≪各WG・小委員会の概要≫ 【改修技術WG】 住棟を長寿命化するための大規模修繕工事(外壁塗装等)の周期延長に耐える改 修技術の検討を行ってきたWGで、結論は以下の通りです。 ①躯体、塗装、シーリング、防水の面から新しい高耐久仕様の材料を採用した「新仕 様案」で検討した結果、従来、13年(中層棟は15年)の標準的改修周期は、18 年周期に延長できる事が確認された。 ②高耐久仕様の材料を採用した事に伴う工事費の上昇は、実際の建物をモデルに 工事費の試算をした結果、高層板状棟で1.14倍、高層塔状棟で1.17倍、中層 棟で1.15倍という数字になった。 ③大規模修繕工事における品質のバラツキをなくすために「改修レベルの指針」を 作成した。 ④若葉台の長期修繕計画ガイドラインとしてモデル表を作成した。 これらの結論により、例えば、高層棟の改修周期が1.38倍になるのに対し、工事費 の上昇は、1.17倍以下なので明らかにコストメリットがあると言える。更に言えば、周 期の延長は、将来的に必要となる既存塗膜の除去作業の延長にもつながり、生活面 の影響を減らす事にもつながっている。 【改修技術WG・設備小委員会】 住棟を長寿命化させるための配管設備等の改修技術検討と専有部分を含めた共同 管理提唱を検討してきたWGで、結論は以下の通りです。 ①給水設備の改修工法として、横浜市の水道本管より直接給水する直結増圧給水 方式を推奨する。これにより水質の安全性が確保され、ランニングコストも軽減と なる。また、使用する配管材料は、高密度ポリエチレン管が望ましい。 ②排水設備の改修工法としては、近年、更生工法(古い配管の内部を研磨して樹脂 ライニングする工法)が多く採用されているが、WGとしては、長期的にみたコスト パフォーマンスと過去の実績から判断し、更新工法を推奨する。また、使用材料 は、選択肢として4種類の配管材料を推奨する事にした。 ③現状の管理組合規約では、修繕積立金の取り崩しは基本的に共用部分に対して のみであるが、配管等からの漏れ等が近隣住戸に著しい影響を及ぼす可能性の ある場合、或いは、専有部分であっても共用部分と構造上一体となった部分につ いては、管理組合による共同管理が行えるよう規約改訂素案を作成した。 ④専有部分のリフォームガイドラインとして、電気設備、給排水設備のリフォーム工事 に関する指針を作成した。 リフォームガイドラインに関しては、一部積み残し(例えば、建築設備)もあるが、これ らは、何れも若葉台内の各管理組合にとって貴重な指針を提示したと考えている。 1/3 ≪各WG・小委員会の概要≫ 【昇降機WG】 近年、急速に増えてきている階段昇降困難者或いは乳幼児を抱えての階段昇降の 補助として、中層棟或いはスキップアクセスの高層棟(非停止階が存在する棟)向けに、 いす式階段昇降機の導入を検討してきたWGで、結論的には以下の通りです。 ① 4社について検討した結果、首都圏での集合住宅への設置実績等から、 ㈱マイクロエレベーター(施工)のいす式階段昇降機「楽ちん号 KF-B型※(屋 外用・曲線タイプ)」を選定し、具体的に図面を引いてコスト見積まで実施した。 ※ :設計・製作:大同工業㈱ ② 中層棟に関しては、1階から4階(5階)まで1台で螺旋的に昇降を前提に検討。 スキップアクセス高層棟に関しては、㋑必要な個所のみに設置 ㋺原則エレベー ター停止階への1階分(上 or 下)設置 ㋩基本的に階段形状が同じ場合は移設が 可能 ㊁基本的には屋外仕様(一部建物は屋内仕様)、を前提に検討。 ③ 法的規制に関しては、最終的に、若葉台の中層棟、高層棟ともに、階段室型と みなす事ができ、階段幅員は法的に問題なく、確認申請のみで良い事になっ た。 ④ 横浜市における階段昇降機に対する助成制度について調査したが、現実的に 有効なものとなっていない事が確認された。 ⑤ 階段昇降機を設置するには、初期費用として、中層棟向けで、約400~450万 円(4階建ての場合の1階段の一次見積価格)、高層棟向けで、約190(屋内仕 様)~240万円(1階分の移動用の一次見積価格)というかなりの高額となる。費 用負担については、これらを踏まえ提言する事になった。(詳細については、最 終報告書を参照願います) ⑥ 可搬型階段昇降機についても追加検討したので、以下、報告する。 ・可搬型階段昇降機の利用者は、車いす利用者等の必要度の高い方に限定され、 かつ、操作者の養成が必要になるが、固定式ではないため臨機応変にどこでも 使えるメリットがあり、金額的にも大幅に安く済む。 ・候補を3社に絞り、実機によるプレゼンテーション並びに説明会を受けた。その結 果、小回りが利く、乗り心地が良いと言う面を重視して、A社の「スカラモービル」 (価格は車いす付で約142万円)を推奨する事にした。 ・検討の過程で、若葉台地域ケアプラザには、デイサービスの送迎用として、クロー ラ式の可搬型階段昇降機があり、実際に有効に使われている事が判明した。 現時点では、いす式階段昇降機或いは可搬型階段昇降機の導入には結びついて いないが、将来につながる貴重な報告書となっている。 2/3 ≪各WG・小委員会の概要≫ 【転出入WG】 本プロジェクトの核となる「世代循環型団地」の構築を目標に、子育てや共働き世代 の居住を展望できるような環境整備を行い、若い世代の流入を促進する事を目指して いるWGで、結論的には以下の通りです。 ①県公社は、本プロジェクトとほぼ同時進行で、国交省の「住宅団地型既存住宅流 通促進モデル事業」に応募し採択されている。目的がほぼ同一である事から、転 出入WGでの議論や検討結果をモデル事業における各種取組みに反映させる 等、連携して進めてきている。 ②「世代循環型団地」構築に向けた新規事業を検討して行く中、2014年10月に横 浜市の若葉台保育園の民間移管計画が明らかになり、検討した結果、「民間移 管を機に、若葉台保育園を地域が望む保育園にして行く方が、子育て支援の課 題解決を図る上で近道」との結論に達した。その後、本件は、若葉台連合自治会 長名の「意見書」並びにその後の横浜市長からの「回答書」につながり、最終的 には、WGが担いだ社会福祉法人「山百合会」に移管される事になった。 ③若葉台保育園の件は、2017年4月の開所に向けて、引き続き、「山百合会」への フォローアップが必要であり、連合自治会内に設置された「特別委員会」(委員 長:服部連合自治会事務局次長)で継続して行く事になる。 ④転出入バンクは、1995年に若葉台住宅管理組合協議会より、少子高齢化社会を 踏まえた空家の発生を抑制するための枠組みとして提言されたものであるが、時 期的な問題もあって残念ながら定着するに至らなかった。そこで、当初の基本理 念を継承しつつ、その後の環境変化を踏まえ、現代版転出入バンク制定に向け た検討を行い、今回、「新制転出入バンク登録制度」を作成した。 本WGは、県公社のモデル事業との関係もあり、具体的な成果も挙げてきている。今 後とも、フォローアップが必要な部分もあるが、将来につながる貴重な報告書となって いる。 3/3
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