ニッセイ基礎研究所 2016-05-02 基礎研 レポート 全国・主要都市の空き家数と 空き家率の現況 -「平成 25 年住宅・土地統計調査」の分析- 竹内 一雅 (03)3512-1847 [email protected] 金融研究部 不動産市場調査室長 1――はじめに 国勢調査によると、日本の人口は 2015 年に 1 億 2,711 万人となり、5 年前と比べて 94 万 7 千人の 減少となった。首都圏や沖縄県、愛知県などで人口が増加する一方、39 道府県で人口が減少した。人 口の減少にあわせて空き家問題が深刻化しつつあり、2014 年には「空き家等対策の推進に関する特別 措置法」が成立し、空き家対策が本格化しはじめた。本稿では詳細な空き家の状況を全国的に把握で きる唯一の統計である「住宅・土地統計調査1」を用いて、全国および主要都市の空き家数と空き家率 の現況を統計数値から概観する2。 2――全国の空き家数・空き家率 1|増加が続く空き家数 住宅・土地統計調査によると 2013 年の全国の空き家数は 819.6 万戸3で、住宅総数(6 千 62.9 万戸) に占める比率(空き家率)は 13.5%となった(図表-1) 。空き家率は 5 年前の 13.1%から 0.4 ポイン トの上昇であった。 こうした空き家率の上昇は、住宅数の増加が居住者のいる住宅の増加を上回っているからである。 居住世帯のある住宅の増加率は 2008 年から 2013 年の 5 年間に+5.0%の増加(2008 年調査では+5.8% の増加)だったが、住宅総数は+5.3%の増加(同+6.9%)であり、その結果、空き家数は+8.3%の増 加(同+14.8%の増加)となった(図表-2) 。ただし、空き家の増加数は、1993 年~1998 年の+129 万 データ等については総務省統計局「平成 25 年住宅・土地統計調査」を参照のこと。なお、住宅・土地統計調査で利用され る用語については「平成 25 年住宅・土地統計調査 用語の解説」を参照されたい。 2 過去に発行した「住宅・土地統計調査」に関するレポートとしては、 「2013 年住宅・土地統計調査(速報)にみる住宅と居 住状況の変化」 (2014.8.25) 、 「住宅・土地統計調査(速報)にみる住宅と居住状況の変化」 (2009.9.4) 、 「東京都区部マンシ ョンの空家率と居住世帯特性 『平成 20 年住宅・土地統計調査報告』の分析(1) 」 (2010.10.6) 、 「東京都区部マンション居 住世帯数の今後の見通し 『平成 20 年住宅・土地統計調査報告』の分析(2) 」 (2010.10.13) 、 「高齢単独世帯の居住状況 『平 成 20 年住宅・土地統計調査報告』の分析(3) 」 (2010.11.30)などがある。 3 住宅・土地統計調査で調査対象となっている空き家には廃屋は含まれない。したがって 2013 年時点で日本には居住可能な 住宅の空き家が 820 万戸ある。ただし、ここには、居住可能であるが腐朽や破損が見られる住宅も含まれる。 1 1| |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute All rights reserved 戸の増加から、2008 年~2013 年には 63 万戸へと縮小が続いている。 住宅・土地統計調査では、空き家は、①別荘などを含む「二次的住宅」と、②「賃貸用」の空き家、 ③「売却用」の空き家、④そしてこれらに含まれない居住者の死亡等により居住世帯が長期にわたっ て不在の住宅や建替えのために取り壊すことになっている「その他」の空き家、に区分されている。 空き家区分で特に増加が著しいのが「その他」の空き家であり、2008 年~2013 年の 5 年間に+50 万 戸の増加(増加率は+18.7%)があり、この期間の空き家増加総数(+62.8 万戸)の 80.1%を占めてい る(図表-3) 。2003 年以降、 「その他」の空き家が空き家の増加に大きな比率を占めるようになった 結果、1983 年~1988 年には賃貸用の空き家は、空き家増加総数の 8 割近くを占めていたが、2008 年 ~2013 年の 5 年間では 26.3%まで低下している。 図表-2:居住世帯あり住宅・空き家の 増加数および増加率 図表-1:住宅数・空き家数・空き家率の推移 13.5% 13.1% 11.5% 2.5% 2.0% 4,000万 600万 80% 居住世帯あり住宅数 66.3% 空き家数 6,063 55.7% 500万 10% 空き家増加率 400万 5,025 4,588 40% 28.8% 5% 23.2% 4,201 19.3% 3,861 300万 3,545 14.4% 13.6% 0% 8.3% 12.0% 2,559 20% 14.8% 18.7% 3,106 3,000万 60% 居住世帯あり住宅増加率 5,759 5,389 5.5% 4.0% 5,000万 9.4% 7.6% 空き家率 8.6% 空き家数 6,000万 15% 9.8% 住宅総数 7,000万 12.2% 8,000万 7.8% 200万 7.8% 9.0% 7.7% 6.7% 5.8% 5.0% 0% 2,109 2,000万 1,793 -5% 1,000万 100万 63 97 250 83 274 294 -40% 1968~73 2013 (注)1973 年より沖縄を含む (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 129 2008 54 2003 315 1998 64 1993 336 1988 62 1983 271 1978 96 0万 -10% 1973 252 0万 1968 -20% 69 103 394 820 757 346 52 1963 330 659 453 36 1958 268 172 576 448 ~1978 ~1983 ~1988 ~1993 ~1998 ~2003 ~2008 ~2013 (注)1973 年より沖縄を含む (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 図表-3:空き家区分別にみた空き家 <区分別・空き家数の推移> <区分別・空き家の増加数> 140万 900万 800万 賃貸用 318 448 182 394 400万 300万 200万 100万 0万 35 27 98 14 1978 352 183 90 5 30 50 234 367 413 429 20万 15 262 0万 22 30 37 1983 1988 1993 42 1998 50 2003 41 2008 8 8 7 17 8 5 41 2013 50 45 28 27 63 29 54 18 40万 131 125 157 56 64 6 60万 30 97 83 空き家総数 62 31 149 330 268 34 二次的住宅 80万 212 500万 100万 268 576 空き家総数 売却用 賃貸用 659 二次的住宅 600万 その他 120万 757 売却用 700万 129 820 その他 -9 -4 0 2003-2008 2008-2013 -20万 1978-1983 1983-1988 1988-1993 1993-1998 1998-2003 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 2|借家の空き家率は横ばいで推移 次に所有関係別に空き家の状況を概観する。空き家は図表-3 で見たように 4 区分されて調査され ている。本稿では所有関係別で区分する場合、空き家を①賃貸用の空き家と、②それ以外の空き家に 分け、それ以外の空き家(②)を「持家系の空き家」と表現することとする4。 2013 年時点で持家系の空き家数は 390 万戸、賃貸用の空き家は 429 万戸あり、賃貸用の空き家が全 4 本稿の「持家系の空き家」には、①二次的住宅と②売却用の空き家、③その他の空き家が含まれる。 2| |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute All rights reserved 体の 52.4%を占めている(図表-4) 。賃貸用の空き家の構成比は 1998 年の 61.1%から低下が続いて おり、これは持家系の空き家の増加率の高さが理由である5。2008 年~2013 年に、居住世帯がいる持 家住宅の増加率が 6.1%であるのに対し、持家系の空き家の増加率は 13.4%であった(図表-5) 。同 様に居住世帯がいる借家住宅の増加率が 4.2%であるのに対し、賃貸用空き家の増加率はそれを下回 る 4.0%だった。 ここで、近似的にではあるが持家系と借家の「空き家率*」6を計算すると、持家系の空き家率*は 2008 年の 10.2%から 2013 年には 10.8%に上昇する一方、借家の空き家率*は同期間に 18.8%から 18.8% へと横ばいの推移であった(図表-6) 。 図表-4:持家系・賃貸用空き家数 および空き家の構成比 図表-5:持家系・賃貸用空き家の増加数と増加率 700千 賃貸用空き家数 40.7% 45.5% 200千 45% 41.5% 40% 0千 100万 429 390 413 344 367 292 352 224 262 186 234 160 183 147 30% 0万 1993 1998 2003 2008 2.6% 98-03 35% 1988 8.3% 4.4% 2013 (注)賃貸用以外の空き家を持家系空き家とした。持家系空家は二次 的住宅(別荘を含む) 、売却用の住宅、その他の住宅からなる。 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 15% 5.8% 6.1% 3.5% 4.0% 4.2% 03-08 08-13 100千 38.9% 1983 12.3% 300千 50% 13.4% 165.0 44.3% 20% 400千 154.9 47.6% 17.9% 55% 25% 462.7 54.5% 300万 44.5% 60% 500千 52.4% 200万 600千 451.9 55.7% 30% 522.7 400万 賃貸用空き家構成比 58.5% 55.5% 30.0% 65% 持家系空き家構成比 61.1% 59.3% 674.3 持家系空き家数 500万 35% 800千 70% 600万 10% 5% 0% 持家系空き家増加数 賃貸用空き家増加数 持家系空き家増加率 賃貸用空き家増加数 (居住世帯あり)持家住宅増加率 (居住世帯あり)借家住宅増加率 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 図表-6:持家系・借家空き家率* 20% 18.8% 18.8% 17.4% 17.6% 15% 11.5% 12.2% 13.1% 13.5% 9.2% 10% 10.2% 10.8% 7.8% 5% 0% 空き家率 持家系空き家率* 1998 2003 2008 借家空き家率* 2013 (注)賃貸用以外の空き家を持家系空き家とした。 (注)空き家率*の計算については脚注 5 を参照のこと。 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 5 前項で記述したように、近年の持家系空き家の増加の多くは「その他」の空き家の増加による。 持家系および借家の空き家率の計算において、分母となる持家系と借家のそれぞれの住宅総数は、 「居住世帯のある住宅」 +「空き家」+「一時現在者のみの住宅」+「建築中の住宅」で計算することになる。しかし、 「一時現在者のみの住宅」と「建 築中の住宅」について持家と借家の区分ができないため、本稿ではこれらを分母から除外して、 「居住世帯のある住宅」+「空 き家」を分母として近似的に空き家率を求め、これを「空き家率*」と表現することとした。2013 年に「一時現在者のみの 住宅」と「建築中」の住宅は、住宅総数の 0.5%(33 万戸)を占めており、これらが持家と借家に等分される場合、2013 年 の持家系空き家率は 10.8%(近似計算(持家系空き家率*)では 10.8%) 、借家空き家率は 18.7%(近似計算(借家空き家率 *)では 18.8%)となる。なお、居住世帯ありの住宅で所有関係が不詳の住宅が 142 万戸あり、この不詳分も持家と借家の 分母から除かれている。同様の問題は、建て方別においても発生するため本稿では所有関係と同じ対応をとる。 6 3| |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute All rights reserved 3|一戸建ての空き家率が上昇 住宅の建て方別7に空き家数をみると、2013 年に一戸建ての空き家が 300 万戸、長屋建ての空き家 が 45 万戸、共同住宅の空き家が 471 万戸、その他の空き家が 3 万戸となっており、建て方別にみると 共同住宅の空き家の構成比が 57.5%を占めている(図表-7) 。 2008 年から 2013 年までに一戸建ての空き家の増加率は+19.8%に達し、共同住宅の空き家増加率の +1.9%を大きく上回っている(図表-8) 。これは後に見るように地方圏での増加が大きく影響してい る。なお、居住世帯のある一戸建て住宅の過去 5 年間の増加率は+4.2%で、居住世帯のある共同住宅 の増加率は+6.8%だった。 所有関係別と同様に、近似的に建て方別の空き家率*を求めると、一戸建ての空き家率*は 2008 年か ら 2013 年に 8.4%から 9.5%に上昇、長屋建ては 23.8%から 26.1%に上昇、共同住宅は 18.3%から 17.6%へとわずかに下落が見られた(図表-9) 。 図表-7:建て方別空き家数 および空き家の構成比 図表-8:建て方別空き家数と増加率 61.1% 60.9% 58.7% 25% 605.3 633.6 700千 70% 600万 600千 57.5% 19.8% 18.7% 60% 500万 20% 18.3% 500千 200万 10.4% 10% 6.8% 200千 20% 495.7 300千 30% 4.2% 100千 10% 471 45 300 42 462 250 43 402 212 52 338 183 1998 2003 2008 一戸建空き家数 長屋建空き家数 一戸建空き家構成比 共同住宅空き家構成比 5% 1.9% 0% 0千 0% 0万 89.3 4.8% 3.6% 100万 15% 15.1% 290.8 40% 33.1% 32.1% 31.7% 300万 15.9% 12.8% 400千 36.6% 386.4 50% 400万 98-03 2013 共同住宅空き家数 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 03-08 08-13 一戸建空き家増加数 共同住宅空き家増加数 一戸建空き家増加率 共同住宅空き家増加率 (居住世帯あり)一戸建て増加率 (居住世帯あり)共同住宅増加率 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 図表-9:建て方別空き家率* 23.8% 22.0% 22.6% 25% 26.1% 30% 17.6% 18.3% 16.9% 13.1% 8.4% 9.5% 6.7% 7.4% 10% 13.5% 11.5% 12.2% 15% 17.7% 20% 5% 0% 空き家率 一戸建て空き家率* 1998 2003 長屋建て空き家率* 2008 共同住宅空き家率* 2013 (注)空き家率*の計算については脚注 5 を参照のこと。 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 住宅・土地統計調査の用語解説によると主な住宅の建て方は次のように説明されている。 「一戸建」一つの建物が 1 住宅で あるもの。 「長屋建」二つ以上の住宅を一棟に建て連ねたもので、各住宅が壁を共通にし、それぞれ別々に外部への出入り口 を持っているもの。 「共同住宅」一棟の中に二つ以上の住宅があり、廊下・階段などを共有しているものや二つ以上の住宅を 重ねて建てたもの。 7 4| |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute All rights reserved 4|持家系一戸建ての空き家率が上昇 より細かく、所有関係別・建て方別の空き家をみていく。 2013 年の空き家数 819.6 万戸のうち、最も高い構成比を占めるのが賃貸用の共同住宅の空き家で、 空き家総数の 45.7%を占め、次いで持家系の一戸建ての空き家(同 33.6%) 、持家系共同住宅の空き 家(同 11.8%)と続いている(図表-10) 。これら主要 3 区分のうち、空き家数の増加が顕著なのは 持家系の一戸建ての空き家で、1998 年には 139 万戸(構成比は 24.2%)だったのが、2013 年には 275 万戸(同 33.6%)へと増加している(図表-11) 。 区分別増加数では、2008 年~2013 年に最も増加したのが持家系の一戸建て(+51.0 万戸)で、持家 系の共同住宅は-6.4 万戸の減少、賃貸用共同住宅は+15.3 万戸の増加であった(図表-12) 。なお、賃 貸用共同住宅の空き家数が大きく増加した 2003 年~2008 年は、不動産バブルとも呼ばれる不動産市 場の好況に加え、 住宅専業 J-REIT が誕生するなど、 賃貸用マンションが多く建設された時期であった。 図表-10:所有関係別・建て方別空き家数 構成比(2013 年) 持家系/その他/空き 家数 0.3% 持家系/長屋建て/ 空き家数 2.0% 賃貸用/一戸建 て/空き家数 3.0% 図表-11:主な所有関係別・建て方別住宅の 空き家数および構成比 50% 600万 賃貸用/長屋建て/ 空き家数 3.6% 持家系/共同住 宅/空き家数 11.8% 47.8% 47.5% 47.3% 45.7% 500万 40% 33.6% 29.6% 28.1% 400万 24.2% 300万 10.9% 30% 20% 賃貸用/共同住宅/ 空き家数 45.7% 持家系/一戸建て/ 空き家数 33.6% 13.7% 13.6% 11.8% 10% 200万 0% 100万 -10% 97 1998 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 375 275 359 103 224 90 312 185 63 275 139 -20% 0万 賃貸用/その他/空き 家数 0.1% 2003 2008 2013 持家系/一戸建て/空き家数 持家系/共同住宅/空き家数 賃貸用/共同住宅/空き家数 持家系/一戸建て/空き家構成比 持家系/共同住宅/空き家構成比 賃貸用/共同住宅/空き家構成比 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 図表-12:所有関係別・建て方別 空き家の増加数(1998 年~2013 年) 1998~03 2003~08 2008~13 80万 47.5 45.2 36.2 38.9 45.9 40万 51.0 50万 46.3 52.3 60万 67.4 70万 27.2 30万 2.7 0.0 -0.1 -0.5 -16.8 -20万 -2.0 -3.4 -6.4 -0.8 -4.9 -1.5 -0.3 0万 -10万 15.3 15.5 0.4 0.0 1.3 0.4 10万 16.5 13.0 20万 -30万 総数 一戸建て 長屋建て 共同住宅 その他 <持家系空家増加数> 総数 一戸建て 長屋建て 共同住宅 その他 <賃貸用空き家増加数> (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 前節までと同様に近似的な数値として、所有関係別・建て方別に空き家率*を求めると、持家系の一 5| |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute All rights reserved 戸建ての空き家率*は 1998 年の 5.7%から 2013 年には 9.5%まで大きく上昇している (図表-13、 14) 。 一方、同じ持家系でも共同住宅では同期間に 18.2%から 15.0%へと下落し、借家の共同住宅では 17.3 から 19.2%へとわずかな上昇となっている。 図表-13:主な所有関係別・建て方別住宅の 空き家率*(1998 年~2013 年) 15.0% 19.2% 19.4% 18.2% 17.3% 40% 34.4% 35% 30% 24.7% 25% 9.5% 8.2% 7.1% 5.7% 10% 10.8% 10.2% 9.2% 7.8% 13.5% 13.1% 12.2% 11.5% 15% 18.8% 18.8% 17.6% 17.4% 18.1% 18.7% 18.2% 20% 図表-14:所有関係別・建て方別住宅の 空き家率*(2013 年) 15% 15.0% 13.5% 10.8% 5% 19.2% 18.8% 20% 10% 12.1% 9.5% 5% 0% (注)空き家率*の計算については脚注 5 を参照のこと。 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 借家/共同住宅 空家率* 2013 借家/長屋建て 空家率* <借家空家率*> 2008 借家/一戸建て 空家率* 2003 借家空家率* 1998 0% 共同住宅 空家率* 持家/共同住宅 空家率* <持家系空家率*> 借家空家率* 持家/長屋建て 空家率* 共同住宅 空家率* 持家/一戸建て 空家率* 一戸建て 空家率* 持家空家率* <空家率> 持家系空家率* 総空家率 総空家率 (注)空き家率*の計算については脚注 5 を参照のこと。 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 3――都道府県別・主要要都市別の空き家数・空き家率 1|地方圏で一戸建ての空き家数が増加 (都道府県別) 空き家率は都道府県別に大きな格差がみられる。 2013 年の空き家率は、山梨県が 22.0%で最も高く、宮城県(9.4%)が最も低かった8(図表-15) 。 空き家数は大都市圏に集中しており、増加数も大都市圏での増加が顕著だが9、増加率をみると地方圏 でも高い県がみられる(図表-16) 。 地方での空き家の増加傾向は、一戸建てで顕著で、2008 年~2013 年に一戸建ての空き家が 1 万戸以 上増加したのは 25 都道府県で、人口の多い大都市圏だけでなく、中部や中国、九州などにも広がって いる(図表-17) 。すでに地方圏では一戸建ての空き家数が少なくなく、三大都市圏を除く一戸建ての 県別平均空き家数は 5.4 万戸に達し、これは三大都市圏の平均(10.5 万戸)の 51.2%に相当する10。 これに対し、共同住宅の空き家の増加は、大都市圏での増加が著しく、地方圏の各県ではわずかな 増加か減少という県が多い (図表-18) 。 三大都市圏を除く共同住宅の県別平均空き家数は 5.5 万戸で、 三大都市圏の平均(29.2 万戸)の 18.7%にすぎない。 持家系の一戸建てと借家の共同住宅の空き家率*を計算したのが図表-19 である。宮城県と沖縄県 で空き家率*はともに低く、持家系一戸建ての空き家率*は中部・四国などの県で比較的高く、借家共同 住宅の空き家率*は北関東や中部で高めの件が多いという結果が得られた。 8 山梨県では別荘(二次的住宅に含まれる)の多さが空き家率を引き上げており、宮城県は東日本大震災の影響で、みなし 仮設住宅なでとして住宅が借りあげられたことなどが空き家率の下落に貢献したといわれている。 9 2008 年~2013 年における空き家の減少数が最も大きかったのは、宮城県(-4.2 万戸)で、次いで福島県(-1.3 万戸) だった。 10 ここでは三大都市圏を埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県とした。 6| |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute All rights reserved 17.0% 13.9% 14.3% 15.4% 12.8% 12.7% 10.4% 10.3% 15.3% 12.3% 14.1% 13.4% 14.1% 11.1% 13.7% 16.6% 15.1% 16.0% 15.9% 15.1% 14.6% 14.8% 14.9% 15.4% 17.9% 14.6% 13.3% 14.4% 13.1% 12.9% 13.2% 11.0% 14.2% 14.1% 19.3% 20.3% 15.1% 14.6% 12.3% 12.1% 10.5% 11.1% 13.1% 10.7% 14.4% 15.0% 14.6% 13.0% 11.0% 12.6% 13.7% 14.1% 沖縄県 鹿児島県 宮崎県 大分県 熊本県 長崎県 佐賀県 福岡県 高知県 愛媛県 香川県 徳島県 山口県 広島県 岡山県 島根県 鳥取県 和歌山県 奈良県 兵庫県 大阪府 京都府 滋賀県 三重県 愛知県 静岡県 岐阜県 長野県 山梨県 福井県 石川県 富山県 新潟県 神奈川県 東京都 千葉県 埼玉県 群馬県 栃木県 茨城県 福島県 山形県 秋田県 宮城県 岩手県 817 13.4% 18.0% 6.8% -2.4% 1.4% -5.5% 422 317 325 62 58 147 130 74 63 90 77 115 103 102 89 43 36 70 63 123 103 81 71 64 57 114 105 221 198 140 128 45 44 36 38 86 84 85 86 175 167 78 73 129 105 133 118 93 81 43 47 77 73 56 52 132 113 487 429 194 183 271 227 -7.9% 344 -2.2% 357 336 2.7% 6.1% 6.0% 5.8% 3.2% 7.7% 10.0% 8.9% 13.6% 5.0% 6.0% 679 8.6% 625 9.2% 11.6% 9.4% 13.3% 13.3% 11.5% 14.6% 11.7% 16.5% 750 17.0% 14.8% 13.1% 19.4% 22.8% 22.8% 20.0% 21.3% 30.0% 21.9% 13.5% 3.5% -10.0% -30.0% 13897 46 48 57 55 367 356 355 323 150 123 143 126 185 178 92 -12.6% 105 -2.9% 2.4% -4.1% -1.3% -1.4 -13.2 +6.3 +17.1 +27.0 +32.4 +11.3 +58.1 +66.8 +19.2 +4.0 +4.2 -3.7 +12.0 +11.0 +15.5 +44.1 +23.9 +78.4 +4.5 +8.3 +53.7 +20.3 -1.9 +2.3 -2.1 +0.6 +11.8 +23.0 +9.8 +7.5 +9.5 +20.6 +7.2 -7.8 +7.6 +13.0 +12.0 +12.7 +11.3 +17.4 +4.0 -30.0% +1.3 -41.5 沖縄県 鹿児島県 宮崎県 大分県 熊本県 長崎県 佐賀県 福岡県 高知県 愛媛県 香川県 徳島県 山口県 広島県 岡山県 島根県 鳥取県 和歌山県 奈良県 兵庫県 大阪府 京都府 滋賀県 三重県 愛知県 静岡県 岐阜県 長野県 山梨県 福井県 石川県 富山県 新潟県 神奈川県 東京都 千葉県 埼玉県 群馬県 栃木県 茨城県 福島県 山形県 秋田県 宮城県 岩手県 青森県 50% 一戸建て空き家数(2013) 93 +17.9% +19.8% +17.1% 10% 0% 23 +19.8% 19 +25.5% 99 79 44 +28.1% 35 46 +29.9% 35 60 +28.8% 46 53 +27.5% 41 24 +33.5% 18 99 79 +24.9% 44 +27.5% 34 +30.9% 69 52 43 +29.8% 33 35 +25.4% 28 62 +19.8% 51 95 +19.4% 80 +21.7% 70 58 29 +12.7% 26 20 +2.1% 19 +27.1% 50 40 38 +14.9% 33 118 99 +19.8% 145 +24.5% 116 +12.3% 69 62 36 +13.1% 31 68 +26.0% 54 107 +20.5% 88 101 +10.3% 91 62 +23.8% 50 115 +17.2% 98 53 +26.4% 42 21 +6.7% 19 35 +30.7% 27 31 +27.5% 24 56 +10.9% 50 95 +17.5% 80 114 +13.8% 100 125 +13.0% 110 +24.1% 108 87 75 +40.0% 53 64 +22.1% 53 +19.3% 78 65 +6.4% 45 42 24 +13.3% 21 34 +16.3% 29 -15.7% 39 33 +6.9% 40 38 40 34 空き家数増加率(08-13) 109 +3.8 +20.0 +9.7 +10.6 +13.3 +11.4 +6.0 +19.7 +9.4 +16.2 +9.8 +7.1 +10.2 +15.5 +3.3 +12.5 +0.4 +10.7 +4.9 +19.6 +28.5 +7.6 +4.1 +14.1 +18.1 +9.4 +12.0 +16.8 +11.1 +1.3 +8.3 +6.6 +5.5 +14.1 +13.9 +14.3 +20.9 +21.3 +11.6 +12.6 +2.7 +2.8 +4.7 鹿児島県 沖縄県 宮崎県 大分県 熊本県 長崎県 佐賀県 福岡県 高知県 愛媛県 香川県 徳島県 山口県 広島県 岡山県 島根県 和歌山県 鳥取県 奈良県 兵庫県 大阪府 京都府 滋賀県 三重県 愛知県 静岡県 岐阜県 長野県 山梨県 福井県 石川県 富山県 神奈川県 新潟県 東京都 千葉県 埼玉県 群馬県 栃木県 茨城県 福島県 山形県 秋田県 全国 北海道 青森県 岩手県 -6.1 宮城県 +2.6 +5.8 +16.6 2,999 +495.7 2,504 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 15.8% 17.8% 17.5% 17.2% 17.5% 14.4% 14.7% 15.8% 15.9% 16.2% 18.1% 13.7% 13.0% 12.3% 12.9% 13.3% 14.8% 15.5% 16.3% 15.2% 13.9% 13.6% 10.9% 12.7% 11.1% 11.2% 12.8% 14.8% 16.6% 16.3% 14.6% 11.7% 9.4% 10.7% 12.7% 13.8% 青森県 全国 北海道 All rights reserved |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute 7| -20% -20千 北海道 600千 -20.0% 76 -1.0 77 81 -3.5 85 +13.8 8,196 7,568 +627.7 20千 14.6% 388 374 40千 10.0% 3.7% 200千 20.0% 8.3% 60千 -10% 0千 一戸建て空き家数(2008) 140千 13.7% 全国 800千 空き家数増加率(08-13) 空き家増加数(2008-13) 空き家数(2013) 空き家数(2008) 20% 80千 40.0% 1,000千 40% 空き家増加数(08-13) 120千 19.8% 20% 0.0% 400千 13.8% 10% 2013 2008 30% 100千 -40.0% -200千 14.1% 13.1% 0千 13.5% 15% 22.0% 25% 図表-15:都道府県別の空き家率(2008 年、2013 年) 5% 0% (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 図表-16:都道府県別の空き家数・空き家増加数および空き家率(2008 年、2013 年) (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 図表-17:都道府県別の一戸建て空き家数・空き家増加数・増加率(2008 年、2013 年) 共同住宅空き家数(2008) +0.8% -6.6% +2.8% +4.8% -1.6% +0.7% +7.2% -14.1% 227195 -9.6% +6.6% +0.6% -0.8% -16.1% 213 213 224 38 38 44 47 26 25 39 37 50 51 41 40 16 15 72 57 36 36 21 24 39 44 23 26 63 61 67 74 95 97 -11.2% -10.9% 38 38 54 45 23 25 47 44 33 33 24 24 45 47 109 106 58 62 14 15 14 16 27 -23.8% 35 35 42 -20.0% 159 127 -15.2% -10.1% 282 -11.5% -9.4% -6.1% -3.2% +2.7% +0.8% -1.9% +0.1% +5.4% 440 464 +20.9% +25.7% +25.3% +3.4% +0.6% 376 335 +0.3 -3.1 +0.7 +1.8 -0.8 +0.3 +1.1 -32.1 -2.4 +2.9 +0.2 -0.2 -1.5 +2.9 -3.8 -1.4 -1.8 -8.3 -6.7 +0.3 +23.9 -1.8 +0.3 +9.3 +57.6 +32.1 +2.1 -7.5 +0.2 -3.7 -4.8 -2.9 +14.5 +40.9 +51.3 沖縄県 鹿児島県 宮崎県 大分県 熊本県 長崎県 佐賀県 福岡県 高知県 愛媛県 香川県 徳島県 山口県 広島県 岡山県 島根県 鳥取県 和歌山県 奈良県 兵庫県 大阪府 京都府 滋賀県 三重県 愛知県 静岡県 岐阜県 長野県 山梨県 福井県 石川県 富山県 神奈川県 新潟県 東京都 千葉県 埼玉県 群馬県 栃木県 茨城県 福島県 山形県 秋田県 30.3% 17.3% 17.6% 16.9% 19.6% 17.9% 19.3% 18.4% 11.2%9.2% 12.1% 9.0% 10.1% 12.7% 11.9% 13.4% 15.9% 12.5% 13.5% 14.2% 13.7% 14.5% 19.9% 16.9% 22.2% 23.0% 23.1% 20.5% 20.6% 11.4% 12.0% 17.5% 13.6% 19.1% 9.6% 9.1% 6.4% 7.9% 9.0% 10.2% 11.6% 9.5% 9.9% 9.2% 10.2% 5.4% 5.9% 8.2% 6.0% 8.1% 9.0% 11.1% 10.1% 8.4% 6.0% 7.2% 8.5% 9.7% 10.6% 12.1% 14.8% 17.1% 18.3% 20.1% 19.6% 18.3% 20.9% 22.2% 24.8% 23.9% 25.8% 27.3% 16.4% 17.9% 15.0% 16.3% 17.7% 19.2% 20.4% 22.5% 22.9% 24.1% 25.8% 27.0% 28.0% 29.3% 27.9% 20.8% 22.4% 19.9% 9.1% 8.1% 9.5% 沖縄県 宮崎県 鹿児島県 大分県 熊本県 長崎県 佐賀県 福岡県 高知県 愛媛県 香川県 徳島県 山口県 広島県 岡山県 島根県 鳥取県 奈良県 和歌山県 兵庫県 大阪府 京都府 滋賀県 三重県 愛知県 静岡県 岐阜県 長野県 山梨県 福井県 石川県 富山県 新潟県 東京都 神奈川県 千葉県 埼玉県 群馬県 栃木県 茨城県 福島県 山形県 秋田県 宮城県 岩手県 青森県 北海道 全国 All rights reserved 借家/共同住宅 空家率* 持家/一戸建て 空家率* 10.0% 633 +8.1% +12.2% +25.4% 685 -5.1 +11.6 +5.3 +5.5 -8.2 -15.5 -4.2 -3.3 宮城県 岩手県 19.2% 20.3% 15% -35.6 26.3% 25% 空き家増加数(08-13) 230 -2.2% 235 235 +5.2% 223 68 +8.4% 63 74 +8.0% 69 97 -7.8% 106 -27.6% 41 56 20 -17.4% 24 21 -13.6% 24 -38.0% 94 58 -19.1% 青森県 30% |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute 8| -20.1% 全国 10% 北海道 20% 29 -6.8 36 36 -9.0 45 -4.9 4,712 +89.3 4,623 100千 -50.0% -200千 -10.0% 243 248 200千 -40.0% -100千 0.0% -2.0% 400千 +1.9% 300千 20.0% 共同住宅空き家数(2013) 600千 -30.0% 0千 空き家数増加率(08-13) 500千 30.0% 700千 図表-18:都道府県別の共同住宅空き家数・空き家増加数・増加率(2008 年、2013 年) (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 図表-19:都道府県別の持家系一戸建ておよび借家共同住宅の空き家率*(2013 年) 35% 5% 0% (注)空き家率*の計算については脚注 5 を参照のこと。 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 2|主要都市の空き家数・空き家率 (1) 西日本の主要都市で相対的に高い空き家率 2013 年の主要 21 都市の空き家率をみると、全般的に東日本よりも西日本の空き家率が高い傾向が 見られる(図表-20) 。主要都市で空き家率が最も低い市はさいたま市の 9.9%で、最も高い市は大阪 市の 17.2%だった。2008 年~2013 年の 5 年間に最も空き家が増加したのは、東京都区部(+4.3 万戸 の増加)で、最も減少したのが仙台市(-2.5 万戸の減少)だった。 これら主要都市の所有関係別・建て方別の空き家率*を計算すると、持家系一戸建ての空き家率*や 借家の共同住宅の空き家率*と比べ、持家系共同住宅の空き家率*で都市間格差の大きさが際立ってい る(図表-21) 。なお、借家の共同住宅では、仙台市が 11.7%と突出して低い空き家率*だった。 700千 20% 21.0% 17.7% 14.4% 15.2% 10.2% 10.4% 6.6% 8.4% 北九州市 福岡市 熊本市 浜松市 名古屋市 8.5% 7.3% 7.1% 7.3% 6.6% 7.4% 5.0% 3.6% 4.7% 6.0% 6.8% 8.1% 10.6% 10.9% 11.1% 12.1% 13.0% 15.8% 15.7% 17.0% 14.8% 17.5% 18.6% 21.6% 17.9% 18.5% 18.2% 19.8% 19.3% 17.0% 19.1% 10.5% 7.2% 8.8% 8.0% 4.8% 0% 広島市 岡山市 神戸市 大阪市 堺市 持家/共同住宅 空家率* 京都市 静岡市 持家/一戸建て 空家率* 新潟市 川崎市 相模原市 横浜市 千葉市 特別区部 仙台市 さいたま市 札幌市 全国 北九州市 熊本市 福岡市 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 5.6% 4.8% +4.5 広島市 岡山市 堺市 神戸市 大阪市 空家率 8.5% 9.5% 50 46 -12.3 -3.7 +4.5 +5.5 +1.9 +3.5 名古屋市 京都市 浜松市 相模原市 静岡市 新潟市 川崎市 特別区部 横浜市 さいたま市 千葉市 仙台市 全国 札幌市 空き家増加数 13.3% 15.0% 105 117 54 52 71 75 83 79 55 50 108 105 +25.5 +4.0 +18.9 +20.4 +2.1 +3.5 +2.4 +9.0 +17.7 -1.5 +42.5 -25.1 -0.2 +627.7 +6.6 2% 22.6% 24.3% 22.2% 18.0% 15.6% 16.2% 8.4% 15.8% 16.5% 11.7% 19.2% 16.4% 12.2% 19.2% 14.1% 14.3% 14.1% 21.3% 15.7% 13.1% 281 255 5% 4% 0% 空き家数(2013) 10% 6% -100千 空き家数(2008) 20% 15% 8% 49 30 44 40 44 42 36 34 53 54 56 57 56 79 70 81 8,196 7,568 0千 14% 10% 114 110 168 147 178 160 142 136 100千 25% 16% 12% 300千 200千 13.2% 14.0% 12.0% 13.2% 13.9% 13.6% 10.4% 10.6% 10.1% 9.9% 10.0% 11.2% 11.5% 400千 24.8% 17.2% 587 13.5% 14.1% 500千 30% 18% 545 600千 図表-21:主要都市別の所有関係別・建て方別の 空き家率*(2013 年) 26.9% 千 図表-20:主要都市別の 空き家数・空き家率(2008 年、2013 年) 借家/共同住宅 空家率* (注)空き家率*の計算については脚注 5 を参照のこと。 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 (2) 東京都区部 東京都区部の 2013 年の空き家数は 2008 年の 54.5 万戸から 2013 年に 58.7 万戸に+4.3 万戸の増加 となった(図表-22) 。このうち、賃貸用の非木造共同住宅等11は+6.4 万戸の増加で、都区部全体の空 き家数の増加(+4.3 万戸)を 2 万戸以上、上回っている。なお、持家系の共同住宅等は-3.7 万戸の減 少だった。 持家系の空き家の 5 年間の変化を区別にみると、一戸建ては大田区と江戸川区でのみ顕著な増加と なった一方、非木造共同住宅等は多くの区で減少しており、その中で世田谷区の空き家のみが大幅な 増加だった(図表-23) 。一方、賃貸用の非木造共同住宅等の空き家については、大田区や世田谷区で など多くの区で増加が見られた。 2013 年の東京都区部の空き家率は 11.2%だったが、このうち、江東区が 7.8%で最も低く、豊島区 が 15.8%で最も高かった(図表-24) 。 東京都区部の所有関係別・建て方別の空き家率*を計算したのが図表-25 である。ここで特徴的な のが、持家系一戸建ての空き家率*が都心部の千代田区と中央区で高いことである。非木造共同住宅等 の空き家率*を持家と借家とで比較すると、世田谷区以外の全ての区で借家が持家の空き家率*を上回 っている。 11 住宅・土地統計調査の市町村編では、建て方別の空き家区分として「一戸建て」と「長屋建て・共同住宅・その他」の二 区分のみの開示となっているため、以下の主要都市別では、一戸建てと、一戸建て以外は共同住宅等として計算・表現する。 9| |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute All rights reserved 図表-22:東京都区部の所有関係別・建て方別・ 図表-23:東京都区部の区別・建て方別の 構造別空き家数・増加数(2008~2013 年) 空き家増加数(2008~2013 年) 14,480 +1,620 +2,180 2,200 3,050+690 +120 2,940 +10 +350 -1,340 -400 -1,750 -440 -2,530 江戸川区 葛飾区 足立区 練馬区 板橋区 荒川区 豊島区 品川区 目黒区 大田区 世田谷区 渋谷区 杉並区 北区 -720 -2,500 -220 -690 中野区 -6,050 -920 -120 -470 -80 -780 -40 -2,150 -8,130 -5,770 墨田区 江東区 -430 -4,540 -1,360 21.3% 16.7% 16.8% 17.1% 12.1% 12.3% 13.3% 14.4% 11.1% 9.9% 7.5% 4.7% 5.8% 7.0% 7.8% 葛飾区 江戸川区 足立区 6.0% 4.9% 中野区 杉並区 豊島区 北区 荒川区 板橋区 練馬区 4.9% 4.5% 5.4% 4.2% 5.3% 渋谷区 5.8% 6.4% 7.0% 世田谷区 中央区 港区 新宿区 文京区 台東区 墨田区 江東区 品川区 目黒区 大田区 6.2% 5.4% 3.6% 5.2% 7.8% 6.2% 7.3% 7.4% 11.5% 10.8% 7.8% 7.2% 7.2% 5.8% 8.1% 3.3% 11.4% 7.3% 7.7% 8.2% 9.0% 10.3% 11.0% 12.8% 13.1% 14.0% 18.7% 13.8% 15.0% 13.5% 13.9% 8.1% 8.8% 10.3% 千代田区 都区部 江戸川区 葛飾区 足立区 練馬区 板橋区 北区 荒川区 豊島区 杉並区 中野区 世田谷区 渋谷区 大田区 目黒区 品川区 江東区 墨田区 台東区 文京区 港区 新宿区 千代田区 中央区 清田区では借家の木造共同住宅等の空き家率も 19.5%と札幌市内の区で最も低く、共同住宅への需要が相対的に強い状況 にあるようだ。 12 +410 2,890 +740 5,310 +470 6,800 2,460 +520 +630 3,720 +5,860 +580 8,380 10,000 +4,480 5,120 +820 文京区 11.8% 10.5% 9.4% 6.8% 2% 7,070 5,160 -600 -3,400 -520 -900 16.1% 16.9% 11.7% 7.3% 11.6% 0% 台東区 -2,300 新宿区 港区 中央区 14.3% 16.3% 5% 20.3% 21.6% 10.9% 9.5% 9.7% 11.1% 11.4% 10.0% 10.5% 10.5% 4% 千代田区 都区部 15.8% 13.7% 12.1% 10.4% 9.8% 7.8% 10% 持家/一戸建て空き家率* 14.8% 11.4% 11.1% 9.7% 10.0% 6% +50 2,500 +50 3,990 +1,710 1,710 +370 -36,640 図表-25:東京都区部の区別にみた主な 所有関係別・建て方別の空き家率*(2013 年) 図表-24:東京都区部の区別の空き家率(2013 年) -90 -7,480 -7,430 -540 -20 -31,320-3,310 64,140 5,360 69,500 105,760 100,400 +8,570 309,600 245,460 415,360 345,860 70,630 8,570 65,010 56,440 -28,070 0% 都区部 (注)空き家率*の計算については脚注 5、脚注 9 を参照のこと。 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 All rights reserved |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute 10| 12.2% 12.9% 10.6% 11.2% 8% -5,000 持家/共同住宅等/非木造空き家率* 16% 非木造 木造 総数 15% 10% 97,010 133,650 162,020 190,090 42,560 0 借家/共同住宅等/非木造空き家率* 13.3% 12% 25% 18% -15,000 <共同住宅等> 総数 一戸建て 共同住宅等 総数 <賃貸用空き家数> <持家系空家数> <空き家 総数> -10,000 -100,000 5,000 300,000 20% 14% 425,300 354,670 400,000 0 200,000 10,000 持家系非木造共同住宅等 15,000 600,000 賃貸用非木造共同住宅等 500,000 持家系一戸建て 増加数 2013年 2008年 587,320 544,760 100,000 20,000 700,000 (3) 札幌市 札幌市の 2013 年の空き家数は 14.2 万戸で、2008 年と比べ 6.6 千戸の増加だった。このうち空き家 の増加数が多かったのが持家系の共同住宅(+5.6 千戸)と持家系の一戸建て(+4.4 千戸)で、賃貸用 の空き家は全体で-3.3 千戸の減少だった(図表-26) 。 区別の空き家率をみると、厚別区、手稲区、清田区12などで低く、中央区で高かった(図表-27) 。 区別の格差は 5.9%から 20.3%と比較的大きな格差があり、地域別に住宅の需給ギャップがあるもの と思われる。非木造共同住宅の空き家率*を計算すると、中央区では持家で 13.7%、借家で 24.4%だ った。 図表-26:札幌市の所有関係別・建て方別・ 構造別空き家数・増加数(2008~2013 年) 142,160 135,560 160,000 30% 増加数 2013年 25% 7.7% 9.6% 9.8% 5.9% 2.9% 清田区 5.5% 5.0% 非木造 <共同住宅等> 17.7% 13.3% 12.5% 13.9% 5% 7.3% 木造 6.0% 総数 -560 一戸建て 共同住宅等 0% 手稲区 厚別区 西区 南区 豊平区 白石区 東区 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 北区 <賃貸用空き家数> 中央区 札幌市 <持家系空家数> -1,650 -2,210 -3,310 総数 <空き家 総数> 総数 16.1% 14.9% 15.3% 16.1% 12.3% 13.4% 13.2% 13.9% 0 -20,000 15.6% 18.2% 20.2% 16.2% 15.7% 13.7% 11.0% 10% 借家/共同住宅等/非木造空き家率* 20.3% 15% 14.1% 42,010 43,660 5,550 24,270 18,720 6,600 20,000 4,360 13,510 9,150 40,000 9,910 37,780 27,870 60,000 20% 61,530 62,090 80,000 18.3% 100,000 持家/共同住宅等/非木造空き家率* 19.3% 103,540 105,750 120,000 空き家率 24.4% 2008年 104,380 107,690 140,000 図表-27:札幌市の区別にみた主な 所有関係別・建て方別の空き家率*(2013 年) (注)空き家率*の計算については脚注 5 を参照のこと。 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 (4) 名古屋市 名古屋市の 2013 年の空き家数は 16.8 万戸で 2008 年の 14.7 万戸から+2.0 万戸の増加だった(図表 -28) 。空き家数の増加は、賃貸用の非木造共同住宅等で+1.6 万戸の増加と多く、持家系の一戸建ての 空き家が+3 千戸の増加だった。 名古屋市は区別の空き家率格差が小さく、ほぼ 11%から 15%の範囲に収まっており、瑞穂区で最も 空き家率が高く、緑区で最も低かった(図表-29) 。非木造共同住宅の空き家率*をみると、借家では区 別の格差が小さい一方、持家では中川区の 5.5%から北区の 15.5%まで比較的大きな差が見られる。 図表-28:名古屋市の所有関係別・建て方別・ 構造別空き家数・増加数(2008~2013 年) 18.3% 14.1% 13.8% 15.5% 15.1% 13.6% 13.3% 11.9% 9.6% 11.0% 12.3% 13.3% 13.9% 11.6% 12.6% 12.5% 8.2% 7.4% 8.1% 8.8% 9.9% 12.7% 10.1% 14.0% 15.1% 13.3% 15.7% 14.3% 18.0% 18.6% 17.2% 17.1% 16.7% 14.2% 5.5% 5.8% 中川区 港区 天白区 緑区 名東区 南区 守山区 熱田区 瑞穂区 中区 昭和区 西区 中村区 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 15.1% <賃貸用空き家数> 借家/共同住宅等/非木造空き家率* 北区 <共同住宅等> 東区 <持家系空家数> 総数 持家/共同住宅等/非木造空き家率* 0% 名古屋市 <空き家 総数> 一戸建て 共同住宅等 非木造 14.2% 空き家率 2% 千種区 総数 木造 14.0% 13.9% 総数 9.7% 6% -30 -20,000 12.4% 8% 4% 0 14.0% 11.0% 15,980 15,950 22,070 22,100 1,270 16,430 26,680 25,410 3,980 20,410 20,000 10% 2,710 25,300 22,590 60,000 12% 12.8% 12.7% 51,980 48,000 80,000 14% 90,930 74,950 100,000 16% 15.3% 113,000 97,050 115,750 99,320 120,000 18% 15.5% 増加数 2013年 140,000 40,000 18.7% 20% 2008年 15.6% 13.2% 160,000 167,730 147,320 180,000 図表-29:名古屋市の区別にみた主な 所有関係別・建て方別の空き家率*(2013 年) (注)空き家率*の計算については脚注 5 を参照のこと。 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 (5) 大阪市 大阪市の 2013 年の空き家数は 28.1 万戸で 2008 年の 25.5 万戸から+2.6 万戸の増加だった (図表-30) 。 空き家数は賃貸用の非木造共同住宅等で+1.6 万戸の増加で、賃貸用の木造共同住宅が+5 千戸、持家系 一戸建てが+4 千戸の増加だった。 区別の空き家率は、鶴見区が 6.2%と低く東住吉区と西成区が 23.8%で最も高かった(図表-31) 。 各区全体の空き家率と借家の非木造共同住宅の空き家率*が非常に近い数値になっており、中央区や北 区、西区などの都心で、借家の非木造共同住宅の空き家率*が相対的に低い水準にある。 11| |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute All rights reserved 図表-30:大阪市の所有関係別・建て方別・ 構造別空き家数・増加数(2008~2013 年) 図表-31:大阪市の区別にみた主な 所有関係別・建て方別の空き家率*(2013 年) 36.1% 40% 2008年 17.0% 12.6% 12.4% 9.4% 9.5% 6.2% 北区 中央区 平野区 住之江区 鶴見区 淀川区 西成区 住吉区 阿倍野区 城東区 東成区 東淀川区 4.2% 東住吉区 4.8% 7.4% 15.1% 12.8% 9.2% 15.0% 16.1% 13.6% 17.2% 14.9% 18.4% 18.3% 23.8% 18.0% 19.8% 14.3% 23.8% 20.6% 24.1% 25.5% 17.8% 16.4% 13.1% 旭区 14.5% 生野区 21.1% 21.4% 西淀川区 13.3% 浪速区 17.4% 18.2% 18.5% 15.1% 22.4% 15.8% 16.6% 17.6% 21.2% 24.4% 26.8% 26.3% 23.1% 17.6% 21.1% 港区 大正区 西区 此花区 天王寺区 17.8% 14.9% 14.3% 19.9% 19.6% 14.3% 21.9% 19.5% 19.4% 11.4% 10.8% 20.0% 12.8% (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 都島区 <賃貸用空き家数> 20.7% 0% 大阪市 <持家系空家数> 23.3% 5% 非木造 10.5% 4.7% 福島区 木造 <共同住宅等> 10.7% 総数 9.2% <空き家 総数> 一戸建て 共同住宅等 14.7% -4,850 -460 総数 総数 15.9% 10% 16.8% 15,650 20,310 4,650 38,760 34,110 15% 0 -50,000 17.6% 17.2% 25% 20% 26,030 4,380 34,610 30,230 25,570 50,000 30% 138,840 123,190 100,000 56,340 61,190 90,950 91,410 150,000 177,600 157,290 200,000 持家/共同住宅等/非木造空き家率* 借家/共同住宅等/非木造空き家率* 189,790 163,760 250,000 空き家率 35% 増加数 2013年 29.0% 280,740 255,170 300,000 (注)空き家率*の計算については脚注 5 を参照のこと。 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 (6) 福岡市 福岡市は主要都市で唯一、2008 年から 2013 年に空き家数が減少した都市である。2013 年の空き家 数は 10.4 万戸で 2008 年の 11.7 万戸から-1.2 万戸の減少だった(図表-32) 。空き家数の減少は、賃 貸用の非木造共同住宅(-1.0 万戸の減少) 、賃貸用木造住宅(-2 千戸の減少) 、持家系共同住宅(-2 千戸の減少)の減少による。賃貸を中心に共同住宅の需要が増加しているようだ。 区別の空き家率は、西区で 7.9%と最も低く、中央区が 14.7%で最も高かった(図表-33) 。博多区 では、持家の非木造共同住宅の空き家率*が 4.8%と非常に低い水準にある。西区では借家の非木造共 同住宅の空き家率*が 7.8%と非常に低く、賃貸共同住宅への需要の強さがうかがえる。 図表-32:福岡市の所有関係別・建て方別・ 構造別空き家数・増加数(2008~2013 年) 15.8% 14.2% 空き家率 持家/共同住宅等/非木造空き家率* 借家/共同住宅等/非木造空き家率* 0% 早良区 城南区 西区 南区 中央区 博多区 東区 福岡市 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 10.8% 10.6% 7.8% <共同住宅等> <賃貸用空き家数> 7.9% 7.9% 8.9% 2% 11.3% 10.4% 12.9% 8.3% 非木造 4.8% 総数 4% 13.4% 14.7% 10.9% 一戸建て 共同住宅等 <持家系空家数> 木造 -10,040 総数 -2,300 -12,340 -12,320 -1,890 -12,280 総数 <空き家 総数> 11.7% 40 6% 0 -40,000 9.4% 13,660 15,960 8% 13.1% 10% 15,960 17,850 20,000 1,910 9,920 8,010 25,890 25,850 40,000 12.2% 12% 60,000 13.9% 14% 13.5% 63,070 73,110 80,000 16% 76,730 89,070 100,000 -20,000 16.7% 増加数 2013年 14.8% 2008年 78,580 90,900 120,000 18% 104,470 116,750 140,000 図表-33:福岡市の区別にみた主な 所有関係別・建て方別の空き家率*(2013 年) (注)空き家率*の計算については脚注 5 を参照のこと。 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 4――空き家の腐朽状況 1|空き家の腐朽・破損状況 住宅・土地統計調査では、住宅の腐朽・破損の有無を調査している。居住世帯のある住宅では、破損・ 腐朽の比率が 8.6%の一方、空き家では 26.0%に達する(図表-34) 。 12| |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute All rights reserved 建て方・構造別にみると、空き家のうち一戸建て(33.0%)と木造の共同住宅(34.0%)で腐朽・ 破損の比率が高く、非木造の共同住宅では 15.8%とその比率は低い。また、腐朽・破損比率は、別荘 などの二次的住宅で低く(12.5%) 、長期に人が居住していない「その他の住宅」では 33.1%と約三 分の 1 の空き家に腐朽・破損がみられる。 図表-34: 空き家と居住世帯のある住宅の腐朽・破損比率(2013 年) 38.6% 35.7% 33.1% 15.6% 17.9% 16.9% 21.3% 23.2% 16.1% 20.1% 7.5% 8.5% 8.1% 8.6% 6.9% 8.2% 10% 33.5% 22.7% 15% 8.8% 9.9% 13.2% 12.5% 15.8% 19.7% 20% 21.9% 26.0% 25% 36.3% 33.0% 35% 30% 34.0% 40% 38.9% 45% 5% 0% 空き家総数 うち 二次的住宅 総数 一戸建て うち 賃貸用の住宅 共同住宅 うち 売却用の住宅 共同住宅 木造 うち その他の住宅 居住世帯の ある住宅 共同住宅 非木造 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」 2|共同住宅の空き家の建築時期 総務省統計局は住宅・土地統計調査の結果を特別集計したレポート13で、共同住宅の空き家の建築 時期をとりまとめている。これによると、共同住宅の空き家で最も戸数が多いのは 1991 年~2000 年 に建築された住宅の 74.5 万戸で、次いで 1981 年~1990 年の 73.1 万戸だった(図表-35) 。空き家率 * は、共同住宅全体では 17.6%だが、1970 年までに建築された住宅では 21.0%に達している。一方、 2001 年以降に建築された住宅では 10%程度の空き家率*だった。 図表-35: 共同住宅空き家の建築年と空き家率* 5,360 15.0% 10.1% 2,827 9.9% 2,736 10.0% 2,780 3,000千 25.0% 20.0% 12.2% 4,000千 4,210 14.8% 15.9% 17.6% 5,000千 21.0% 6,000千 10.0% 2,000千 908 ~2005 ~2010 ~2013.9 102 ~2000 311 745 ~1990 5.0% 304 731 259 525 977 22,085 4,712 1,000千 0千 0.0% 総数 ~1970 共同住宅空き家数 ~1980 共同住宅数(居住世帯あり住宅) 空き家率* (注)空き家率*=空き家数/(空き家数+住宅数(居住世帯あり住宅)で算出。空き 家率*の計算の考え方については脚注 5 を参照のこと。 (出所)総務省統計局「住宅・土地統計調査」特別集計レポート 総務省統計局「平成 25 年住宅・土地統計調査 特別集計「共同住宅の空き家について分析-平成 25 年住宅・土地統計調 査(確報集計結果)からの推計-」 」 。 13 13| |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute All rights reserved 3|マンションの建築時期と空室率(マンション総合調査) 国土交通省のマンション総合調査14によると、全国のマンションで 3 ヶ月以上空室となっている戸 数割合は 2.4%であるという(図表-36) 。建築時期別に見ると、1969 年以前に建築されたマンション では空室割合が 8.2%と高く、2005 年~2009 年の建築物件では 0.8%という低さであった。このよう に、住宅・土地統計調査とは空き家率の水準に格差はあるが、他の調査でも建築後の年数が長いほど 空き家率は高くなっている。 図表-36: 全国のマンションにおける建築年別の空室(3 ヶ月以上)の戸数割合 9.0% 8.2% 8.0% 7.0% 5.6% 6.0% 4.7% 5.0% 4.0% 3.0% 3.4% 2.8% 2.4% 2.5% 2.0% 1.4% 1.1% 1.0% 1.3% 0.8% 0.0% ~2010 ~2009 ~2004 ~1999 ~1994 ~1989 ~1984 ~1979 ~1974 1969以前 全体 (出所)国土交通省「マンション総合調査」 (2014) 5――おわりに 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によると、2015 年から 2016 年にかけて 日本の人口は年間で 40 万人を越える減少となり、その減少幅は今後さらに拡大し、2025 年には前年 比で-74 万人の減少になると予測されている。2025 年の日本の人口は 2010 年比で-21.4%の減少で、 東京都でも-11.7%の減少になるという。世帯数についても、同じく国立社会保障・人口問題研究所に よると、2010 年~2015 年に一般世帯数は+106 万世帯の増加だが、2015 年~2020 年には+15 万世帯の 増加、2020 年~2025 年には-61 万世帯の減少になると予測されている。 東京をはじめとする大都市では、近年の都心居住の進展に加え、昨年は、相続税対策や高級マンシ ョンの購入や外国人によるマンション購入などが進むなどの活況があり、人口減少による住宅への影 響を直接感じることは少ない。しかし、日本全体での人口減の本格化はすでに始まっており、今後、 各地で住宅への影響が深刻化する可能性が高い。 本稿は、全国的に空き家数を確認できる唯一の統計である住宅・土地統計調査から、空き家の現況 の基本的データを整理したものである。それによると、2013 年現在、日本には居住可能な空き家は 820 万戸あり、毎年、十数万戸ずつ増加している。さらに空き家率や空き家の増加率は地域によって大き く異なり、今後の人口減少の進展の中で、持家の一戸建てに加え、マンションの空き家の増加も懸念 される。 14 調査の詳細については国土交通省「平成25年度マンション総合調査結果」を参照のこと。 14| |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute All rights reserved 現在、海外からのインバウンド客の急増などから空き家の民泊としての活用15などが提案されてお り、特に地方ではその期待が高いと思われる。ただし、空き家の活用のためには、空き家の現状把握 とともに、今後の状況予測のためにも、住宅・土地統計調査における高齢者などの居住状況の分析がよ り重要になってくると思われる。 こうした空き家の見通しに関する分析は、 政策担当者ばかりでなく、 民間事業者や投資家にとってもますます重要になっていくのではないだろうか。 みずほ総合研究所のレポートによると、訪日外国人旅行者数が 2,500 万人までに増加する場合、全国で新たに必要となる 客室数は 2014 年比で 4 万 1 千室(延べ宿泊者数の増加は 3.8 千万人)と予測されている。本稿で記述してきたように、日本 には居住可能な空き家が 820 万戸存在し、毎年 10 数万戸ずつ増加していることから、空き家の有効利用が日本の宿泊施設不 足の解消に大きな役割を果たす可能性が高い。現在、 「民泊サイトを通じた民泊」が客室を不特定多数に繰り返し貸し出すた めには、通常、旅館業法の許可を受ける必要があるが、厚生労働省「 「民泊サービスのあり方」に関する検討会」から公表さ れた「 「民泊サービス」のあり方について(中間整理) 」では、中期的な検討課題として、規制の程度について現状のような 「許可ではなく、届出とする等」の課題を記載している。居住可能な空き家が 820 万戸あり、毎年十数万戸ずつ増加し、今 後も増加が見込まれるという、欧米でも例のないスピードで空き家が増加する日本にとって、届出だけで民泊として認める という方向性は、今後の人口減少の進展や人口の都心回帰の流れに伴う周辺部での空き家の増加、人口減と高齢化よる日本 人による国内旅行の減少可能性などを考慮すると、宿泊施設の供給過剰を懸念せざるを得ない。なお、国内宿泊施設におけ る外国人比率は急激に高まっているが、2015 年時点で 13.1%であり、日本人による宿泊が全体の 86.9%を占めている。も ちろん、新たな政府目標では 2020 年までの訪日外国人旅行者数は 4 千万人となっており、これが実現されるのであれば、宿 泊施設として現在の空き家の活用は不可欠であろう。みずほ総研のレポートについては、大和香織「インバウンド観光と宿 泊施設不足-2020 年までに東京・関西を中心に不足感強まる」 (2015.8.10)みずほインサイト、を参照のこと。また、 「週 刊ホテルレストラン」2015 年 12 月 4 日号によると、2015 年 12 月時点での全国のホテルの新・増設客室計画数は 4.5 万室 (完成時期未定を含む)に上っており、その後も多数のホテル開発計画が発表されている。 15 15| |ニッセイ基礎研レポート 2016-05-02|Copyright ©2016 NLI Research Institute All rights reserved
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