一 般 監 査 報 告 書 - 国土交通省 中国地方整備局

平成27年度
一 般 監 査 報 告 書
( 概 要 )
平成28年3月
中国地方整備局
-1-
第1 一般監査の実施について
ⅰ)監査の実施
一般監査(会計監査を除く)は、地方整備局監査規則(以下「監査規則」という。)
第2条の規定に基づき、事務の合理的運営、官紀の保持及び不正行為の防止に資す
ることを目的とし、監査規則第6条の規定に基づき定期的に実施している。
今年度は「平成27年度一般監査実施計画」に基づき12事務所等を対象に実施
した。
ⅱ)監査の実施項目
Ⅰ.全地方整備局共通重点項目
1.コンプライアンス(推進計画の取組について)
Ⅱ.中国地方整備局の重点項目
1.行政情報の管理等について
2.適正な業務執行の取組状況について
3.職員の健康安全管理の取組状況について
4.入札・契約事務の適正な執行状況及び不正行為防止の
取組状況について
ⅲ)一般監査実施事務所
監査実施事務所は、以下のとおりである。
鳥取河川国道事務所、日野川河川事務所、岡山河川事務所、岡山国道事務所、
福山河川国道事務所、太田川河川事務所、広島国道事務所、土師ダム管理所、
弥栄ダム管理所、八田原ダム管理所、岡山営繕事務所、宇野港湾事務所
第2 一般監査の結果(概要)について
Ⅰ.全地方整備局共通重点項目
1.コンプライアンス(推進計画の取組について)
国家公務員は、透明かつ公正な行政運営・円滑な推進を図るべく倫理を保持し、
いやしくも不正な行為を行い、国民の信用を失うことのないよう官紀の厳粛な保持
が求められているところであり、更には、一層の行政の効率性及び透明性を高め、
国民の信頼を確保する必要がある。
官紀の保持については、これまでも機会あるごとに注意喚起が行われ、発注者綱
紀保持規程等の改正や再発防止に向けての取り組みが強化されているところである
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が、平成24年10月、公正取引委員会から、四国地方整備局職員による入札談合
等関与行為が繰り返し行われていたとして、国土交通省に対し、改善措置要求及び
再発を確実に防止するための効果的な改善措置を講ずるよう要請が行われた。その
後、直ちに「高知県内の入札談合事案に係る再発防止対策検討委員会」が設置され、
本委員会の調査審議を経て、平成25年3月には本事案に係る調査報告書がまとめ
られた。同報告書において示された再発防止対策を踏まえ、入札談合等関与行為の
再発を確実に防止する観点から、省全体、組織を挙げての取り組みが続けられてい
る。
中国地方整備局では、毎年次「コンプライアンス推進計画」を作成する方針のも
と、平成27年度中国地方整備局コンプライアンス推進計画(平成27年3月)及
び中国地方整備局コンプライアンス推進本部長(局長)から「本部長指示」を発出
(平成27年4月)し、取り組まれているところである。
このような状況から、全地方整備局の共通重点項目として掲げられた「コンプラ
イアンス(推進計画の取組について)」に関する監査を以下のとおり実施した。
(1) 職員のコンプライアンス意識の醸成について
職員のコンプライアンス意識の醸成については、「推進計画」において、平成
27年度計画の「はじめに」では、「職員ひとり一人が適正に職務を行うために
は、国家公務員法、国家公務員倫理法、発注者綱紀保持規程等の関係法令を正
しく理解するとともに、これらのコンプライアンスに関するルールができた背
景を知り、その遵守の必要性を十分理解した上で、コンプライアンス意識を持
ち続けることが必要であり、そのためには研修や職場での啓発活動等を繰り返
し行うことが重要である。平成27年度は、これまでの取り組みの継続を基本
としつつ、職員ひとり一人がコンプライアンスを自分自身のこととして、高い
意識を持って行動できるようにすることを主眼において、取り組みを行ってい
くこととする。併せて、上司が部下とのコミュニケーションを図り、不当行為
は絶対に容認しないという姿勢が部下に伝わるような職場作りや、職員を孤立
化させない風通しの良い職場環境を作るように取り組んでいくことが重要であ
る。」としているところであり、その取組状況について監査を実施した。
① コンプライアンス出前講座への参加状況
本部長指示において、「(略)出前講座に原則全員参加させること(略)、全
職員が受講できる機会を確保すること(略)、受講履歴を整備すること(略)」
とされている。
各事務所及び各管理所(以下「各事務所等」という。)における平成26年
度に行われたコンプライアンス出前講座では、副所長又は総務課長のフォロ
ーアップ講座を含めて100%参加を確認し(各事務所等で個人別の受講履
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歴表を整備し、未受講者のフォローアップ講座を実施)、平成27年度につい
ても同様の方針であることを確認した。
② コンプライアンス・ミーティングへの参加状況
本部長指示において、「(略)副所長を含め所属職員全員を参加させること
(略)。テーマの選定にあたっては、身近な事例を活用するなど、所属職員が
自分自身の問題として考えられるようにすること。さらに、ミーティングの
運営にあたっては、職員ひとり一人が考え、できるだけ多くの者が発言でき
る機会をつくって、より活発な意見交換を行うこと」とされている。
各事務所等におけるコンプライアンス・ミーティングについては、平成2
6年度は年4回実施され、平均参加率は約98%であった。また、平成27
年度も4回の実施が予定されているなかで、第2回終了時点での平均参加率
は約98%となっており、計6回とも参加率100%は3事務所あったこと
を確認した。
(事務所等における主な取組)
○
所課長会議で事前ミーティングを実施することにより、内容の理解力
と指導技法の質を高めることにより、各課でのミーティングの充実を図
っている。
また、ミーティング終了後の実施状況の報告を踏まえ、ミーティング
ポイント等について独自に整理したものを全職員にメール発信すること
で、より細やかなフォローアップを行っている。
○
ミーティングでの活発な議論を促す試みとして、ミーティングのグル
ープ分けについて、役職別グループ等を採用して取り組まれている。
○
事前に所課長会議で事前ミーティングを実施し、個別テーマに対する
運営方法、想定問答等について議論されミーティングの充実化を図って
いる。
これらの取り組みは、ミーティングの役割・効果を高めるものである。
③ 事務所等におけるコンプライアンス意識向上のための取組状況
各事務所等では、所課長会議等を通じて事務所長等から注意喚起発言、不
適切・不祥事事例の紹介や各種の情報提供を定期的に行い、これを受け所属
長等から所属職員への周知がなされていた。
(事務所等における主な取組)
○
推進計画に基づき、事務所のアクションプランを定め、年度当初に所
属職員に周知し着実に実行できるよう取り組んでいる。
○
定時退庁日メールに併せてコンプライアンス情報を発信し、コンプラ
イアンス意識の醸成に努めている。
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○
「国家公務員法による処分」と題して、事務所独自の勉強会を実施し
ている。
○
コンプライアンス講習会を実施している
(講師:弁護士、テーマ:「コンプライアンスの落とし穴∼最近の事案を
参照しながら∼」)。
(講師:新日本海新聞社、テーマ:「マスメディアから見た公務員」)。
(講師:公正取引委員会、テーマ:「入札談合の防止に向けて∼独占禁止
法と入札談合等関与行為防止法∼」)。
(2) 事務所のコンプライアンス指導者の育成について
本部長指示において、「(略)管理職研修又はコンプライアンスセミナーを受
講した副所長又は課長を、事務所内のコンプライアンス推進のための取組みに
積極的に活用すること」とされているところであり、その活用状況を確認した。
(事務所等における主な取組)
○
研修や講習会を受講した職員が、所課長会議等での受講報告や所内勉強
会の実施、資料回覧等による周知を行っている。
○
指導者が事前ミーティング或いは事前打合せの場で、司会役を務めたり、
ミーティングの運営方法の助言を行う等の取り組みが行われている。
○
指導者が、各所属のミーティングに参加し、司会役を務めたり、助言を
行う等の取り組みが行われている。
○
指導者が、事務所独自のコンプライアンス・ミーティングのテーマ作成
に参画させる取り組み等を実施している。
なお、各事務所等において、部下指導やコンプライアンス推進の実務者とし
ての積極的な活用を一層図っていくことが望まれる。
(3) 発注者綱紀保持及び公務員倫理の徹底について
本部長指示において、「事務所内の定例会議等を活用して、職員ひとり一人が
発注者綱紀保持規程、国家公務員倫理法や倫理規程において「職員が遵守すべ
き事項」や「責務」について正確に理解させるように取組みを行うこと(略)」
とされている。
① 職員に対する発注者綱紀保持規程の周知徹底の取組状況
各事務所等では、所課長会議等においてコンプライアンス推進計画・本部
長指示、発注者綱紀保持規程・マニュアル等の関係資料を配付、周知し、所課
長から部下職員への周知徹底されていることを確認した。
また、セルフチェックについては、各事務所等において全職員が実施し、
全職員に回答及び解説等によりフォローアップされていることを確認した。
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②事業者等との対応
本部長指示において、「事業者等との応接方法については、発注者綱紀保持
マニュアルの第5条関係に基づき行うことを、全職員に改めて周知徹底する
こと」とされている。
各事務所等において、事業者等との応接については本所各課・出張所にオー
プンな打合せテーブル等の接客スペースを確保して、適切な応接が行われて
いることを確認した。また、副所長室の相部屋化等(一部大部屋化)を実施
し、適切な応接が行われていることを確認した。
③事業者に対する協力依頼
本部長指示において、「事業者団体等との会合や、事務所ホームページ掲載
などで、事務所のコンプライアンスに対する取組みを紹介する等により、事
業者に協力を求めること。また、執務室への入室に当たっての協力依頼の掲
示等を徹底し、事業者に協力を求めるとともに、掲示内容に反した事業者等
の入室がないかなどの点検を定期的に行うこと。」とされているところであり、
その取組状況について監査を実施した。
各事務所等において、事業者に対する協力依頼については、庁舎玄関ロビ
ーや執務室出入り口に掲示を行い周知を図り、執務室への入室を制限してる
こと、また、一部の事務所等では事務所HPに事業者への協力依頼のバナー
を設けて、外部へも分かり易く広報していることを確認した。
(4) コンプライアンス関係通報窓口の周知と適正な運用について
本部長指示において、「違反行為の未然防止や事態の深刻化回避のために設置
されたコンプライアンス関係通報窓口への通報について、全職員に対してその
重要性を理解させるとともに、通報した職員が不利益な取扱を受けることがな
いことについて周知徹底を図ること、また、コンプライアンス・カード等を常
時携帯し、活用すること」とされている。
各事務所等において、所課長会議等を通じてコンプライアンス関係通報窓口
の周知が図られており、コンプライアンス・カード及び国家公務員倫理カード
の配布並びに常時携帯等の周知が行われていることを確認した。
特に、コンプライアンス・ミーティングの機会を有効的に活用し、窓口
の周知及びコンプライカード等の携帯確認を多くの事務所等で取り組まれてい
た。
Ⅱ.中国地方整備局の重点項目
1.行政情報の管理等について
適正な行政文書の管理は、情報公開制度の基本であり、「行政機関の保有する情
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報の公開に関する法律(平成11年5月)」が施行され、国民が行政機関の保有す
る情報を請求し、これらの情報を自由に得る権利が明文化されていることから、こ
の法律の適正かつ円滑な運用に資するため、行政文書を適正に管理する必要がある。
また、行政機関が保有する情報の漏洩は、関係者に対して不利益を与えるだけで
はなく、行政事務の遂行に支障を生じさせるおそれがあることから、情報セキュリ
ティの確保等情報管理の徹底に努める必要がある。
これらのことから、
「行政文書の管理・保管」、及び「情報セキュリティポリシー」
に関する取組状況について監査を実施した。
(1) 行政文書の管理・保管について
行政文書の管理・保管については、平成23年4月に「公文書等の管理に関
する法律」が施行され、行政文書の作成及び保存・管理が義務化・厳格化され
たことに伴い、保存期間が1年以上の行政文書はすべて「一元的文書管理シス
テム」に案件を登録することとなっている。
本年度の監査においては、行政文書管理規則の周知状況、一元的文書管理シ
ステムへの登録状況、文書保存期間満了後の廃棄等措置及び電子決裁の実施状
況等について監査を実施した。
一部の事務所を除き各事務所等においては、文書管理規則の周知、規則の文
書保存期間満了後の措置については、廃棄又は延長措置が適正に行われていた
が、一部の事務所においては、行政文書管理規則の一部が未周知であったこと、
廃棄手続きの協議が完了していなかったことから実廃棄が行われていなかった
ため適切に行うよう指導した。
その後、該当事務所では、規則の周知、実廃棄の処理手続きを進めている。
「一元的な文書管理システム」による文書管理状況については、すべての事
務所等において受付及び起案が行われているものの、一部の課や出張所におい
て文書登録を含め文書管理に至るまでの必要事項の入力がなされていなかった。
この原因の一つとして、「一元的な文書管理システム」の理解不足があると考え
られたため、これらの事務所等に対しては、システム登録の必要性や操作方法
について、説明会の開催等による認識向上の取り組みを指導した。その後、事
務所等では、本局担当者による「一元的な文書管理システム」についての説明
会の開催や、所課長会議等やメールでの指導周知による認識向上の取り組みを
実施した上で、システムへの登録が進められている。なお、紙ファイルにて作
成した行政文書の登録については、全ての事務所等において登録がされていた。
電子決裁については、総務省の「電子決裁推進のためのアクションプログラ
ム」において、平成27年度までに電子決裁率60%の目標を掲げているが、
中国地整の実施状況をみると、一部の事務所においては「決裁・供覧の扱い」
を独自に定め運用されていたが、他の事務所においては、全体的に取り組みが
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遅れていることから、今後積極的な利用の促進を行うよう指導した。
その後、当該事務所では、総務課が中心となって利用の促進を呼びかけるな
どし、利用率の向上が図られている。
(2) 情報セキュリティポリシーについて
情報セキュリティ対策については、
「国土交通省情報セキュリティポリシー(平
成18年4月)」及び「中国地方整備局情報セキュリティポリシー実施手順書(平
成27年10月)」に基づく情報セキュリティ対策のうち、情報セキュリティに
係る連絡体制等の整備状況、情報システム機器室の整備及び入退室管理の状況
並びに各種端末の運用管理の状況などの情報セキュリティ対策の実施状況につ
いて監査を実施した。
情報セキュリティに係る連絡体制等の整備状況については、一部の事務所等
において、担当者等一覧表の整備や関係者周知が未実施であったが、速やかに
整備され、周知がなされた。
情報システム機器室の整備及び入退室管理については、すべての事務所等で
施錠管理等による物理的対策を確認できた反面、ほとんどの事務所等で入退室
管理が不十分であった。また、一部事務所等ではサーバ等の耐震固定が不十分
なものが確認された。これらについては、入退室管理記録の見直しやベルト固
定により、そのすべてにおいて改善措置がなされた。
各種端末の運用管理については、セキュリティワイヤーによる措置や予備機
の保管は適切に行われていた。なお、一部の事務所においてPCの持ち出し手
続きが適切に実施されていなかったが、規定様式による申請許可手続きへ改善
が図られた。
その他、情報セキュリティ対策に関する周知等については、所内職員への周
知が適切に実施されており、情報セキュリティに関する情報共有が図られてい
た。
(事務所等における主な取組)
○
情報システム機器室等への立入作業者に「入室作業許可証」(プレート)を
貸与・明示させ、区域管理の措置を講じている。
2.適正な業務執行の取組状況について
国の公共事業の実施に対して国民の厳しい目が向けられ、適正かつ効率的な事務
の執行が求められるなか、国土交通省においても、所管事業の執行に当たっては、
「平成27年度国土交通省所管事業の執行について(平成27年4月)」が発出さ
れ、施行方針において、節減合理化等の効率的な執行、事業実施における執行の円
滑化、用地補償の適正な実施、公共工事の適切な計画・設計・施工に努めるととも
に、各段階において説明責任を確保しつつ、事業の推進を図ること等が求められて
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いるところである。
こうした状況のなか、より一層、適正かつ効率的な業務の執行を進めていく必要
があることから、「業務委託・業務請負の適正な執行管理」、「自操運転の適正な運
行」、
「庁舎の適正な管理」、
「女性職員活躍と職員のワークライフバランスの推進」、
「業務改善に向けた具体的な取組状況」、「事業の効率的な執行」、「用地取得に係る
不正防止対策の取組状況」、「漁業補償業務の実施状況」、「広報・広聴の取組状況」
及び「許認可に関する事務処理状況」について監査を実施した。
(1) 業務委託・業務請負の適正な執行管理について
①業務委託(車両管理業務)
車両管理業務実施に係る内容について、請負業務としての執行に不適切な
事項(偽装請負)があるという指摘があるなか、所轄の労働局から是正指導
を受けるという事態が発生した。
この全国的な課題に対処するため、大臣官房地方課長から「車両管理業務
委託の適正化のための具体的措置について(平成21年4月)」に基づく監査
を実施した。
各事務所等において、委託車使用管理体制の整備、業務指示系統の確立の
状況、委託車利用ガイドライン等の所内職員への周知状況及び遵守の状況等
について監査を実施したところ、適切に措置されていた。更に、各職員は車
両管理業務の受託者の運転手へ直接指示ができないこと或いは運行時の変更
手続の流れ等を委託車両に掲示することで周知徹底されていた。
また、車両管理業務における事務の流れ(平成22年1月)に基づく適正
な事務処理がされていることを、使用伝票、運行計画書(変更を含む)、業務
打合せ簿等の各種資料により確認するとともに、一部の事務所等では車両運
行責任者を置いて効率的な事務処理を行っていた。
②業務請負(発注者支援業務等)
発注者支援業務等の執行に関して、適正な業務の執行がこれまで以上に求
められているため、各事務所等における措置取組について監査を実施した。
業務請負においては、職員から担当技術者へ直接指示を行わないこと、担
当技術者は管理技術者からの指示のみにより業務を履行することの取組につ
いて、所内で情報を共有して周知徹底が図られていることを確認した。
各事務所等(港湾空港関係を除く)においては、事務所と受注業者との意
見交換会を定期的に実施、県労働局から講師を招いての講習会などにより、
当事者間の意識の向上、情報共有を図っていることの確認を行い、担当課長
等より関係書類をもとにサンプリング聞き取り調査(各事務所1件抽出)を
行った結果、何れも適正な処理であることを確認した。
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(2) 自操運転の適正な運行について
自操運転については、「専任の自動車運転手以外の職員の官用車運転取扱要領
(平成21年1月)」により、「官用車の効率的な使用及び管理を行うとともに、
交通災害の防止を図る」こととされている。近年、職員の自操運転の機会が増
え、それに伴い事故可能性も増加傾向にあることから、同要領の取組状況につ
いて監査を実施した。
各事務所等において、自操運転者登録名簿の作成、職員の異動などに伴う更
新、自操運転者による車両点検の実施、職員への「交通事故等対応マニュアル」
の周知及び官用車への備え付けの状況等について監査を実施したところ、各事
務所等とも適切に行われていた。
例えば、大半の事務所等において官用車を使用する際には、総務課において
使用職員に「鍵、伝票・点検表、交通事故等対応マニュアル等」を一式にして
手渡すなど、安全運転意識を高めていた。
さらに、複数の事務所では、使用伝票に「運転免許証所持、アルコールチェ
ック、マニュアル携帯版所持及び車両点検票」等の各項目を設け自操運転者の
確実な実行を促していた。
(事務所等における主な取組)
○
使用伝票に「免許証所持、アルコールチェック、マニュアル携帯版及び
運行前車両点検表」等の各欄を設け自操運転者の自覚を促していた。
○
事務所独自で「安全運転だより」を定期的にメールで発信し、安全運転
の啓発に努めていた。
〇
職員の運転に対する安全意識の維持・向上のため、警察署交通課所属の
警察官による講習を事務所、出張所でそれぞれ年 1 回行っていた。
(3) 庁舎の適正な管理について(港湾空港関係)
庁舎の管理は、庁舎等における秩序の維持を図り、かつ、災害の防止に資す
ることを目的とした「国土交通省庁舎の管理に関する訓令(平成13年1月)」
等により行っているところである。
今回監査を実施した事務所において、庁舎等管理責任者の代理者等の表示、
避難訓練の実施、消防設備等の整備などについて監査を実施したところ、おお
むね適切に行われていることを確認したが、消火栓前にテレビ台が置かれてお
り、消火栓扉がすぐに開けられない状態となっていたため、改善するよう指導
し、その後、改善済みであることを確認した。
(4) 女性職員活躍と職員のワークライフバランスの推進について
政府全体としての「国家公務員の女性職員活躍とワークライフバランスの推
進のための取組指針」を受けて、「女性職員活躍とワークライフバランスの推進
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のための国土交通省取組計画」が策定され、取り組みを職場全体で進めていく
こととされている。
監査では、取組計画の周知状況、女性職員の環境整備への取組状況を監査し
た。
周知については、全ての事務所等において、取組を職場全体で進めるという
趣旨を踏まえ、所課長会議或いはメール等により全職員に周知されていた。
また、女性職員が働きやすい職場とするため、大半の事務所等において、女
性職員との意見交換会や座談会を開催し、要望や意見等を聞く場を設ける取り
組みを行っていることを確認した。
(5) 業務改善に向けた具体的な取組状況について
平成24年10月策定の「国土交通省業務改善計画」において、行政改革の
一環として、非効率な業務の見直し、意思決定プロセスの見直し及び身近な無
駄の排除について、それぞれの取り組みを速やかに実施に移すとともに継続的
に取り組んでいくこととされ、整備局においても、業務運営の効率化やより重
要性の高い業務への重点化等の業務改善を図ることとしている。
今回、具体的取組の提案状況及び具体的な取組状況について監査を実施した。
各事務所等においては、所課長会議等で業務改善に向けた具体的な取組の提
案について議論し、平成26年度及び平成27年度においてあらゆる面から提
案がなされていた。
また、速やかに取り組むものとして通知された「効率的な決裁手続きの推進」、
「電子メールによる情報伝達に関するガイドライン」及び「会議の効率化に関
するガイドライン」について、所属職員に周知徹底し具体的に活用され、他に
も事務所独自の取り組みも図られていた。引き続き、業務改善に向け積極的な
取り組みが求められる。
(事務所等における主な取組)
○
事務所懸案事項・打合せ記録簿等の情報について、一元的文書管理シス
テムの電子供覧機能(並列機能)を利用した情報共有の迅速化が図られて
いる。
○
事務所長決裁については、決裁タイムの設定や決裁予約表を備え付け呼
び込みを行うことにより決裁待ちの解消が図られている。
〇
各種会議や打合せ等の議事録を電子化し、一元管理することで、情報共
有の迅速化及び検索性の向上が図られている。
(6) 事業の効率的な執行について
事業の効率的な執行については、「平成27年度国土交通省所管事業の執行に
ついて(平成27年4月)」において、事業実施における執行の円滑化、公共工
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事の適切な計画・設計・施工に努めるとともに、各段階において説明責任を確
保しつつ、事業の推進を図ること等が求められている。また、監督・検査につ
いても、より的確な実施に努めることとされている。
また、工事事故については、平成26年度の中国地方整備局(港湾空港関係
を除く)の事故発生状況をみると23件(文書注意以上の措置を受けたもの)
発生しており、過年度より減少傾向にあるが、工事を施工する受注者の取り組
みだけでなく発注者として工事事故防止対策に努めていく必要があり、関係業
団体等への事故防止対策に関する取組状況や事故発生時の報告状況について監
査を実施した。
① 事業の効率的な執行のための事務所等の取組体制について
各事務所等において、事業マネジメント会議、事業監視会議、工程会議、
定例会等を適時開催することにより、計画、設計、用地、工事、管理の情報
の共有化、予算実施状況の確認及び各担当部署間の調整が図られている。
(事務所等における主な取組)
○
1回/月に幹部定例会(主任監督員含む)において工事進捗報告会を
実施し、工事工程の確認、現場における課題の解決について情報共有を
図っている。
○
1回/月に全課の進捗・懸案について担当課長が説明し、情報共有を
図っている。
○
1回/月改築事業において、発注者・設計者・施工者で構成する現場
推進会議を開催し懸案事項の解決、進め方の確認を図っている。
○
1回/週、週間工程会議を開催し、工事関係者間で作業形態や作業項
目について情報共有を図っている。
② 職員の技術力の向上、業務改善・効率化について
各事務所等においては、年間計画を立てて、各種勉強会、現場視察、施設
点検、管理施設の操作訓練、工事検査や安全パトロール等に若手職員等を参
加させるなど、実務の中で設計施工、管理保全、災害対策等の求められる能
力の向上に取り組んでいる。
③ 工事事故防止等の取組について
建設工事事故防止実施状況については、各事務所等において、安全協議会
等を通じた工事関係者への情報提供や監督職員等への工事事故防止に関する
文書・資料等の周知がされており、一部の事務所ではあるが、受発注者間で
合同パトロールが実施されていた。
また、事故発生時において、状況把握、原因究明、再発防止策など、安全
管理・安全対策の向上に取り組んでいた。
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工事事故発生時の事故調査委員会の実施、本局への報告及び工事事故デー
タベースへの登録については、大半の事務所において適切に実施されていた
が、岡山河川事務所においては、登録対象にもかかわらず登録されていない
状況であったため指導をおこなった。
その後、当該事務所においては、発注担当課及び出張所に対して登録対象工
事及び登録方法について周知が図られている。
(事務所等における主な取組)
○
事務所、労働基準監督署、受注者と合同パトロールを実施し、工事事
故対策に取り組んでいる。
○
自治体、建設業界等が参加する建設工事関係者連絡会議に参加し、工
事事故防止に取り組んでいる。
○
事務所として広島県土木施工管理技士会の継続学習制度(CPDS)
の認定を受けた「工事における安全対策ミーティング」を受注者に対し
講習を行い工事事故対策に取り組んでいる。
〇
労働災害防止大会を開催し、工事関係者の安全意識向上に取り組んで
いる。
④受発注者のコミュニケーションについて
三者検討会(三者会議)や設計変更審査会(現場推進会議)の実施状況は、
大半の事務所等において適宜実施されていたが、一部の事務所等においては、
受注者側からの申し入れが無かったことから開催実績がなかった。平成26
年9月より原則、変更契約を行うすべての工事において実施(簡易な工事、
数量の精算などの変更内容は除く)する事となっており、透明性、公平性の
観点から有効であることから積極的に取り組むよう指導し、実施されていな
かった事務所からは今後は、受注者の意向を確認し実施を呼びかけることと
している。
また、業界団体とのコミュニケーションについては、大半の事務所におい
て、年1回程度、各種団体(建設業協会、施工管理技士会、安全協議会、埋
立浚渫協会等)と課題の調整や情報の共有を図っていた。
⑤抽出工事【各事務所等1∼3工事抽出】における監督・検査の実施状況につい
て
各事務所等において、工事監督における段階確認や技術提案等の履行確認
状況を確認したところ、対象となる工事において、すべての事務所で適切に
実施されていた。
工事書類の簡素化に関連する「土木工事書類作成マニュアル」に基づく作
成や提出状況について確認したところ、すべての工事においてはマニュアル
に基づき適切に実施されてた。
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工事完成検査時の書類の簡素化となる電子検査の実施状況については、工
事着手前に「発注者へ提出、提示する書類の種類」、「紙と電子の別」に関し
てすべての工事が適切に事前協議が実施されていたが、大半の事務所等にお
いて、受注者側の判断により「紙」が用意されていたことから「紙」検査で
実施されていた。また、事前協議に基づかない場合は、変更協議することに
なっているが、未協議であった。
この原因としては、受注者側が電子検査に不慣れなことから、検査におい
て検査官の心証が悪くならないようにするための配慮から「紙」が用意され
ており、結果として事前協議に基づかない検査となっている。今後とも事前
協議書に基づく積極的な電子検査の適用が望まれ、各事務所等において、後
日、受注者及び監督職員に対し電子検査の促進が周知されている。
また、港湾空港関係の事務所において、工事書類の簡素化に関連する「港
湾工事共通仕様書」及び「港湾工事施工監督指針」に基づく作成や提出状況
について確認したところ、適切に実施されていた。
(7)-1 用地取得に係る不正防止対策の取組状況について(港湾空港関係を除
く)
用地取得に係る不正防止対策については、以前から再発防止に取り組んでい
たところ、九州地方整備局管内の用地補償における不正事案に端を発した「用
地取得の不正防止対策の的確な実施について(平成23年2月)」を受けて、「用
地取得の不正防止対策について(平成23年3月)」が通知され、従前の取り組
みの徹底及び多段階におけるチェックなど、新たに取り組むべき事項が追加さ
れている。
また、用地取得における見積書の徴収による補償金額の算定等について、改
善の必要な事象が確認されたことから、「用地取得業務の適正な実施の徹底につ
いて(平成27年4月)」により、見積書の徴収に係る適正な事務処理を徹底す
ることとされたところであり、その取組状況について監査を実施した。
各事務所においては、年度当初及び用地業務発注前の現地踏査により土地・
建物等の概況を把握し、その上で業務成果品や土地・物件調書と照合し補償金
算定調書の決裁時等においてクロスチェックが行われていること、補償金算定
調書の事務所長決裁後に、別途、損失補償協議書の決裁を得たうえで関係者に
金額提示を行っていること、用地交渉は2名以上で行い、用地交渉記録簿は交
渉に当たった職員が共同で作成していること、契約締結の決裁時には事務副所
長から補償金明細表の補償額との照合確認を受けていること、機械設備の見積
書の徴収に際しては、妥当な見積依頼先を選定し、その理由を書面で整理する
ことなど、適切に取り組んでいることを確認した。
- 14 -
(7)-2 漁業補償業務の実施状況について(港湾空港関係)
今回の監査対象期間に漁業補償関係の業務は該当するものがなかったが、水
島橋梁事業に係る中電の電柱移設の補償業務が実施されていたため、これに関
する補償業務について、その実施状況について監査を実施した。
補償に関する資料について、鍵付きの保管庫にて、適切に管理できているこ
と、打合せ時には、必ず最低 2 名体制を確保しており、必要に応じて関係課に
も随行してもらうなど適切な体制で臨んでいることを確認した。また、議事録
については、打合せに参加した係長が作成し、同席した補償調整官と担当課職
員とでチェックを行うようにしており、適切に作成できていることを確認した。
見積を依頼する際には、条件の記載と図面を添付することで、条件明示が適
切に行われていることを確認した。また、見積金額の妥当性を示す根拠につい
ては、資料を作成した後、本局補償班へも確認をとるなど、適切に作成できて
いることを確認した。
(8) 広報・広聴の取組状況について
中国地方整備局の事業や施策の意義、重要性、目的、及び内容等を広く一般
に広報し、多様化するニーズの把握、事業に対する問いかけ、及び事業や施策
の評価等のための広聴を実施することとして、中国地方整備局広報・広聴実施
方針を策定している。今回の監査では、実施方針に基づく取り組みやホームペ
ージの更新状況等について実施状況を確認した。
①マスコミや地域との連携強化を通じた、効果的・効率的な広報・広聴の推進
について
各事務所等において、管内(流域)の自治体や商工会議所、報道機関、市
民代表等との意見交換会や、講演会、ワークショップ、現場見学会、イベン
トを通じて、業界団体や地域住民と良好な関係を構築し、事務所の特性を活
かした積極的な事業PRを実施していた。
②広報・広聴能力の向上につながる取組
各事務所等において、年間広報計画に基づき、若手職員による各種事業の
広報資料作成や出前講座の実施、定期広報紙の記事構成検討会など、記事に
する側を意識した広報に対する取り組みが行なわれていた。また、本局主催
の広報セミナーや危機管理広報セミナーに職員を出席させ、広報・広聴能力
向上に取り組まれている。
(事務所等における主な取組)
○
実際の記者発表資料を用いた広報資料の作成ポイントや掲載記事の分
析結果を用いての広報勉強会を実施
○
岡山シティーFMレディオモモと契約し、担当業務を市民にわかりや
- 15 -
すく伝えるための若手職員のラジオ出演を実施
○
ラジオ緊急情報システムを利用し、若手職員が災害や降雪時の緊急情
報放送を実施。
○
FMチュ−ピー防災情報用に事業内容について番組作成実施。
○
水島港橋梁事業という大きなプロジェクトを材料として、事務所ホー
ムページに事業の進捗状況を掲載し、毎月情報更新を実施。
③ホームページの更新やチェック体制について
各事務所等において、ホームページ管理者のチェックを踏まえ、新着情報、
記者発表資料、道路工事情報等、リアルタイムな情報は随時、適切に更新さ
れているが、過去に外部発注により作り込んだコンテンツにおいては様々な
手法で作成されていることから、職員では対応できない状況もあり、一部の
事務所等においては、水位データの未更新、事業箇所紹介・管内図が古い、
申請窓口や施設面積の未変更がある等、適切に更新・管理がなされていない
ものが見られた。その後該当事務所においては、ソフト購入により職員での
対応、外部発注により更新し、閲覧者に的確な情報を発信することとしてい
る。
④新聞等の媒体利用や広報への工夫について
各事務所等において、記者発表以外の工夫として、イベントでの広報、新
聞紙面の活用、事務所広報誌(出張所便り等含め)や自治体広報誌の発行や
活用を通じて地域に身近な事業紹介や情報提供をおこなっている。
また、地整 Facebook、FM放送、ケーブルTVを活用したタイムリーな情
報発信が行われていた。
(9) 許認可に関する事務処理状況について(港湾空港関係を除く)
許認可等の行政手続については、透明性、公正の確保を基本理念とし、適正
に実施することが必要であり、また、国民の信頼を確保し、国土交通行政の円
滑な推進を図るためには、行政サービス向上の観点から効率性や透明性を高め
ることが重要であることから、行政手続法に基づく許認可事務の処理状況につ
いて監査を実施した。
河川法に基づく申請から許可処分までの標準処理期間は、「許認可申請窓口対
応マニュアル(平成7年3月)」により、2ヶ月(事務所長専決のもの)とされ
ているところであり、河川法に基づく処分権限のある8事務所等において、適
切に処理されていた。
道路法に基づく申請から許可処分までの標準処理期間は、「道路法第24条の
承認及び第32条の許可並びに第91条第1項の許可に係る標準処理期間の基
準について(平成10年9月)」により、2∼3週間とされている。道路法に基
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づく処分権限のある4事務所において、道路法第24条の承認、第32条の新
規及び変更の許可はおおむね適切に処理されていた。しかし、第32条の更新
許可については、一部の事務所において1∼2週間程度の遅れが生じていたが、
更新確認用ハガキの発送・返信期限の時期の工夫や副申書類ボックスでの可視
化により停滞状況を把握しやすくするなどの対策を図っている。
また、占用料未納債権の拡大を防止するとともに、国の債権管理の適正を期
すため、占用料の全部又は一部の納付義務を果たさない占用料滞納者には、占
用許可の不更新等の措置を徹底することとされている。道路法に基づく処分権
限のある4事務所において、当該趣旨に基づき適正に処理されていた。
今後とも、行政手続法等の趣旨を踏まえ、また、行政サービスの観点から迅
速な処理が求められる。
3.職員の健康安全管理の取組状況について
「職員の心身の健康を確保し、生きがいのある充実した生活の実現を図ることが、
勤務能率を増進するとともに、活力ある行政の基盤ともなるものである」として、
福利厚生施策を推進するに当たっての基本的な方針を示した「国家公務員福利厚生
基本計画」においては、職員の健康の保持増進対策として、①心の健康づくり、②
超過勤務縮減の推進等、③業務等に応じた健康管理対策、④生活習慣病対策、⑤喫
煙対策、⑥職場の環境衛生対策等に重点を置いて推進することとされている。
中国地方整備局においても従前よりあらゆる場面において取り組んできたところ
であるが、職務内容の多様化・複雑化等により職員の疲労やストレスが増加してい
くものと考えられることから、「超過勤務の縮減」及び「メンタルヘルス対策等」
に関する取組状況について監査を実施した。
(1) 超過勤務の縮減に関する取組状況について
超過勤務の縮減については、
「超過勤務の縮減に向けた当面の取組について(平
成22年5月)」及び「超過勤務の縮減及び年次休暇の計画的使用の促進につい
て(平成19年4月)」等により、その一層の徹底及び推進が求められている。
各事務所等では、所課長会議等において超過勤務実施状況等の情報共有を図
り、超過勤務縮減のための取り組みが行われ、また、管理職員による超過勤務
の事前命令・事後確認を徹底するとともに部下職員の業務執行状況を把握する
など、適切な勤務時間管理に努めていた。また、定時退庁については、定時退
庁日の庁内放送やメール送信などを実施するとともに、所課長会議等において
定時退庁状況の報告、定時退庁日にやむを得ず超過勤務を命令する場合は事務
所長等への報告を徹底するなど定時退庁の促進及び習慣付けを行い、週休日・
休日勤務の抑制については、事務所長等への事前報告が徹底されていた。さら
に、定期的に「年次休暇使用計画書」を作成することにより、夏季休暇や年次
- 17 -
休暇の取得促進に取り組んでいた。平成26年度における夏季休暇の取得率は
ほぼ100%であったが、年間の年次休暇の取得状況について、取得日数が極
端に少ない職員(5日未満)が、約17%見受けられた。
引き続き、超過勤務縮減の一層の徹底及び促進と年次休暇の計画的使用の促
進を図ることが求められる。
(事務所等における主な取組)
○
10月の国家公務員健康週間を事務所独自の超過勤務縮減キャンペーン
週間とし、定時退庁の促進や超過勤務抑制に取り組んでいる。
(2) メンタルヘルス対策等に関する取組状況について
メンタルヘルス対策については、「国家公務員福利厚生基本計画」の「心の健
康づくり」において、「職場環境の変化、職務内容の多様化・複雑化に伴う職員
のストレス要因の増加にかんがみ、職員一人ひとりの心の健康の保持増進、心
が不健康になりつつある職員及び心が不健康になった職員への早期発見・早期
対応、円滑な職場復帰の支援と再発防止、増加傾向にある自殺の防止等に留意」
しつつ、「体系的な教育の実施」等「心の健康づくりの充実を図る」こととされ
ている。特に、職員の心の健康づくりは、管理職員の職場マネジメント業務の
一部であることから、管理職員を対象とした教育を徹底することが求められて
いる。
また、平成16年3月に人事院が定めた「職員の心の健康づくりのための指
針」においても、職員の心の健康の保持増進等を図ることが求められている。
これらのことから、メンタルヘルス対策等に関する取組状況について監査を
実施した。
各事務所等では、国家公務員健康週間に開催されるメンタルヘルス講習会や
外部カウンセラーによる巡回カウンセリング(講演会及び個別カウンセリング)
に職員を参加させたり、メンタルヘルスに関する冊子等を配布するなどして、
管理監督者及び職員に対する教育等の取り組みが行われていた。
(事務所等における主な取組)
○
県福祉保険事務所職員を講師に招き、メンタルヘルスに関する講演会を
開催している。
○
事務所独自にメンタルヘルスに関する DVD の上映会を開催し、メンタル
ヘルスを学ぶ取り組みがなされている。
〇
健康管理医を講師に招き、メンタルヘルスに関する講演会を開催してい
る。
また、職員の利益の保護及び職員の能率の発揮等を目的としてセクシュアル
・ハラスメントの防止に関して「人事院規則10−10(セクシュアル・ハラ
スメントの防止等)」及び「セクシュアル・ハラスメントの防止等に関する訓令
(平成19年6月)」が定められたところである。このことから、セクシュアル
- 18 -
・ハラスメントやパワー・ハラスメントの防止対策等に関する取組状況につい
て監査を実施した。
各事務所等では、人事院等が提供しているセクシュアル・ハラスメント及び
パワー・ハラスメントの防止・排除を図るための各種資料等を職員に配布する
とともに、所課長会議においてパワー・ハラスメントに関する事例を紹介し職
員の意識向上に努めていた。
4.入札・契約事務の適正な執行状況及び不正行為防止の取組状況について
水門設備談合事件を契機として組織を挙げて入札談合防止対策に取り組んできた
ところ、近畿地方整備局発注の工事を巡る職員の不正行為事案の発生を受け、「当
面の入札関係不祥事の再発防止対策について(平成20年6月)」が取りまとめら
れ、「内部監査の強化・充実」を図るものとして、個人的利益を目的とした入札契
約に関する不正行為等を調査するため、整備局のすべての事務所等を対象に監査を
実施することとなった。
その後、平成25年3月には、新たに高知県内における入札談合事案が発生し、
再発防止対策として入札契約手続の見直しと情報管理の徹底等の措置を講ずること
とされた。特に、情報管理の徹底については、「機密情報に関する管理方法及び管
理責任者の明確化・ルール化」を規定として明文化し、発注者綱紀保持規程等の改
正がなされるところとなった。
これらのことから、今年度も昨年度に引き続き、入札・契約手続関係に係る事務
処理、情報管理の徹底及び入札の取り止め(延期)等について監査を実施した。
(1) 入札・契約手続関係に係る事務処理について
① 入札・契約に係る手続委員会の開催及び決裁状況等
工事及び業務並びに役務・物品契約に関する各委員会の開催及び決裁状況
については、各事務所等とも、各委員会ごとに審議決裁がなされ、適正に処
理されていた。
② 契約変更手続
工事契約に係る変更手続に関しては、「設計変更に伴う契約変更の取扱いに
ついて」及び「営繕工事の設計変更に伴う契約変更事務取扱要領」によって、
総括監督員等が文書により行うとともに、業務契約における指示及び協議等
については、土木設計業務等委託契約書において書面により行うこととされ
ている。
さらに、
「当面の入札関係不祥事の再発防止対策について(平成20年6月)」
により、事務所等が大幅な変更契約(変更見込み金額が当初請負金額の3割
を超える場合)をしようとするときは、本局の事前確認(以下「事前確認」
という。)を得なければならず、変更見込み金額が当初請負金額の20%(概
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算数量発注に係るものは25%)又は4000万円を超える場合は、予め契
約担当官等の承認(以下「事前承認」という。)を受けるものとされている。
これら取扱いに基づき、設計変更に伴う書面による変更手続及び大幅な変
更契約に係る事前確認並びに事前承認手続等について監査したところ、設計
変更に伴う手続については、各事務所等とも指示及び協議など書面により適
切に行われていることを確認した。
しかしながら、一部の事務所では、事前確認又は事前承認前に受注者への
変更指示がなされていたものが見受けられた。
これにつき、該当事務所においては、「所課長会議等における適正な事務手
続の徹底等に係る再周知」や、「決裁時、現場状況と指示発出時期及び変更金
額との確実な照合」等の対応を実施し、再発防止に努めている。
③入札結果の公表
入札結果については、「工事における入札及び契約の過程並びに契約の内容
等に係る情報の公表について(平成13年3月)」等の通知によって、速やか
に公表するものとされている。
このことから、各事務所等における工事及び業務契約等に係る入札結果等
の公表状況について監査を実施したが、いずれの事務所等とも、概ね一週間
以内で速やかに公表されており、適正に処理されていた。
(2) 入札関係手続における情報管理の徹底について
高知県内における入札談合事案に関する調査報告書で示された再発防止対策
として、「予定価格、調査基準価格、総合評価の評価点数、入札参加予定者名な
どの機密情報に関する管理方法及び管理責任者について明確化・ルール化を行
うものとする。」とされているところ、発注者綱紀保持規程に基づく発注事務に
係る情報管理の取組状況について監査を行った。
①総合評価点、入札参加予定者名等の管理状況
総合評価点及び入札参加者名記載資料については、各事務所等とも、担当
課において保管庫等で厳重に保管され、電子データについてもパスワード設
定あるいはアクセス制限により関係者以外は閲覧できないよう適切に管理さ
れていた。
②予定価格調書等の作成及び保管状況
予定価格調書については、各事務所等とも、開札日直前に作成するととも
に、開札時まで金庫において適切に保管されていることを確認した。
また、設計書は予定価格を類推しうる資料となることから、開札までの間、
契約担当課又は設計担当課において保管庫等で厳重に保管されていたほか、
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電子データに関してもパスワード設定あるいはアクセス制限により関係者以
外は閲覧できないよう適切に管理されていたが、一部の事務所では、歩掛見
積の受領者やマスキング施行者等、適切な管理体制となっていなかったため、
適切に対応するよう指導した。
その後、改善が図られ、適切な管理体制となっていることを確認した。
③各種委員会資料の保管状況
入札・契約手続運営委員会、建設コンサルタント選定委員会、技術審査会
及びVE審査委員会等の資料については、一部非公表となる情報が含まれて
いることから、各事務所等とも、担当課において保管庫等で厳重に保管され、
電子データについてもパスワード設定あるいはアクセス制限により関係者以
外は閲覧できないよう適切に管理されていた。
なお、機密情報を含む各種委員会の審議資料については、情報が外部に漏
れないように契約担当課長等によってすべて回収され、裁断処分等がなされ
ていた。
(3) 入札の取り止め(延期)について
近年、工事及び業務契約手続において、入札の取り止め(延期)事案が散見
され、応札業者における時間的・金銭的な負担や再度の発注手続による事業の
遅延、更には、発注者(国)の積算精度に対する信頼の低下等が懸念されると
ころであり、発注者として未然防止措置の強化と徹底が求められている。この
ため、本年度も、入札取り止め(延期)事案に関し、その理由、応札業者への
周知手続及び再発防止対策等について監査を実施した。
その結果、一部の事務所において入札の取り止め(延期)事案が発生してお
り、その理由としては、「条件明示一部不備による配布資料の修正」など、いず
れも発注者の責によるものとなっていた。
なお、参加業者への周知等に関しては、電子入札システムによる一斉配信の
ほか、個々電話ないしFAXにより、すべての事務所で確実に行われていた。
また、当該各事務所にあっては、その後、「余裕ある作業工程の確保及び多段
階審査の実施」若しくは「誤りの多い事例等の取りまとめ及び当該事例に係る
事務所内情報共有」等の対策を実施し、再発防止に努めている。
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