「アンサンブル予報の発展と展望」 - 数値予報研究開発プラットフォーム

第9回気象庁数値モデル研究会・第45回メソ気象研究会・第2回観測システム・予測可能性研究連絡会
「アンサンブル予報の発展と展望」
プログラム:
13:30-13:40 開会挨拶
13:40-14:05「気象庁週間アンサンブル予報システムの現状と展望」
海老原 智(気象庁総務部)
太田 洋一郎(気象庁予報部数値予報課)
14:05-14:30「アンサンブル予報データを用いた成層圏周極渦変動の予測可能性研究」
野口 峻佑(京都大学防災研究所(現、気象研究所))
14:30-14:55「北極海のラジオゾンデ観測データが冬の中緯度で生じる寒波の予報精度に与える影響」
佐藤 和敏(極地研究所)
14:55-15:20「アンサンブル予報データベースを用いた予測可能性研究」
松枝 未遠(筑波大学計算科学研究センター/オックスフォード大学物理学部)
【休憩 】
15:35-16:00「気象庁メソアンサンブル予報システムの開発」
小野 耕介(気象庁予報部数値予報課)
16:00-16:25「メソアンサンブル予報を利用した顕著現象の解析」
國井 勝・横田 祥(気象研究所)
16:25-16:50「再生可能エネルギー発電出力量予測のためのメソアンサンブル予測」
野原 大輔(電力中央研究所)
16:50-17:15「WRF-LETKFを用いたアンサンブル洪水予測の開発、鬼怒川事例への適用」
牛山 朋來(土木研究所 水災害・リスクマネジメント国際センター)
17:15-17:30 総合討論
気象庁の数値予報システムの変遷
IBM 704
1959.3
HITAC 5020/5020F
1967.4
HITAC 8700/8800 HITAC M-200H
1973.8
1982.3
HITAC S-810/20K
HITAC M-680H
1987.9 1987.12
HITAC S-3800/480 HITACHI SR8000 E1 HITACHI SR11000 K1
1996.3
2001.3
2006.3
HITACHI SR16000 M1
2012.6
GSM (T63 L40 M31)
GSM (TL95 L40 M31)
季節アンサンブル
GSM (TL95 L40 M51)
予報システム
07.3
大気海洋結合モデルJMA/MRI-CGCM1(M51)
10.2
JMA/MRI-CGCM2 (M51)
(大気: TL95 L40)
15.6
GSM (T106 L40 M26)
(海洋: 1x(0.3-1)deg L50) (大気: TL159 L60)
GSM (TL159 L40 M50)
(海洋: 1x(0.3-0.5)deg L52+海底境界層)
GSM (TL159 L60 M50)
1か月アンサンブル
08.3
GSM (TL319 L60 M50)
予報システム
GSM (T106 L40 M25)
14.3
GSM (TL159 L40 M51)
GSM (TL319 L60 M51)
週間アンサンブル
07.11
予報システム
¶
08.02
GSM (TL479 L60 M27)
GSM (TL319 L60 M11) 14.2
GSM (T213 L40)
14.3
台風アンサンブル
‡
GSM (TL319 L40)
GSM (TL479 L60 M25)
予報システム
05.2
GSM (TL959 L60)
07.11
GSM (TL959 L100)
TYM (24km L25)
14.3
全球モデル
07.11
03.3
59.6
北半球バランス・バロトロピックモデル (381km)
72.5
北半球バランスモデル (381km L3)
70.4
北半球プリミティブモデル NHM (381km L4)
75.1
NHM (381km L8)
北半球スペクトルモデル HSM (T42 L12)
83.3
88.3
GSM (T63 L30 M10)
全球モデル GSM (T42 L12)
GSM (T63 L16)
88.3
GSM (T106 L21)
台風バランス・バロトロピックモデル (381km)
89.11
GSM (T213 L30)
63.9
台風3次元モデル MNG (381,191,95km L3)
台風モデル TYM (50km L8)
アジア準地衡風モデル (304.8km L4)
88.3
61.9
70.4
TYM (40km L15)
アジア・プリミティブ・ファインメッシュモデル FLM (152.4km L6)
73.10
FLM (127km L10)
FLM (127km L12)
83.3
アジア域モデル ASM (75km L16)
88.3
96.3
日本域微格子モデル VFM (63.5km L11)
83.3
VFM (63.5km L13)
84.11
日本域モデル JSM (40km L19)
88.3
JSM (30km L23)
92.3
領域モデル RSM (20km L36)
RSM (20km L40)
07.11
98.3
メソモデル MSM (10km L36)
MSM (10km L40)
†
MSM (10km L38)
04.9
MSM (5km L48)
メソモデル
局地モデル LFM (2km L58)
12.8 T***:切断波数(二次格子)
TL***:切断波数(一次格子)
•
•
L***:鉛直層数
M***:アンサンブルメンバー数
局地モデル
† 非静力学モデルを導入
‡ セミラグランジュ法を導入
¶ 実行頻度を増強(1日1回から2回へ)
1959年から現業数値予報を開始し、精度改善、目的に応じたシステムの追加、効率化(統合)を進めてきた。
アンサンブル予報システム(EPS)は、1996年より現業運用を開始。
アンサンブル予報の利用
気象庁においては、不確実性を考慮した確率的な情報を支援
するため、アンサンブル予報の開発及び現業化を進めてきた。
• 台風進路予報
• 週間天気予報
• 異常天候
早期警戒情報
• 1か月予報
• 3か月予報
• 暖候期予報・
寒候期予報
• エルニーニョ予測
気象庁現業アンサンブル予報システム(EPS)の仕様
モデル
領域
水平分解能
週間
アンサンブル予報
システム(WEPS)
地球全体
約40km
台風
アンサンブル予報
システム(TEPS)
地球全体
約40km
1か月アンサンブル
予報システム
地球全体
約55km
季節アンサンブル
予報システム
地球全体
大気約110km
海洋約100km
メソアンサンブル予
報システム(部内
試験運用)
日本周辺
約5km
鉛直
層数
予報時間
(初期時刻(UTC))
60層
264 時間 (00,12)
※各27メンバー
54メンバー/日
60層
132 時間 (00,06,12,18)
※25メンバー
60層
目的
・ 週間天気予報
・ 東南アジア等諸外国の予報支援
・ 台風進路予報
※台風発生が予想される時、
台風が存在する時等に実行される
18日(土・日初期値)
25メンバー×2日分
・異常天候早期警戒情報支援
34日(火・水初期値)
25メンバー×2日分
・1か月予報支援
大気60層
海洋50層
7か月(5日毎)
51メンバー
48層
39時間(18UTC)
11メンバー
統合
予定
・3か月予報支援
・暖・寒候期予報支援
・エルニーニョ予測
・防災気象情報作成支援
・航空気象情報作成支援
・降水短時間予報への入力
導入
予定
本研究会の趣旨
•
気象庁におけるEPS開発の方向性と課題の共有
– 予報モデル、摂動作成手法の改良
 EPSの総合的な精度向上
– 3つのEPS(台風EPS、週間EPS、1か月EPS)の統合に向けた開発
 中期予報(∼10日)から延長予報(∼30日)を同一のシステムで支援することによる予測の一
貫性の確保と効率的な開発の推進
– メソEPSの開発
 メソ気象予測に対するアンサンブル予測技術の適用による1日程度先までの顕著現象発生可
能性の把握
•
EPSの開発・利用に関する連携に向けた議論
– 開発者間の連携 ⇒ 解析・予報システム間や異なるEPS間の連携によって
もたらされる相乗的効果による予測精度向上
– 開発者と研究者・ユーザーとの連携 ⇒ 顕著現象・予測可能性研究に関す
る知見の開発への取り込みやEPSによる予測情報の利用検討・拡大
•
参考
– 数値予報課報告・別冊第62号「確率的な気象予測のためのアンサンブル予
報の課題と展望」(2016年3月刊行)
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/nwpreport/nwpreport.html