2016年2月1日(月)の入試問題における各科目の出題意図 (PDFファイル)

2016 年度一般入学者選抜 2/1(月)理科 入試問題出題意図
第1問(物理学)
物理分野の問題は、単なる公式の記憶にではなく、高等学校で学ぶ物理を十分に理解し、確かな
知識を身に付けているかどうかを意図した出題です。問題の分量は、試験時間内に解答できるよう
に配慮して、問題も教科書の基礎的な事項をしっかり理解していれば十分対応できる平易な問題で
す。
気体を分子レベルで力学を用いて圧力についての理解度を測る問題です。
問1: 圧力の定義、力積、1秒間の衝突回数と圧力の関係を導く問題です。
問2: ニュートンの運動の第3法則とはどんな法則かについて名称だけではない内容を問う問題です。
問 3: 瞬間的な衝突が圧力とどのような関係にあるかグラフを使って説明する問題です。
第2問(物理学)
ブラウン管オシロスコープと呼ばれる測定器の基本的な仕組みを題材とした問題です。
電磁気学で学ぶ内容は、力学と結び付けて考えることができます。一様な電場の中の電子の運動
を、力学で学んだ重力中の等加速度運動と対応づけて学習していれば、イメージしやすい問題です。
また、2 次元平面内の等速円運動の座標の時間変化を理解し、逆に、2 つの座標の時間変化から物体
の運動を想像する練習ができているか、つまり、実際の運動と座標との対応づけができているかを
問うています。
問 1: 電場と電位差との関係を理解しているかを問う問題です。
問 2: 自由落下の問題と同様に、静止した状態を初期値とする等加速度運動の速度を問う問題です。
問 3: 等加速度運動での経過時間と移動量についての理解を問う問題です。
問 4: 電位差による位置のエネルギーと運動エネルギーに関する理解を問う問題です。
問 5: 水平射出の問題と同様に、進行方向に垂直な力が作用する場合の等加速度運動について理解
を問う問題です。
問 6: 輝点の x 座標が Vx に比例することを確かめる問題です。
問 7: 前問の結果を用い、与えられた電圧が座標と対応していることを理解し、さらに座標の時間
変化から、2 次元平面内での位置の変化を考える問題です。
第3問(物理学)
ボーアの量子条件から原子スペクトルがなぜとびとびの値を取るかを導く教科書でも説明されて
いる問題です。
問1: ボーアが提唱した量子条件を満たす定常状態、一番低いエネルギー状態の基底準位、量子的
に存在するエネルギー準位とその状態をしめす語句を入れる問題です。
問2: 量子条件とクーロン力、遠心力を考えることで、電子のエネルギーが飛び飛びの値をとるこ
とを導く問題です。
第4問(化学)
すべて化学基礎の範囲の基本的な問題です。
問 1:原子の電子配置についての理解度を問う出題です。あわせて、原子がイオン化するときの電子配置
の変化の理解度もみています。
問 2:化学結合のうち、金属に特有な金属結合の意味に関する理解度と、金属が電気を伝えやすい性質を
持っていることとのつながりを理解できているかどうかをみるための出題です。
問 3:化学の諸法則の中でも主要なものの1つである気体反応の法則を理解できているかどうかをみるた
めの出題です。丸暗記ではなく、自分の理解を自分の言葉で表現できているかどうかを採点基準にし
ています。
問 4:基礎的な計算問題の典型として、濃度から原子量を求める問題と、塩基の中和に要する酸の量をも
とめる問題を出題しています。いずれも基本的な知識と、的確な計算能力をみることを目的としてい
ます。
第5問(化学)
すべて基本的な問題である。
問 1:電気分解における反応式、計算ができるかどうかの問題である。基本的な問題である。
問 2:物質の溶解性の問題である。水、有機溶媒どちらに溶解しやすいかわかっているかどうかの問題で
ある。
問 3:熱化学方程式を用いて反応物、生成物の量が計算ができるかどうかの問題である。
第6問(化学)
すべて基本的な問題である。
問 1:アンモニア水溶液の電離平衡の理解度および緩衝液の性質を問うた問題である。
問 2:金属イオンを沈殿により系統的に分離する方法を理解しているかどうか問うた問題である。
問 3:コロイド溶液の基本的な性質を理解しているかどうかの問題である。
第7問(生物学)
細胞の基本的な知識を問う問題です。細胞膜や細胞壁について、個々の知識の棒暗記ではなく、はた
らきや、成分、原形質分離などを関連付けて学んでいる受験生には容易に解答できると思います。
第8問(生物学)
代謝についての問題です。もっとも普通に行われる好気呼吸だけでなく、無気呼吸を行う生物や、シ
アノバクテリア、光合成細菌、化学合成細菌など、多様な生物がいて、多様なエネルギーの獲得方法が
あることに関心のある受験生に得点してもらうことを意図した問題です。
第9問(生物学)
神経細胞に関する問題です。静止電位や活動電位が生じる仕組み、刺激に対する興奮の特徴など基本
的なことを理解しているか問う問題です。教科書を中心にしっかり勉強してきた受験生には難しくない
問題です。
第 10 問(地学)
地球惑星科学的な視点で自然を捉え考える能力が、自然災害の防災や減災、自然環境を考えるために
も求められています。その際に、最低限の基本的な知識や考える力が課題を考えるために求められます。
そこで本問では、この様な力を測るため、問 1 から問 6 では、火山災害とその防災・減災を考えるため
にも必要な火山や岩石などに関する基本的な知識を、問 7 では、教科書や参考書での勉強だけでなく、
地球惑星科学と関係する社会での出来事への関心の度合い、および自然災害と社会との関係を考える力
を測ることを意図して出題を行いました。
第 11 問(地学)
地球惑星科学的な視点で自然を捉え考える能力が、自然災害の防災や減災、自然環境を考えるために
も求められています。その際、基本的な知識の量が重要となる場合もありますが、現在起こっている自
然現象へ関心を持ち、基本的な知識や考える力を活用し、その現象が持つ科学的な意味を理解する力も
求められます。そこで本問では、地震やプレートテクトニクス、プルームテクトニクスなどの地球惑星
科学の基礎的な知識の確認と、最近起こった自然現象への関心の度合い、および既有の知識を組み合わ
せて地球を考察する力を測ることを意図して出題を行いました。
第 12 問(地学)
太陽放射と地球放射を中心とした地球の熱収支と緯度ごとの熱収支の違いによる大気と海洋の大循環
に関する基本的な知識と理解の度合いを問う問題です。具体的な確認事項は次の通りです。
問1:地球全体の熱収支、太陽放射、地球環境の決定要因とその基本的考え方
問 2:太陽放射と地球放射の基本
問 3:緯度ごとの熱収支の読図あるいは基本的な考え方
問 4:地球放射の基礎に関わる計算力
問 5:熱輸送に関する基礎(放射・対流・伝導、水蒸気)と大気と海洋の大循環
問 6:緯度ごとの熱収支の図に関する理解