1/4 2014年 切花総集編 昨年に引き続き燃油高等の影響を受け、年明け1月2月の国内生産量が伸び悩んだ。さらには関東地域に雪害等があり不 安定な販売取引が続いた。3月に入ると桃の節句、春彼岸、歓送迎等の需要があり活発な取引となった。4月新年度を迎え 消費増税による買い控えの影響から花き全体の動きが鈍くなり、夏近くまで引きずる状況となった。6月には国会において 花き振興法が成立したことで花き産業に新たな動きがみられた。8月以降度重なる台風や局地的集中豪雨等もあり一部被 害にあわれた地区もあったが物日需要のお盆、秋彼岸とも昨年並みの動きがみられやや回復傾向で推移した。10月以降 は例年になく冷え込みが早く高冷地の出荷も切りあがりが早かった。11月には暖地物主体の出荷に切り替わり冬春品目 が多く出回るようになり、12月は松市、千両市、クリスマス需要、年末需要等止め市の29日まで活発な取引となった。 月別販売状況 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 4日の初市こそ買主が集まらず厳しい販売となったが、それ以降は菊類はじめ、堅調な販売が続いた。 後半、月末の降雪が影響でやや厳しい販売となったものの、年末の天候安定が功を奏し、小売店から は笑顔が見られた。特に洋花類の動きが良く年明け6日以降2週間値崩れする洋花はなく安定販売。 厳寒期の2月は重油代など生産コスト増の関係から、出荷量を控える産地が増加。さらに2回大雪 が降ったことで、入荷量は1割近く減。ハウス倒壊などの影響のほか、輸送環境もマヒし、出荷に大きな 影響を与えた。フラワーバレンタインが赤バラ中心に引き合いがあり、需要が高まりを実感した。 堅調相場で彼岸に入り、中盤もさらに安定した相場がつづいた。20日の雨以降、やや落ち着いた取引 になったが、月としては、昨年より好調な販売。品目別では白菊が入荷量9割程度で単価一割高く、 相場をけん引した。婚礼を中心に、消費税率UP前の駆け込み需要があり洋花類も終盤まで安定相場。 冬の厳寒期の出荷減分が季咲きにシフトし、4-5月の入荷量が増加傾向になっている。月初めの入学式 などの需要が中心となった。月後半は落ち着いた取引。昨年に比べて厳しい販売状況となった。 今年4月からの増税が、花の消費にも影響を与えたと思われる。全体的に抑え気味の販売状況となった。 母の日需要については、ゴールデンウィーク頃からギフト需要を中心に引き合いが高まった。昨年に比べ カーネーションも赤以外は潤沢だった。STD赤カーネは少ない状況となった。 母の日明けは、例年通りの落ち着いた引き合いとなり、12日から相場を崩し、5月いっぱい低調な販売。 首都圏で月前半の異常な高温とその後すぐの梅雨入り大雨など、購買意欲を削ぐような状況がつづき、 高冷地・暖地の切り替わりがスムーズでなかったことも、持続させた。唯一好調だった商品がリンドウで、 月を通して安定した販売が続いた。これといってイベントの無い月であり、ブライダル件数も多くなかった。 梅雨明け後、一気に夏の気候となり猛暑日が続いた。昨年より1回セリが少ない日取りであったことも あるが、月を通して動きも若干控えめな様相となった。新盆需要中心の動き。小売店需要が夏の暑さで 落ち着く中、業務需要も振るわず、相場を牽引する動きがみられなかった。特に菊類の低迷が目立った。 旧盆需要向けの入荷は7月の高温の影響で露地ものを中心に前進傾向で推移した。1週間ほど入荷の ピークが早まったことで旧盆向け仕入れの週には入荷が少ない状況となったことで、旧盆仕入れ期間から 単価高騰。15日の仕入まで高値・堅調な相場。その後も相場下げずに末まで高値が続いた。 お月見、お彼岸、敬老の日と物日が続き、またブライダル件数も多く、活発な取引の一月。お彼岸 需要は17日、19日の2日間がピーク。需要ピークに入荷少ない品目もあり堅調な販売のお彼岸になった。 昨年に比べ9月に入ってからの残暑がなく、気温が低かったことも小売の販売を味方した。 2回の台風の影響、それも週末に重なったことで、イベント中止もあり洋花類の単価安の要因となった。 ブライダル需要はそこそこあったものの、全体には品物が偏った。 また、菊類が潤沢な入荷となったことで、葬儀需要が少ない中で和花類も厳しい状況となった。 宴会需要によってバラなど洋花類が堅調な相場での販売となった。その他ではストック・スターチス など前月からの温暖な気候も手伝い、まとまった前進出荷の傾向だった。 いい夫婦の日関係の動きもバラ・ガーベラ中心にみられ、徐々に浸透する傾向が見えた。 大市の松市・千両市はともに入荷1割減で推移。販売は安定した保合の取引相場となった。20日以降は クリスマスのバラなど赤系を中心に引き合いが高まった。年末も26日(金)が仕入れのピークになり、曜日 の関係もあってか、過去にない集中出荷・集中仕入れとなった。 フラワーオークションジャパン 2/4 品目別販売状況 輪菊 スプレー菊 小菊 カーネーション バラ カスミ草 トルコギキョウ 年間の入荷量の傾向は、白菊は横ばい。黄菊は微増となっている。白菊は夏場主力品種が精の一世 に変わり、上位等級比率が高くなり物日の下位等級の供給がここ数年課題となっていた。2014年は愛 知中心に物日の取り組みが行われ、必要な時期にニーズにあった商品作りが徐々に進みつつある。 円安の影響も大きく中国、韓国、マレーシア産の極端な入荷増がない中で国内産地の将来に繋がる取 り組みである。冬場は、神馬、精興の誠が中心の入荷。12月は、中旬から上位等級中心に品薄が続き 高単価で推移した。何年ぶりかに良い動きの年末のとなった。冬場の黄色は、精興光玉、精興の秋が 主体である。夏場は各品種入り乱れており有望品種の開発が課題となっている。白同様に12月の年末 が品薄となり高単価での推移となった。 国産マムは栃木、愛知が年間通しての出荷。 どちらも、品質がある程度継続できた上での出荷だった事もあり、価格安定での取引で推移した。マレ ーシア、韓国、ベトナムなどの輸入品も多く出荷はあったが、売り先がはっきり分かれていてすみ分け は出来ている。スプレーマムでも、ポンポン咲き系は洋花扱いで使用されている生花店も増えてきて、 ひとつのジャンルとしても注目がでてきている傾向もある。 年間の入荷量の傾向は、冬場は横ばいで夏場が微増となっている。夏場は東北が微増となっており全体 の入荷を押し上げている。8月盆は東北中心に前進の入荷となり需要期に品薄傾向となり高単価で推移 した。9月彼岸は物日にしっかりとした入荷となり安定単価での販売となった。冬場の12月年末は、白が 中心となり黄色、赤が少なく出荷の色バランスが非常に偏りがでてしまった。特に赤の入荷が後半極端 に品薄で高単価で推移した。6月~11月は、茨城、秋田、岩手。12月~5月は沖縄。各産地、適地適作の 産地リレーにより小菊は周年安定出荷ができつつある。 国産カーネーションの出荷数量が前年より減少した。その要因と致しまして、昨年の雪害で長野が1~2 割減、台風18号で千葉が甚大な被害があった事となる。その為、非常に数も少なく、高単価を推移した。 年間通しても、あまり浮き沈みのない動きだった。輸入品は為替の影響もあり、輸入商社もあまり多く出 荷せず、あまりリスクのある事は避けた流れが見受けられた。ただ、輸入品も日本好みの品種を取り入 れてきている動きが見られる。今年は災害が多く見られたが、高冷地から暖地への切り替えも、千葉の 台風の影響があったものの、そこまで重なる事もなくスライドできたかと思われる。 1月から3月は前年に引き続き品薄な状態であった。1月は小売り、業務とも動きが鈍く、中値相場であっ たが2月以降引き合いも強くなり高値相場になった。特に3月は増税前の駆け込み需要もあり非常に高値 で推移した。4月以降は高冷地の出荷も始まり潤沢な入荷となった。また増税の影響から業務需要も昨年 に比べて少なく、4月から6月は前年に比べて単価は1割安となった。母の日は前年並みの動きであった。 7月以降も昨年に比べ業務需要が少なく単価安となった。8月後半より入荷量は減少し相場は持ち直した 。9月から11月は安定した入荷量が続いた。需要もブライダル、小売りとも安定した引き合いがあり、安定 した相場で推移した。11月後半より入荷量が減ってきてまた業務需要とクリスマスの装飾の需要により 11月後半から高値相場となり12月いっぱい高値相場となった。全体の入荷量は前年並み、単価は春の 安値の影響でやや下げる結果となった。 今年も相場の変動の激しい1年であった。需要の多い枝品に関しては安定相場で推移したものの上位等 級は相場が不安定となった。夏は北海道産の入荷が大きく減少し、入荷の大半を福島産が占めるように なった。結果入荷量は夏場を通じて品薄感があり、堅調相場で推移した。10月以降は暖地産のカスミソウ の販売が苦戦した。12月10日頃を境に特に熊本県では初期生育不良から出荷量が少なくなり、特に年末 出荷分に関して、予約相対が例年並みに入ったこともあり注文品の欠品が多く発生した。 昨年に続き年末は品薄高となった。 出荷量が徐々に減少してきている。冬場は重油の高騰、夏場は高冷地の高温と1年を通じて生育に厳しい 環境となっていることが原因と思われる。また今年は2月の雪害による長野県産の出荷量減少もあった。 品種の多様化、仕立て方法の多様化によって品質差が大きく出るため、産地間の単価差が大きい品目と なっているが、1年を通じてみると価格変動は少なく、他品目と比較して堅調な相場推移を示した。 フラワーオークションジャパン 3/4 品目別販売状況 ユリ類 年間を通して 日本の球根輸入数量減少に伴い出荷量は減少。昨年までの冬季はさらに減少し、何とか微 (オリエンタル) 減で済んでいた夏場の産地も出荷量10%程度減少する事態となった。また2月の雪害の影響と同時に起こ った欧州海域での球根運搬船の座礁事故、夏から秋に起こった各地での竜巻によって生産現場は混乱し 予定通りの出荷ができない産地がいくつか出てしまった。販売サイドから見ても9月彼岸のように需要期に 数量がなく高騰したり、春や秋のように繁忙期でもない時期に数量がまとまり極端な下落を招くなど混乱が 起こった。 (LA・スカシ) 2月に北関東を中心に起こった雪害でメイン産地の1つである深谷市に甚大な被害がでた。半数以上の施 設に被害が出るという前代未聞の被害に出荷量は60%程度まで下がり、供給に支障をきたした。数量が 少ない状況も4月の消費増税以降は販売振るわず、少ないが単価の出ない状況が物日以外は年内ずっと 続いた。 (テッポウ) 昨年に比べ需要期に対する供給量が少ない時期は減ったが、台風明けの9月彼岸については昨年同様、 商品の絶対量が不足し、一時高騰した。年末に向けてもメイン産地である鹿児島の生産状況が前倒しとな り最繁忙期に注文が欠品する状況となった。 デルフィニウム 出荷の集中が高冷地、暖地ともに発生し、相場の変動が大きい1年となった。夏場は北海道の入荷が 増加し、軟調相場が続いた。秋は高冷地と暖地の出荷が重なったことから非常に厳しい相場展開となっ た。品種は依然シネンシス系が中心となっている。北海道ではジャイアント系の出荷も増加傾向となった が、依然栄養系の出荷は非常に少ない。 ガーベラ 消費税増税の買い渋りにより相場は低迷 ガーベラの日、母の日のなどの一時的な回復もあったが、8月 末までは価格は暴落。9月以降ブライダル需要により価格は安定してくるも改植の影響で数量が減少。 年末も秋口の天候(曇天、低温)の影響により数量が伸びず。その結果単価は高騰するも金額は伸び悩 み、需要期物日に数量がなく、非需要期に溢れるような1年となった。 産地によっては前処理剤の導入や、日持ち試験など品質を意識する傾向もあった。 夏場の暑い時期、フルーツケーキシリーズの無花粉の評価が上がった。 スターチス 夏場は北海道、冬場は和歌山と販売金額の内予約相対の割合が非常に高い品目である。 北海道は秋の到来が早く、彼岸分で注文分の欠品が発生するなど入荷量が少な目で推移した。 和歌山は3月と12月の物日に関しては順調な単価推移となったものの、物日以降の月における販売は 今年も厳しい結果となった。 アルストロメリア 3月までは比較的高値での安定した販売が続いたが、消費増税以降は昨年対比で1割から2割程度単価 が安い状況が続いた。他品目に比べると多少保った感はあったが、2013年同時期はここ数年で一番とい っていいほどの高単価が続いた時期であったため生産現場からは販売に対する厳しい意見が続いた。 販売状況については天候の影響もあり秋口から晩秋にかけての出荷は順調で需要に対して安定した供 給が続いた反面、晩秋以降は例年以上の気温の低下、降雪などで出荷が極端に減少し、年末需要期に なってからは注文対応分も足りない状況となった。 リンドウ 春先からの低温で6月出荷と7月新盆用出荷商品が出遅れた。7月盆用は東北ものが間に合わず栃木県 など関東から比較的近い産地の商品を中心に堅調な販売となった。新盆以降に遅れてきた東北ものなど で溢れかえりここ数年では見なかったような低相場が8月初めまで続いた。8-9月の繁忙期については 比較的出荷量もまとまり発注数量に対して納品も滞りなく行われた。品質も安定し、相場も注文単価と 変わらない販売が続いた。9月下旬以降は産地の気温の低下が著しく、葉が紅葉し、花も外弁が黒ずん だような商品が多数入荷した。例年では11月に入ってからも多少の入荷は見込まれるのだが今期は ストック ほぼ10月で出荷終了であった。 今年の東日本は夏の高温時期が短く、秋が早く、また秋に入ってからの気候が安定したため、花芽分 化が早く10-11月にそろって出荷となった。ここ数年単価安定し、年末近くに相場が上がることが多く、 また温度のかからない商品であったため、作付自体増えていたことも重なり、10-11月前進しまとまっ た数量は予想以上に多く、近年まれにみる低単価での販売が続いた。反動で年末向けの数量は減少 し止め市までストックを求める買参人が多く見受けれる状況となってしまった。 フラワーオークションジャパン 4/4 品目別販売状況 洋ラン類 国産は主に、静岡、愛知、沖縄からの出荷。輸入品は、台湾、ベトナムが中心。品種はハニーエンジェ (オンシジウム) ル、ゴワラムゼイが安定出荷。これからはより国産の高品質のオンシジウムと、カジュアルや量販店向 きの輸入品の差別化を計り、販売戦略を立てたいと思う。 (カトレア) 主産地は、千葉、埼玉、栃木、愛知。相場の変動が激しい1年であった。4月、5月が厳しい相場展開で 7月、8月、9月は安定して相場展開となった。例年は10月、11月、12月が堅調な相場展開となるが2014 年は、10月、11月が例年に比べ厳しい相場展開となり12月は堅調相場となった。 (シンビジウム) 国産は主に、秋田、栃木、埼玉、高知、徳島より出荷。輸入品は、夏場はニュージーランド、冬場はオラン ダからが中心。今年は去年の雪害の影響で埼玉の出荷量が激減。前年の半分もいかない見込み。 復旧するまでは4~5年の歳月を要するとの事なので当面は出荷量は増えはしなさそう。 年末需要期に高値で取引されるよう相場を作っていきたい。 (デンファレ) 国産は沖縄。輸入はタイが中心の出荷。出荷量はタイの雨季によって、かなり異なるが、年間通して みれば昨年同様の単価で推移した。オンシジウム同様に、国産の高品質と輸入品との差別化を しっかりして、今後も販売していきたいと思う。 (ファレノ) 台湾産や中国産の出荷量が増えつつある影響で、国産の出荷数量が減ってきている。 こちらも同様に国産の品質と輸入の品質の違いをわかって頂けるようPRしていく必要がある。 フラワーオークションジャパン
© Copyright 2024 ExpyDoc