Title リンパ組織の比較組織学的研究 - こうもりのリンパ節お よびリンパ

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リンパ組織の比較組織学的研究 - こうもりのリンパ節お
よびリンパ組織( Abstract_要旨 )
今村, 吉之
Kyoto University (京都大学)
1967-11-24
http://hdl.handle.net/2433/212376
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
【1
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氏
今
いま
村
吉
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よし
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博
士
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之)
学 位 の 種 類
医
学 位 記 番 号
0
0号
論 医 博 第 4
学位授 与の 日付
2 年 11月 24 日
昭 和 4
学位授 与の要件
学 位 規 則 第 5 条 第 2項 該 当
学 位論 文 題 目
リンパ組 織 の比較組 織 学的研究- こ うも りの リンパ節 お よび
学
リンパ組 織(主査 )
論 文 調 査 委員
教 授 堀井 五 十 雄
論
文
内
教 授 西 村 秀 雄
容
の
要
教 授 岡 本 道 雄
旨
掘井 およびその共同研究者 は, 晒乳類 リンパ節の比較組織学的研究を行な って, リンパ節の組織′
、羊的構
造 には, かな りの種族特異性が あり, 動物の進化 に伴い, その構造 に も分化がみ とめ られ る。 構造上 の分
化 とは, 従来一般 に, リンパ節構造 の分化 と考え られた ものの他 に, 部位特異性があげ られ る。
これ らの研究の一環 として今 までに, いえ こうもり ・ き くが しらこうもり ・ こき くが しらこうもり, に
つ いての, リンパ節組織の比較組織学的研究があるが, 例数 も少 な く, かつ, 検索 リンパ節 も頚 リンパ節
・ 版駕 リンパ節 に止 まったので, 本報告 においては, 例数を増す他 に, 更 に検索 リンパ 節 を上記の他, 腸
間膜根 リンパ節 ・ 腸骨 リンパ節 に拡充 し, かつ, その他, 肝 ・
肺 ・ 牌 ・ 腎な どの リンパ組織 を検す る他,
e
ms
a 染色を行な った。 検索 に供 した こう
髄外造 血一
巣の存否 をよ り確実 にた しかめるため, 組織切 片 Gi
もりは, いえ こうもりで, 5- 6月 の候の もの2
0例である
。
いる
。
それで も粟粒大の ものである
。
こうもり類 は, 膳徳 リンパ節がよ く発達 して
リンパ節検索2
0例, 臓器検索数例で, 研究 方 法 は, フォルモール固
定, ツエロイ ジン包埋後 6一
〟の連続切片 として, 堀井研究室で行な ってい る組織 Gi
e
mS
a 染色法 によ っ
た。
その結果 リンパ節 の大 きさは, 膳蘭 ・ 腸 間膜根が頚部 ・
腸骨, 各 リンパ節 よ り大 き く, 一般 に被膜は薄
く染材は弱 い。 しか し皮質が頚部 ・ 駿蘭 に広 く, 腸間膜根 ・ 腸骨 に狭 く, 偽三次小節 の発達 も全般 に良好
で, 二次小節 は成熟型が多 く, 髄索 は月
那 耶莫根 ・ 腸骨の リンパ節 に太 く, 単純で, ラッテの リンパ節 に類
似す るもの多 く, 辺縁洞 の広 い ものは少 なか った。 また脂肪化の傾 向 も見 られない。 腸骨 リンパ節では,
周 囲組織 との分化 も不良な ものが多か った。 膜常 ・ 頚部 リンパ節では, 髄外造 血巣の集団が皮質や髄索 の
各所 に認め られた。 これ らか ら, こうもりの リンパ節 は, 哨乳類 の うち, ラッ ト・ ハ ムスターの リンパ節
に近 く, リンパ構造 の類似性か ら一群 を成 してい る。 また リンパ節 におけ る髄外造血巣がよ く発達 してい
ることが著 しい特徴をな してい るが, これは, こうもり類 におけ る骨髄の造血巣の発達が弱 いことに対応
す るものかと思われ る。 また臓器の リンパ浸潤 は少 な く, 組織 も発達の低 い方で あるが, 碑 においてのみ
中心動脈の周辺 に長円形 な リンパ小節がみ とめ られた。
論 文 審 査 の 結 果 の 要
旨
比較解剖学上 か らリンパ節 をながめ ると, 肉眼解剖的には リンパ節の分化の進展 とともに, リンパ中心
の増加 と- リンパ 中心 に現われ る リンパ節数 の増加がみ られ, 組織学的には リンパ節構造 の分化 として部
位特異性 と構造の多様化がみ られ るのであ る。 著者 はまず コウモ リ類 の リンパ節が分化上 どのよ うな位置
を 占めるかを追究 したので あるが, その結果 はマクロ的には リンパ中心数 も少 な く, - リンパ中心 に現わ
れ る リンパ節数 も少 な く比較的分化の遅れた群 に属 し, ミクロ的には構造の分化 は比較的低 く多様性を示
す傾 向少 な く, 髄索 は太 く単純で, 構造上 ラッ ト, - ムスク一群 に属す ることが明 らか とな った。
また リンパ節 にみ られ る骨髄性造血すなわち髄外造血 はその主体が額粒球造血であるが, およそ二つの
型 に分類で きる。
その一つ は胎生後期か ら生後初期 にみ られ るもので髄索 に局限 し胎生遺残型 とも言 うべ きもので, 他の
一つ は成熟動物 にみ られ るもので皮質二次小節 に限局 し, しか もその リンパ芽 球部 にみ られ るもので成熟
変異型 とも言 うべ きものである。 コウモ リリンパ節 にみ られ る髄外造 血は上記二型 ともにあるが, その主
力 は第一型胎生遺残型 に属 し, しか もその規模 のはなはだお うせ いな ことと, 成熟動物 にもみ られ ること
において, 他動物 に比較をみないもので, コウモ リ, リンパ節の一大特徴 と言い得 るもので あるO
以上著者 の研究 は リンパ節の比較解剖学 に一新知見 を加 えた もの と言 うことがで きる。
本論文 は学問的に有益であって医学博士 の学位論文 として価値 あるもの と認定す る。
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