~~~ 知見の概要 ~~~ 下記は,各章の知見の概要である。各章のページ数を併せて記載しているので,特に関 心の高いテーマ,内容については,是非当該ページを開いて,読み進めていただきたい。 第1章 予 期 せ ぬ 困 難 を 乗 り 越 え る た め に キ ャ リ ア 教 育 で 何 が で き る か ( 13-17 ペ ー ジ ) ・ 相談機関の情報提供を受けていない,あるいは受けたかどうかを覚えていない卒業生は, 学んだり働いたりすることが困難になった際に,公的機関を活用しようする者が少なく, 解 決 方 法 が わ か ら な か っ た り ,一 人 で 問 題 を 解 決 し よ う と し た り す る 者 が 多 い 傾 向 に あ る 。 ・ 人生上の諸リスクへの対応に関する学習に取り組んでいない,あるいは取り組んでも役立 たなかったと感じている卒業生も,同様の傾向にある。 ・ ゆえに, 「 人 生 上 の 諸 リ ス ク に 遭 遇 し た と き の 対 処 法 」に 関 す る 教 育 を 充 実 さ せ ,相 談 機 関 について積極的に情報提供することは,問題を解決するために「公的機関を活用する」者 を 増 加 さ せ ,「 1 人 で 問 題 解 決 し よ う と す る 」「 解 決 の た め の 方 法 を 知 ら な い 」 者 を 減 少 さ せることにつながる可能性がある。 第2章 「 学 校 か ら 提 供 さ れ た 情 報 」 の 効 果 と 評 価 ( 18-23 ペ ー ジ ) ・ 高等学校卒業後に「学んだり働いたりすることが困難な問題」が生じた際に,相談できる 公的機関を知っているのは高等学校卒業者のうちおよそ2割。 ・ 高等学校での情報提供を受け取っている者の中では, 「問題を解決するための相談や支援に 関する公的な機関を知っている」割合が高くなる。 ・ 「進学にかかる費用や奨学金についての情報」 「 社 会 全 体 の グ ロ ー バ ル 化( 国 際 化 )の 動 向 」 「男女共同参画社会の重要性」などについては,高等学校のときの学習が「役に立った」 と考える者は,在学時に指導がもっとあれば良かったと考える傾向にある。 第3章 職 業 生 活 上 の 困 難 を 乗 り 越 え る た め の 知 識 は 誰 に 届 い て い な い の か ( 24-29 ペ ー ジ) ・ 普通科出身者は,職業に関する専門学科や総合学科の出身者に比べて,職業生活上の困難 を乗り越えるための知識を学習しないまま高等学校を卒業する者が多い傾向にある。 ・ 一方で,職業生活に関する各相談機関については,公共職業安定所(ハローワーク)を除 いては,どの学科の出身者もほとんど情報提供を受けていない。 ・ 職業生活上で困難が起こったときに相談機関を活用するという意志をもつ者も,どの出身 学科においても圧倒的少数である。 第4章 小 学 校 で「 課 題 対 応 能 力 」「 キ ャ リ ア プ ラ ン ニ ン グ 能 力 」 を 育 て る に は ( 33-38 ペ ージ) ・ 小学校のキャリア教育では「課題対応能力」と「キャリアプランニング能力」の育成に向 けた指導に重点が置かれにくい。 ・ これらの指導が不十分になりがちな理由としては,教員たちがキャリア教育に関する指導 の方法や内容についてどうしたらいいかわからないという点がある。 8 ・ そして,これらの指導を充実させるには,校内外の研修や授業研究会への参加が有効であ ることがうかがえるため,これらに参加できるような仕組みを整えることが重要である。 第5章 キ ャ リ ア 教 育 に お け る 「 卒 業 生 の 体 験 発 表 会 」 の 意 義 ( 39-43 ペ ー ジ ) ・ 「 卒 業 生 の 体 験 発 表 会 」を 実 施 し て い る 中 学 校 は 3 割 に と ど ま る が ,26.7%の 卒 業 生( 第 2 位)が実施してほしかったと回答している。 ・ 「卒業生の体験発表会」の意義は,同じ学校出身の先輩との交流を通して,生きた情報に 触れ,自分の進路について考えることにある。 ・ 卒業生は「卒業生の体験発表会」において,特に「高等学校など上級学校の教育内容や特 色 」, 「 卒 業 後 の 進 路( 進 学 や 就 職 )に つ い て の 相 談 の 方 法 や 内 容 」 「高等学校などの上級学 校や企業への合格・採用の可能性」などを知りたいと考えている。 第6章 イ ン タ ー ン シ ッ プ に お け る 事 前 指 導 ・ 事 後 指 導 の 影 響 ( 44-49 ペ ー ジ ) ・ インターンシップ経験は生徒の基礎的・汎用的能力を高めることに寄与する。 ・ 事 前 指 導 に つ い て は ,「 就 業 体 験 の 目 的 を 確 認 す る た め の 指 導 」が 多 く 行 わ れ て お り 61.8% で あ っ た 。事 後 指 導 に つ い て は , 「 報 告 書・レ ポ ー ト の 作 成 」が 最 も 多 く ,70.6%で あ っ た 。 教科と関連付けた指導は行われていない。 ・ インターンシップ経験が生徒の基礎的・汎用的能力を高めることに対して,事前指導・事 後指導が関連を持つことがうかがわれる。 ・ 事前指導・事後指導が,その学校で行うインターンシップにとって必要な取組になってい るかという視点から点検し,重点化を図ることが重要である。 第7章 高 等 学 校 に お け る 基 礎 的 ・ 汎 用 的 能 力 と 生 徒 の 学 習 意 欲 ( 50-56 ペ ー ジ ) ・ 「 基 礎 的・汎 用 的 能 力 」が 高 い 生 徒 は , 「 学 習 意 欲 」が 高 い 。よ り 厳 密 に は , 「 基 礎 的・汎 用 的 能 力 」 の 自 己 評 価 が 高 い 生 徒 は 低 い 生 徒 よ り も , 約 15 ポ イ ン ト ~ 約 20 ポ イ ン ト 以 上 の 差 で 「 家 で の 学 習 に 積 極 的 に 取 り 組 ん で い る 」。 ・ 「 学 習 意 欲 」が 最 も 低 下 す る 2 年 生 前 半 の 時 期 で あ っ て も , 「 基 礎 的・汎 用 的 能 力 」の 自 己 評価が高い生徒は低い生徒よりも, 「 家 で の 学 習 に 積 極 的 に 取 り 組 ん で い る 」の 項 目 に「 あ て は ま る 」 と 答 え る 割 合 が 約 8 倍 ~ 約 10 倍 高 い 。 第 8 章 「 キ ャ リ ア プ ラ ン ニ ン グ 能 力 」 と キ ャ リ ア 教 育 諸 活 動 と の 関 連 ( 57-63 ペ ー ジ ) ・ キャリアプランニング能力を身に付ける者の割合は高等学校生活の進行とともに高まり, 高等学校生活に関する意識・態度の高まりとも関わっている。 ・ 一 方 ,個 人 に 着 目 す る と , 「 職 業 や 働 き 方 を 選 ぶ 際 に ,ど の よ う に 情 報 を 調 べ れ ば よ い か わ かっている」に対する答えは,調査時期によって揺れ動いている。 ・ 「 キ ャ リ ア プ ラ ン 等 の 作 成 」「 上 級 学 校 の 教 員 や 社 会 人 講 師 に よ る 出 張 授 業 ・ 講 演 会 」「 卒 業 生 に よ る 講 演・体 験 発 表 会・懇 談 会 」は ,第 1 学 年 で 行 わ れ る と「 職 業・働 き 方 に つ い て の 情 報 源 の 理 解 」に 寄 与 す る 。 「 キ ャ リ ア・ポ ー ト フ ォ リ オ の 作 成・活 用 」は 学 年 を 通 し て , また特に第3学年において「職業・働き方についての情報源の理解」に寄与する。 9
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