OPEC総会を受けた原油相場とMLP市場の動向と - Goldman Sachs

2014年12月1日
OPEC総会を受けた原油相場とMLP市場の動向と今後の見通し
OPEC総会後の原油相場およびMLP市場の動向
 OPEC(石油輸出国機構)は、11月27日に開かれた総会
で、世界的な原油供給過剰を緩和するための減産措置を
見送り、現行の日量3000万バレルの生産目標を維持する
ことを決定しました。減産見送り自体は大方の予想通りで
したが、市場をサポートするコメントがなかったことで、OP
ECが更なる価格下落を受け入れたとの思惑が高まりまし
た。
 感謝祭の休場明けで短縮取引となった28日の米国市場で
は、WTI原油価格(スポット)が急落し、前営業日対比で
-10.2%の下落となる66.15ドルと、約4年半ぶりの安値で
引けました。原油価格は、節目とされた70ドルを割り込ん
だことから、短期的には、次の下値を模索する形で神経質
な展開が予想されます。
 また、感謝祭明けの薄商いのなか、エネルギー関連株お
よびMLPは大幅に下落し、MLPの代表的な指数であるア
レリアンMLP指数(トータルリターン)は前営業日対比で
-5.3%の下落となり、1日の下落率としては約3年ぶりの大
きさとなりました。
原油価格の下落が米国エネルギー産業に与える影響
 川上事業(開発・生産)に従事する企業に関しては、原油
価格が長期間に渡り下落を続ければ、一部で投資計画の
見直しを行うと予想されます。米国全体の原油生産は、こ
れまで急ピッチに拡大してきましたが、拡大ペースはス
ローダウンする可能性があります。
 一方で、多くのMLPが営む川中事業に関しては、長期契
約に基づくフィー収入が基本です。”Take or Pay1”と呼ば
れる固定価格契約により安定的なビジネスモデルを有して
いるため、短期的なエネルギー価格の下落が川中事業の
ファンダメンタルズに与える影響は限定的です。
サービスの利用(たとえば実際に契約したパイプラインを利用したかな
ど)有無にかかわらず契約期間内は必ず料金を支払うという契約
1
情報提供資料
WTI原油(スポット)とMLPの価格推移
(米ドル)
160
450
400
140
350
120
300
100
250
80
200
60
150
WTI原油(左軸)
40
100
MLP(右軸)
20
2005
2007
2009
2011
2013 (年)
出所:ブルームバーグ
MLP:アレリアンMLP指数(2004年末を100として指数化)
期間:2005年1月~2014年11月28日
50
MLPと他資産との相関
1.0
0.8
0.6
0.53
0.43
0.4
0.18
0.2
0.0
S&P500指数
原油先物
天然ガス先物
出所: ブルームバーグ 期間:2006年1月~2014年9月 MLP:アレリ
アンMLP指数 原油先物:WTI原油先物、天然ガス先物:ヘンリーハブ
先物
 また、一般的にエネルギー価格の下落は、石油精製や化学製品の製造などに従事する川下事業にとっては、原料の
調達価格の下落につながりスプレッドが改善するため、利益率が拡大しやすい状況になると考えられます。
今後の見通し
 長期的にみると、原油価格の下落により、最初に痛みを被るのは、ベネズエラやナイジェリア、ロシアなど米国よりも採
算ラインの高い国であると考えられます。米国の代表的なシェールの平均的な採算ラインは他国に比べて低く、原油
価格が長期間に渡り下落を続ければ、他国の生産者の一部が生産調整を余儀なくされるため、原油価格はいずれグ
ローバルの需給拮抗点に回帰します。したがって、米国の原油生産量の伸びは、当初の見通しに対して多少減速する
ことはあっても、今後も拡大するという見通しに変更はありません。
 短期的に原油相場は値動きの荒い展開が続くと予想されるなか、MLPはその安定的なキャッシュフローにもかかわら
ず、価格の変動性が高まる可能性があります。長期的には、MLPと原油価格の相関は0.43と高くありません。中長期
的には、シェール革命による米国のエネルギー生産量増加の恩恵を受け、MLP市場は堅調な展開に回帰すると考え
ています。
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