別紙1 論 文 審 査 の 要 旨 報告番号 乙 第 論文審査担当者 2909 号 主査 小林洋一教授 副査 吉田 仁教授 副査 宮崎 章教授 氏 名 原 賀子 (論文審査の要旨) 小腸のNPC1L1を阻害するエゼチミブ(EZ)は、LDL-C低下作用のほか空腹時TG低下や 食後高脂血症改善作用も報告されている。本論文では、EZがTGリッチリポ蛋白とLDL 亜分画に与える影響を検討した。 【方法】脂質異常を合併した2型糖尿病患者28名に、EZを12週間投与し、前後で空 腹時採血を行った。うち20例にテストミールA食負荷試験を行い、摂取前、120分、 240 分 後 に 採 血 し た 。 血 糖 、 イ ン ス リ ン 、 HbA1c 、 血 清 脂 質 、 small dense LDL-C(sdLDL-C) 、ア ポB48(B48) 、RemL-C を測 定 し た。 large LDL-C はLDL-C から sdLDL-Cを引いて求めた。 【結果】TG、B48、RemL-Cは24、29、37%、LDL-C、large LDL-C、sdLDL-Cは19、15、 28%低下した。投与前のTG値で正TG群(TG<150mg/dl)、高TG群(TG≧150mg/dl)に分 けた。両群のLDL-C低下率は同等だったが、高TG群でsdLDL-Cが優先的に低下した。 負荷試験の変化では、B48は有意な変化なく、RemL-Cですべての時点で有意に低下 し、曲線下面積も有意に低下した。sdLDL-Cの変化量はTG、RemL-Cの前値、120分値、 240分値の変化量と相関したが、B48の変化量とは相関しなかった。 【結論】EZはTG高値の2型糖尿病患者に優先的にsd LDL-Cを低下させたが、これは RemL-Cの主要分画であるVLDLとそのレムナントの低下によるものと考えられた。 本論文が新しい知見を得ており、学術上価値のあるものと考えられ、学位に値する と判定した。 2型糖尿病におけるエゼチミブの小型高密度低比重リポ蛋白低下作用; トリグリセリド-リッチリポ蛋白との関係 糖尿病 第57巻1号2014年 掲載
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