釧路公立大学 労働法[05] ■■■ 労働関係の終了(1) ■■■ ● 雇用関係の終了原因 1) 解雇 : 使用者からの一方的な意思表示によって労働契約を解約するもの 2) 辞職 : 労働者からの一方的な意思表示によって労働契約を解約するもの 3) 合意解約 民法 cf.: 4) : 条 627 雇止め : 手続 の規制 ● 解雇 1)解雇 予告 両当事者 の 項(=使用者からみれば 1 期間 合意 解雇 の定めのある労働契約の 〔労基法 20 条 1 項〕 : 30 によって解約する 日分の予告 の 満了 手当 自由 ) による終了 を支払う 但し,天変地異があった時や,労働者の責めに帰すべき事由があれば除外 2)業務上の 負傷 3) 産前産後 ● 解雇 理由 A. 差別 1) ・ 疾病 休業の期間〔労基法 19 条 1 項〕 の規制 の禁止 国籍 ・ 信条 ・社会的身分を理由とする差別的な解雇〔労基法 3 条〕 2)労働組合への所属,正当な 3) 性別 4)女性の 〔 婚姻 B. 権利行使に対する 5) C. 育児 判例 による療養のため休業する期間〔労基法 19 条 1 項〕 ・ 均等 ・ 報復 介護 組合活動 〔労組法 7 条〕 法 6 条〕 妊娠 ・ 出産 〔均等法 9 条〕 の禁止 休業の申し出〔法 10 条,16 条など〕 による一般的な規制( 解雇権濫用法理 ) http://kushiro.sociallaw.info/ Q 解雇予告手当を支払いすれば,使用者は自由に従業員を解雇できるの? ☆ 判例〈1〉 日本 事件(最二小判 昭和 50.4.25 民集 29 巻 4 号 456 頁) 食塩製造 使用者の解雇権の行使も,それが ① ② 社会通念 権利 cf.: の 民法 上 濫用 1 条 として ☆ 判例〈2〉 能力 に として 是認 無効 項, 3 考慮要素 ① = 労働者の 経営 相当 客観的 な理由を欠き, することができない場合には, になる 労働契約 法 16 や適格性(仕事ができない), 上の必要性など(→ 高知放送 合理的 整理解雇 条〔2007 年〕 規律 違反, ) 事件(最二小判昭 52.1.31 労判 268 号 17 頁) 労働者Xは,放送局Yのアナウンサーであった。Xは2週間の間に2度,宿直勤務の際に寝過ごしたた め,午前6時からの定時ラジオニュースを放送できず,放送が 10 ~ 5 分間中断されることとなった。Y はXを普通解雇したのだが,これは有効だろうか? 「Xの起こした放送事故はYの対外的信用を著しく失墜するものであるが,しかし他面,〈1〉本件事 故はXの過失によるもので悪意ないし故意によるものでないこと,〈2〉先に起きてXを起こすことに なっていたファックス担当者が2回とも寝過ごしており,事故発生につきXのみを責めるのは酷であ ること,〈3〉放送の空白時間はさほど長時間とはいえないこと,〈4〉Yは早朝ニュース放送の万全を 期すべき措置を講じていないこと,〈5〉Xはこれまで放送事故歴がなく平素の勤務成績も悪くないこ と,〈6〉ファックス担当者は譴責処分を受けたに過ぎないこと,〈7〉Yにおいて過去に放送事故を理 由に解雇された例がないこと等の事実に鑑みると,Xに対し解雇をもってのぞむことはいささか過酷 ... に過ぎ,合理性を欠くうらみなしとせず,必ずしも社会的に相当なものとして是認することはできな い」 考慮要素 ② について検討が行われた例。 労働者 にとって 有利 な 事情 があったことを考慮して,結論として解雇権の濫用があったものと判断された。 教科書)原昌登『コンパクト労働法』第 7 章
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