タンパク質-化合物結合自由エネルギーの高精度予測 (公財)先端医療振興財団 インシリコ創薬拠点形成推進グループ 奥野恭史 利用した計算機 大規模可視化対応PCクラスタ(VCC) ノード時間 17,500時間 使用メモリ 30GB 並列化 20並列 GPU3基/ノード使用 予測した結合親和性(ΔG) 研究の概要 製薬業界において、タンパク質と化合物の結合親和性を正確に予測することが求 められている。タンパク質と化合物の結合自由エネルギー(ΔG)は結合親和性 の指標となるが、これらの分子は水中で柔軟に運動しており、両者の間の絶妙な 相互作用のバランスで決まるため、正確に予測することが困難な状況にある。 ΔG を 高 精 度 に 計 算 す る 方 法 と し て 、 MP-CAFEE 法 が 既 に 考 案 さ れ て い る (Fujitani H. et.al. Phys. Rev. E, 79, 021914(2009))。MP-CAFEE法では、 化合物が結合したタンパク質の分子動力学計算を複数の計算条件(192種類)で 実施し、結果全体を統計的に解析して結合親和性を予測する。本研究ではキナー ゼタンパク質を対象にMP-CAFEE法を実施した結果、一定の予測精度がある事が 示された(左図)。更に、シミュレーション中に観測される主要な結合状態と稀 に生じる結合状態に対して別々にΔGを算出して平均化する事により、予測精度 をこれまで以上に上昇させる事に成功した(右図)。 化合物結合の構造ゆらぎを 考慮したΔG予測 MP-CAFEE法によるΔG予測 -10 -10 -12 -12 -14 1.5 kcal/mol -14 1.1 kcal/mol -16 -16 -18 結合能力大 -18 -20 -20 -11 -10 -9 -8 結合能力大 -11 -10 -9 実験によって測定された結合親和性(ΔG) -8
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