成果報告書要約版 平成26年度地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金 構想普及支援事業(Ⅰ事業化可能性調査) 補助事業の名称 「まちづくり大山みらい株式会社」を核とした地域コミュニティ主導型エリア・エネルギーマネジメント事業 (事業化可能性調査) 事業者名:まちづくり大山みらい株式会社・JAG国際エナジー株式会社・国際航業 株式会社・パシフィックコンサルタンツ株式会社・東京都板橋区 対象地域:板橋区ハッピーロード大山商店街 実施期間:平成27年6月~平成28年2月 1.事業の背景・目的 背景 板橋区大山商店街は国内でも最大規模の商店街であるが、東京都の都市計画道路補助26号線 整備(事業期間:平成26年度~平成32年度)では、商店街の中央に道路を設置する計画が進んで おり、この整備事業に伴う、商店街コミュニティの持続・発展が喫緊の重要課題となっている。こうし た危機感のもと、2015年に商店街組織が中心となった「まちづくり大山みらい株式会社」が設置さ れ、エネルギーの有効利用を通してこれら地域の課題解決に取り組んでいる。 本調査事業の目的 本調査では以上のような背景のもと、以下を検討することを目的とした。 ●商店街のプロシューマ化 :中核となる再開発施設を中心として、需要家側へのコジェネ設備 等導入により地域コミュニティのプロシューマ化を推進する。 ●エリア活性化サービスと連携したエリア&エネマネプラットフォーム :既存のCEMS(需給予 測・制御・プライシング)に加え、商店街ならではのエネルギーマネジメントシステムでは、ソフトサ ービスと連携した人の賑わい予測なども踏まえたより精度の高い需給管理を実現する。 ●まちづくり会社主導、商店街組合形式ならではのディマンドレスポンス :組合ならではの契約 、請求、支払い体系に対してインセンティブを組み込み、まちづくり会社を起点とするコミュニティ( 及び組合形式のコミュニティ)に対して普遍的に応用可能なディマンドレスポンスを実現する。 2.補助事業の概要 本調査では、上記背景および目的を考慮し、以下3事業の事業化可能性調査を行った。 1. 地域新電力事業 商店街周辺の需要家群をアグリゲートしたPPSの事業化可能性を調査する。PPSの需給管理シ ステム・xEMSと、商店街ならではのソフトサービスを連携させたDRシステム等を活用した、より精 度の高い需給管理の実現可能性を調査した。 2. エリアマネジメント事業 地域活性化、及び需要行動変容につながる商店街の様々なソフトサービス(DRシステム、共通 ポイント、イベント、情報発信)を連携可能とするプラットフォームの実現可能性を調査した。 3. 面的エネルギー事業 中核となる再開発施設を中心として、需要家側への再エネ、コジェネ設備等導入による地域コミュ ニティのプロシューマ化推進の可能性を調査する。商店街ならではのインセンティブの仕組みを用 いて、まちづくり会社を起点とするコミュニティ(全国の商店街コミュニティ)に対して普遍的に応用 可能なエネルギーマネジメント事業の実現可能性を調査した。 3.調査の結果 事業 事業化の可否の結論: 事業化予定時期: 1.地域新電力事業 可能 最短で平成28年度 2.エリアマネジメント事業 条件付きで可能 3.面的エネルギー事業 条件付きで可能 平成29年度以降(ただし共通システム基 盤の導入状況による) 平成30年度以降 検討項目 実施方法 検討結果 ①EMSの構 対象需要に対し需給管理 商店街:1.8MW、周辺公共施設:4MW、住宅(再開発に 成 (給電管理、CEMS等)シス よる440戸)を対象需要とし、卸売電力市場からの買電、 テムやDR制御システムの 太陽光:197kW(既設37kW、新設予定160kW)、ガスコ 導入可能性を検討した。 ジェネ:91kWの電源をEMSおよび地域新電力でマネジメ ントを行う。 ②EMSの効 地域内のエネルギーピークピークカット効果:480kW 果 カット効果、二酸化炭素の 二酸化炭素削減効果:327t-CO2/年 削減効果、地域経済の活 地域経済の活性効果:372~425百万円の経済波及効果 性効果、地域防災力の向 地域防災力の向上効果:非常時の電源 上効果を算定した。 ③再生可能エネルギーに関する調査(任意) 【対象無し】 ④事業実施体 各事業の実施体制、事業 「まちづくり大山みらい(株)」を中心に、地域の再開発事 制・事業ス スキーム、事業スケジュー 業者、商店街組合等と協同し、平成28年度から地域主導 の小売電気事業およびエリアマネジメント事業を、平成30 キーム・スケ ルを検討した。 ジュール 年以降に再開発の状況を鑑みエネルギーの面的利用事 業の開始が考えられる。 ⑤事業採算性 新電力事業やエリアマネジ 契約電力(低圧)3,515kW、(高圧)1,096kW 評価 メント事業を含めた面的エ 消費電力量(低圧)466万kWh/年、(高圧)268万kWh/年 ネルギー利用事業を実施 の需要を想定し、面的エネルギー事業を実施した場合、 した際の事業性を評価した。20年間のプロジェクトIRRが6.84%と求められた。 ⑥他地域への 各事業における他地域展 【事業1】需要家を一定以上確保できる見通しがあること。 展開 開に向けたポイントを整理 【事業2】ポイントカード利用制度など顧客管理システムが すでに導入されていること。 した。 【事業3】再開発案件等があり、コジェネ等設備導入ハード ルが低いこと。 ⑦今後の展 各事業における主な課題と【事業1】区内病院、工場地域から買電可能な電源の調査、 望・課題・対策 今後の検討の方向性をま エリアマネジメントとあわせて事業展開、地域主導型の PPPモデルの検討が必要。 とめた。 【事業2】システム運営には高度な技術が必要になる可能 性もあり、運営を外部委託する検討や、高齢化の進行な ど地域固有のテーマに応じたサービスの提供について検 討が必要。 【事業3】経済性、環境性、防災性、地域価値など複数視 点からの評価が必要。 4.地産地消型エネルギーシステムの概要 図 本事業が目指す地産地消の姿 図 地産地消型エネルギーマネジメントシステムの全体像 【エネルギーマネジメントシステムの構成】 アイテム ①地域新電力 事業 設備概要(出力、容量、用途、台数等) 地域新電力事業:需要家規模7,169 kW ※商店街、公共施設、住宅を対象とした。 対象需要 平成28年度以降(既設) 熱需要:1,021,791MJ/年 ※再開発施設に福祉施設が入ると仮定して算出した。 新電力事業(2016年以降小売電気事業に呼称変更)における30分同時同量の達成に必要な需給調整システム、商店街ポイントサービス 等と連動した顧客管理システム。電源:太陽光197kW(既設37kW、新設予定160kW)、コジェネ 91kW、 EMSシステム:各種電源を需要 EMSシステム 平成28年度以降(新設) に合わせ最適に稼動させるためのシステム。 太陽光 電源・ 熱源 導入予定時期 (既設or新設) 196kW:36kWの板橋ルーフトップソーラーウェイ(既設)と、再開発予定のピッコロスクウェアとクロスポイントの屋上にPV(160 kW)を新設 平成30年度以降(新規) することを想定した。 風 力 検討対象外 - バイオマス 検討対象外 - 水 力 検討対象外 - コジェネ等 91 kW:再開発地区に設置することを仮定した。 平成30年度以降(新規) 蓄電池 該当無し:本調査で導入予定の再エネ電源出力は比較的小さいことが予想され、その出力変動はコジェネやEMSシステムでカバーするこ とが可能であると判断したため具体の導入検討は行わなかった。 - その他 なし -
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