序章 計画の基本的事項 1 計画策定の趣旨 (1) 緑の基本計画とは 緑の基本計画とは、都市緑地法第4条第1項に規定される「緑地の保全及び緑化の推進に関する基 本計画」のことをいいます。 都市における緑(ここでの「緑」は、樹木、草花などの植物のほか、それらを含む公園・広場、農 地、樹林地、河川・湖沼などの土地、空間を含む幅広い概念です。)は、人と自然が共生する都市環 境の確保、余暇・レクリエーション空間の確保、災害の防止、美しい景観の形成など多様な機能を有 しています。 緑の基本計画は、緑豊かで快適な都市づくりを進めるため、緑地の確保、都市の緑化、都市公園等 の面積などの目標量を定めるとともに、その実現に向けた緑地の保全、都市公園等の整備、緑化の推 進に関する事項などを定めるもので、緑に係る諸施策を総合的、計画的に推進するための指針を明ら かにすることを目的とするものです。(緑地の分類は3頁参照) (2) 計画策定の目的 本市は、平成13(2001)年8月に「廿日市市都市計画マスタープラン」及び「廿日市市緑の基本計 画」を定めましたが、平成15(2003)年3月1日に旧佐伯町及び旧吉和村と、平成17(2005)年11月3日 に旧大野町及び旧宮島町と合併し、市域及び都市計画区域が拡大したため、全市を対象とした計画を 策定する必要性が生じました。 また、上位計画となる総合計画が改定されたことから、上位計画に示される本市の将来像実現に向 けて都市計画や緑に係る諸施策を適切に推進するために、上位計画に即して都市計画マスタープラン 及び緑の基本計画を改定する必要があります。 これらのことから、今回、全市を対象とし、都市計画マスタープランの策定に合わせて、緑の基本 計画の策定を行うものです。 2 計画の役割と位置づけ (1) 計画の役割 廿日市市緑の基本計画(以下「本計画」といいます。)は、本市における都市公園等の整備、緑地 の保全、市街地の緑化など、緑地の保全及び緑化の推進に係る諸施策を総合的、計画的に推進するた めの指針となるものです。 また、本計画は、市民、事業者、行政が協力して緑地の保全及び緑化の推進に係る取り組みを進め ていくための指針となるとともに、国・県等の関係機関に対し、協力・支援を求める上での指針とな るものです。 (2) 計画の位置づけ 本計画は、第5次廿日市市総合計画に即し、廿日市市都市計画マスタープランに適合する内容とし て定めます。 また、本計画は、それぞれの地域で培ってきたまちづくりの理念や、本市及び関係機関の関連計画 との整合を図りながら定めます。 - 1 - 【廿日市市都市計画マスタープラン及び緑の基本計画の位置づけ】 第5次廿日市市総合計画(目標年次:平成27(2015)年) 広島圏都市計画区域・佐伯都市計画区 域・宮島都市計画区域の各マスタープ ラン(広島県策定) 関連計画 整合 即する 即する 廿日市市都市計画マスタープラン 適合 廿日市市緑の基本計画 受ける 受ける 土地利用、都市施設等の計画決定 事業の実施 等 緑地の保全、都市緑化 都市公園等の整備 等 3 計画の対象区域と目標年次等 (1) 計画の対象区域 計画の対象区域は、都市としての一体的な土地利用の推進と都市機能の配置、地域資源の活用、都 市計画の適切な運用等を考慮し、全市域とします。 (2) 計画の目標年次 本計画は、平成17(2005)年を基準年次とし、将来の都市の姿を展望しつつ、第5次廿日市市総合計 画と同様の平成27(2015)年を目標年次として策定します。 なお、上位計画の改定を受けて、必要に応じて見直しを行うものとします。 ○基準年次:平成17(2005)年 ○目標年次:平成27(2015)年 ○計画期間:平成32(2020)年 (注) 基準年次は、人口など統計資料の基準となる年次で、直近の国勢調査年としています。 目標年次は、上位計画である第5次廿日市市総合計画との整合を図りました。 計画期間は、都市づくりを進める上で本計画の基本的な方針を適用する概ねの期間を示すものです。 - 2 - 施設緑地 都市公園等 ・都市公園法による公園緑地 都市公園 (街区・近隣・地区公園、運動公 園、風致公園、都市緑地等) 都市公園に 準じる緑地 ・歩行者専用道路、河岸緑地 ・児童遊園、公立グランド、 運動場、市民農園など 公共公益施設に おける植裁地等 ・道路の植樹帯、下水処理場 の付属緑地、公共建築物の 植裁地など ( 公共施設緑地 都市公園以外 ) 民間施設緑地 緑 地 【都市計画法関連】 ・特別緑地保全地区 ・緑地保全地域 ・風致地区 ・生産緑地地区 ・景観地区(緑地に関する 事項を定めているもの) ・景観重要樹木 など 【その他の法関連】 ・自然環境保全地域 ・自然公園 ・保安林 ・地域森林計画対象民有林 ・農用地区域 ・保存樹、保存樹林 ・史跡・名勝・天然記念物 等 法による地域 地域制緑地(保全緑地) 協 ・市民緑地、公開空地、公開 されている企業、社寺境内 地、民間の公園など ・緑地協定 ・景観協定(緑地に関する事 項を定めているもの) 定 ・条例・要綱等による緑地 ・協定による工場敷地の植裁 地 など 条例等によるもの 注:「新編 緑の基本計画ハンドブック」)を参考に作成。 図 緑の基本計画で扱う緑地の分類 - 3 - 4 計画策定の視点 (1) 都市づくりの基本的な視点 社会経済環境の動向に対応した都市づくりと緑のまちづくりに係る基本的な視点について、第5次 廿日市市総合計画を受けて主な事項を列記すると、次のとおりです。 ア 集約型の都市計画へ 全国的に人口減少・少子高齢社会化が加速化し、都市化社会から都市社会、成熟社会へ移行しつ つある中で、本市においても、これまでの住宅開発を背景とした人口増加による都市の成長から、 成熟社会に大きく転換することが予想され、合併に伴う市域の拡大への対応も合わせ、都市機能の 集積を促進する拠点とその他の地域を公共交通でネットワークするなど集約型の都市計画に移行す る必要があります。 都市の緑の関する施策については、地球環境問題への対応、防災機能の向上、資源の継承と有効 活用による生活の質の向上などの視点から積極的に緑地の保全、活用を図るとともに、都市公園等 の整備等について、地域における都市機能の集積を促進する視点から効果的な整備を進める必要が あります。 イ 協働型のまちづくりへ 地方分権・協働社会へ移行する中で、行政主導から市民との協働によるまちづくりを推進してい くことがより重要となっています。 このため、緑地の保全、都市の緑化等に係る施策についても、市民の理解と関心を深め、積極的 な参画を促進し、協働型の取り組みを強化していく必要があります。 ウ 計画的かつ効率的な都市計画へ 本市の財政事情は、厳しい状況下にあり、都市計画事業の実施等については、計画的かつ効率的 な取り組みが必要となっています。 このため、都市公園等の整備については、不足している都市公園の確保に努めるとともに、既存 の都市公園やレクリエーション資源の有効活用により市民ニーズに対応したレクリエーション空間 の確保を図るなど、より効率的な取り組みを進める必要があります。 (2) 計画策定の視点 都市づくりの基本的視点を踏まえて、次のような視点で計画を策定します。 ア 地域特性の活用、継承 地域資源を継承しつつ有効に活用する視点から、世界文化遺産「宮島」をはじめとする歴史的・ 文化的資源、良好な田園環境、自然環境などの地域特性を生かした個性的なまちづくりを進めます。 イ 環境・景観形成への配慮 地球環境問題への対応、都市環境の保全などを進めるため、人と自然環境との共生に向けた緑地 の保全・形成を図ります。 また、世界文化遺産「宮島」や西中国山地などの豊かな自然環境の保全、市街地内の緑の保全・ 創出などにより、良好な景観の形成を図ります。 ウ 多様な余暇・レクリエーション活動への対応 - 4 - 少子高齢化の進行などに伴い多様化する余暇・レクリエーション活動に対応し、自然とのふれ合 いの場、身近な余暇活動やスポーツ・レクリエーションの場などの確保を図ります。 この場合、既存の都市公園やレクリエーション資源の有効活用を図るなど、より効率的な取り組 みを進めます。 エ 安全・安心の確保 自然災害の防止に配慮した緑地の保全、市街地における避難空間の確保、高齢者、障害者等の利 用のしやすさや防犯に配慮した公園・広場の整備など、安全・安心の確保に配慮したまちづくりを 進めます。 オ 市民、事業者、行政の協働による緑のまちづくり 地方分権・協働社会へ移行する中で、行政主導から市民、事業者、行政の協働による緑豊かなま ちづくりを進めるため、それぞれの担うべき役割と取り組みの方向を明らかにします。 - 5 -
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