7月号 財表理論 超スパルタ塾 〔第一問〕 1 ① ② ③ ④ 2 分配可能利益計算という制約の下で、企業の経済活動の実態を反映した適正な期間損益計 算を行うためである。 3(1) 会計情報が比較可能性であるためには、同様の事実には同一の会計処理が適用され、異 なる事実には異なる会計処理が適用されることにより、会計情報の利用者が時系列比較や 企業間比較にあたって、事実の同質性と異質性を峻別できるようにしなければならない。 そのため経理自由の立場から、企業が事実を踏まえ、会計処理の原則及び手続きを自主的 に選択することが認められたのである。 (2) 同じような請負工事契約であっても、企業の選択により異なる収益等の認識基準が適用 される結果、財務諸表間の比較可能性が損なわれる場合があるとの指摘がなされていた。 4 工事進行基準 「工事進行基準」とは、工事契約に関して、工事収益総額、工事原価総額及び決算日にお ける工事進捗度を合理的に見積り、これに応じて当期の工事収益及び工事原価を認識する 方法をいう。 工事完成基準 「工事完成基準」とは、工事契約に関して、工事が完成し、目的物の引渡しを行った時点 で、工事収益 及び工事原価を認識する方法をいう。 5 比較可能性を高めるためである。つまり、請負工事契約の実態を、成果の確実性という 観点から明確に区別し、確実性が認められる場合には工事進行基準を適用し、認められな い場合には工事完成基準を適用することによって、実態、すなわち事実の違いに応じて、 異なる基準が適用されるようにしたのである。なお、成果の確実性が認められるためには、 工事収益総額、工事原価総額、決算日における工事進捗度について、信頼性をもって見積 ることができることが必要である。 〔第二問〕 1 ① ② ④ ⑤ ③ 2 実現の判断要件は、財又は用役の引渡し又は提供と、対価としての貨幣性資産の発生の2 要件である。 3 費用収益対応の原則によるものである。引取費用は、発生主義の原則に従い、商品等の 配送という役務の提供によって発生するため、本来であれば役務の提供を受けた期の費用 とすべきである。しかし、引取費用は、その引取られた商品等の販売によって生ずる収益 との対応が期待されるものであるため、材料費などの製造原価同様、既に発生した費用で はあるが、取得原価することによって、販売時において売上原価の一部として収益と対応 させるためである。 4 商品の引渡時点において収益計上を行うと、当該収益に対応する費用として、売掛金等に 対する貸倒引当金繰入額の計上が必要となる。しかし、割賦販売の代金は貸倒などの可能 性が高く、かつ不確実性も高いため、注解注18の「合理的な見積もり」を行うことが困 難なことがある。このような問題があることから、収益認識を代金回収等の日に行うとい ったように、慎重に行うことも認められるのである。 5 貸倒は、実現主義による売上認識後の代金回収過程の事実であるため、収益の額には影 響しないのである。このような理由から、貸倒による収入の減少は、売上の金額とは独立 の代金回収上の費用・損失であるとされるため、当該費用・損失を見越し計上した繰入額 も同様に取り扱われるのである。 6 採用されている考え方 二取引基準 一取引基準とは、売買取引と当該代金の決済取引とを連続した1つの取引とみなして処理 する方法であるのに対し、二取引基準とは、売買取引と当該代金の決済取引とをそれぞれ 別個の取引とみなして処理する方法をいう。 〔第三問〕 1 ① ② ④ ⑤ ③ 2 資産負債アプローチである。また、結びつきの強い利益計算方法は、財産法である。財産 法とは貸借対照表の純資産の差額によって利益計算する方法をいう。 3 収益費用アプローチである。また、結びつきの強い利益計算方法は、損益法である。損益 法とは収益から費用を差し引く等式によって利益を計算する方法をいう。 4 当該項目は、繰延資産である。将来の便益が得られると期待できるのであれば、それは、 資産の定義には必ずしも反していない。その資産計上がもし否定されるとしたら、資産の 定義によるのではなく、認識・測定の要件または制約による。 5 採用されている方法は、資産負債法である。両者の違いは、調整すべき差異を繰延法が収 益費用から把握するのに対し、資産負債法は資産負債から把握することである。また、調 整すべき税効果額の計算に用いる税率も、繰延法が現行の税率を適用するのに対し、資産 負債法は将来施行されるべき税率を適用する点に違いがある。 6 繰延税金資産は、差異が解消される将来の期間の税金支払額を減額するものであり、経済 的資源であるといえる。そのため、資産性があると認められる。 7 原則として独立処理を採用することとしているが、ヘッジ会計の要件を満たす場合には、 当分の間、振当処理によることも認めている。なお、独立処理とは、為替予約を外貨建取 引とは独立した取引として処理する方法をいう。これに対して、振当処理とは、為替予約 によって確定する決済時の円貨額により取引等を換算し、直物為替相場との差額を期間配 分する方法をいう。
© Copyright 2024 ExpyDoc