山形から「春」

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山 形 か ら﹁ 春 ﹂を 追 う
母なる大河に
想いを馳せる
東北の春
山 形 県 と い え ば 、最 上 川 だ 。松 尾 芭 蕉 の 俳
句 に も﹁ 五 月 雨 を あ つ め て 早 し 最 上 川 ﹂と あ
る よ う に 、東 北 地 方 を 代 表 す る 急 流 の ひ と つ
で あ る 。全 長 約 2 2 9 ㎞ 。そ の 本 流 が 県 外 に
出 る こ と は な く 、北 海 道 を 除 く と ひ と つ の 都
府県内だけで完結する最も長い川とされる。
西 吾 妻 山 に 生 じ 、米 沢 盆 地 、山 形 盆 地 、新 庄 盆
地 、庄 内 平 野 を 通 過 し て 日 本 海 に 注 ぐ 川 筋 は 、
古 く か ら 山 形 の 農 業 や 舟 運 を 支 え 、今 も な お
数 年 前 、日 本 の 川 を テ ー マ に 写 真 を 撮 り
故 郷 の 川 、母 な る 大 河 と し て 慕 わ れ て い る 。
は じ め た の も こ の 山 形 県 だ っ た 。今 回 は 原
点 回 帰 と 思 い 立 ち 、当 時 の 撮 影 地 を 訪 れ て
みることにした。
まずは雄大な最上川に長らくの無沙汰を
詫 び 、国 道 1 1 2 号 線 を 赤 川 沿 い に 進 む 。赤
川 は 明 治 時 代 に 最 上 川 か ら 別 れ た 川 だ 。そ
の ま ま し ば ら く 行 く と 、赤 川 土 手 に 桜 並 木
が 見 え て く る 。見 事 な 満 開 で 、透 き 通 る よ う
な 花 弁 が 今 に も こ ぼ れ そ う だ 。こ こ で 撮 影
まわたりがわ
し よ う か と も 思 っ た が 、土 手 沿 い を 歩 い て
いるとすぐそばを流れる馬渡川が目に入っ
た 。こ ち ら も 満 開 の ソ メ イ ヨ シ ノ が 水 面 を
覆うように枝を伸ばしている。
地 元 の カ メ ラ マ ン も い て 、聞 け ば 花 見 の
穴 場 ス ポ ッ ト だ と 言 う 。久 し ぶ り に 訪 れ た
地 で 、思 わ ぬ プ レ ゼ ン ト を も ら っ た よ う で
嬉 し く な る 。あ の 頃 と 変 わ ら な い 銀 塩 の
フ ィ ル ム を セ ッ ト し 、新 た な 気 持 ち で レ ン
ズを向けた。
【 写 真 右 】桜 並 木で有 名な赤 川 の 堤 へ 行くと、なかなか撮 影スポットが 見つからない 。歩きながら偶 然
出 会ったの が 、支 流 の 馬 渡 川だ。そこには樹 齢 8 0 年 のソメイヨシノの 古 木 が 、3 2 0 本も咲き乱れてい
た。暫し手を止め、北国の 春に酔う。
【 写 真 左 上 】寒 河 江 川(さが えが わ )の 一 帯には 、山 形 名 産 の サクランボ 畑 が 続く。遠くに見 える山 々
はまだ冠雪しているが、里には春 が 訪れ、木々は一 斉に芽 吹 いていた。
【 写真左中 】水仙の黄色い 花 が 迎えてくれた最 上 川 。周 囲にはりんご 畑 が 点 在し、可 愛らしい 花を咲か
せていた。
【 写 真 左 下 】山 形 県 長 井 市で撮 影した置 賜 野 川( おきたまの がわ)。山 々は新 緑に萌え、岸 辺にはタニ
ウズキがピンクの 花を咲かせていた。
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