見る/開く - 琉球大学

【琉球大学教育学部教育実践総合センター紀要】
【Bulletin of Faculty of Education Center for Educational Research and
Development】
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沖縄県離島地域の小規模校における小学校算数科の授業
に関する質的研究
石井, 勉
琉球大学教育学部教育実践総合センター紀要(18): 1-8
2011-03
http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/handle/123456789/19007
教 fT
'
実践 総 合セ ンター紀 安
第 1
8L
j・ 2
Ol1年 31
1
沖縄県離島地域の小規模校における
小学校算数科の授業に関す る質的研究
石井
勉
ASt
udyt
hatQual
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t
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yAnal
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andofOki
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Ts
ut
omuI
s
hi
i
1.研究の目的と方法
(
2)研究の方法
本稿では、沖純 l
)
?
.
・
内離島の某公立小学校での算
(1)研 究の 目的
数科のある授業 を耽 り上げる。 その授業全体 につ
いて数学的 コ ミュニケー ションを通 して、子 ども
これ まで算数 ・数学科の授業 に問拙脈決の学習
指導が強調 されて きた。その中で も話 し合い活動
同1:
が互いに学 び合い をす る場面に重点 をお きな
を有効的に実施す る困難性 は、多 くの教師か ら指
が ら、その分析 を行 う.
。そのために、学 び合い を分
摘 されて きたCまた、米国のス タンダー ドでは、数
2
0
0
6
,
2
01
0)を揺示
析す るための記述モデル (
石井:
学的 コ ミュニケー シ ョン自体が 目標 に位置付 け ら
す る。次に、授業の前半部 と後半部について、授業
れている。子 ども同士の学 び合いは、数学的 コ ミュ
の実際について学 び合いを視点 に分析す る.
=そ し
ニ ケー ションに基づ いて実施 されるが故 に、学 び
て、学力向上が課題 となっている沖縄県の教育課
合いの研究 は、この研究の一部 と位置付 け られる。
題 を意識 しなが ら、
授業改善のノ
ブ向性 を議論す る。
我が国では、.
7
p
T
.
蘇 (
1
9
9
3
:
1
9
9
9)によるコ ミュニ
ケー シ ョン ・プロセスの分析 を通 した基本的なメ
2.学び合いに関する分析枠組み
カニズムの解明に関す る研究 に端 を発 し、金本 ら
(
1
9
9
4
:
1
9
9
5
:
1
9
9
6:
1
9
9
7
:
2
0
01
)による授業 を通 した数
(1)社会的アプローチの視座 か ら
学的 コ ミュニケー シ ョン能力 をとらえる視点に関
す る研 究 な どが 行 わ れ て い る 。 他 に も、岩 崎
子 どもの発達 を社会 ・文化 ・歴史的な構成過程
(
2
0
n
O)
、久保 (
1
9
9
8
)、岸本 (
2
0
0
5)による研究が
ととらえるヴ イゴツキーの考えは、社会的構成主
あげ られ るが、一連の研究 を通 して、数学的 コ ミュ
義 と して他者の存在 に着 日した相互作 Hの過程 と
ニケーシ ョンを過 して、授業の質その もの を議論
して学習 を と らえ直す視座へ と引 き継が れてい
J
す る可能性が芽生えて きている。しか し、
個 々のエ
る。特 に、教育 を文化的道具に媒介 された 「
共同行
ピソー ドにつ いて、数学 的 コ ミュニケー シ ョンが
為」としてみるロゴフや ワ-チ、バ フナ ンといった
議論 されることはあって も、個 々の授業の分析 を
研究者の とる立場がある。この 「共同行為」とは、
取 り上 げた実践 的な研究は未だ見あた らない。
「
二 人以上の成員によって活動 を共にすること」で
そ こで、本稿 では、
授業における学 び合いを視点
あ り、国内における研究者にnJ
L
'
5倍元がいるO
に して、沖縄県離島地域の小規模校 における小学
什伯 は、学習過程 を、「
①学習者 自身の積極的な
校井数科の授業 について、学 び合い を視点に授業
情報処理過程か らt
L
ー
1
1
発 し、次に、
②教示者に よる学
を質的 に検討 しなが ら、改善の方向性 を議論する
習者の実行結果の評価 ・修正 (
介入)が入 り、舶後
ことをE
l的にす る(
,
に、③評価 システムの教示者による専有か ら学習
_ 1-
者に よる1
!
y
'
・
有 に移行 してい くこ とによ)て、 自 ;
!
1
くニ
化 、すなわち独 ノ
J解決 l
り能̀ となる」と指摘 し、「
北
(1)問題設定
岡行為過程における1
市報獲 糾・
モデ ル」 を拙示 して
いる。
授業 における導入部 にあたる問題設定では、動
川t
JとLなが ら、」:
j=る問題
機付 け とプj向付 け を l
(2)考察
をjI
;
・
油 に判!
_
附 してい く,
,その'
実際 は以下の細 りで
あ るり
川島に よる 「j
J
,
・
同1
1
'
・
為過株 におけ る・
h
!
J
T
・
維独和J
・
モ
デ ル」は、梓親 一幼児、教師 一生徒 、教師 一障害妃、
T:何の勉強 しているんだった ?
示 している(
,この点か ら、接 川 叶能 と考 え、以下の
C:い くつ とい くつ (
I
T:
(
「い くつ とい くつ」と板苦 して)名前の
とこ
ろに粥.
いておいてね。いいかな ?い くつ とい
ように授業の記述モデルを設完す る.
〕
十ど
まず 節 1に大 人を他者 と変更す る. 弟2に
くつ まで背 い て くだ さい。
.
もを学う
J
Z
l
J
者 と変'
更す る:
.第 3に人 人における評 価
C :;
.
L
F
いた.
.
システム を経Hl
す る lサ イクルを 2サ イクルに変
T :昨 日のお勉強で は、 ノー トに 6まで背 きま し
更す るO以上の点か ら、(
図 1)の 「教室 における
た 。7はち ょっと糾潤 したけ ど、まだ よくJ
J
lか
2
(
)
0
6
.
2
0
1
0)を設完 した(
,
学 び合いのモデル」(
1
1
'
井:
らなか った 人 もい ました(
)(
カー ドを提示 しな
が ら)はい、どれが 7か分かるかな ?カー ドの
社会的文脈
中
で 7見つ けた人 ?
C:はい.
。
T:どうぞ(
ーはい(
)どうですか ?
C:どうですか ?
C:ビンゴ
T :これは ?今 日は この 7をい くつ とい くつ に分
け られ るのか を勉強 してい きます。じゃあ 7、
L
f
;
_
落 と しか らい くよOかごに何個入れた らい
=
(
図1)
いの ?
C:7
T:これ全,
.
l
i
l
i
使 っていい ?
.
)
3.学 び 合 い を視 点 と した授 業 の 分 析
C:ダ メし
,
ここでは 、沖縄県内の離J
:
.
5
(
・
二位把す る全校児童
数が
T :これ多す ぎるね。今 日使 うのはい くつ ?
C:7o
T:じゃあ数えて もらお うかな二今 日使 う 7を数
100名ほ どの小学校で実施 された小学校第
1学年の算数科の授業 を取 り上げる.
I
_
,いずれの学
年 も単学級であ り、それぞれの学級 の児亜数は 2
えて くれる人 ?
0名程度であ る√
ノここで取 り上げる授業は入学r
糊
C:はい
もない 5月2 11
」にJ
実施 された ものであ り、 1O
T :MA さん、お願い しますOこれに今 E
H屯う 7佃
。
よ り小 さい数の構成 を指導す る授業 であ る。なお、
入れて くだ さい。 後ろ向いていた ら本当に 7
授業者 は研究主任 を務め る中堅教諭であ り、臨時
個、入っているか分かんないか ら、
大 きな声で
J
任用が 40%近い状況 を考 えれば、標準 以上の ノ
数えなが ら言 って くだ さい。みんなが分か る
巌 を有す る教諭であ り、比較的質の高い授業 と し
ように。 もう 1回や り直そ うねo
MA :1、2、3、4、5、6、7Cいいですか ?
て位置づ け られる。
ここでは、 まず問題設定の場面 を紹 介 したあ と
に、 4つのエ ピソー ドを取 り上 げて分析 を してい
C:はいこ
,
T:人丈夫 ?じゃあ ちゃん と入っているか数 える
_2_
よ ?見えるかな ?難いかごだか らよ く見える
胴 と考えて 、
r4」とい う発言 として砿行 されてい
ね。7個ある よ。い くつ とい くつ。今 日はこれ
る(
,
でい くつ とい くつや りますo今 日は 7個の数
次に、「
明るいお部)
4.
は ?」とい う党閥 を、子 ど
をい くつ とい くつ に分 けてい きます。最初は
もは課過 と して受 け止め、 中 が見える部屋の個数
い くつ に分かれるか、い くぞ。見て くだ さい 0
を数えて 4とい う発言 として実行 している。以降
2つ とも見 えない よね ?じゃあい くつ とい く
は、このプロセスを再 び繰 り返 している。
4であることを 2回も答えさせる指導 は、 しつ
つに分かれたのか見 るためには、 どうした ら
こい ともいえるが、入学間 もないこの子 どもたち
いい ?
C:1つ開ける。
T :1つl
糾 ナる どこ開けた らいいですか ?
C:紫色い方 じゃな くて、段 ボール。
を勘案すれば丁寧 な指導 ともいえる し、適切な指
導 ともいえるだろ う。
。
しか し、回数が多 ければ丁寧で よい とも斜 、
切
れない,
i
,誤 りの可能性があるか ら数 え直すのは 自
ここでは、まず前時の複閏 と して 、7をと り上げ
然ではあるが 、ここで 自己評価 を促す ような働 き
て 、7の玉 を数える活動か ら授業 を導入 している。
かけをす ることも可能である。例えば、「本当に 4
そ して 7をい くつ とい くつかに分けてい く学習が
でいいの ?」とか
、
「
○○ さんは、なぜ 4と答えた
本時の主 な学習課題であることを紹介 してい くO
と思い ますか ?」とい った発問であれば、
説明や根
その中で 7の玉 を非色のカーテ ンで中が隠れたポ
拠 を問 う機能 を有す ることか ら、 自然 と子 どもた
ケ ッ トと、中身の見えるポケ ッ トに分けてい くこ
ちに自らをふ り返 りを促す ことがで きるC そ うす
とを確認 している。
.
なお、このポケ ッ トの Ill
は隠 さ
システム を仲 介 した授業展開が可能 とな
ると評仰i
れていて、その中の玉 を壬
T
.
!
7
枚 に掲示す ることで始
り、そのプロセ スで ここでの解答 4の妥当性 を吟
終的な確認が で きる仕組み になっている。
味で きる上 に、
必要 を もった検討が実現で きる。こ
j
tは 4の説明や根拠 を示す といった 目的が明確 で
(
2)Ep
i
s
o
d
el:4の関する確認
あ り、今 日的な教育課題で もある言語活動の充実
にも寄・
I
j
・
する と考 えるO
授業ではは じめに 3と 4に分けた場面 を操示す
る。子 どもたちの前で 3と 4に分けて見せて、その
(
3)Ep
i
s
o
d
e2:大 きな声 で言いま しょう
確認 を次の ように しようとす る。
授業では、 7は 3と 4であることを確認 したあ
T :どうですか ?AY さんは、両方 の カーテ ン聞
とに、これ を数で書 く指導へ と移る。3や 4を背 く
けな くて も、分かっちゃった とい うことで。ど
のは既習事項であ るが、入学問 もないチ ビもたち
うぞ。何個ですか ?
であるか ら、授業 は用心深 く丁寧 に練 り広げ られ
る。
C:40
T:明 るい (巾 が見える)お部屋 は ?
C:3.
。
T :ここの 7を数字 で:
:
.
軌、
て、 3と 4に分けた数
T :3個 。そ してカーテ ンの後ろ (
巾が見えない部
屋)は ?
はい くつ とい くつ ?今 日の勉強の大事 なとこ
ろ。言 って ご らん。目と耳 と心、先生に向けて
C:∠
l。
J
a:
.KOUさん、はい、見てごらんC今 日の勉
T :4個。だか ら 7は 3と 4に分かれ ます よって(
)
強は 7をい くつ とい くつに分けるか って勉強
ここでは、 まず見える部屋の三
f
i
.
が 3の ときに見
屋 、見えるお部屋が 3.カーテ ンのお部屋が 4
えないカーテ ンの部屋 の玉は「何個ですか ?」と先
個、入って ました。で、3個のブロックを数字
問 している。これが子 どもに とっては課題であ り、
に控l
:
す と、3の カー ド、ブロック 4個の数、数
見 える部屋の玉が 3個であることを解釈 して、 4
字に置 き換 え ました。そ うす る と、この黄色い
です。今 、先生が、玉落 としした ら明るいお部
-3-
イーどもの実行であ る「2」を教師が評価 システム
「2が出たけ
お部屋 はい くつ ?
C :70
と して誤 りととらえ、解釈 を加 えて
T :そ う、 7を分けるんだ よってい う勉強 したの
で、 7は 3と 40大 きな声 で言 い ましょう.
.
:
.
ど、合って る ?」 とい う党閥 と して実行 される,
J
これを講
t
i
'
題 と して とらえる:
(
・
どもは、その解答
を 4とい う発言 と して実行 している。その結果 を
受 けて排価システムで処理 された結果 として、改
黒板の全体 の数 を示す黄色の欄 に入る数 を、ま
めて声 をそろえて
ず確認 しようと、「
哉 色い部殿 はい くつ ?」とい う
「3と 4」と紗 唱してい く。
確かに 2とい う誤 りは止
与剥けな ミスに も見える。
発 問 がな される。子 どもに とって、これが課題であ
るO見た ままであるか ら、
教 室前の 3佃 と 4佃の∃三
しか し、ここでは 7は 2と 4ではな く、3と 4であ
を見て解釈 して、「
4」とい う発言 と して実行 され
ることは、た とえ平易であろうとも、ここでの学習
る。
ヰi
項であ る ことに代わ りはないoLたが って、ここ
では 2で よいか をい否か を子 どもたちに改めて考
この発言 に対 して、教師が評価 システムを介添
えに して「そ う」とい う応答 に伴走的 な評価が 見 ら
え させ る、絶好 の場面 ともいえた。
7を
れる。そ して、教師は共有化 を促す ために 、「
分けるんだ よってい う勉強 したので、7は 3と ∠1 ..:
(5)Epi
s
ode4 :多様 な考 えの発露
大 きな声で言 い ましょう」 とい う指示へ とつなが
7は 3と 4と分 け られ る ことを確認 したあ と
ってい く。
に、
授業では数で市 く活動 を経て,
他の数での場合
授業において、全 員の子 どもが声 をそろえて文
へ と進 んで い く√
:
章 を読んだ り、
教科キ
!
号
‥
を読 んだ りす るのは、け して
悪 い こ とではない。しか し、それは 自▲
‥
i
:
_
的な学'
l
g
l
で
T:カー テ ンオ ー プ ン。
C:1、 2. 3、 4、 5(
,
T:隠れている数 は ?
なければ、自発的な行為で もない。あ くまで も教師
にや らされる学 びであ り、 E
l
的意識や必要感が希
薄 な教育活 軸であ り、単純 な反復 といわ ざるを得
C :50
ない:
;
主体的な学 びこそが、解釈 と実行 に伴 う評価 シ
T:ブロ ックも 5だった よね ?とい うことは ?7
ステムが機能す る学 びであ り、子 どもが 7は 3と
は 3と 4の他 に、 どんな分 け方が出来る ?2
4に分 け られ る と言 いた くなる よ うな授 業 J
i
i閲
と 5にす る こ とが出 来 るわ けです 。 これ だ
け ?お しまいか な ?
が、 ここでは強 く求め られ るはず である。
C :ううん.
二
T:まだ分け られる ?
C:1と 6°
(4)Epi
s
ode3 :2とい う誤答の処 置
T :7は 3と 4に分けることもで きるよ。
先 ほ どの声 を合わせて とい う指示 を受 けた発言
か らの場面であるoここでは恵匡Ⅰ
しない、
誤答が飛
C:4と 3。
びl
t
l
Jして くる.
3 その処置 に注 F
lしてみ る。
T:反対 に して もいいです。
C :2と5で も出来る。
C:7は 3と 4c
T:終 わ り?
C:6と 1も山来 るよ。
T:お 【これの 小にない もの も出たよ。はい、ブロ
:2。
T :2?2が出たけ ど、合 ってる ?
c
ック 1だけ見て。何個 ?隠れてる数は ?
C:違 う。
T :いい ?もう 1回 、間違 えない ようにい きま し
ょう。 さん、はい。 7は ?
C :3と4。
C:6
T:さ、隠れて る黄色 いブロックい くつかな ?
C:60
T:7はあ とは 1つあるね。 1と 6。
-4-
o
C:1と6。
T:で きたか な ?左 手 が遊 んで い るお友 達 い る
T :1と 6で も OKです よ。
よ。左手は ノー ト押 さえるんだ よ.
。さ、山来た
かな ?
7が 2と 5と分 け られ る こ とを確 認 したあ と
に、教 師か らの発問 「これだけ ?お しまいかな ?」
によって、
授業 は深 まりを見せて い く。この発 問を
C:川来た。
T:もう 1つ書 き方あるんだよ。
.
今、言葉でやって
いるけ ど、 9の ところに 7って・
i
J
F
いて くだ さ
課題 として受 け止めた子 どもは、他の分け方があ
い 〇
るこ とを予感す るプロセスであ る解釈の後に、「う
C:「-」 って番 いた ら、 3+4になるよo
うん」とか「1と 6」とい う発言 として実行 される。
T :ここ 4と 3って分け方 と、図で薄 くときもあ
この ような良好 な:
即解の状況 を評価 システムで確
りますO図 とかは使わないで、この印 を背 くと
認 した教師は 、
「7は 3と 4に分けることもで きる
きもあ ります。こうい う非 き方 も、
覚 え といて
よ」とい った意図 を含んだ発間 をす る。この発問 を
くだ さい。四角で省 くときもあ ります。背 こう
課題 と して受 け止めた子 どもは、その背景にある
ね。
意図 を理解 して 、「
4と 3」とい う発言 として実行
されるO同株 に して 、2と 5、6と 1が碓認 されて、
ノ \3
発言 「1と 6を受 けて評 仙i
システムを適 してな さ
れた教師の評価が 「1と 6で も OKです よ」とつ な
巨云
]
が ってい く。
この一連の プロセスは、3と 4,2と 5、1と 6
と確認 してか ら、逆の発想の 4と 3、2と 5.1と
6へ と広が ってい く瞬間 をとらえた ものである。
T:替けた人 ?こうた さん、分け方 も上手。こんな
に市 くと分か りやすいj
a0 7は 4と 3に分か
れているよ。この カー ドと図の背 き方 は同 じ。
この一連の発端 は「これだけ ?お しまいか な ?」で
ここでは 7を 4と 3と見ることについて、数字
あ るわけであるが、それ以.
l
二に「7は 3と 4に分け
ることがで きるよ」 といった意図 を含んだ発l
!
りが
を使ってi
!
S
:
かせ る指導 を行 っている。 授業の終飴
果 たす位L
F
宵
_
は無視で きないC これは発問 とい うよ
であるためか、少 し疲れ気味な子 どもも見受け ら
りも、む しろ補助発問であ り、
考 える きっかけを作
れるが、子 どもの集 中 を切 らさぬ ように注意 しな
りl
L
j
i
す ヒン トとしての機能の方が大 きい.
が ら、
図 を使 った表現 を とり入れるなど、念入 りに
丁寧 な指導が行 われている。子 どもか らは等号 を
(
6)授業の まとめ
使 うとよい とい う声があが っているが、教師は と
り上げていない。 このあた りに再検討の余地が指
7について多様 な見方か ら考察 したあ とに、学
摘で きる。授業の このあ とは、以下の通 りである。
問の成果 を価倍付けて共有化す る段 階である。 指
導 は数字 を書 くことで始め られ、他の数の考察へ
T:はい、 じゃあ今度 は 8を分けてみたい と思 い
と発展 してい く。
ます。じゃあ問題 、進むよ。進んで もいいです
か?
T:今 l
T
l、分けたのはい くつ ?
C:70
T:7はい くつ とい くつに分かれた ?
C:4と 3。
T :うんC まず 4と赤で 3。次は ?7は ?
C:2と 5。
T:2と 5。それか ら 7は 71と ?
C:60
C:は
い
C今度 は 8入れるよ。8に入って、いいで
すか ?8に分け るよ。8に分けた ら、ブロック
は何個、必要 ?
C:1佃 。
T :じゃあ、あ と 1個 ここに並べ ます。1、2、3、
4、5、6、7、8。ボール も 8個 に増や しま
す。全部で 8個 にな りました。数えて教 えて く
だ さい。書 きま した。印お願い します。はい、
-5-
いいです か ?8にはい って もいいです か ?
なお 、呂を 4と 4と見た場 面 に引 き続いて、次の よ
C:はい。
.
うな指埠が行 われ てい る。
T:数 えたい 人 ?
C:はい。
C:先生 、はい。
T:その次。今度 は どん な数入れ ようか な ?はい、
T:冗Iさん、お願 い します。
.
大 きなT
,
T
'
で数 えて く
C;見え ない。
い きます :
C:2と 6。
T :ど うや つた L
:
,分か るか な ?ブ ロ ック絶て 、 こ
だ さい「
、
E I:1、 2、 3、 ′
1、 5、 6、 7、 8L
,
T :これ でいいです か ?
2個 粥いた らこうな ります O2と
れ 2個 です 0
C:これでいいです か ?
C:ピンポー ン。
隠れて い る数 は ?
C:6。
T :今度 は 8を分 け ます 。 い くつ とい くつ に分 け
T:合 うか な ?数 えてみ る よ。
ようか な ?カーテ ン閉め ます。 隠 して こ こか
C:1、 2、 3、 4、 5、 6。
ら入れ よ う。
.はい 、い くつ とい くつで しょう。
T:カー テ ンオ - プ ンす る と、 6個人 ってい る こ
C :3と 3。
とが 分 か ります。はい 、じゃあいいか な ?今度
T:3と 3は 8に な ります か ? 1つ l
榔 ナない と分
は ノー トに:
i
l
‡
‥
くよ0 8は 2と隠 した数の 6で
かんない よね ?しっか り見て 、考 える。この ま
すj
ao ノー トに書 くよo
まで 何個入 ってい るか分 か る ?どうす れ ばい
C:と
=よ2と 6
い
T:続 きに書 い て。 この 7か らノー トに続 けて手;
:
いて 。8は 4と 4。浩太 さん,ノー トです 。8
は 4と 4(
,そ れか ら ?8は もう 1つ の分 け方
は 2と 6日来たか な ?
日
?
C:1個 ,聞 け る。
C:1個 、排日ナる。じゃあ カー テ ン じゃない方 ,開
け ます,
,オー プ ンO はい 、数 えて√
二
C:1、 2、3。
C:
はい.
。
T :暗 いお部屋 4って い うけ ど、 白い所 に 4個並
T :終 わ りま した、合回 して くだ さい。
.
当てっ こだ
よo もっ とあ る と思 う人 ?
べ ます。フカ さん。今 、ブ ロ ック触 る時 問 じゃ
ない って言 った で しょ ?明 るい お部屋 だ けo
C:はい。
隠れた ところ は まだ分 かん ないか ら、待 って
T:4と 4や った よ。
くだ さい。今 は、見えるお部屋 だけ。何 個入っ
C :6と 2,
てい た ?隠れてい る数 はい くつ に なるで しょ
ここで は、 8を 4と 4と見た 後に、 2と 6と見
う ?確 かめてみ ようO オー プ ンo
C:4。
て 、6と 2と見 る ところ まで深 め てい く。2と 6と
T :隠れた数 は 4個.
。 じゃあ 8は何 と何 ?
C:4と4
話題 に な った 比ノ
Jの適 用であ る。 これ は坤 な る適
T:8は 4と 4Cまだ まだ 、・
t
:
I
_
J
F
か ない,
)数 えるの だ
川問題 と言 うよ りも、本時の指 導 を降 り返 りなが
s
o
de4で
見た ら、その逆 の 6と 2と見 るの は 、Epi
こ
,
ら、その邦 解の状 況 を形成 的に評価 して 、
授業展 閲
よC
を修二
i
J
:
.して い こ う とす る教 師のI
i
:
7
/
,
'
み と言 うべ きで
これ まで は 7につ いて考 察 して きたが 、 ここで
あ るu
は対象 を 7か ら 8へ と発展 させ てい く。 7の域 合
4. 授業改善 の方向性
での学習成果 を生 か して、それ を 8に適応 させ て
い く一般化 を意 図 した段 階 で あ る(
〕指導 と しては
ここでの 主た る 目的 は、小学 校第 1学 年での授
7の場 合 と同 じ手 順 を踏み なが ら、授業へ の集 中
を欠 き始 め た E Iを指 名 して 玉 を数 え させ る な
業 の 分 析 を通 して 得 られ る知 見 を得 る こ とで あ
ど、了・
どもの実態 に応 じた指 導が 矧判されてい る。
り、学 力向上が課題 となってい る沖縄 県の教育課
-
6-
超 を意誠 しなが ら、授業改善の方州 雉を議論す る
ことである。
こ こで は、授業 と して象徴 的 で あ った 4つ の
好の場L
I
l
1
iとで きる。
(
4)Epi
s
ode4 :多様 な考 えの発露
Epi
s
odeについて、個別に検討 してい くOその上で
全体 を概括 的に整押 して、授業改茜の方向性 を挫
ここは、7が 1と 6や 3と 4.2と5.6と 1な
r
J
f
であった。教室における学
ど、多様 に見てい く場 i
ホする。
び合いモデルに よる分析 を通 して、発問 をきっか
けに して子 どもた ちの発想が多様に広が ってい く
(1)Epi
s
odel :自己評価 を促 す
ことが明 らかになったo
ここは、 7が 3と 4に分け られることを確認 し
特 に、 3と∠
1な どか ら逆の発想の 4と3などを
てい く場 l
l
l
l
'
であった.
。 教室における学 び合いモデ
兄いだす一連 は、「これだけ ?お しまいかな ?」と
、
「
7
は
ルによる分析 を適 して、全体 として丁寧 な指導が
い う発問が きっかけ となっている。そ して
行われているが、イ・
どもの r
萱
1
己評価 を促す ような
3と 4に分 けることがで きるよ」 といった意図 を
働 きか けが な されてい ない こ とが 明 らか になっ
糊が、千 どもが 多様に考えるきっか
含んだ補助発 l
た。
けを作 り目す ヒン トと して有効であった。
例えば、「
本 当に 4でいいの ?」とか
、
「
00 さん
は、なぜ 4と答 えた と思い ますか ?」といった発問
(
5)授業改善の方向性
に よ り、
説明や根拠 を問 うことがで き、
子 どもたち
s
o
deは授
これ までに取 り上げて きた 4つの Epi
に 自らを,
S
、r
)返 りを促す ことがで きるC
業の象徴的な域両であ り、示唆 に富む場面であっ
た。子 どもた ちに多様 に考え させ ることはで きて
(2)Epi
s
ode2 :目的意識 や必要観 を高 める
も、そのプロセ スにおいて、F
l
的意識や必要感をi
.
,
!
,
'
J
'
ここは、 7が 3と 4に分け られ ることを電着 し
める指導が不十分であった。また、
授業全体 を通 し
てい く場i
l
r
7であった。教室 における学 び合いモデ
て、振 り返 りや 自己評価 を促す指導が不十分であ
ルに よる分析 を通 して、すべ ての十 どもの理解 を
った(I
求める教育の姿勢 はよいが、子 どもの主体的な学
この1
鋸南は.この授業 における指摘 に過 ぎない
が 、沖純県の多 くの授業 における特徴、すなわち
'
I
T
=
qが推進 されていないことが明 らかになったC
例 えば、「
大 きな声で言い ましょう」ではな く、
「
3と4に分け られることを説明 しま しょう」とい
「
言 わせ ることはで きるが、つ なげることがで きな
い」 とも一致す るO
った発問によ り、 より目的意識や必要観 を高める
ことがで きる。
これは、
授業の設計 と しては優れている ものの,
実施 において教師が即時的に判断するJ
M こおける
課題で もある。換 言すれば、
授業で表面化 した新た
(
3)Epi
s
ode3 :振 り返 りを促 す
な学'
I
P
t
課題 を、必要 に応 じて適 切に子 ども-返 し
てい く指導が不十分であると言 える し、なされて
ここは 、7が 3と4に分け られるのであって 、3
いない と指摘でで きる。
と 2も しくは 2と 4は誤答であることを指導す る
この即時的 な教師の意志決'
j
E能力は如り可に育成
場面であ った。教室 における学 び合いモデルによ
可能であろ うか ?言 うなれば応川力であ り、ア ド
る分析 を適 して、 2とい う誤 りは些紳 な ミスに も
リブ とも表現で きる資質である 私はこの対 にな
。
見えるが、本時の中心的 な学習事例 と しての扱 い
l
b
J
'
的な教師の意志決定能力 を高めることで、
る計 i
が な されていない ことが明 らかになった。
間接的に解決可能 と考 える。す なわち、
教材研究 を
例 えば、「2でいいですか ?」とか 「なぜ 2では
深 く広 く行 うことで , H的意識 を高め る指導法や
いけないのですか ?」といった発問に よ り、本時の
学ぶ必要感 を高め る教材開発な どが実現で きるよ
l
心 的な学習 を子 どもたちに改めて考え させ る維
うにな り、これ を基礎 とした応用力がJ
t
J
J
待で きる
Il
′7
- - r
J-
・
と見通すか らであるr
,
JT
)
I
勉
(
2
O1
0
)
「lll
学校 数学科 における敦 fF
'
k習 の授
業 に1
弘
け る字
号r
r
.
)
研究」 琉 球大学教 で
1
'
学 部数 背実践 総
5.研究のまとめ
p
p
.
1
1
0
合セ ン ター紀 紫 約 17号 ,
4
7井勉 (
2
01
0
)
「
生徒 の 考え をつ なげ る椴 t
i
J
i
:
の工 夫 」
教 帝朴 、
;
・
'
'
数学教 fJ
'
. 第 639号 ,明治 問乱
本稿 は、沖縄県離島の某公立′
ト学校での井致杵
p
p
.
1
6
1
8
のあ る授業 を耽 り」二げて、その授業 を教室 におけ
る学 び合いモデルによ り分析 してい くことで、授
業改弗の jJ
HF
'
・
)
性 を検討するこ とが Hr
l
'
・
J
であった.
n
流のJ
:さを促す 方 法 の指 j
洋を通 して -」 日本数学教
まず 、
分析対 象 となる授業の帝 人を検討 して 、4つ
育学 会L
i
i
i
第7
6巷 節6号
学 的 コ ミュニ ケー シ ョンt
J
I
E力の育 成 (Ⅰ)-S・
えの交
p
p
.
1
8
2
2
s
o
deを分析 し、
授 業の まとめ を検討 した。そ
の Epi
の結果 は以 卜の 4点 に集約 で きる。
学 的 コ ミュニ ケー シ ョン能 ノJのfT
'
J
戊 (班) 一多様 な大
・自己評価 を促す指導が不十分である。
塊 のf
耶 坐づ け と思 考過 梓 の 表硯 の 指 導 を油 して 」
・1
1的意識 や必 紫 感 を高 め る指導 が 不 十分 であ
日本数学 致 軒学 会誌 第 7
8巻 第 2(
,
3
・p
p
.
3
1
3
7
る。
金本 良辿 /大 谷 一・
苑 /福 掛 J
:
.
美/
'馬場 敏男
学 敦 fJ
'
学 会誌 第 7
9巻第 1
(
)号
多様 な考 えを引 き山す指導 は、乎 坑ではな く、
金本良 油
様 々な指導上の工夫が これ まで に もな されて きて
(
2
0
0
1
)
促す指導の意義や方法が教 師に よ りPl
!
.
解 され、実
「あ る1
丁
.
数科の授業 にお ける意味 と
教 育一
l
;
f
:
会誌致′
;
・
'
:
教 育論究
江 森 炎l
!
J
.
・(
1
9
9
3
)
践 されてい るこ とが指摘 で きる。 これは沖純 県の
p
p
.
2
9
シ ンボ ル とコ ミュニテ 1との棚il
.
l
J
'
t
J
構 成 」 日本数学
いる.
。そ して、
算数科の授業 において 多様 な見ノ
ブを
第7
7巻
ケー シ ョン ・プ ロセ スの分析一
その ことを深 く理解 してい る教師が存在す るこ と
9番
数学教 1
才学 論 究 約5
江 森英 1
日
.
・(
1
9
9
9
)
p
p
.
3
21
「数学 の学習場 l
l
l
H・
二お け る コ ミュニ
すべ ての授業 において保証で きるはず はないが、
日本数学教 帝学 会誌
p
p
.
3
・
2
4
「数学 的 コ ミュニ ケー シ ョン参画者
の認 知過 程 J H本数苧教 帝学 会誌 牧草教 ffl
;
・
'
:
論究 第
め られ る とすれば、将来的には飛躍的 に改善 され
7
3・7
4巻 p
p
.
2
7
・
5
6
(
1
9
9
8) 「中学 校の指 導 におけ る数学 的 コ ミ
るこ とが期 待 で きる。
しか し、掘 り返 ・
P
,
)や 自己評価 を促す指導 には不
r数
業 での 強請 にお け るコ ンテ クス トの設'
J
E-」 日本数
・多様 な考えを引 き目す指導 は優 れているO
を足場 に して、学校現場 における研究や研修が進
(
1
9
9
7
)
学 的 コ ミュニ ケ- シ ヨン能力の育成 (
I
V:
I一号
)
:
致科 授
・振 り返 りを促す指_
;
洋が不十分であ るC
.
久保良宏
十分な点が 比受 け られ る。総 じて、
新 たな問いを子
ュニ ケー シ ョン的勅 に関す る実践 的研究 」 日本数学
どもに返す指導 に関 して、今後の研究や研修の重
教育一
1
1
'
:
会誌 第 8
O号 第 8り・ p
p29
点がおかれるべ きであ るC問い を子 どもに返 した
.
岸本忠之
横たわっている。問い を子 どもに返す とい う、計画
的で継続的 な取 り組 み は、今後の在 るべ き授業改
(
2
0
0
5)
教 育学 会誌 第 8
7号 第 2
i
)
.pp.
2
・
l
(
)
・
i
i
l
f
水夫:
・
1
虹 u9
9
5) 「分数 の除法 に関す る児窮 .生徒の
認訊 :その硬r
l
'
l
:した F
諭埋性ごのI
t
!
J
越」 数学教育学
善の方向性 として捉言で きる。
論究 Vo
l
.
6
3
(
参 考 .引 川 丈献 )
I
fl
'
l
r
・
勉 (
2
(
メ
)
6
)
論 文集
p
p
.
3
2
6
日本数学敦 †浮 :
会
東京学壬5
'
・
入学 附属 小 金井 rll
'
:
;
・
:
:
校
(
2
O
O
7
)
「学 び合いで
輝 く ・伸 びる ・摘め 合 う」 東洋飾 出版社
「数学 的 コ ミュニ ケー シ ョンを促進 す
る指導 に問す る考察 」 第 39回数学 放帝論 文 先 衣会
「小数 の除法 の接 菜にお け る児童 の
数学 的 コ ミュニ ケー シ ョンをl
t
;
.
;め る指導 」 1
1本数学
光には、ナ ビもと子 どもをつ な ぐとい う教育観が
t
二
J
;
伯 イ
L
・
一
号
元
p
A3
9
1
4
4
4
日本数学教 帝学 会 p
(
2
0
0
3
)
「共 l
叶行為 と しての学問 ・蒐達 一札
会的 アプ ロ-ナの 視座 」
_8_
金p
(
i
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.
I
:
J
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'
・p
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1
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5