(第 4 回フィンテック基礎研究) 移動平均 3 1 / 7 フォレストブック 概 略

(第 4 回フィンテック基礎研究)
移動平均 3
■■■ 概 略 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
〇前回の内容と今回のテーマ
〇移動平均を使った売買について
・グランビルの法則
・ゴールデンクロス・デッドクロス
〇225 先物での具体例
〇今回レポートの総括
〇次回案内
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◆◆◆ 前回の内容と今回のテーマ ◆◆◆
前回のレポートではマーケットを分析する上で「平均」がどのように使われているかに
ついて述べてまいりました。今回のレポートでは「移動平均を使った売買の例」というテ
ーマで進めてまいります。
◆◆◆ 移動平均を使った売買について ◆◆◆
移動平均を使った売買手法としてよく知られているものに①「グランビルの法則」
、②
「ゴールデンクロス・デッドクロス」というものがあります。それらの手法についてご説
明いたします。
① 「グランビルの法則」
そもそも移動平均線というのは米国のグランビルという人が考案した手法で、「移動平
均線と株価の乖離の仕方や方向性を見ることで、株価の先行きを判断する」分析法則がい
わゆる「グランビルの法則」と呼ばれています。この法則は 8 つの項目に分かれていて、
半分が「買い信号」、もう半分が「売り信号」です。具体的には次の内容になります。(日
本証券業協会 もっと知りたい!Q&A>グランビルの法則 参照)
買い信号
A:移動平均線が長期間下落ないし横ばいで推移した後に上昇に転じ、株価がその移動平
均線を下から上へ突き抜けるときは、重要な買い信号。
B:株価が移動平均線を下回ってきた場合でも、移動平均線が上昇中のときは、一時的な
調整と見て押し目買い信号。
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C:移動平均線の上方にある株価が足踏み状態のまま、上昇中の移動平均線に近づいてき
たが、移動平均線を割り込むことなく再び上昇したときは、買い乗せ局面の信号。
D:下向きになっている移動平均線よりも、さらに株価が大きくかけ離れて下落した場
合、すなわち下降中の移動平均線との下方乖離が大きくなった場合は、自律反発する可能
性が高い。
売り信号
E:上昇してきた移動平均線が横ばい、または下落に転じた場合、株価が移動平均線を上
から下へ割り込むと、売りの第1段階。
F:下降中の移動平均線を株価が下から上に突き抜けても移動平均線の下落が続いている
ときは、戻り売り。
G:移動平均線を下回っている株価がもちあいのまま、あるいは一時的に上昇し下落中の
移動平均線に接近してきたものの、移動平均線を上回れずに再度下落に転じた場合は、売
り乗せ信号。
H:上昇中の移動平均線から株価が大きく上に離れ過ぎた場合、つまり上昇中の移動平均
線と上方乖離が大きくなった場合、株価は高値警戒感から自律反落する公算が大きい。
② 「ゴールデンクロス・デッドクロス」
ゴールデンクロスやデッドクロスは複数の周期の移動平均線を使います。マーケットの
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動きに応じてそれらの移動平均線がクロスすることに注目し、売買の信号として定義され
たものです。特に買い信号を「ゴールデンクロス」
、売り信号を「デッドクロス」と呼ん
でいます。(日本証券業協会 もっと知りたい!Q&A>ゴールデン・クロスとデッド・クロ
ス
参照)
ゴールデンクロス
過去の経験則では、株価が底入れから上昇に転じると、まず短期線から上向きに転じ、
株価の上昇が続くに従って中期線・長期線が上昇基調に転じます。そして、それまでは
上から長期線、中期線、短期線となっていたものが、上から短期線、中期線、長期線の
順番に入れ替わります。
この過程で中期線が長期線を下から突き抜けることを「ゴールデンクロス」といい、上
昇相場に入ったことを示すシグナルとして利用されています。
デッドクロス
株価の上昇が止まり、下降に入ると、平均線は短期線、中期線、長期線の順に下がり始
めます。この過程で中期線が長期線を上から下に突き抜けることを「デッドクロス」と
いい、上昇相場の終わりを示すといわれています。
デッドクロス後は、上から長期線、中期線、短期線の順になり、下降相場に入ったこと
を示すシグナルとして利用されています。
◆◆◆ 225 先物での具体例 ◆◆◆
では、売買の信号について具体的なものを見ていただくことにします。まず初めに今回
レポートさせていただく前提条件を記載しておきます。
(※今回のレポートではあくまで
も売買の信号を発生させるサンプルとして記載しているため、検証の結果有効なサンプル
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を記載しているものではありません。ご注意ください。
)
(前提)
・日経平均先物の日足データの終値を使う
・データの期間は 2015 年の 1 年間を使う
・売買の信号としてグランビルの法則は定義がやや複雑となるため移動平均のクロスを
使う
・移動平均は 5 日と 26 日のものを使う
まず初めに日足引け値を折れ線グラフに表してみますと①のグラフになります。
①日経平均先物
終値の推移
21000
20500
20000
19500
19000
18500
18000
17500
17000
16500
1
10
19
28
37
46
55
64
73
82
91
100
109
118
127
136
145
154
163
172
181
190
199
208
217
16000
X 軸(横軸)に経過日数、Y 軸(縦軸)が価格となっています。
この折れ線グラフに使ったデータを利用して 5 日と 26 日の移動平均線を描いてみます
と、②のグラフになります。
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②日経平均先物
5日移動平均の推移
21000
20500
20000
19500
19000
18500
18000
17500
17000
16500
1
10
19
28
37
46
55
64
73
82
91
100
109
118
127
136
145
154
163
172
181
190
199
208
217
16000
上記②ので赤のラインが短期(5 日)の移動平均線、青のラインが長期(26 日)の移動
平均線です。グラフでラインのクロスポイントをわかりやすくするため、一部を拡大して
みました。
グラフの中で赤丸印●ポイントは短期の移動平
均線が長期の移動平均線を下から上に突き上げて
いますから「ゴールデンクロス」となります。
逆に青丸印●ポイントは短期の移動平均線が長
期の移動平均線を上から下に突き抜けていますか
ら「デッドクロス」となります。
では、引け値の折れ線グラフ・5 日移動平均線・26 日移動平均線をすべて同じグラフに表
してみます。
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③日経平均先物
終値と移動平均の推移の推移
21000
20500
20000
19500
19000
18500
18000
17500
17000
16500
1
8
15
22
29
36
43
50
57
64
71
78
85
92
99
106
113
120
127
134
141
148
155
162
169
176
183
190
197
204
211
218
16000
上の③グラフにおける「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」を売買のタイミングをし
てご覧ください。いかがでしょうか?途中、売り買いが交錯しているところはあまり利益
を上げているとは考えにくいですが、後半の大きな動き(トレンドと言います。)が出て
くる局面ではおそらく大きな利益になったと考えられます。ただ、今回使用した移動平均
線の周期は 5 日と 26 日を使いましたが、前回のレポートでも述べた通り周期によってラ
インの様子が異なってきます。その周期によって「ゴールデンクロス」や「デッドクロ
ス」のポイントも全く変わってくる結果となります。
◆◆◆ 今回レポートの総括 ◆◆◆
・移動平均を使って売買のポイントを探るには、グランビルの法則や 2 つの移動平均を
使ったクロスポイントでタイミングを計ることができそうである。
・移動平均のクロスによる売買ポイントについては相場の様子(小刻みな動きや大きな
トレンドを作る動きなど)によって、うまく機能する時期と機能しない時期が出てきそう
である。
・移動平均を使う判断はその周期によってかなり左右されてしまいそうである。
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◆◆◆ 次回案内 ◆◆◆
次回は移動平均を使ったクロスで売買を行っていれば、どのような収益が出ていたの
か。バックテストと呼ばれるシミュレーション結果をお届けしようと思います。
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