平成27年度全国高校選抜(長野大会)審判員報告

平成27年度全国高校選抜(長野大会)審判員報告
女子:審判長
栗原 悠
1.採点上打ち合わせた事項
審判研修では、高体連ルールの確認と1月のルール研修で伝達があった手具操作
や D のカウントの仕方において統一されたこと、実施の芸術の減点項目(構成の統一
性・ダイナミズム)について確認を行った。その後研修の大部分を採点研修に充て
た。個人3演技、団体3演技の D・E をそれぞれ細かく研修し、実施ではどこで減点
がされているのか、D ではなぜカウントできないのかひとつひとつ確認を行った。
審判団内でもディスカッションを行い、D のカウントで意見が離れたところは映像
を見直し確認する時間も設けた。また高体連ルールにおいて団体の身体難度の開脚
とスケールの傾きにおいて許容があるため、映像でここまでは高体連ルールでの許
容でカウントできる範囲であるということの統一も行った。また実施においては1
月の研修で伝達があった芸術の評価についても留意して伝達した。
2.採点上起こった事項とその処理
今回は全国大会であることからルール通り減点をすることとなったが、価値間違い
6件、シンボル違いで削除等が9件あった。単純な間違いが多くルールの見解違いで
はないようだが、今年の1月全国講習の個人 D の研修で伝達があったバランス+回転
+バランスの申告においてミックス難度として 0.1 加点しているケースが何件かあ
り、こちらはまだ伝達が浸透していないように感じた。申告書減点が中々減っていか
ないことが審判団としては非常に残念である。今後このようなことがないよう、各県
でルールの統一や申告書の確認等、念入りに行ってほしい。
3.その他特記事項・意見・感想等
出場選手の技術が例年よりあがっているというお話が試合後に審判団の打ち合わ
せであがっていました。これは日本のトップ選手の方向性、審判指針がきちんと全国
規模で浸透していることなのではないかと嬉しい収穫でした。とは言っても世界は猛
スピードで進化していることを考えればまだまだ四肢の美しさ、身体難度の大きさ、
手具操作の多様性など課題はたくさんであると感じました。最後になりましたが、こ
の大会を迎えるにあたり、地元役員の方々・高体連の先生方、たくさんの方のご尽力
があり、大会を無事に終えることができました。心から御礼申し上げます。
個人ボール・リボンE1:団体D1
1.
林 知佳
採点上打ち合わせた事項
個人
今回の審判研修と1月に行われたルール研修の内容に基づいて、審判間で確認を
行いました。
特に芸術の部分では細かな研修がありましたので、しっかりと差をつけて
採点していけるようにすること、また身体レベルの見極めと共に作品構成の評価を
し、点数化していけるように打ち合わせを行いました。
団体
・交換・連係の移動時、ノーカウントになってしまう状況の確認
・身体難度の許容についての確認(高体連ルールについて)
・連係の投げのタイミングについての確認
・Cやダンスステップコンビネーションがカウントできるものか、
ただのつなぎになっていないか判断するということの確認
2.採点上起こった事項とその処理
個人・ボール
両手取り・ころがしのはずみ・手具の近さなど、手具の基礎技術についての減点
も多くありましたが、その分選手たちが難しいマステリーなどに挑戦しているとい
うことも感じました。
ただ、様々なマステリー・DERに挑戦できる分なのでしょうか、つなぎや論理性
の減点がリボンよりも多く、作品構成に工夫が必要だと思いました。
個人・リボン
全体的に姿勢欠点の少ない選手が増えており、リボンの作品にはダンスステップ
コンビネーションやつなぎに工夫も多く見られました。
中断時間の長いミスがおきたときに、芸術の引き方で少し差が出てしまいました。
団体
・CRRで投げのタイミングが悪いものはノーカウント
・身体難度を実施しているときの手具操作が不足、またタイミングがずれているも
のはノーカウント
・CRの申告でCRRを行っていたところはノーカウント
・ダンスステップコンビネーションがただのつなぎになってしまっており、8秒に
満たないものはノーカウント
・身体難度をサブグループで行っているときの許容の仕方で少し差が出てしまっ
た
申告書上の問題について
・サブグループで行っているところに
・交換の受けに
2、3
があったため削除
⇒交換の受けに転がしを書く場合は
の表記がないチームがありました
・交換の受けに
があったため削除
⇒交換の受けに回しを書く場合は
・交換の受けで BM
と
が併記されていましたが、身体の動きが不足し
ていたためノーカウント
・交換の価値間違い、身体難度の価値間違いが1チームずつ
3.その他、意見・感想
個人の実施を採点させていただきました。
このルールになってから3年ということで工夫された作品がとても増えたと感じ
ました。テーマや背景、そして高校生らしいチャレンジも演技に取り込まれており、
『作品』というものを感じましたが、まだ作品に熟練度が不足していたと思いました。
ダンスステップコンビネーションは1つの作品の中にいくつか入れていても、クオ
リティーの高いものは多くありませんでした。そのため、1分30秒の作品として観
ていると、どこか途切れ途切れになってしまっているので工夫の必要があると感じま
した。
団体におきましては、作品を新しくしたチームも多かった為か、まだ熟練度の低さ
を感じましたが、難度的にはCRRなどで点数が残るという形でした。
交換のBMや、ダンスステップコンビネーションについては実施すれば良いという
形ではなく、作品を作り上げていく上での大きなテーマ、またスパイスとなるような
工夫があるとより一層素晴らしい作品が増えていくのではないかと思いました。
このたびは、高校選抜大会において審判員として参加させていただき心より感謝申
し上げます。ありがとうございました。
個人フープ・クラブD1:団体E1
1. 採点上打ち合わせた事項
個人
審判研修の映像研修の時に点数の差が生じたのが、DER・
ジャンプの捉え方・ローテーションの回転数だったので、
試合の打ち合わせでもう一度確認した。
団体
審判研修で課題である、芸術の差を明確に出来るように
また、選手の質・技術も明確に点数化するように確認した。
2. 採点上起こった事項とその処理
個人
DER 足キャッチのカウントの仕方、ジャンプのフォーム
パンシェローテーションの開脚度、などで点数が離れた。
バランス+回転のバランスの止まりなしで、ノーカウント、
寺田江身子
マステリーの E-0.1 の為ノーカウント、バックルジャンプ
上体の反りが不足でノーカウントとした。
団体
芸術と音楽の繋ぎで 1.0 と 0.5 で差が出てしまった。
難度をするだけのチーム、準備動作が長く、連係の為の移動を
するチームがあったので、減点した。
3. 意見・感想
個人では、昨年より全体的に選手の質、マステリーの質が上がったようで、底上げ
が出来てきていたが、特出する選手もいなかったのが残念である。団体では、身体能
力に差があり重心が低かったので、芸術は優れていたが身体能力で減点になってしま
い残念であった。全体的には音楽と合わせたチームが多くなった。
個人ボール・リボンD1
松本弘子
1.採点上打ち合わせた事項
研修においては今年1月のルール研修にて確認された事項について再度確認した。
特に、身体難度中の手具操作について、ジャンプ中の操作やリボンのエシャッペ、受
けや突き、ブーメランの操作などについて難度との関係を確認した。さらに映像を見
ながら回転難度の回転数やフェッテピボットの動脚の高さ、DERの無駄なステップ
の見方を合わせた。
2.採点上起こった事項とその処理
申告書においてリボンで身体難度の価値間違いがあり、
0.3 の減点があった。
また、
フェッテバランスで支持ありのバランスが記載されていたり、マステリーやDERに
おいて有効でない申告が何件かあり、ノーカウントとした。
3.その他特記事項・意見・感想等
身体難度において、追加の転回が途切れてしまったり、追加の波動が見えなかった
ものが多かった。また、床上での胴の後屈での3回転がまっすぐ回転せずにずれてい
ったり、胴の後屈のバランスからMGに入るバランス難度の見方が難しかった。
マステリーについては、ボールの演技では工夫している選手も見られたが、リボン
のマステリーは同じようものが多く、完全に実施出来た選手はわずかだった。DER
の無駄なステップは少なくなり、受け方も上手になったが、リボンのDERは受けま
でに少し間があった選手が多かった。リズミカルなステップでは以前に比べて工夫が
見られ、音楽の特徴を捉えて踊れる選手が増えてきた。
全体として、高校生のレベルが上がってきたように感じる。高い難度に挑戦して
いる選手も多く、また、記憶に残る演技も見られ、新年度へ向かって期待が持てた
大会であった。
個人フープ・クラブE1
小嵜さゆり
1.採点上打ち合わせた事項
芸術点について、構成の統一性と身体の表現に追加された減点項目についての確認。
技術的欠点について、身体の動きや難度・DERの移動、余分なステップの減点につ
いての確認。映像研修を行い、芸術的欠点の減点箇所や技術的欠点の減点箇所を確認
し見方を統一した。
2.採点上起こった事項とその処理
個人フープ
全体を通して手具の基本操作が未熟であると感じた。手具が身体に近く、肘や肩な
どの姿勢欠点がある。また、ピボットの終末やジャンプの形等(後ろ脚・胴の後屈)
基礎的特徴を欠く難度の不明確な形の減点も多くあった。
一方、昨年と比較すると音楽に対する意識が高くなったように思われる。繋ぎや準
備動作に課題はあるものの、ステップや手具操作に工夫が見られた。全体的にレベル
が向上し、ルールが浸透したと感じた。
個人クラブ
フープに比べ、クラブの方が徒手・手具ともに熟練している。採点上の減点は、難
度のフォームの不明確さやローテーションのかかとの低さ、DERの受け方等での減
点があった。難度の前後に回転要素が加えられたものは、難度自体が崩れ技術的欠点
や芸術的欠点での減点が起こるケースがあった。
3.その他特記事項・意見・感想等
実施では芸術の評価について研修を行い、良い作品の見きわめを意識しました。技
の羅列ではなく作品のコンセプトが見える演技構成の評価、選手のキャラクターと曲
が合っているか等、芸術の採点についての審判資質の向上が問われています。
昨年に比べると、音楽の使い方が良かったりステップに多様性があったりとレベル
が向上し全体としては良かったと思います。もう一工夫あればさらに良い作品になる
と思われる演技が多数みうけられ、島根インターハイが楽しみです。
競技進行においては時程どおりでスムーズでしたが、得点表示システムについては
課題が残りました。
終わりなりましたが、本大会の運営に関しまして献身的にご尽力いただきました地
元役員の方々並びに補助役員の高校生の皆様に心より感謝致します。