投資のヒント - 三井住友トラスト・アセットマネジメント

Column
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「投資のヒント」
2016年4月8日
※以下、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社(以下、GSAM)から提供を受けた情報を基に記載します。
MLP市場の動向と今後の見通し
 短期的にはMLP市場を取り巻く不透明要因はしばらく残るものの、長期的には米国の原油生産シェアの上昇やエネル
ギーインフラに対する需要の増大が見込まれており、市場の不透明感が解消されれば、いずれMLP市場は、配当成長
+利回りを織り込んだ適正なバリュエーションに回帰すると見ております。MLP市場は、長期的な観点で見ると上昇余地
がある魅力的な資産クラスだと考えています。
2016年1-3月期のMLP市場の動向
 2016年初のMLP市場は、前年末の弱い地合いを引き継
ぎ、2月中旬にかけて下値を模索する展開が続きまし
た。底値の見えない原油価格、MLPの減配懸念や一部
の川上企業の破綻懸念など、MLPを取り巻く環境が悪
化の一途をたどるなか、MLP市場は2月11日に前年末
比-28.2%の年初来安値を付けました。
 しかし、2月中旬以降は、サウジアラビアやロシアなど一
部産油国による増産凍結合意の報道等を契機に原油
価格が反発すると、世界の金融市場のリスクオフ後退も
加わり、MLP市場は上昇に転じました。3月末時点で、
MLP市場は2月11日の安値からの約1ヵ月半で33.4%の
大幅な上昇を見せました(図1)。
(図1) MLPおよび原油価格の推移
(米ドル/バレル)
(2014年12月31日~2016年3月31日)
70
1,800
MLP(左軸)
1,600
60
原油(右軸)
1,400
50
1,200
40
1,000
30
800
600
2014/12
2015/3
2015/6
2015/9
2015/12
20
2016/3
(年/月)
※MLP: アレリアンMLP指数(配当込み、米ドルベース)、原油:WTIスポット価格
出所:ブルームバーグ
原油市場の見通し
原油の需給と価格の見通し
⽣産投資削減により
世界の原油需給は2017年までに均衡化(図2)
(図2) 世界の原油需要の推移(予想)
104
2.0
予想
需給ギャップ(右軸)
需要(左軸)
供給(左軸)
102
 原油価格の急落は、新規の原油生産開発プロジェクトを
凍結させました。世界の原油生産投資は2015年に前年
比24%減、2016年は更に同17%減少すると予想されて
います。米国では2015年4月をピークに原油生産は減少
に転じており、米国以外の非OPEC諸国もいずれ続くと
予想されます。世界の原油生産の伸びは2016-17年に
かけて大きく鈍化しますが、原油需要は安定的な増加
基調が続くため、世界の原油需給バランスは2016年下
期から2017年にかけて均衡化すると予想されています。
(2009年~2021年(2016年以降は予想)) (百万バレル/日)
(百万バレル/日)
99
1.5
1.0
97
0.5
94
0.0
92
-0.5
89
-1.0
87
-1.5
84
09
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
-2.0
21 (年)
出所:国際エネルギー機関 Oil Market Report: 11 March 2016、同12
December 2012、Medium-term Oil Market Report 2016
原油市場は、短期的には不透明要因が残るものの、中期的には安定化へ
 短期的には、夏のドライブシーズンを控え石油精製施設が定期検査に入るため、春先まで原油在庫は増大する傾向に
あります。また経済制裁の解除されたイランが原油輸出を増大させると見られ、短期的に原油市場の頭を押さえる局面
が想定されます。
 しかし中期的には、世界の原油需給が逼迫化に向かい、原油価格は徐々に安定化すると見られます。ただし、足もとの
在庫水準は高く、価格上昇には相当の時間を要する可能性があります。
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料はゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、
金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。
当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。
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ご参考資料
(図3) 米国 原油生産の推移(予想)
米国の原油生産見通し
⽶国は⼀時的に減産に⼊るも、中期的には増産基調へ
回帰 (図3)
 米国の原油稼働リグ(採掘装置)がピーク時の1,609機
(2014年10月)から372機(2016年3月)まで77%も急減し
たなか、2016年の米国の原油生産量は前年比-8.1%、
2017年も同-5.5%と減産が予想されています。しかし、
世界の原油需給が均衡化するとみられる2018年以降
は、年々増加する需要を満たすため増産に転じると見ら
れ、米エネルギー情報局によれば、2020年には2017年
比で+29%の生産拡大が予想されています。
⽶国シェールは競争⼒の⾼まりにより中⻑期的に⽣産
シェアは上昇 (図4)
 特に米国シェールは、技術革新等により生産性を大きく
上昇させてきたこと、投資から生産への期間が在来型原
油と比べて著しく短いこと等から、原油価格が回復する
局面でいち早く生産を再開させ世界の生産シェアを拡大
させる可能性が高いとの見方が強まっています。
(2012年~2020年)
(百万バレル/日)
12
10
8
8.7
9.4
10.6
予想
8.7
8.2
2016
2017
7.5
6.5
6
4
2
0
2012 2013 2014 2015
出所:米エネルギー情報局
2020 (年)
(図4) 原油生産シェア予想
【2020年予想】
【2016年予想】
米国
13.6%
非OPEC
(米国除く)
46.2%
OPEC
40.2%
米国
14.6%
非OPEC
(米国除く)
43.6%
OPEC
41.8%
出所:GSグローバル投資調査部、BP、GSAM
 エネルギー世界最大手エクソンモービルによる長期見通し(2016年)によれば、2040年には北米の原油生産は40%増
加(2014年比)し、なかでもシェールオイルは世界の原油生産の1割(1,120万バレル/日(2014年407万バレル/日))を
占めるまで急拡大すると予想されています。また、北米は2020年、米国単独では2025年頃に原油の純輸出国になると
も予想しています。
MLPのファンダメンタル動向と配当見通し
資⾦調達環境の悪化により⼀部MLPが減配に
 MLPにとって足もとの最大の逆風の一つは、悪化した資金調達環境です。巨額の設備投資を必要とするMLPにとっ
て、資本市場へのアクセスは必要不可欠ですが、MLPの配当利回りが大きく上昇したことで資本コストが上昇し、株式
の新規発行が事実上閉ざされた状態が昨年11月から続いてきました。キンダーモルガンなど一部の川中企業が配当
の大幅減額を発表したことで、2015年末から2016年初のMLP市場のセンチメントが悪化した主要因となりました。
 しかし、3月22日、Shell Midstream Partners LPが約4ヵ月ぶりに公募増資の実施に成功し、MLPの資金調達環境は正
常化に向かいつつあります。
多くのMLPは増配基調を維持(図5、図6)
 GSAMでは、配当減額に踏み切るMLPは一部に限られ、大多数のMLPは増配を確保できると見ています。実際、2016
年第1四半期の実績では、増配銘柄が62%、減配が21%(うち川中セクターは9%)、配当維持が17%(2016年2月末現
在)となっています。減配したMLPは、負債比率が高いにもかかわらず新規プロジェクトを多く抱え、資金需要の高い傾
向があります。
(図5) MLP配当成長率(前年同期比)の推移
14%
12%
(2008年第1四半期~2015年第4四半期)
(図6) 2016年第1四半期(前年同期比)
配当の増減
(2016年2月末現在)
10.7%
10%
増配
62%
8%
6%
配当維持
17%
減配
21%
4%
2%
0%
2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年)
(図5、図6)出所:GSAM
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料はゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、
金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。
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MLP市場の見通し
魅力的なバリュエーション
(図7) MLP実績配当利回りおよび
米10年国債利回りのスプレッド推移
歴史的な安値⽔準にあるバリュエーション
 2014年9月から約1年半に及ぶ下落相場を経て、現在のバ
リュエーションは歴史的な水準まで低下しました。これまで
MLPの代表的なバリュエーション指標とされてきた米10年国
債利回りとMLP配当利回りのスプレッドは、過去平均を大き
く下回る水準まで低下し、2008年のリーマンショック以来の
歴史的水準で推移しています(図7)。
 一方、足もとでMLPの予想配当に対する確信度が低下して
いることから、EV/EBITDA倍率 * でMLPのバリュエーション
を 見 た 場 合 、 足 も と の MLP の EV/EBITDA 倍 率 は 10.2 倍
(2016年3月末現在)であり、過去平均11.6倍を下回り推移
し て い ま す 。 加 え て 、 REIT 及 び 公 益 事 業 セ ク タ ー の
EV/EBITDA倍率と比較すると、これまで公益事業セクター
に対し平均3倍強のプレミアム付きで取引されてきたもの
の、足もとでは初めて公益セクターとほぼ同水準で取引さ
れている状況(図8)を考慮すると、MLP市場の下値余地は
限定的と考えられます。
* EV/EBITDA 倍 率 : EV ( 企 業 価 値 ) が EBITDA ( 利 払 い 前 ・ 税 引 前 ・
減価償却前利益)の何倍であるかを表す指標で、この倍率が低いほ
ど、企業の株価は割安であることを示します。
好転したMLP市場の需要
(2006年6月末~2016年3月末)
1%
0%
-1%
-2%
-3%
-4%
-5%
-6%
スプレッド (10年国債-MLP)
-7%
過去平均
-8%
-9%
2006/6
2008/6
2010/6
2012/6
2014/6 (年/月)
MLP:アレリアンMLPインデックス、10年国債:ジェネリック米国10年国
債、過去平均は2006年6月末から2016年3月末までのMLPと10年国債
の利回り差の平均
出所:ブルームバーグ
(図8) MLP/REIT/公益事業セクターの
EV/EBITDA倍率推移
(倍)
(2006年12月末~2016年3月末)
20
20
米国REIT
15
15
MLP
⽶国個⼈投資家の投資センチメントが好転
 2016年2月の米国籍MLPファンドへの純流入額は8.5億米ド
ルとなり、単月としては2015年5月以来の大きな純流入とな
りました。特にオープンエンドファンドは6.4億米ドルとなり、
2014年11月以来1年3ヵ月ぶりの大きな流入額となり、米国
の個人投資家のセンチメントは足もと改善してきた可能性が
あります(図9)。
公益事業セクター
55
2006/12
2006/12
2008/12
2008/12
2010/12
2010/12
2012/12
2012/12
2014/12
2014/12
(年/月)
MLP:アレリアンMLPインデックス、米国REIT:FTSE NAREIT All Equity
REITsインデックス、公益事業セクター:S&P公益事業株指数
MLP過去平均は2006年12月から2016年3月までの平均値
出所:ブルームバーグ
MLP市場の見通し
短期⾒通し
MLP過去平均
10
10
(図9) 米国籍MLPファンドへの資金純流入の推移
 当社(GSAM)は、MLP市場の最悪期は過ぎたとの見方を強
めています。原油市場の需給好転の確度が高まってきたこ
と、歴史的に割安なバリュエーション、需給面の好転等がそ
の理由です。ただし、原油在庫の増加や川上企業の破綻等
はまだ続く可能性があり、一時的に神経質な展開に逆戻り
する局面も十分に想定されます。
⻑期⾒通し
 技術革新に伴う米国シェールの競争力向上により、米国の
生産シェアは長期的に上昇すると見込まれるなか、インフラ
に対する需要もまた長期的に増大すると見込まれます。市
場の不透明感が解消されれば、いずれMLP市場は配当成
長+利回りを織り込んだ適正なバリュエーションに回帰する
と見ており、長期的には、上昇余地がある魅力的な資産ク
ラスだと考えられます。
(億米ドル)
30
(2014年1月~2016年2月)
25
クローズドエンド
ETF/ETN
20
オープンエンド
15
10
5
0
-5
-10
14/1
14/4
14/7
14/10
15/1
15/4
15/7
出所:US Capital, GSAM
15/10
16/1
(年/月)
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料はゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、
金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。
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