 を訴 え て い た。術 後1ヶ
を き た しな が ら も、家 族 が 在 宅 で 世 話 を した い との希 望
訴 え よ り肛 門痛 は術 前 とほ とん ど変化 してい な い様 子で
か らMSWへ 依 頼 を 出 した事 例 で あ る。これ らの事 例 の ほ と
あ っ た 。手 術 で 肛 門部 の病 巣 を 切 除 した た め疼 痛 の 変化
ん どが 、頻 繁 に看 護 師 間 のカ ン フ ァ レン ス に か け た他 、合
が な い の は お か しい とい う医 師 の判 断 に よ り、鎮痛 剤 を
同カ ン フ ァ レン ス を実 施 しケ ア の 検 討 を した。な お 、E氏
減 量 した と こ ろ、肛 門痛 は 増 強 した。 さ らに、肺 転 移 に
は 緩 和 ケア チ ー ムへ も介 入 を依 頼 した。
対す る治療 方針 が決 定 しない こ と に対 して不 安 が増 強 し、
(2)緩 和 ケ ア ・看 護 外 来 、緩 和 ケ ア チ ー ム との 連 携 の概
パ ニ ック 状 態 に陥 っ た。そ こ で、緩 和 ケ ア チ ー ムへ の介
要について
入 を依 頼 し、疼 痛 コ ン トロー ル を 図 る と と もに 、精 神 面
で は 臨床 心 理 士 へ 心 理 相 談 を依 頼 、医 師 へ は 治 療 方針 の
緩 和 ケ ア へ の依 頼 事 例 の 平均 在 院 日数 は62日 で、通 常
の 入 院 期 間 の2倍 以 上 で あ る。6例中5例 が 再 発 例 で あ り、
残 る1例(1氏)は
月 を 経過 後 も、患者 の
説 明 を依 頼 す る こ とで対 応 した。
検 査 入 院 で あ っ た が 、入 院 時 よ り疼 痛
執 刀 医 に よ り示 され た治 療 方 針 は転 院 し化 学 療 法 を行
が 強 く 、高度 の貧 血 の あ るエ ン ドス テ ー ジ の 事 例 で あ っ
うこ とで あ っ た 。看 護 師 に は 前 回 入 院 時 の 化 学 療 法 にお
た。
い て も肺 転 移 に 対 して 効 果 が な く、化 学 療 法 を行 う こと
再 発 例 のG氏 ・H氏は 外 来 通 院 時 よ り、緩 和 ケ ア.・看 護
に よ り、E氏が在 宅 に戻 る最 後 の機 会 を失 うの で は な いか
外 来 を 受 診 して い た 。身 体 面 よ り もい つ そ う精 神 面 へ の
とい う危 惧 が あ った 。 そ こ で 、執 刀 医 、病 棟 師 長 、保 健
介 入 を 要 し、入 院 後 、再 度 、緩 和 ケ ア ・看 護 外 来 へ の コ
医療 福 祉 ネ ッ トワー ク部 看 護 師 長 、緩 和 ケ ア チ ー ム の薬
ン サル テ ー シ ョンを 行 っ た。
剤 師 に て 合 同 カ ン フ ァ レン ス を 実施 した 。カ ン フ ァ レン
実 施 し たカ ン フ ァ レ ンス は、疼 痛 コ ン トロー ル 、セ ル フ
ス で は 、執 刀 医 よ り、転 院 に よ り化 学 療 法 を実 施 す る こ
ケ ア 支 援 、精 神 的 支 援 、家 族 看 護 な ど複 雑 な 要 素 が 絡 み
と、化 学 療 法 の メ ニ ュー は副 作 用 が 比 較 的 少 な い 内 容 で
合 っ た 内容 で あ り、MSWへの 依 頼 例 に 比べ 、よ り看 護 師 の
あ り、効果 が な けれ ば 、次 の メ ニ ュ ー も考慮 して い る こ
関 わ りが 必 要 な 事 例 で あ っ た。
とが 提 示 され た 。保 健 医 療 福 祉 ネ ッ トワー ク部 看護 師長 、
2)連
緩 和 ケ ア チ ー ム の 薬 剤 師 よ り、 転 院先 は リハ ビ リテ ー
携 の実際
医 師 、MSW、 緩 和 ケ ア チ ー ム と連 携 したE氏 、及 び 、医
シ ョン も 充 実 して い る こ と、緩 和 ケ ア に関 して は 、当院
師 、栄 養 マ ネ ー ジ メ ン ト部 、ETナー ス 、リハ ビ リテ ー シ ョ
の麻 酔 科 医 師 が 週1回 来 院 し現 在 と同 様 の支 援 が 可能 で
ン部 と連携 を とっ たL氏 の 事 例 にっ い て連 携 の 実 際 を報
あ る こ と が示 され た。一 方 、次 々 と治 療 方 針 が 示 され な
告 す る。
い と不 安 が 増 強 す るE氏 に 対 し て、心理 相 談 の継 続 、がん
(1)治 療 過 程 に お い て 医師 の治 療 方針 の ギ ア チ ェ ン ジ に
専 門 看 護 師 の介 入 、十 分 な疼 痛 コ ン トロー ル 、在 宅 支援
つ い て 検 討 した 事 例(E氏)
の 整 備 に よ りギ ア チ ェ ン ジ(在 宅 へ の 移 行)に つ い て も
E氏 は 直 腸 癌 再 発 の65歳 の 女性 で 、本 院 に て 平 成16年
合 同カ ン フ ァ レン ス で 話 し合 っ た が、転 院 に よ り化 学 療
3月 肛 門温 存 手 術 、平 成17年2月 人 工 肛 門造 設 術 を 他 院 で
法 を実 施 す る とい う方針 は 変 更 され な か っ た。た だ し、
今
受 けた 。同年3月 セ カ ン ドオ ピニ オ ン を求 め て本 院 を受 診
後 、E氏の 中で 気 持 ち に 揺 れ が 生 じた時 、在 宅 へ の移 行 に
し、肺 転 移 に よ り入 院 に て化 学療 法2ク ー ル を受 け た が 改
つ い て も再 検 討 す る こ とを確 認 し、E氏の近1で
善 は な く、強 い 肛 門部 の圧 痛 に よ り緩 和 ケ ア チ ー ム が 介
関 の支 援 状 況 につ い て の 資料 を診 療 録 に フ ァイ リン グ し
た。
35
の 医療 機
大 阪 大 学 看 護 学 雑 誌Vol.13No.1(2007)
(2)患 者 ・家 族 の 意 向 と医 師 の 治 療 方 針 の くい 違 い に よ
り倫 理 的 問題 を 検 討 した 事例(L氏)
参考 文献
L氏 は72歳 の 男性 で 、病 名 は 胆 管 細 胞 癌 で あ る。 リウ
1)石 井真 紀 子 他 、 ター ミナ ル ケ ア に お け る看 護 職 と関
マ チ に よ りス テ ロイ ド剤 を長 期 使 用 して い る。膵 頭 十 二
係 職 種 との連 携
指腸 切 除 術 後 、膵 液 漏 に よ る動 脈 性 の 出 血 、胃一 空腸 吻
学看 護 学 部 紀 要5巻2003年p27-35
岩 手 県 の実 態 調 査 か ら、岩 手県 立 大
2)U」 口聖 子他 、他 職 種 の 参 加 す る症 例 検 討 会 を通 して
合 部 か ら皮 下 へ の 漏 れ 、原 因 不 明 の空 腸 瘻 形 成 、中 心 静
脈 カ テ ー テ ル 感 染 な ど様 々 な合 併 症 が発 生 した。L氏は 術
み た 当院 のが ん ・難 病 の 治 療 に伴 う現 場 の 問題 意 識 、
前 よ り杖 歩 行 の た め、術 後 、病 状 が軽 快 して い る 時期 に
死 の 臨床26巻2号2003年p211
は 、理 学 療 法 士 の往 診 に よ り1日1回 歩 行 器 に よ る歩行 訓
練 を行 っ て い た。 栄 養 管 理 は 、在 宅 、転 院 を 目指 し栄 養
マネ ー ジ メ ン ト部 の 介 入 に よ り経腸 栄 養 に変 更 した。し
か し、空 腸 瘻 か らの腸 液 と経 腸 栄 養 剤 の漏 乳 や 、頻繁 な
下痢 が み られ た。空腸 瘻 の 漏 れ に は 、ETナ ー ス の 指導 で
パ ウチ ン グ を して い た が 、漏 れ に よ る皮 膚 の ビラ ン が み
られ た。さ らに 、手 術 適 応 で は な い 肝 転 移 が 発 見 され 、進
行 が 速 い こ と も予 想 され た 。
看 護 師 は 、パ ウチ ン グ部 位 の皮 膚 の ビラ ン 、頻 繁 な下
痢 、肛 門部 の ビ ラ ン や1日1回 の 歩 行 も困 難 な ほ どのア ク
テ ィ ビテ ィー の低 下 を 引 き 起 こす経 腸 栄 養 の継 続 に つ い
て疑 問 を 感 じた。キ ーパ ー ソ ンで あ る妻 はL氏 の体 力低 下
や 医 療 処 置 の 多 さか ら、在 宅へ の 移 行 は 困難 と考 えて い
た 。看 護 師 は 、 これ ら患 者 の 苦 痛 や 家 族 の思 い を 医 師 に
十 分 伝 え きれ て お らず 、患 者 に とっ て 最 良 の 治療 方針 が
選択 され て い な い ので は な いか とい う倫 理的 問題 が生 じ
て い る と考 え 、執刀 医 と の合 同 カ ン フ ァ レン ス を 提 案 し
た。カ ン フ ァ レ ン ス で は 、患 者 の 苦 痛 や 家 族 の思 い に っ
い て 情 報 交 換 した 。医 師 は 当 初 、易感 染 の 状 態 で あ るL氏
へ の 中 心 静 脈 カ テ ー テル の 再 挿 入 を た め らっ て い た が、
検 討 の結 果 、経 腸 栄 養 か ら 中心 静 脈 栄 養 に変 更す る こ と
が決 定 され た 。そ の 後 、L氏 の 下痢 は 減 少 し、皮 膚 ビ ラ ン
の軽 快 に伴 い ア ク テ ィ ビテ ィー が増 加 し、在 宅 中心 静 脈
栄 養 へ の 足 が か り とな っ た。
5.お
わ りに
合 同カ ン フ ァ レ ンス の実 施 に よ り、治 療 方 針 の 変 更 や
在 宅 へ の 足 が か りを 作 る事 例 を 経 験 す る こ とが で き た。
院 内 各 部 門 の整 備 や 合 同 カ ン フ ァ レ ン ス の 定 着 に伴 い 、
他 職 種 と連 携 す る機 会 が 増 加 し、従 来 に比 べ 一 歩 進 ん だ
看 護 を行 え る よ うに な っ た と考 え て お り、合 同カ ン フ ァ
レン ス の 意 義 が 確 認 で きた 。
しか し、患 者 、家 族 に と って 残 され た 時 間 のQOLを 高 め
るた め には 、タ イ ム リー な 他職 種 間 の 連 携 が 有 用 で あ る。
今 後 、必 要 な他 職 種 間 の連 携 が タイ ム リー に 実 現 で き る
よ う、日々 のカ ン フ ァ レン ス 等 に よ り看 護 師 間 で 情 報 共
有 し、よ りよい 看護 に繋 げ て い きた い と考 え て い る。
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