Column - 三井住友トラスト・アセットマネジメント

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ご参考資料
「投資のヒント」
2016年12月29日
※以下、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社(以下、GSAM)提供のレポートを紹介します。
OPEC/非OPECの減産合意とMLP市場の見通し
概要
 2016年11月30日のOPEC(石油輸出国機構)の減産合意に続き、12月10日には非OPEC産油国も協調減産に合意しまし
た。OPEC/非OPECで合意した減産規模は176万バレル/日に及び、2017年の原油市場は需給逼迫する可能性が高い
とみられます。GSAMでは、原油価格は55米ドル程度で安定化すると予想しています。
 原油価格が再び40米ドル以下に下落する可能性が低下したことは、MLP市場の潜在的なリスク要因(下値リスク)が大
きく後退したことを示しており、当市場への関心は徐々に原油価格からMLPのファンダメンタルズに回帰すると考えら
れ、また、トランプ新政権の発足も、明らかな追い風になるとみられます。
OPEC/非OPECの減産合意と原油市場の見通し
11⽉30⽇ OPEC減産合意
2016年11月30日、オーストリアのウイーン本部で開催され
たOPEC総会において、120万バレル/日の減産で最終合意
に至りました(図1)。合意された内容は、市場参加者の大方
の予想を上回るポジティブなもので、同日の原油価格(WTI
スポット)は前日比+9.3%の1バレル49.44米ドルまで急伸し
ました(図2)。
12⽉10⽇ ⾮OPEC産油国も協調減産へ
OPEC の 減 産 合 意 に 続 き 、 12 月 10 日 開 催 の OPEC と 非
OPECの閣僚会合において、ロシアなど非OPEC産油国11ヵ
国も、2017年1月から55.8万バレル/日の協調減産に合意し
ました。減産規模は概ね予想通りになったものの、週明け
12日の原油価格(WTIスポット)は前週末比2.6%の上昇と好
感しました。
今後の焦点は減産の進捗へ
【図1】 OPEC総会の合意事項
 2017年1月以降、OPEC加盟国全体の原油生産は日量120万バレ
ル減産。日量3,250万バレルを上限に適用
 各国ほぼ一律の4.6%前後の減産割り当て。ただし、経済制裁解
除後の回復途上にあるイランは2.4%の増産が認められ、リビアと
ナイジェリアも減産免除
 効力期間は6ヵ月。次回5月27日のOPEC総会において、その時の
市場環境を考慮し、更に6ヵ月延長
 加盟各国の生産動向を監視するためのモニタリング委員会を設置。
各国による生産枠の順守を担保
【図2】 MLP/MLPエネルギー・セクター、原油価格の推移
(2015年12月31日~2016年12月19日、日次)
(米ドル/バレル)
140
140
7070
11月30日OPEC総会以降
11月30日OPEC総会以降
上昇傾向
傾向
上昇
130
130
6060
120
120
5050
110
110
4040
100
100
3030
今後の焦点は、OPEC/非OPEC諸国含め、各国に割り当て
MLP(左軸)
MLP(左軸)
2020
90
られた減産がどの程度実行されるかに移ります。何故なら、 90
エネルギー・セクター株式(左軸)
エネルギー・セクター株式(左軸)
原油価格(右軸)
原油価格(右軸)
これまでOPECは自ら定めた生産目標を、推定平均120万
1010
80
80
※MLPとエネルギー・セクター株式は
バレル/日程度(2000年以降)上回る生産を継続的に行って
2015年12月31日を100として指数化
00
70
70
きた歴史があるためです。今回、OPEC/非OPECが合意し
15/12
16/2
16/4
16/6
16/8
16/10
15/12
16/2
16/4
16/6
16/8
16/10 (年/月)
た減産規模は、合わせて約176万バレル/日に達します。現
【図3】 世界の原油需給の推移(2016年12月1日時点予想)
在の世界の原油の供給過剰が約50万バレル/日規模であ
(2014年1-3月期~2017年10-12月期、四半期)
ることを踏まえると、減産が確実に実行されれば、2017年
(百万バレル/日)
2.0
初から世界の原油在庫が大きく減少することになります(図
3)。仮に多くの国が減産を実行しない保守的な見方を取っ
予想
1.5
たとしても、サウジアラビアに近いGCC(湾岸協力会議)諸国
のクウェート、UAE(アラブ首長国連邦)およびオマーンはサ
1.0
17年初以降
ウジアラビアに同調する可能性が高いと考えられます。 (裏
在庫減少
0.5
面に続く)
【図2】MLP:アレリアンMLP指数(配当込み)、エネルギー・セクター株式:S&P500
エネルギーセクター指数(配当込み)、原油:WTIスポット(共に米ドルベース) 出
所:ブルームバーグ
【図3】2016年12月1日時点予想、※1Qは1-3月期を意味し、例えば14/1Qは2014
年1月から3月の3ヵ月間を示す。出所:ゴールドマン・サックス・グローバル投資
調査部、GSAM
0.0
‐0.5
14/1Q
15/1Q
16/1Q
17/1Q
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料はゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社の情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したも
のであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。
当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。
(年/期)
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ご参考資料
GCC4か国の減産規模は80.1万バレル/日となり、それだけでも現在の世界の供給過剰規模50万バレル/日を上回ることが
可能になります。つまり、原油需要が例年通り100万バレル/日程度増加する前提に立つと、2017年を通して原油需給は逼
迫する可能性が高いとGSAMではみています。また、原油価格については、2017年を通して55米ドル程度で推移すると予想
していますが、季節的に需要が増える夏場には、一時的にその水準を超える可能性は十分にあり得ると考えています。
MLP市場への影響力
MLP市場に対するインパクト
MLP市場にとって、OPEC/非OPECによる減産合意は、非常にポジティ
ブな影響をもたらし、少なくとも原油価格が再び40米ドル以下に下落す
る可能性は低下したと考えられます。このことは、MLP市場の潜在的な
リスク要因を大きく後退させたことを示唆しています。
2016年下期以降、MLP市場の原油価格との相関は徐々に低下傾向に
あります。原油市場の安定化に伴い、原油価格からMLPのファンダメン
タルズに、MLP市場の関心が回帰してきた証です。MLPなどエネル
ギー・インフラ産業のファンダメンタルズは、エネルギーの「価格」では
なく「ボリューム(生産/輸送量)」に依存したビジネスです。原油価格が
55米ドル程度で安定化することは、 特に優良地域とされるパーミアン
を中心に、複数のシェール鉱区で増産に弾みがつくと考えられます。
【図4】 米国の原油稼動リグ゙数の推移
(2014年12月26日~2016年12月16日、週次)
(基)
1,600
1,400
11月30日
OPEC総会以降
増加傾向
1,200
1,000
12月16日現在
510基
800
600
400
200
14/12
15/6
16/6 (年/月)
15/12
出所:ブルームバーグ
実際、米国でのリグ(掘削装置)稼動数は、OPEC減産合意後の3週間で8%増加、ボトムの5月末から61%増加しました(図
4)。米国シェール・エネルギーの生産拡大は、中長期的にパイプライン等のインフラに対する需要の拡大を促すとみられま
す。従来よりGSAMでは、OPECによる協調減産の実現可否にかかわらず、中期的に世界の原油市場は需給均衡に向かう
とみていました。2015年以降、非OPEC産油国を中心に大規模な投資削減が行われ、今後供給が抑制されることが必至な
ためです。今回のOPEC/非OPECによる減産は、その流れを前倒しする形となりました。
トランプ新政権による追い⾵も
環境政策を重視したオバマ政権から、シェール開発に意欲的なトランプ氏による新政権への移行により、MLPを取り巻く
事業環境は大きく好転する見込みです。一例として、環境保護局(EPA)長官に、気候変動に懐疑的なプリュット氏を指名
する方針等が明らかにされました。Dakota Access Pipelineなど停止中の大型プロジェクトも、新政権発足後すぐに再び動
き始めるとの見方が支配的で、しばらくMLPにとってポジティブなニュースが続く可能性があります。
MLP市場の相対的な魅力度
相対的に⾼い利回り⽔準と魅⼒的なバリュエーション
MLPの配当利回りは7.36%(12月19日現在)で取引されてお
り、米国における代表的な利回り資産の中でも、最も高い
水準にあります(図5)。大統領選挙後に景気拡大への期待
から長期金利は急騰しましたが、それでも米国10年債利回
りとのスプレッド(利回り格差)は4.82%(12月19日現在)あり
ます。過去平均の3.5%*と比べてもスプレッドは依然として
大きく、MLPが割安水準にあることを示しています。つまり、
今後長期金利がより一層上昇した場合でも、他の利回り資
産に比べれば、MLP市場の耐性は高いと想定されます。
*2006年6月30日~2016年11月30日(月次)の平均値
(%)
8
【図5】 米国 主な利回り資産の利回り
(2016年12月19日現在)
7.36 6.22 6
4.42 4
3.55 2.54 2
0
MLP
米国ハイ・
イールド
社債
米国リート
公益事業
セクター
株式
米国10年国債
※MLP:アレリアンMLP指数、米国ハイ・イールド社債:ブルームバーグ・バー
クレイズ米国ハイ・イールド社債指数、米国リート:NAREITオール・エクイ
ティ・リート指数、公益事業セクター株式:S&P500公益事業セクター指数
出所:ブルームバーグ、バークレイズ
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料はゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社の情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したも
のであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。
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