三式戦闘機「飛燕」の修復&里帰りプロジェクト、進行中!

時
代を
切 り拓
く
けた油圧機器事業のさらなる進化をめざす当然の選択でありました。
それは私たちが、
自らを奮い立たせるための挑戦でもあるのです。
会館(鹿児島県南九州市)に長らく展示されていた。この飛燕は、
とM7V モータの開発では、開発スタッ
未
熱処理の工夫も施した。
一般財団法人 日本航空協会に返還されたもので、知覧特攻平和
フが技術研究所に駐在して基礎研究を続
注目されていることを感じています。当社にとっては、次の100 年に向
と言う。
館」
に展示される予定だ。
しかし現在、
国内に残されている唯一の機体は、戦後米軍から
実は、
ポンプでもモータでも、
その開発
カーですが、それとは大きく違うクローズ回路市場のHST分野への参
入については、競合各社から驚きを持って受け取られているようです。
さらに高速回転・高トルクを実現する
修復後は岐阜県各務原市の「かかみがはら航空宇宙科学博物
けた。
開発が実用化段階に入ると、
技術研
川崎重工は、油圧ショベル用の油圧機器で世界ナンバーワンのメー
にあたって重要な役割を果たしているの
ている。
ための肝になったのが、シリンダブロッ
ています。
究所のスタッフが西神戸工場に駐在して
ションは、クローズ回路の市場においても競争力を発揮できると考え
が、
計測と解析の技術である。
例えばポン
メンバーは、収集した情報や資料を基に図面を復元し、塗料、冷却
器、3D 計測などの各分野の専門家の協力を得ながら作業を進め
クの安定化だった。ピストンが油圧で斜
性能を実現します。その油圧機 器を用いた当社のシステムソリュー
共同研究が続けられた。そこには川崎重
改変箇所を取り除き、併せて詳細な記録を残す予定だ。HiRETの
板に押し出されて接触すると、
斜板は、
そ
圧機器は、長年蓄積してきた技術により、世界最高クラスの高効率、高
工が航空機や鉄道車両の開発で培った流
リティを保つ部分を損ねることなく、戦後に加えられた無関係の
の名の通り斜めに傾いているのでピスト
リューションを提案する活動に注力しなければなりません。当社の油
体解析技術が駆使されている。
今回の修復では、未来の世代に継承する文化財として、オリジナ
プの場合、
その効率は
﹁容積効率 機
×械効
率﹂で決まる。容積効率とは、部品のすき
争も激しい世界です。それだけに、お客 様 の 各種 機 械にシステムソ
間などから漏れる作動油の損失を計算に
ホイールローダやトラクターなどHSTの分野は、市場は大きい分、競
の調査にも赴いた。
ンは斜めに滑り落ちようとする。これに
英国空軍博物館に保存されている「五式戦闘機」
(飛燕の派生機)
機器第一技術部長の大西は、﹁ポンプも
3,000 機以上が生産されたという。
合わせて提案できることが当社の強みです。
入れた効率で、
機械効率とは、
部品同士の
1万1000メートルを誇った。1943 年から終戦までの2年間に約
査の他に、国内各地の博物館などで関連資料の発掘作業を行い、
より回転力が生まれる。そのためピスト
飛
の水冷式エンジンを搭載。
最高速度590Km/hや上昇限度
まに提案していくのです。機器の良さと、それを活かすシステムを組み
モータも肝となるのは、ピストンやシリ
燕は、第2次世界大戦中の戦闘機としては世界最高レベル
時の形態を確認する作業から始めなければならなかった。実機調
た﹂
と語る。
(左)塗装剥離を
終 えて 3 D 計 測
中の飛燕。
(右)
英国空軍博物館
の全面的な協力
の もと、数 日 間
にわたり詳細な
調査を行った。
動や作動油が装置内で撹拌して起きる
や電気制御回路も手掛けている当社の技術蓄積を連動させてお客さ
ンが並んでいるシリンダの姿勢が安定し
圧倒的に優れていること。そして、各種の機械を動かす際の油圧回路
ンダブロックのロータリ部品です。計測
ん。油圧機器そのものの高品質な開発・生産能力が競合他社に比べて
ていなければ高速回転・高トルクは実現
して提供する」という二つが両輪となって展開されなければなりませ
と解析で得られた最適形状を、着実かつ
生産された「三式戦闘機・飛燕」の修復作業が、誕生の地である現・岐阜工場で進められている。
新たな領域への挑戦には、
「油圧機器の差別化」と「システムを構築
出力の損失を計算に入れた効率である。
第 2 次世界大戦中に、川崎重工航空宇宙カンパニーの前身である川崎航空機各務原分工場で
角を占めています。
両方の効率を向上させるには、損失量な
飛 燕を設 計した 土 井 武 夫
(1904 ∼ 1996 )。生涯に
30機以上の航空機を設計。
東 大 航 空 学 科 の 同 期 生に
はゼロ戦を開発した堀越二
郎氏がいる。
しない。
修復&里帰りプロジェクト、進行中!
正確に実現する﹃ものづくり力﹄は、西神
あらゆる油圧関連のビジネスは世界で3.3 兆円規模と見込まれ、当
社は建設機械向けの油圧ポンプやモータを軸に「世界主要 8 社」の一
どを精細に計測する計測技術と、その理
三式戦闘機「飛燕」の
駒田は、﹁ピストンやシリンダブロック
HSTという新たな領域への挑戦を始めました。
戸工場の底力を示しています。まさに川
発で培った技 術 力とお客さまの 信 頼を地 盤として、クローズ 回路、
由を理論的に説明する解析技術がいる。
2016 年は、川崎重工の油圧事業が創業されてからちょうど100 年
を迎えます。この節目の時に私たちは、油圧ショベル用の油圧機器開
などのロータリ部分を全面的に設計し直
次の100年の鍵は、油圧システムの
総合ソリューションの提供能力
崎重工の総合力でなしえた技術革新でし
Yasushi Sotani
発本部技術研究所だった。
K8Vポンプ
曽谷康史
それを支援したのが川崎重工の技術開
川崎重工業株式会社
精密機械カンパニー理事 技術本部長
し、細かい部分の形状なども見直して油
Leader’s
Voice
特別編
圧のバランスが取れるようにしました﹂
Epoch
Maker
経済産業省が認定する「近代化産業遺産群」のひとつに選定され
た航空遺産で、このたび川崎重工は日本航空協会からの依頼を受
け、同機の生まれ故郷である岐阜工場で修復作業が進められるこ
とになった。
知覧特攻平和会館からの搬出作業。
トラックにギリギリで積むことができた。
油圧ポンプ運転場(右)。高圧での運転にもかかわらず、防音壁に囲まれており、運転装
置の周辺は極めて静かだ。完成した油圧機器は、最後に塗装されて出荷される
(左)
修 復作 業は、日本 航 空 協 会の監 修
の下、破 損 部位の 修 復や 欠 損 部 品の
復元、機体の再塗装などを行う。
修復プロジェクトは、航空宇宙カン
パニーの有志 二十 数名で結成された
HiRET(Hien Reverse Engineering
Team )が、会 社の全面的な支 援を受
けて進めている。
しかし設 計図面などは焼 失してお
り、現存機には多くの手が加えられて
終戦
いるために、HiRETのメンバーは、
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Kawasaki News 181
深夜にまでおよぶ搬出作業の後、岐阜工場に搬送。岐阜工場ではたくさんのマスコミが駆けつけた。
Kawasaki News 181
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