Technical Report

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SPM No.73 走査型プローブ顕微鏡
SPMスペシャルコンテンツ 『なぜ、真空中のSPM観察は有効なのか』
5.真空中SPM観察で広がるアプリケーション
2013.07
このレポートは日立ハイテクサイエンスのホームページ、SPMスペシャルコンテンツ 『なぜ、真空中のSPM観察は有効なのか』の掲載記事の一部です。
最後に、このスペシャルコンテンツのまとめと、真空中SPM観察で広がるアプリケーションをご紹介します。なお、ここまで読まれた方にとっては自明のこ
とと思いますが、AFMをベースとしたConductive-AFMやキャリア分布測定は、探針を接触させるコンタクト系のSPM測定であり、MFMやEFMは探針を試
料から非接触にして振動させるDFM系のSPM測定なので、ここではそのような分類にしています。
■1.探針を接触させるSPM測定における有効性
■4.真空中SPM観察で広がるアプリケーション
吸着水影響を排除できるため
これまで当社で相談を受けたことがある真空環境での観察要望や
●物性観察の分解能向上(探針先端に電場集中)
ユーザー様の成功事例など一部をご紹介します。
●陽極酸化の影響が無く、電気物性測定に有利
●ReRAM (Resistance Random Access Memory)のメカニズム
●電気伝導に寄与する吸着水が無く、表面リーク低減
を解明したい。表面吸着水や酸素などのない環境で評価したい。(大
●探針が上部電極を担う電子デバイスの要素評価に最適
大気中
学)
真空中
導電性探針
●大気中と真空中のC-AFM比較測定により抵抗スイッチングには、
導電性探針
酸素が必要不可欠であることがわかった。(企業)
大気ガス
●メッキの微小欠陥がその上の薄膜へ及ぼす影響について真空中
吸着水
C-AFMを使ってみたい。(セミナー・アンケート)
試料
試料
●導電性薄膜の2次元分布を調べています。環境制御SPMを使うこ
とにより、水分の影響を回避できるだけでなく、プローブの耐久性も向
試料台(下部電極)
試料台(下部電極)
上しました(セミナー・アンケート)。
図1 コンタクトAFM系の大気中、真空中SPM比較
●『(SSRMは)真空環境下で測定することで、測定表面の吸着水を
■2.探針を振動させるSPM測定における有効性
排除し、高空間分解能を得ることが出来ます。』(材料科学技術振興
財団様のホームページ)
大気ガスの粘性抵抗を排除できるため
●高Q値による電磁気計測の感度向上
●大気暴露で加水分解する高分子材料の評価のため真空中測定が
●探針高さや振動振幅がレバー振動(Q値)に影響を与えない
必須です。(企業)
●真空中ではQ値制御法により応答性と感度を容易に制御可能
●大気曝露すると表層にダメージを受ける材料について、ダメージ無
大気中
真空中
しの形状、物性観察をしたい。高真空下で表層ダメージを導電性ダイ
ヤモンド探針で削りながら電気特性が得られた。(企業)
●大気中で強誘電体の圧電応答測定(PRM)の感度が悪かったとこ
ろ、真空中測定で高感度なデータが得られた。(企業)
ガス分子
●樹脂試料に無機微粒子を分散させたナノコンポジット材料や、絶縁
試料
図2 DFM系の大気中、真空中SPM比較
■3.加熱・冷却における有効性
物ポリマーに導電性微粒子を分散した試料の物性解析をしています。
真空中で100Vバイアスオプションを用いて高電圧を印加すると、微
粒子の分散状態が良くわかりました。(企業)
●大気中では観察が困難だったナノ磁性体の磁区構造が真空中測
吸着水や大気ガス、酸素などの影響が無いため
定により明瞭に観察でき、マイクロマグネティックス計算とつきあわせ
●試料加熱時に酸化しない
た議論ができるようになった。(大学)
●試料冷却時に霜が発生しない
大気中
真空中
●電気自動車モータ等に使用する磁石開発、酸素の無い環境で加
酸化膜
熱しながら磁区観察をしたい。(企業)
試料
加熱
試料
加熱
図3 試料加熱時の大気中、真空中SPM比較
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