第4章 XI. 病理診断科 診療科別研修プログラム 管理指導医:中塚 選択研修 伸⼀部⻑ 1. 研修プログラムの基本理念と特徴 病理診断科研修では、病理診断の実際を経験する事を通じて、病理学的診断に⾄る過程を理解する ことにより、将来、臨床医を⽬指す者には、その総合的診療能⼒の向上に寄与するところ⼤である と考えられる。また、病理専⾨医を⽬指す者にとっては、その基礎研修として位置付けられる。当 院は、質量とも豊富な症例を有し、こうした⽬的にふさわしい充実した病理研修が⾏えるものと考 えられる。 2. 研修内容 病理専⾨医の指導の下、実際の病理診断(剖検・組織診断[ ⼿術材料並びに⽣検材料] ・細胞診断・ 迅速診断)に加わる。そのことにより、病理診断全般に渡る基礎的な理解が得られる。また、CPC や 臨床科との症例検討会に参加・発表することにより、病理診断の診療における役割を実際に理解す ると共に、病理学的プレゼンテーションを体得することができる。 3. 経験⽬標(経験すべき診察法・検査・⼿技) 1) 基本的⽬標(⼀般的⽬標) ① 卒前教育を習得した各種疾患の病理ならびに病理学と関連する臨床的事項についての基本 的知識を(将来の専攻科を中⼼に)更に発展させること。 ② 病理診断を通じて、病態を正確に認識し、かつこれを表現する能⼒を有すること。 ③ 剖検を通じて、⼀⼈の患者の病態を総合的に把握し、関連付ける能⼒を有すること。 ④ 臨床所⾒、画像所⾒と病理所⾒を関連付け、統合する能⼒を有すること。 2) 具体的⽬標(個別的⽬標) ① 剖検 a. 剖検の意義を認識すること。 b. 死体解剖保存法に従って必要な法的処置をとり、遺体に対しては礼を失することなく丁 重に取り扱うこと。 c. ② CPCレポート作成・症例呈⽰」が⾏えること。 ⽣検、外科切除検体の病理診断 a. ⽣検が疾患の確定診断を下し、患者の治療⽅針、予後判定の重要な指標となることを⼗ 分認識すること。 b. 病理検体検査について、社会保険診療報酬、感染検体の取扱い、医療廃棄物の取り扱い などの基本知識を有していること。 c. 受理した検体の⾁眼的所⾒を観察、記録し、必要に応じて写真、スケッチなどを付すこ と。 d. 固定について理解すること。検査⽬的に合致した固定⽅法を選択できること。 e. 将来の専攻科を中⼼に 除材料の適切な切り出しができること。 基本的な組織所⾒(炎症、腫瘍の区別など)を正確に把握し、記載することがで きること。 特殊検査(⼀般特殊染⾊、免疫組織化学、分⼦病理学など)の基本的知識を有す ること。 基本的疾患の組織診断ができること。 f. g. 迅速診断 凍結切⽚による迅速診断の意義と適応を理解すること。 凍結切⽚作成⽅法と染⾊ステップを理解すること。 細胞診 細胞診の意義と適応を理解すること。 各種採取⽅法、検体処理⽅法について知識があること。 パパニコロー染⾊及びギムザ染⾊の基本的な知識があること。 細胞診断の基本的プロセスを理解すること。 細胞診断の基本⽤語を理解すること。 代表的な悪性腫瘍細胞像を理解すること。 1
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