イギリス・バーミンガムで研修中(PDF/368KB)

JICA海外長期研修体験談(イギリス・バーミンガム)
2015 年 9 月からイギリス・バーミンガムで研修中
安田聖子
海外長期研修で学んでいることについて
現在、Human Resource and Development Management を専攻しています。このコースを選んだ理
由は二つあります。これから JICA で働く際に関わるであろう途上国政府がどう機能し、どのような問題が
あるかを学ぶことができること。そして、途上国の貧困問題を学べること、です。この二つを同時期に学べ
ることが最大の利点です。
前者については、途上国政府が抱える問題(リーダーの欠如、組織の非効率性、官僚主義、汚職・腐
敗)について情報をインプットした後、どのようにそれらを解決していけるかを体系的な組織論をもとに考
えます。後者については、貧困を示すための指標や、各地域で抱える問題(ジェンダー、移民、土地制度、
など)及び、開発に関わるアクター(政府、援助機関、NGO など)がどのようにかかわりあっているかを学
習し、開発マネジメントでどう作用しているか、その関係性を学びます。
(修士論文教官との打ち合わせ)
これまでのキャリアと海外長期研修への応募のきっかけ
日系企業で数年間働いた後、2012 年1月より 2 年間、青年海外協力隊員としてマラウィに派遣されまし
た。当時は村落開発普及員として村落地域に住む女性たちに対し、生理用布ナプキンの縫製指導と販売
したい人に対してのマーケティング指導を行いました。そして、帰国後約半年間は、日系 NGO のケニア事
務所にて HIV/AIDS 担当職員として勤務していました。
アフリカに興味を持った経緯としては、 もともと家族がアフリカに関わる仕事をしていたので、ルワンダ
のジェノサイドやエチオピアの飢餓など、アフリカの悲惨な状況を知る機会が多くありました。その中で、家
族の影響を受けて自然な流れでアフリカの人々の助けになるような仕事に関わりたいと思うようになりまし
た。実際アフリカに住んでみると、おおらかでホスピタリティ溢れる彼らとの時間が大好きになり、アフリカ
の世界にどっぷりハマってしまったというのが正直なところです。
海外長期研修に応募したきっかけは、ケニア勤務時代にプロジェクトのドナーである JICA に対する最
終事業報告書を書いていた時です。当時は、プロジェクト終了時にどのようなデータがあると報告書として
きちんとした記録として残すことができるのか、手探り状態で報告内容を考えていました。その時に、この
ままこの業界で仕事を続けていたら、やがて自分の思いつきや状況の流れをもとに、業界で使用されてい
る指標や Criteria などのインプットが足りないまま、あやふやな感じで仕事を続けてしまうのでは、と、自分
に危機感を感じました。そして、開発学について一度しっかりと体系的に学ぶ必要があると痛感し、大学
院進学が今後のキャリアステップの一つとして自分の中で決まりました。
私の場合、とても幸運だったようで、ちょうど大学院に行こうと決意したタイミングで、帰国者隊員向けの
メールが届き、その中に本研修制度の告示があったので、応募するに至りました。ただ、当時の私は、今
後の方向性を即決できずにいたので、貿易商社やコンサルタント企業でも就職活動を行いました。今思う
と、思いつく選択肢全てを試したので、後悔なく進学の道に進めたのだと思います。
海外長期研修で特に得られた知識や専門性、経験などについて
マネジメントを学ぶ際に、とても役に立った課題があります。Develop Management という授業で、エチ
オピアの食糧事情( Food Insecurity)を改善するためのアプローチを考えるというものです。 Food
Security を引き起こす原因を洗い出し、解決策を吟味し、そこに関係者(エチオピア政府、国連、その他ド
ナー、プロジェクトの影響を直接受けるコミュニティ)がどう関わっているのかを分析し、妥当な政策・プロジ
ェクトを提示しました。この課題では、援助とマネジメントの過程を包括的に考え、アウトプットするという過
程が大変勉強になりました。また、今後、農業系のプロジェクト要員として JICA で関わっていく際に、食糧
事情が大変脆弱なエチオピアの状況を広い視点がから学ぶことで知識としてのインプット量が増えたのは
もちろん、今後の援助の世界でどんなことが求められるのか、その中で自分がどんなことができるのかを
自発的に考えるきっかけにもなりました。
毎日の暮らし
授業がある日は、昼過ぎにクラスが終わるので、その後、仲のよい友人と学内のカフェテリアに行き、ラ
ンチをしながら授業の感想や課題の進捗状況、日頃の人間関係などについておしゃべりをします。周りに
は、インドネシア、ザンビア、タイなど世界各国から学生が集まっているので、それぞれの違った文化・こ
れまでのキャリアで得てきた情報を共有し、とても楽しい時間を過ごせます。ランチの後は、図書館で勉強
タイムが始まります。私の学部は他の学部に比べて課題が多いらしく、図書館では知り合いによく遭遇し
ます。その度にお互いに課題の進捗状況を共有し、励まし合います。そして、分からないことがあると、現
場経験が豊富な友人にアドバイスをもらうこともあります。また、勉強の合間に学内にあるジムに通い、海
外長期研修後に目指している専門家になった時に備えて体力作りにも励みます。
クラスメートたちとのクリスマスパーティー
夕刻帰宅すると、ハウスメートとの交流が始まります。私の家は、7人の学生でシェアされており国籍が
とても多様なのが自慢です。ブルガリア、ボツワナ、ウルグアイ、ベトナム、ルーマニアの学生で和気藹々
と暮らしています。特に夕飯時は皆がキッチンに集まるので、絶好のおしゃべりタイムです。その日の学校
の出来事を語ることもあれば、自国紹介タイムが開催されたりもします。例えば、社会福祉制度がまだま
だ発展途上にあるボツワナにおいて、退職した元公務員たちは牛や鶏など家畜を土地と共に購入し、乾
いた大地に政府の助成金利用して井戸を掘り、家畜を育てながら老後を過ごすそうです。現在アフリカか
ら離れた場所に、座学としての開発学を学ぶ私にとって、こうした現場を伝える生活の話は、とても刺激に
なります。研修終了後には是非アフリカ地域で任務を全うしたいので、日々のこうしたおしゃべりの中でも
丁寧に学びを見つけて行こうと思っています。
日頃仲良くしているアフリカ出身のクラスメートと