東京消防庁特定事業主行動計画

東京消防庁特定事業主行動計画
~女性職員の更なる活躍とワーク・ライフ・バランスの推進に向けて~
平成28年3月
東京消防庁
目
第1章
1
2
3
4
・・・・・・・1
・・・・・・・1
・・・・・・・1
・・・・・・・2
行動計画の目指すもの
取組の方向性
女性職員の活躍の推進に向けた数値目標
第3章
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
行動計画の概略
策定の経緯
位置付け
計画期間
推進体制
第2章
1
2
次
・・・・・・・3
・・・・・・・5
計画期間中に推進する取組
時差勤務制度の拡大
育児・介護のステージに応じた両立支援
両立のノウハウを伝えるコンテンツの充実
仕事と育児・介護の両立相談体制の推進
仕事と育児・介護の両立を支援する職場環境づくり
ワーク・ライフ支援事業
活躍する女性の姿のPR
適材適所による任用管理
自己啓発の支援
超過勤務の縮減・年次有給休暇の取得促進
採用案内の展開と新たな募集窓口・媒体の開拓
施設等の充実
意識改革の促進
・・・・・・・6
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・・・・・・・7
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・・・・・・・9
・・・・・・・9
第1章
行動計画の概略
1
策定の経緯
当庁においては、昭和47年に女性消防吏員の採用を開始して以来、男女平
等、女性の社会的地位向上等の社会情勢を踏まえ、段階的に女性消防吏員の職
域を拡大し、平成18年には、毒劇物等に係る災害対応を主任務とする特殊な
業務などを除き、従事する職務の制限を撤廃するとともに、採用試験における
男女枠を撤廃するなど、女性の活躍に向けた環境づくりを促進してきた。
また、ワーク・ライフ・バランスの推進にあたっては、次世代育成支援対策
推進法(平成15年法律第120号。以下「次世代育成法」という。)に基づき、
東京都と協働して「東京都職員次世代育成支援プラン」
(前期:平成17年4月
から平成22年3月まで、後期:平成22年4月から平成27年3月まで。以
下「次世代プラン」という。)を策定し、次世代育成の観点による「仕事と生活
の調和」に係る取組を進めてきた。
さらに、次世代プランの計画期間が満了した平成27年4月からは、従来の
「仕事と生活の調和」に加え、
「キャリア形成」と「職場の危機管理」の3点を
主軸に据えた「東京都職員ワーク・ライフ・バランス推進プラン」
(以下「WL
Bプラン」という。)として改定し、各種支援制度の導入などの充実を図り、職
員の士気向上を基盤とした都民サービスの向上を図ってきた。
このような中、今般の政府における最重要政策のひとつとして「全ての女性
が輝く社会」の実現が位置付けられ、
「女性の職業生活における活躍の推進に関
する法律」(平成27年法律第64号。以下「女性活躍推進法」という。)が平
成27年8月に成立し、各事業主で女性の活躍に向けた「行動計画」の策定が
義務付けられ、総務省消防庁における、
「女性消防吏員の更なる活躍に向けた検
討による報告書」の中で、各消防本部における女性消防吏員割合の目標値が示
されるなど、更なる女性活躍に向けた取組の推進が求められることとなった。
これらの社会情勢などを踏まえ、当庁においても、これまでの女性消防吏員
に対する職域拡大の状況や、育児・介護等の各種支援の現状について精査・分
析し、女性の活躍はもとより、全職員に対する、より良い職場環境の実現に向
けた取組を検討するため、
「女性職員の更なる活躍及び次世代育成支援に向けた
検討委員会」を設置して、今後の取組を行動計画として取りまとめることとし
た。
2
位置づけ
本計画は、次世代育成法第19条及び女性活躍推進法第15条に基づき、東
京消防庁消防総監が策定する特定事業主行動計画である。
3
計画期間
次世代育成法及び女性活躍推進法に基づく行動計画策定指針において、10
年間の期間での計画とされる中でも一定期間を区切って計画を実施することが
望まれていることから、本計画の計画期間は、平成28年4月1日から平成3
3年3月31日までの5年間とし、次期計画については、本計画の取組の検証
等を踏まえ、改定する。
1
4
推進体制
本計画を着実かつ包括的に実施するため、本計画に係る推進委員会を設置し、
実施状況の進捗を管理するとともに、各取組による総合的な効果の検証を実施
する。
2
第2章
行動計画の目指すもの
1
取組の方向性
東京都と協働して推進してきた「WLBプラン」における「育児中の職員の
キャリア形成促進」、
「職場の危機管理としての仕事と介護の両立支援」及び「生
産性向上に向けた能力開発・働き方改革」の3つの方向性に加え、当庁におけ
る全職員の活躍に向けた「社会情勢に適応した組織力向上に必要な人材の確保」、
「職員の能力を最大限発揮できる環境整備」及び「職員の意識改革の促進」の
計6つを柱として掲げることとする。
⑴
育児中の職員のキャリア形成促進
当庁の幅広い分野において、女性職員も含め、意欲と能力のある職員は誰
もがより一層活躍できる組織としていくため、育児中の職員のキャリア形成
に関して以下の支援を行っていく。
ア
両立支援制度の周知と制度を利用しやすい職場環境を整備するため、両
立支援制度や両立に関するノウハウ等を一冊にまとめた両立支援ハンドブ
ックの周知
イ 男性職員の育児体験談の紹介等により男性職員の積極的な育児参加意識
の向上
ウ 育休前から復帰後までのライフイベントを踏まえたキャリア形成の促進
エ 育児中の職員が長期にわたる休業を取得しなくても、仕事との両立が可
能となるよう、柔軟な働き方を支援
オ 管理監督者として活躍する女性職員の姿のPRを実施
カ 適材適所による任用管理の実施
⑵
職場の危機管理としての仕事と介護の両立支援
管理監督者等の職場の中核を担う職員が突然直面することになりかねな
い仕事と介護の両立の問題は、職員個人の問題としてではなく、職場の危機
管理の観点から捉える必要がある。職員が突然に発生する介護にも対応し、
負担を軽減し、離職につながることを防ぐためにも、以下の支援を行ってい
く。
ア
ワーク・ライフ・バランスの実現をテーマとした管理監督者向けセミナ
ーにおいて、仕事と介護の両立も題材として取り上げ、各職場における介
護に対する理解の促進
イ 介護に係る体験談の紹介を通じた、各職員の介護に対する備えの意識の
醸成を行うよう啓発
ウ 介護保険の知識を付与する講座や介護の状況に応じた講座の実施
エ 介護に関する制度やノウハウ等の基礎知識をまとめた介護ブックの作
成・周知
オ 仕事と育児・介護の両立相談窓口の設置
3
⑶
生産性向上に向けた能力開発・働き方改革
当庁における課題がますます高度化・複雑化する中で、職員のワーク・ラ
イフ・バランスを実現していくためには、これまでの研修や自己啓発等によ
る職員一人ひとりの生産性向上や定時退庁促進等の取組に加えて、新たな取
組が必要となる。
そのため、職員や職場の状況に応じて柔軟な働き方が可能となる勤務時間
制度やワーク・ライフ・バランスの重視など、職員の働き方改革を以下のと
おり推進していく。
ア
全庁一斉定時退庁日やノー超勤ウィークの設定等による超過勤務の縮減
に対する職場意識の醸成
イ 年次有給休暇の取得を促進し、メリハリをつけた業務執行の奨励
ウ 育児や介護の事情がある職員に限定していた時差勤務の対象職員の拡大
エ 研修や自己啓発等による職員一人一人の能力の底上げ
⑷
社会情勢に適応した組織力向上に必要な人材の確保
少子高齢化等の社会環境の変化に伴い、働き手が多様化し、更に社会全体
として女性労働者の雇用需要拡大の機運の中にあって、必要な人材を確保す
るためには、より多くの女性の受験者を確保し、より資質の高い女性の採用
者を確保する必要がある。そのために、以下の方策を展開する。
ア
イ
⑸
ロールモデルを活用した女性消防吏員の具体的キャリアイメージの提示
女性の求職者に特化した採用案内の展開と新たな募集窓口・媒体の開拓
職員の能力を最大限発揮できる環境整備
適材適所により職員の能力を発揮していくために、施設状況等により女性
消防吏員の配置に偏りが生じることがないよう、必要により施設・設備の整備
を計画立て推進していく。
⑹
職員の意識改革の促進
本取組に関する理解などに、性別、世代等において意識の浸透に差が生じな
いよう、あらゆる取組を促進する。
ア
イ
アンケート分析等による意識改革に効果的な方策の抽出
研修等、あらゆる機会を通じた行動計画の周知
4
2
女性職員の活躍の推進に向けた数値目標
女性職員のみならず全職員が働きやすい環境の整備と多様な人材の活躍に
よる組織力の強化を実現する項目として、「消防吏員に占める女性消防吏員の
割合」、
「出産支援休暇及び育児参加休暇取得率」の2つについて数値目標を設
定する。
「消防吏員に占める女性消防吏員の割合」については、実質的な女性消防吏
員の活躍の場を確保するために、女性消防吏員数の急激な増加による影響を考
慮した上で、各世代間において偏りのないバランスのとれた人員構成が必要で
あること、また、女性消防吏員の意欲と配置実態を踏まえた上で、適材適所の
配置が必要であることを前提として、長期間で女性消防吏員割合を高めていく
ことを想定した上で、数値目標を設定する。
目標1
消防吏員に占める女性消防吏員の割合
総務省消防庁が、全国的な数値目標(消防吏員に占める女性消防吏員の全
国の比率を平成38年度当初までに5%に引き上げる)を達成するために、
各消防本部が定める数値目標の目安として「女性消防吏員比率を 10 年間で
倍増させること」を示している。
これを踏まえ、当庁においても、現在の女性消防吏員比率を倍増とする
12%を目指し、積極的に女性消防吏員の活躍促進に取り組んでいく。
一方、取組の推進にあたり、女性消防吏員数の急激な増加による影響を考
慮し、各世代間において偏りのないバランスのとれた人員構成が必要である
こと、また、女性消防吏員の意欲と配置実態に則した適材適所の配置が必要
であることを踏まえ、平成38年度当初までに達成すべき目標を8%以上に
設定し、女性消防吏員の活躍の場の確保を図る。
目標2
出産支援休暇及び育児参加休暇の取得率
出産育児に携わる女性への負担軽減とともに、男性職員の家族との絆につ
いての意識醸成、働き方に関する意識改革を通じた、職場全体の意識改革を
目的として、平成28年度から平成32年度までの間、それぞれの年度の目
標として、出産支援休暇の取得率を85%以上、育児参加休暇の取得率を6
0%以上に設定する。
5
第3章
計画期間中に推進する取組
1
時差勤務制度の拡大
職員のワーク・ライフ・バランスの推進に向け、生産性の向上を含めた柔軟
で多様な働き方を見直すため、育児又は介護の理由に限定していた時差勤務制
度の対象範囲を拡大する。
2 育児・介護のステージに応じた両立支援
⑴ プレママ支援
妊娠出産休暇前の女性職員を対象として、両立支援制度の説明や育児休業
中の過ごし方、復帰に向けての準備や心構え等を説明・助言する支援を行い、
出産・育児のライフイベントを通じたキャリア形成を支援する。
⑵
育休復帰前支援
育児休業中の職員を対象として、復帰後の働き方や両立に向けた配偶者等
との育児・家事分担のあり方、両立ノウハウ、職務の状況等を説明・助言する
支援を行う。
⑶
育休復帰後支援
未就学児を養育中の職員を対象として、ライフイベントの状況を踏まえた、
今後の仕事やキャリアと育児の両立に向けた心構え等を説明・助言する支援
を行い、育児をしながらも積極的に仕事に取り組む意欲や昇任意欲を喚起し、
職員の中長期的なキャリア形成を支援する。
⑷
介護入門編
介護保険被保険者となる40歳の職員を対象として、将来の介護生活を考
える機会として、介護保険の利用方法、介護施設、介護費用、地域の支援制度
等を説明・助言する講座を開催する。
⑸
介護事前準備編
親の介護が間近に迫る50歳の職員を対象として、仕事と介護の両立の基
盤となる家族との役割分担、要介護者との意思疎通、情報収集の在り方等、
仕事と介護の両立に向けた準備の方向性を説明・助言する講座を開催する。
⑹
介護実践編
職員の介護に対する負担や不安を軽減するため、職員個々の介護の実情に
応じて、介護の実践的な知識や技術を習得できる講座を開催する。
3 両立のノウハウを伝えるコンテンツの充実
⑴ 両立支援ハンドブック
仕事や昇任と育児の両立に関する共通認識を醸成するため、両立支援制度、
両立ノウハウ、育児休業中の自己啓発、職員本人や職場の管理監督者の心構
6
えなど、妊娠から職場復帰までの両立支援策について「両立支援ハンドブッ
ク」 による周知を図る。
⑵
介護ガイドブック
介護に備えた心構えに加え、介護保険制度、在宅介護・施設介護・遠距離介
護の違い、介護をサポートしてくれる人、介護保険で利用できる介護サービ
ス、介護にかかる費用、当庁の支援制度等について分かりやすく解説した「介
護ガイドブック」を配布する。
⑶
男性職員の育児参加促進
女性が自身の能力や意欲を発揮し、仕事や昇任と育児を両立していくには、
配偶者等と協力して子育てを行っていくことが重要である。男性職員の育児
体験談の紹介等により、男性職員の積極的な育児参加を支援していく。
⑷
育児・介護体験談集
仕事と育児や介護の両立を図る職員の参考とするため、職員の育児体験談・
介護体験談を募集し、そのノウハウ等を職員に提供する。
⑸
育児総合掲示板
育児休業中の職員や、仕事と育児の両立で時間的余裕のない復帰後の職員
の状況を考慮し、WEB上で職員同士の交流の場を提供する。
4
仕事と育児・介護の両立相談体制の推進
厚生課相談係の相談窓口において、仕事と育児や介護の両立について、職員
からの相談を受け付ける。相談対応に当たっては、職員相談員を活用するとと
もに、育児や介護に関する専門的な相談は職員の居住する自治体等の適切な相
談先を案内するなど、相談内容に応じた問題解決の手がかりを提供する。
5 仕事と育児・介護の両立を支援する職場環境づくり
⑴ 管理監督者セミナー
各職場が直面する育児・介護の両立支援や職員の多様性の活用に関する課
題解決の一助とするため、職場運営を行う管理監督者を対象として、ワーク・
ライフ・バランスを実現するための管理監督者の心構えやマネジメントの要
領を提供するセミナーを開催する。
⑵
ファミリーウィークの実施
職場全体でワーク・ライフ・バランスの実現に向けた機運を醸成するため、
職員の家族の職場訪問を受け入れ、その家族と職場との交流を図ることで、
お互いの理解や感謝の気持ちを深め合う。
7
6
ワーク・ライフ支援事業
仕事と育児や介護を両立するためには、職場の休暇制度等の利用により育児
や介護を行う時間を確保する方法のほか、民間企業や行政が提供する各種サー
ビスを活用することにより、働く時間を創出するという方法がある。
東京消防庁職員互助組合で行う福利支援事業において、病児対応も可能なベ
ビーシッターサービスや在宅介護サービスなど、職員のワーク・ライフ・バラ
ンスの実現に活用できる様々なサービスを用意するとともに、その利用を促進
するための情報提供等を行う。
7
活躍する女性の姿のPR
仕事と自己啓発、育児や介護を両立しながら、昇任も果たし活躍している等
身大の職員像を複数示すことで、各職員が自らの生活や人生と重ね合わせ、当
庁におけるキャリア形成、ワーク・ライフ・バランスのイメージをつかみやす
くするとともに、採用パンフレットなどに活用し、女性求職者が具体的な活躍
のイメージを描けるような採用広報を展開していくこと等により、女性の受験
促進を図る。
8
適材適所による任用管理
職員一人ひとりの職務意欲や能力の向上につなげるため、人事評価制度を通
じ、意欲、能力、適性に応じた人事配置を着実に進める。
9
自己啓発の支援
働く意欲や能力の向上を目指す人材支援型の福利厚生事業や、職務に有用な
資格の取得や講座の受講を支援する自己啓発支援制度を活用し、ビジネススキ
ルの向上や資格の取得、語学の習得等、業務に役立つ能力開発や視野を広げる
能力開発を促進する。
また、自己啓発や能力開発に関する情報を紹介し、職員の取組を勧奨する。
10
超過勤務の縮減・年次有給休暇の取得促進
東京都が策定した「超過勤務の縮減に関する基本指針」に基づき、今後も超
過勤務の縮減及び年次有給休暇の取得促進をより実効あるものとしていく。
管理職は、全庁一斉定時退庁日における定時退庁の促進や、職員の適正な労
働時間の管理などを行い、自ら率先して定時退庁に努める。
全ての職員は、常に勤務時間内で仕事を終える意識と計画性を持ち、身近な
業務の見直しをはじめとする事務の効率化に努め、超過勤務を縮減する。
また、全庁一斉定時退庁日にはノー残業を実践する。
11
採用案内の展開と新たな募集窓口・媒体の開拓
採用ホームページに女性用ページを開設するとともに、女性用セミナーの開
催、女性限定の合同企業説明会への参加、その他通常のイベントにおける女性
コーナーの設置による対面募集の充実を図るなど、これまで消防への関心が希
薄、もしくは、自身の職業として消防を意識する機会のなかった女性に対する
アプローチを推進する。
8
12
施設等の充実
より適材適所に女性職員を配置するために、各消防署等における女性職員の
配置状況や施設状況を精査し、必要な整備計画を進める。
13
意識改革の促進
アンケートを実施し、男女間、世代間等における意識の差などについて分析
を行った上で、意識改革に効果的な方策を抽出し、研修等、あらゆる機会を通
じて行動計画の周知、浸透を図る。
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