2 01 4 . 3 全史料協会報 N o . 9 5 浮かび上がる市民のネットワーク -立教大学共生社会研究センター所 蔵資料から一 平野 泉 立教大学共生社会研究セン ター(以下、「セ )は 、 2 0 1 0年 4月に設立された機関 ンター J で 、 2 0 09年 3月の立教大学 ・埼玉大学問の覚 書 に基づき、埼玉大学が 1 9 97年から収集 ・公 開してきた住民・市民運動資料を一般の利用 0万点を超え に供している 。ポスターでは、 3 る「多様な 市民の社会活動に関する資料 J( セ ンタ一規程第 1条)に現れる市民のネットワ ークを可視化する可能'性について検討した。 まず、レフアレンスに日々 利用しているデ ータ から 、資料群ごとに重複を除い た 1 7,0 15 件の人名・団体名を抽出し、資料群の境界を 9 4件を確認し、その重なり具合 超えた重複 5 と件数を検討してみた。 しかしこうしたデー タ操作からは、大きな資料群の間で多くの名 前が共通しているということ がわかっただけ で、それがし、かなるつながりなのかは見えて 来なかった。つぎに、センター資料を整理 ・ 利用する様々な場面で様々な人が発見したつ ながりを手描きしてみたが、非常に複雑なネ ッ トワークをなしており、平面で描ききる の は到底不可能であった。 以上のことから、活動する市民のネットワ ークを可視化するのは容易では なく 、I S A A R ( C P F )の関係性記述を使っても 表現できな い と思われた。それは、活動する 市民たちだけ ではなく、彼らの活動が生み出す資料、資料 を利用する研究者、研究者が生み出す論文、 そしてアーキビストがそれぞれにネットワー クし、それが重なり合い 、相 互作用して いる からである 。だ とすれば、アーキピストは記 録と市民をつなぐインターフェイスであると ともに、自らも市民として、多様な市民と記 41 2 0 1 4 .3 全史料協会報 録が織りなす重層的で複雑なネ ッ トワークの ノードとして機能し得る位置に あるのではな いだろうか。 42 N o . 95
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