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アルストロメリアの葉の裏表の違いについて
茗溪学園高等学校
発表者:宮路陽南子 指導担当:楠見清志
○動機
アルストロメリアは、ユリ目ユリズイセン科アルストロメリア属の単子葉植物である。
4月から7月ごろに花が咲き、主に観賞用で使われることが多い。この植物の葉は特徴的
で、根元の方から葉が半回転していて、本来なら裏側と呼ばれる葉の面が表向きになって
いる。この特徴は他の植物にはあまり見られず、葉の構造などに興味を持った。
○目的
光学顕微鏡を使ってアルストロメリアの葉を観察し、アルストロメリアと同じ単子葉植
物であるユリを対照とし、その構造の違いを明らかにする。
○研究方法
レプリカ法を使い、葉の向軸側、背軸側の気孔の数を調べる。葉の表面に液体絆創膏を
塗布し、数分置く。液体絆創膏が固まったら、これを剥がし、スライドガラスに乗せて顕
微鏡で写真を撮る。ミクロメーターの写真を使って 100 ㎛四方の方形枠を作り、この枠に
半分以上入る気孔のみを数え、10,000 ㎛ 2 あたりの気孔の数の平均を算出する。
○結果
アルストロメリアの葉の半回転している部分を①、根元に近く、葉がねじれていない部
分を②とすると、以下のようになった。
向軸側(個/10,000 ㎛²)
背軸側(個/10,000 ㎛²)
0.0
41.75
アルストロメリア①
20.75
0.0
アルストロメリア②
10.75
5.5
ユ
リ
アルストロメリアには、筋のような細長い細胞の列とパズルのような形の細胞が集まっ
た列が交互に並んでいて、気孔があるのはパズルのような細胞の列のみで、気孔の数と間
隔にはばらつきがあった。それに対してユリにはそのような細長い細胞がみられず、一定
の間隔で気孔があった。
○考察
アルストロメリアには、本来気孔が多い筈の背軸側には気孔が見られず、反対に向軸側
に多く見られた。裏返っている部分は見た目だけでなく構造も逆転していることが分かっ
た。また、ねじれている途中、ねじれる前の根元の部分は裏表の構造が曖昧になっている
ことも確認できた。