労働条件などの監督指導結果(平成 27 年)を公表します

生
労
働
担
厚
省
埼 玉 労 働 局 発 表
埼玉労働局労働基準部監督課
監 督 課 長 子安 成人
当
平 成 28 年 5 月 31 日
主任監察監督官 渡邉 佳子
TEL
048-600-6204
労働条件などの監督指導結果(平成 27 年)を公表します
~労働時間の違反率は昨年を上回り過去5年間で2番目の高水準~
埼玉労働局(局長
田畑 一雄)は、埼玉県内の労働基準監督署が平成 27 年(1 月
~12 月)に実施した労働条件に関する企業への立入調査(以下「監督指導」※という。)
結果を取りまとめましたので公表します。
1
県内 2,582 事業場に監督指導を行い、1,715 事業場(66.4%)に労働時間、賃金、
安全対策などの最低基準を定めた労働基準関係法令の違反を確認しました。
県内の違反率は過去5年間同水準で推移しています。なお、平成 27 年の全国平
均は 72.7%です。
(⇒参考資料1頁の図1)
業種別の違反率は、高い順に保健衛生業 76.4%、製造業 75.2%、運輸交通業 73.3%
です。
2
(⇒参考資料1頁の図2)
違反事項は、多い順に労働時間 700 件(27.1%)、安全衛生基準 406 件(15.7%)、
労働条件の明示 383 件(14.8%)、割増賃金不払 365 件(14.1%)で、この順位は
平成 26 年と同じです。
(⇒参考資料2頁の表1)
特に、労働時間の違反率は、平成 26 年の 25.8%を上回り、過去5年間で2番目
に高い水準です。
3
(⇒参考資料3頁の表3)
労働時間の業種別の違反率は、高い順に運輸交通業 57.3%、保健衛生業 35.7%、
接客娯楽業 35.4%、清掃・と畜業 33.8%です。
(⇒参考資料4頁の図4)
特に、運輸交通業は過去5年連続して全業種中最も高く、また、平成 26 年の 51.0%
を上回り、過去5年間で最も高い水準となっており、長時間労働を前提とした労務
管理、運転者不足などの要因があると考えられます。
4
(⇒参考資料4頁の図5)
埼玉労働局では、今後も労働者などから寄せられる相談等情報を踏まえ、長時間
労働等の問題が疑われる事業場への的確な監督指導を実施するとともに、運輸支局
等関係行政機関や業界団体と連携して、取引環境・条件の改善に向けた取組を行っ
ていきます。
※
労働基準監督官が企業(事業場)に立ち入り、実地調査・指導を行うもの。
- 0 -
資
1
料
監督指導の実施状況
(1) 平成 23 年以降に埼玉県内の8労働基準監督署が実施した立入調査(監督指導)の実施
事業場数、違反件数、違反率は図1のとおりです。
平成 27 年は 2,582 件のうち 1,715 件(66.4%)で労働基準関係法令違反を確認しまし
た。また、労働災害の危険性が高い機械・設備等に関する使用停止命令等行政処分※は
72 件です。
※
労働災害発生の危険性が高い機械・設備、又は、足場に手すりが設けられていないもの等について安全措
置を講じるまでの間、機械等の使用又は作業を禁止する措置
図1
平成 23 年~平成 27 年 監督実施状況
5000
監督実施事業場数
違反事業場数
違反率(%)
全国平均違反率(%)
4500
4000
3500
3000
2500
67.7%
68.4%
67.4%
2823
66.0%
2723
1910
2000
69.6%
72.4%
67.8%
3079
66.4%
2089
1797
72.7%
66.4%
2582
2724
1810
1715
100.0%
80.0%
60.0%
40.0%
1500
1000
20.0%
500
0
0.0%
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
平成27年
(2) 平成 27 年監督実施 2,582 件の業種別内訳は図2のとおりで、製造業 741 件のうち 557
件(75.2%)で法令違反を確認しました。同じく、建設業 581 件のうち 308 件(53.0%)、
運輸交通業 131 件のうち 96 件(73.3%)、商業 241 件のうち 148 件(61.4%)などとなっ
ています。
図2
平成 27 年監督実施 2,582 件の 業種別内訳
1000
800
600
75.2%
741
557
400
76.4%
73.3%
監督実施事業場数
違反事業場数
違反率(%)
70.9%
71.4%
581
61.4%
53.0%
308
200
131 96
241
148
157120
223
158
311
222
53.8%
100.0%
80.0%
60.0%
40.0%
197
106
0
20.0%
0.0%
製造業
建設業
運 輸
交通業
商業
- 1 -
保 健
衛生業
接 客
娯楽業
清掃・
と畜業
その他
の事業
2
主な違反事項
(1) 主な違反事項は労働時間 700 件(27.1%)、安全衛生基準 406 件(15.7%)、労働条件
の明示 383 件(14.8%)、割増賃金 365 件(同 14.1%)などです。
表1 平成 27 年の主な違反事項
主
な
労働条件
違反 事項
の 明 示
違反 件数
383
700
365
283
237
350
406
120
300
14.8%
27.1%
14.1%
11.0%
9.2%
13.6%
15.7%
4.6%
11.6%
違
反
労働時間
割増賃金
就業規則
賃金台帳
安全衛生
安全衛生
定
管理体制
基
自主検査
準
期
健康診断
率
(違反件数÷監
督対象 2,582)
表2 主な違反事項の例
事項
違反の例
労働条件の明示
(労基法 15 条)
労働契約締結の際に、賃金・労働時間等の労働条件を書面交付
により明示していない。
労働時間
(労基法 32・40 条)
・労使協定の締結・届出なく法定労働時間(1週 40 時間又は1日
8時間)を超えて労働させている。
・労使協定の範囲を超えた長時間の時間外労働をさせている。
割増賃金
(労基法 37 条)
・時間外労働・休日労働・深夜労働に対して、法定の割増賃金を
支払っていない。
・割増賃金の算定基礎に必要な手当を含めていない。
就業規則
(労基法 89 条)
10 人以上の労働者を使用するのに、就業規則を作成・届出していない。
賃金台帳
(労基法 108 条)
手当額、労働時間等の必要事項を賃金台帳に記載していない。
安全衛生管理体制
(安衛法 11~12 条)
安全管理者又は衛生管理者を選任していない。
安全衛生基準
・機械に有効な安全装置を設けていない。
(安衛法 20~25 条) ・墜落防止用の手すり等を設けていない。
定期自主検査
(安衛法 45 条)
健康診断
(安衛法 66 条)
動力プレスやフォークリフト等の特定の機械について、法定の自
主検査を行っていない。
1年以内ごとに1回、定期健康診断を行っていない。
- 2 -
(2) 平成 23 年以降の労働時間の違反件数と違反率は表3のとおりで、違反率は平成 25 年に
次いで2番目に高い水準です。
表3 労働時間の法令違反の件数及び違反率
労働時間の違反割合(労働時間の法令違反件数÷監督指導実施事業場数)
平成 23 年
平成 24 年
平成 25 年
平成 26 年
平成 27 年
24.9%
24.1%
27.4%
25.8%
27.1%
(2,823 件中
(2,723 件中
(3,079 件中
(2,724 件中
(2,582 件中
702 件)
657 件)
844 件)
702 件)
700 件)
(3) 主な違反事項の業種別内訳は図3のとおりです。
図3 平成 27 年主な違反事項の業種別内訳
800
製造業
700
700
建設業
運輸交通業
商業
保健衛生業
600
その他
239
500
21
400
383
93
300
200
18
30
28
27
75
73
56
406
365
108
12
29
31
31
100
0
187
労働条件
の明示
236
154
労働時間
割増賃金
350
283
88
8
16
23
25
123
就業規則
- 3 -
300
214
237
39
13
32
35
20
98
賃金台帳
104
224
6
25
26
15
120
20
30
13
18
45
安全衛生
管理体制
169
13
2
7
1
安全衛生
基 準
95
4
6
7
8
0
定 期
自主検査
124
健康診断
3
労働時間の法令違反内訳
(1) 労働時間の法令違反の業種別内訳は図4のとおりです。
道路旅客運送業(バス、タクシー)や道路貨物運送業(トラック)を含む運輸交通業
が 57.3%(131 件中 75 件)と最も違反率が高く、次いで、保健衛生業 35.7%(157 件中
56 件)、接客娯楽業 35.4%(223 件中 79 件)、清掃・と畜業 33.8%(311 件中 105 件)
の順です。
図4 労働時間の業種別法令違反状況
1000
800
監督実施事業場数
労働時間違反事業場数
労働時間違反率(%)
741
57.3%
600
400
32.3%
200
239
80.0%
60.0%
30.3%
131
100.0%
241
73
75
35.7%
35.4%
26.4%
311
223
157
33.8%
56
79
保 健
衛生業
接 客
娯楽業
105
197
40.0%
20.0%
52
0
0.0%
製造業
運 輸
交通業
商業
清掃・
と畜業
その他
の事業
(2) 平成 23 年以降の運輸交通業の労働時間に関係する法令違反状況は図5のとおりです。
運輸交通業の労働時間に関係する法令違反率は、昨年の 51.0%を上回り、過去5年間
で最も高い水準となっています。
図5 平成 23 年~平成 27 年 運輸交通業における労働時間の法令違反状況
500
監督実施事業場数
労働時間違反事業場数
労働時間違反率(%)
450
400
80.0%
350
300
250
200
150
100
100.0%
46.5%
53.0%
232
155
47.6%
233
51.0%
111
72
60.0%
40.0%
155
123
57.3%
131
79
75
平成26年
平成27年
20.0%
50
0
0.0%
平成23年
(参考)
平成24年
平成25年
労働時間の法令違反の事例
ア 受注量の増加に対し、取引先との調整、計画的な増員及び人材育成などを行っておら
ず、慢性的な人手不足となり、時間外労働の労使協定の範囲を超えてほぼすべての労働
者に恒常的に月 100 時間を超える時間外労働を行わせていた例(製造業)
イ 配送先が東北地方や九州地方の長距離運転者について、荷主との調整などの運行管理
が十分に行われておらず、時間外労働の労使協定の範囲を超えて月の時間外労働時間数
が最大 200 時間に及んでいた例(運輸交通業)
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