平成28年4月27日 会 公益社団法人日本看護協会 長坂本す 日崩香 護棚向 罷聖渓 厚生労働省労働基準局 局長山越敬一殿 平成29年度予算等に関する要望書 今国会上程中の「労働基準法等の一部を改正する法律案」における「労働時間等設定 改善法」の一部改正については、「労働時間等設定改善指針」に新たに深夜業の回数制 限並びに勤務間インターバルの確保の項目を追加することとしており、夜勤・交代制勤 務を行う労働者の安全並びに健康の確保に向けた労使の取組みを一歩進めるものとして、 本会としても期待をしているところです。 医療従事者の勤務環境の改善については、改正医療法に基づく医療機関の勤務環境改 善マネジメントシステムの自主的な導入に向けた支援にご尽力いただいているところで すが、都道府県医療勤務環境改善支援センター機能が確実に発揮されるよう国として支 援を強化されることが必要と考えております。 つきましては、平成 29年度予算案等の編成に当たっては、以下の事項について、ご 尽力を賜りますよう、強く要望致します。 要望事項 看護職の夜勤負担の軽等、健康に配慮した勤務環境の改善 1.夜勤労働適正化のための指針の策定 2.医療分野の『雇用の質』向上の取組みの促進 1.夜勤労働適正化のための指針の策定 ①労働時間等設定改善指針に、深夜労働の回数上限ならびに勤務間インタ バルの確保を、具体的な目標数値を示して盛り込んでいただきたい。 ②夜勤・交代制勤務の健康への影響を把握する調査研究を実施されたい。 要望の背景 「労働時間等設定改善指針」改正を夜勤・交代制勤務の負担軽減に向けた実効ある第 一歩とすべく、深夜業の回数制限、勤務間インターバル確保の項目を、具体的な数値目 標を示して盛り込んでいただきたい。 また、具体的な数値目標は、あらためて国内の夜勤・交代制従事者の勤務が及ぼす健 康への影響等を把握されたうえで、設定されることが重要と考える。夜勤・交代制勤務 に伴う健康りスクについては、国際がん研究機関、国際産業保健学会などが指摘してい るが、日本では医療従事者が世界的にも例を見ない長時間かつ不規則なシフト編成での 夜勤を行っているにもかかわらず、その勤務が及ぼす健康への影響、労働安全衛生の観 点からの課題等についてデータが収集されていない。この際、国の責任において、もし くは研究機関・関係団体等への委託により、調査研究を実施されたい。 2.医療分野の『雇用の質』向上の取組みの促進 ①都道府県医療勤務環境改善支援センターの機能拡充及び効率的な運営に 向けて、調査研究事業の成果を踏まえ、医政局と連携のうえ、各都道府県や 支援センターと都道府県看護協会の連携を促していただきたい。 【事業伊1】例えば、富山県、岡山県、島根県では、県看護協会が開催するワ ーク・ライフ・バランス推進ワークショップ運営等費用を県が補助し、事業 を連携して実施することにより成果を挙げており、参考にしていただきたい。 ②医療労務管理アドバイザーの人件費の確保及て靭修等を通じた質の向上を 図っていただきたい。 要望の背景 平成27年度厚生労働省委託事業「医療分野の勤務環境改善マネジメントシステムに 基づく医療機関の取組みに対する支援の充実を図るための調査・研究」の提言において は、医療勤務環境改善支援センター機能の拡充に向けた具体的な方策が示されており、 当該提言並びに取組み好事例(富山県、鳥取県等)等を踏まえ、医政局と連携のうえ、 支援センターの機能拡充と効率的な運営に向けて取り組まれたい。 とくに、都道府県看護協会が開催する「ワーク・ライフ・バランス推進ワークショッ プ」等の医療機関支援活動は、自主的取組みへの組織的支援であり、各地で実績を上げ てきたものである。ワークショップ参加施設の中には、看護職に限らず医療従事者全体 の取組みとして活用している例もあり、今後そのような形での展開が可能と考えられる。 また、「ワーク・ライフ・バランス(WLB)インデックス調査」は日本看護協会が当初 看護職を対象として開発したものであるが、現在医療従事者全般・事務職員等も利用可 能なものへの改訂を行っているところである。そこで、例えば、都道府県が「ワークシ ヨップ事業」や「ワーク・ライフ・バランス(WLB)インデックス調査」の運営費用 を助成するなど、都道府県看護協会の事業を医療勤務環境改善支援センターと連携した 事業として位置づけて取り組むことが効果的である。 また、医療労務管理アドバイザーについては、引き続き人件費を確保するとともに、 研修等を通じた質の向上を図られたい。さらに、各都道府県には看護職の勤務環境改善 支援の実績のある看護管理者等の人材がいるので、支援センターにおいてアドバイザー 等として活用されたい。
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