医事法の諸問題 (特別講義) 2・3年次 選択必修科目 後期 月曜・2時限

科 目 名
年 次
区 分
期
曜日・時限
担 当 教 員
医事法の諸問題
(特別講義)
2・3年次
選択必修科目
後期
月曜・2時限
森谷和馬
【科目のねらい】
前期の医事法に続いて,医療に関する法的諸問題を考察します。前期の授業では扱わなかった医療
事故以外のテーマも取り上げ,裁判例を通して,法律が医療とどう関わってきたのかを理解するのが
狙いです。
【授業の方法等】
前期の「医事法」と同様に双方向的な授業を行なうことに変わりはありませんが,法律実務家であ
れば,事案の問題点を的確に整理してそれを他人に分かり易く説明する能力が大切ですから,判例の
報告者には,その点を意識して,前期以上に工夫をされることを期待します。
【教材等】
ジュリスト別冊「医事法判例百選 第2版」
(有斐閣・2014年)を基本とし,その他の文献について
は別途指示します。
【成績評価】
平常点40%,学期末試験60%によって評価します。
【備考】
なお,本授業科目は,前期に開講される「医事法」の授業とあわせて医事法全体をカバーするもの
なので,同授業科目とあわせて受講することが望ましいのですが,本授業科目のみを受講することも
可能です。
【各回の内容】
第1回 インフォームド・コンセントを巡る諸問題
精神障害者に対するロボトミー手術,臨床試験とインフォームド・コンセントに関する判例を取り
上げます。
第2回 医師法上の義務とその違反
医師法に定められた医師の義務の一つであるカルテの作成・保存義務及び異状死体の届出義務につ
いて民事と刑事の判例を検討します。
第3回 医療事故と刑事責任
刑事事件として手術執刀医が責任を問われて有罪とされた事例と産科医が手術死亡の責任を問われ
て無罪となった事例を取り上げ,患者が死亡した手術の是非に関して裁判所がどう判断したのかを検
討します。
第4回 家族関係と法
家族関係と法に関する現代的な事例として,夫の死後の凍結精子による子からの認知請求及び性同
一性障害と親子関係に関する最高裁判例を取り上げます。
第5回 死体を巡る法律問題
死体解剖,遺体・検体の所有権など,患者の死亡を巡って起きた法律問題の判例を取り上げます。
第6回 薬害と不作為責任
薬害エイズ事件では,専門医と官僚の不作為責任が問われ,無罪と有罪に結論が分かれました。な
ぜこのように判断が分かれたのかを含めて,薬害における専門研究者及び行政担当責任者の不作為の
責任について検討します。
第7回 因果関係の証明と期待権侵害
「期待権侵害」は,もともと,因果関係の証明が困難であることを踏まえた患者の救済策として下
級審判決が採用した理論ですが,最高裁はこれとは異なる理論的アプローチを採っています。その理
論構成について,死亡例,後遺障害例などの事例で検討します。
第8回 医療過誤訴訟の法的論点
医療過誤訴訟の中で論点とされた交通事故との競合,証明妨害,事故報告書の提出義務などの判例
を検討します。時間があれば,医療過誤事件の原告代理人が提訴前と提訴後にどんな活動をしている
かについても触れたいと思います。