全体構想 - 小平市教育委員会

Ⅰ
研究の概要
1.今年度の研究のねらい
○前年度までの研究を継続・発展させ、それぞれが授業改善をし、様々な指導法を蓄積していくことを
大きなねらいとする。
・自分の考えをもち、豊かに表現できる児童の育成を目指し、児童一人一人に文章を確かに読む力を育
てる指導法を工夫し、本校国語科の授業改善を図る。
2.今年度の研究主題
確かに読む力を育てる指導の工夫 ~国語科の授業づくりを中心に~
3.研究の方向性
○身に付けさせたい力を明確にして指導をする。
・子どもが主体的に読めるよう活動を工夫する。また、どんな力を身に付けさせたいか、はっきりさせ
た上で活動を行わせる。
○次の3点を育む言語活動の工夫をする。
・言葉を通して、的確に理解する力
・論理的に思考し、表現する力
・我が国の言語文化に触れて感性、情緒を育む
4.今年度の研究(研修)の進め方
○年間6回(各学年1回)授業研究を行う。年間2回(各学年1回)授業研究の事後報告会を行う。
○年間3本の説明的な文章のうち、1本は授業研究、1本は実践報告を行う。
○説明的な文章を扱う単元は授業を公開し、お互いに参観し合う。
Ⅱ
児童の実態と指導の実状
1.児童の実態
① 低学年
・文学的な文章に関しては、想像を膨らませながら読むことはできるが、叙述に即して読むことに課題
がある児童もいる。
・説明的な文章に関しては問いに対する答えや、時などのキーワードを意識しながら読むことができる。
・テストの問題を読み取れない児童が多い。
② 中学年
・文学的な文章に関しては、叙述に則し場面ごとの登場人物の心情を考えながら読むことができる。
・説明的な文章に関しては「はじめ」、「中」、「終わり」といった構成や段落を意識して読むことができ
る。
・テストの読み取りはよくできているが、漢字の定着や語彙の数などに課題がある。
③ 高学年
・文学的な文章に関しては、読みの観点の指導が行き届いており、それに基づいて読み深めることがで
きる児童が多い。
・説明的な文章に関しては、自分の考えを明確にしながら読める児童が増えてきた。
・図や表から読み取ったことの裏にあることを想像するのは苦手な児童が多い。
④ 全体
・全体的に読書量に個人差がある。
2.指導の実状
・絵、動作化、吹き出しなど、読み取るために様々な指導法を活用することができている。
・文学的な文章に関する指導においては、昨年までの積み重ねを活かして指導に当たれている。
・説明的な文章に関する指導においては、構成が複雑になったときにどのように指導をしていいか模索
しながら指導に当たっている。
Ⅲ
国語科(説明的な文章)の授業づくり
1.授業づくりの前提 ~学校の教育目標と学校経営方針~
※肯定的な評価観を前提とした授業づくりが求められていること
2.授業づくりの要素 ~確かに読む授業を実践するために必要な要素~
各学年段階の実態を考慮し、5つの要素を踏まえながら指導の重点化を図る。
① 教材研究を通して、ねらいや内容・方法を明確にする。
② 教材文は何度も声に出して読む。
③ 本文に書いてあることを正確に読む。
④ 正確な読みを基に、文章の構成や筆者の主張などを考える。
⑤ 読み取ったことに対する自分なりの考えや感想を書く、話す。
3.今年度の授業研究から得られたこと
① 低学年において
・音読は説明的な文章の読み取りに有効な手だてである。
例)内容の大体をつかむために読む。言葉に着目して読む。
・動作化(可視化)も説明的な文章の読み取りに有効な手だてである。しかし、想像ではなく本文に書
かれてあることを性格に動作化(可視化)して確認する必要がある。
・具体物の活用も説明的な文章の読み取りに有効な手だてである。
○低学年では、説明的な文章には問いと答えがあることや、時間的順序のとらえ方など、説明的な文章
の読み取りの基本を指導していくとよい。
② 中学年において
・読みに始まり、読みに終わる。最後の音読が大切である。
・書かれてあることを項目ごとに色を分けて線を引くこと(可視化)で、対比の関係があきらかになる。
・子どもに単元の終わりの活動を意識させることが大切である。
・単元の終わりの活動では習得したことを意識的に使わせることが大切である。
(書く・話す)→そこま
でが読みといってもよい。
・本文全体を概観してから中身の読み取りに入っていくとよい教材もある。
○中学年では、はじめ-中-終わりといった説明的な文章の構成の基本をとらえさせる指導をしておく
とよい。
③ 高学年において
・単元全体の計画が大切である。何のために読んでいるのか終わりの活動を意識した学習展開が望まし
い。
・細部を読んで全体を意識した読みにつなげるのがよい教材もある。
・
「情報補足の読み」として資料から読み取ったことを本文に付け足す活動も有効である。
○高学年では、様々な形の説明的な文章があるので、書かれてあることを文章に応じて読み取り、筆者
の主張や構成をとらえ、自分の考えをもたせる指導をしていくとよい。
④ 全体で
・
「論理展開を読む」、「情報として読む」、バランスを大切にした指導をする。
・説明的な文章にはいろいろな構成がある。説明的な文章の読み取り方、構成の基本を指導したあとは、
教材によって指導の仕方を変えていくとよい。
Ⅳ
研究の経過
4月
8日(金)
5月
20日(水)
研究全体会
6年2組 奥秋学級 「時計の時間と心の時間」
講師:小平市教育委員会指導課指導主事 荒木
忍 先生
中村 和哉 先生
8月
28日(月)
10月15日(木)
事後報告会①(6年)
2年1組 宮澤学級 「どうぶつ園のじゅうい」
講師:小平市教育アドバイザー 廣田 経夫 先生
10月21日(水)
3年2組 若林学級 「すがたをかえる大豆」
講師:帝京大学准教授 橋本 和顕 先生
11月 4日(水)
5年1組 杉浦学級 「天気を予想する」
講師:帝京大学准教授 橋本 和顕 先生
11月13日(金)
4年2組 金井学級 「アップとルーズで考える」
講師:小平市教育アドバイザー 廣田 経夫 先生
12月 2日(水)
事後報告会②(2年、3年)
1月
1年3組 安西学級 「どうぶつの赤ちゃん」
27日(水)
講師:小平市立第三小学校校長 山川 順子 先生
2月
10日(水)
事後報告会③(1年、4年、5年)
3月
16日(水)
研究全体会(今年度のまとめ)
Ⅳ
成果(○)と課題(△)
○各学年の発達段階に応じた指導のあり方について考えを広げることができた。
○多くの実践を参観し合うことを通し、様々な指導法の蓄積ができた。
△得られたことの有効性を今後確かめていく必要がある。
△各学年の実態や目的に応じた音読のさせ方を考える必要がある。