CADとGISの融合による建設プロセスの革新を展望 - CSIS

CADとGISの融合による建設プロセスの革新を展望
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オートデスク「建設ソリューションEXPO 2006」
オートデスク株式会社は
6 月1 5 日、東京・六本木の
六本木アカデミーヒルズに
おいて、建設ソリューション
EXPO 2006を開催した。
このイベントでは、建設3次
元設 計、土木ソリューショ
ン、空間情報マネージメン
ト、建設情報共有の4つのテ
ーマごとに講演会、セミナ
Google Earthリリース一
ーが行われ、およそ2000人の参加者が集った。
周年に合わせて公開された
サービスを軸とした建設情報の統合が必要
ばかりのVer.4.0のデモを
土木ソリューション・空間情報マネージメントの講演
行い、マウス操作によって
会では、冒頭、オートデス
画面にコンパスが現れる新
クの志賀徹也社長が「建設
しいインターフェースや3
のあらゆるプロセスを可視
D レンダリングツールとの連携、そして日本語入力・検索
化することが、建設ITの世
のサポートなど新機能をダイナミックに紹介した。
界をもっと身近にするに違
いない」と挨拶。続いて、
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インフラ管理の事例を発表
東京大学空間情報科学研究センターの柴崎亮介教授が
その後、空間情報マネジメントのセミナーでは「オー
「空間情報社会にむけた建設産業の変革:プロダクトモ
プンソースGISソフトウェアの動向」
(株式会社オークニ
デルをコアとした新しい連携」と
ー・衛藤誓氏)
、
「オートデスク製品でのCADとGISの統
題して講演した。
合による鉄道GISの構築と活用」
(ジェイアール東日本コ
柴崎教授は、建設CALS/ECの
ンサルタンツ株式会社・小林三昭氏)
、
「アメリカとヨー
進展にもかかわらず建設分野にお
ロッパにおける空間情報構築/運用事例紹介」
(オートデ
いてプロダクトモデルが普及しな
スク米国本社・Geoff Zeiss氏)
、
「業務の効率化とライフ
い理由として、納品を電子化した
サイクル管理を実現する空間情報の構築」
(日本オラクル
だけでその先のサービス指向がな
株式会社・桑内崇志氏)の4つの発表が行われた。
いことを指摘。電子化した情報を具体的なサービスの実
とりわけジェイアール東日本コンサルタンツの小林氏
現に向けて編集・統合するプロセスが意識的に追求され
は、総延長7,500kmに及ぶ全国JR路線のデジタル管理図
るべきだとし、位置や場所を媒介に実世界のデータを整
の構築を、Autodesk Mapを利用することによって12支
理するGIS的手法の有効性を示した。
社横断で実現した事例を報告。さらに、GPSとGoogle
続いて講演に立ったグーグル株式会社インターナショ
Earthを利用して、駅での車両運行管理システムを試験
ナルプロダクトマネージャーのアンジェラ・リー氏は、
的に運用し始めたことなども紹介した。
2006 Summer
ALOSに寄せられる、多大なる期待と要望
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陸域観測技術衛星(ALOS)データ利用シンポジウム
6月22日、銀座フェニックスプラザ(東京都中央区)にお
いて「陸域観測技術衛星(ALOS)データ利用シンポジウ
ム∼だいちが変える地球観測」が開催された。今年1月24
日、数度の延期を乗り越えてようやく打ち上げられた
ALOSは、定常運用に向けて校正運用が進んでいる。各方
面から寄せられる期待は大きく、当日は会場一杯の380人
が集まった。
ALOSのいま
藤元也氏が「常時観測ができるようたくさんの衛星が欲
今のALOSの状況にについて、JAXA理事の堀川康氏
しい」と語った。
は「極めて順調」と語る。
「すでにレイテ島の地すべりを
初めとする災害対応で役立っている」
(堀川氏)
。ALOS
どう使い、提供するか
プロジェクトマネージャの富岡健治氏に
ERSDACの加藤雅胤氏は、天候に左右されない
よると、パドル展開などのクリティカル
PALSARセンサが資源探査や環境災害モニタリングに活
フェーズを終え、現在は初期校正・検証
かされると話す。防災での利用を強調したのはアジア防
フェーズにあり、10月中旬には校正済み
災センターの荒木田勝氏。
「迅
データを提供できるとのことだ。実際にALOSの校正検
速な対応のために現地で必要な
証を担当するJAXAの島田政信氏はどんな方法で調整を
のはソースデータはなく、解
行っているかを紹介。
「地上から衛星に向かってレーダを
析・分析結果だ」と訴えた。
発射し、その光源を解析することで画像精度を上げてい
RESTECの伊藤恭一氏からはデータ提供方法や販売代理
る」という。
店、価格などの説明があった。
ALOSへの期待と課題
各方面からの期待は
ALOSがもたらすプロダクトをどのように使っていけ
シンポジウムの最後は官・学のパネリストによるデ
ばいいのか、またそれによって何がもたらされるのか、
ィスカッションが行われた。官側からは地図作成、環
利用者側の観点からとして大学の研究者から期待と課題
境保全、海洋観測などの利用について展望が語られ、
について発表があった。
「地理情報の整備から見た期待」
学側からはこれまでにない利用の開拓や広くデータを
を語ったのは東京大学の柴崎亮介氏。
「数
普及させる努力への期待が述べられた。また継続的な
ある衛星の中でALOSならではのユニー
データ提供
クさをどう活かすかがポイント」
(柴崎
を定着させ
氏)
。森林リモートセンシングの村上拓彦
るため後継
氏(九州大学)は「森林GISとの連携」を重視し、
「完全
機の開発へ
オルソ化、一年一度の更新」を期待する、という。また
も要望が寄
農学分野から鳥取大学の長澤良太氏が「画像におけるオ
せられてい
ブジェクトの“形”の特性を活かしたい」
、東北大学の斎
た。
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