上海合意の信憑性の高まりから、「米 「米ドル/円」100円へ!

【2016年4月20日公開】
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【西原氏スペシャルレポート】
『上海合意の信憑性の高まりから、
「米
「米ドル/円」100円へ!』
執筆者:株式会社CKキャピタル 代表取締役CEO
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2016 年の中期の円高の流れは変わらず。ただ、5 月の伊勢志摩サミットが近づくにつれ、国
内要因は円安材料が豊富。それにつれ、
「米ドル/円」はいったん中間反騰するとのコンセンサ
スが固まりつつあったのだがそれを一気に覆したのが、上海合意の噂である。上海合意の信憑
性が増し、4 月は一気に円高が進行。
●上海合意はあるか?
上海合意とは、2 月 26 日から 27 日に上海で開催されたG20(20 カ国・地域、財務相・中央
銀行総裁会議)において、非公式ではあるものの為替市場でのゲームチェンジとなる合意が交
わされたのではないか?というマーケットの憶測のことである。
その内容は以下の 2 点。
a)FRB(米連邦準備制度理事会)は資源国の通貨や株の暴落をさけるために利上げを急がないと
いう国際公約をした。
b)中国人民元の切り下げを含め、各国の通貨安戦争を回避する。
当初、この上海合意は、1985 年のプラザ合意と同様の文脈で報道されたこともあり、一部のマ
ーケット参加者の憶測にしか過ぎなかったのだが、信憑性を増したのが、3 月末のイエレン議
長の講演であった。
●イエレン議長のハト派な声明で「米ドル/円」は急落
3 月は多くの米地区連銀総裁がタカ派なコメントを繰り返し、米国では 2015 年 12 月に続き、
FRB の利上げ期待が高まっていた。
その状況下、3 月 29 日にイエレン議長が想定以上にハト派的なコメントをしたことが報道され
た。
この報道は、上海 G20 での「FRB は利上げを急がないという国際公約をした」とのマーケット
の憶測と合致する。このイエレン議長の豹変から、114 円近辺まで戻っていた「米ドル/円」が
一気に 110 円レベルまで急落した。
次に上海合意の信憑性を増したのが安倍首相の「介入はしない」との宣言?
●安倍首相が「介入はしない」と宣言?
更に円高を加速させた要因は、下記のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が安倍首相
と行ったインタビューの内容。
安倍首相はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、ここ数カ月の円高
傾向や人民元の下落、その他の主要通貨の不安定な動きについて、
「通貨安競争は絶対避けなけ
ればならない」とし、
「恣意的な為替市場への介入は慎まなければならない」との認識を示した。
(出所:WSJ)
このコメントは前述の上海合意での「通貨安戦争はさける」と合致する。
このインタビューを行ったのが米国のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)であったとい
うこともポイントである。安倍首相が米紙を使って、つまり、米国に向けて上海合意にもとづ
いて「介入はしない」と宣言したという意味に受け取れるからである。
このコメントにより、上海合意の信憑性が更に増し、
「米ドル/円」は一気に 107.65 円まで急落
した。
●ワシントン G20 で「円高抑制コンセンサス構築」に失敗、米ドル/円は 100 円へ
ただこの安倍首相の発言があった時点でも、まだ上海合意なるものに懐疑的な意見も多数。
しかし、上海合意は存在し、米国はドルの調整に動き出したのではないかとの信憑性をさらに
増したのが、4 月 15 日から 16 日のワシントンでの G20 である。
ワシントン G20 の声明文は前回の上海会合の基本スタンスを踏襲。つまり「通貨の競争的切り
下げの回避や競争力のために為替レートを目的としない」ことを確認。
加えてル―米財務長官は「最近の円高にもかかわらず、外為市場は秩序を保っている」として、
円高に対する日本の懸念を共有していないことをコメント。
このル―米財務長官発言を受けて、FT(FINANCIAL TIMES)紙は
「Japan warned not to devalue the yen」=「日本は通貨切り下げに動かないよう警告を受け
た」との見出しを掲載。
結果、為替市場では、早期に「米ドル/円」が 105 円を割りこむような円高が進行すれば、マー
ケットを安定化させるために日本が円売り介入をすることが可能という認識はあったのである
が、上記のル―米財務長官のコメントで日本の介入の可能性は大きく後退したことになる。
では、米ドルの調整があるとの仮定に基づくと、問題はその調整幅である。
10%というのは、通常のボラティリティでも変動するレベルなので、通貨調整であれば 15%以
上ということになる。
「米ドル/円」の高値となる 125 円台からの 15%であれば 106 円台、20%となれば 100 円と水
準という数字も見えてくる。
上海合意の噂の信憑性が増し、米ドル高の是正が鮮明となっている「米ドル/円」の動向に注目
である!
----------------------------------------------------------------------------------【執筆者:西原宏一氏プロフィール】
株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行為替部
門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャ
パンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラ
ー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交
流が深い。
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