位相シフトDC-DCコンバータのDCリアクトル,AC

位相シフト DC-DC 変換器の
AC リアクトルと DC リアクトルの検討
仙田 智章*,中田 篤史(静岡理工科大学),
元谷 卓,道木 加絵,鳥井 昭宏,(愛知工業大学)
A Study of AC Reactor and DC Reactor for Phase Shift DC-DC Converters
Tomoaki Senda, Atsushi Nakata (Shizuoka Institute of Science and Technology),
Suguru Mototani, Kae Doki, Akihiro Torii (Aichi Institute of Technology)
1.はじめに
太陽光発電は日射量によって発電量が変動するため,蓄
電装置を必要とする従来のような絶縁する位相シフト
DC-DC コンバータでは,出力側に DC リアクトルと電解コ
ンデンサからなる平滑回路が接続されてきた。DC リアクト
ルは磁束が一定方向に発生し偏磁しやすく,大きなインダ
クタンス値を選択する際はサイズが大型化する問題がある。
一方,偏磁の心配の少ない AC リアクトルは比較的小型に
できる。本稿では AC リアクトルと DC リアクトルを併用し
た場合の最適な値をシミュレーションによって検討する。
表 1 図 1 の回路の定数
15
40
20
2.8
0.48
162
4000
V
V
Arms
mΩ
μH
μH
μF
60
55
50
45
40
35
30
25
20
0.1
1
10
100
1000
5[μH]
20
0
-20
-40
-60
0
DC inductance Ldc [μH]
0.2
0.1
0.3
0.4
0.5
Time [ms]
(a)
(b)
100
260
Output Power Po [W]
90
240
80
220
70
200
60
180
50
160
40
140
30
0.1
1
10
100
1000
DC inductance Ldc [μH]
(c)
図2
3.5[μH]
1[μH]
40
Primary Current
Primary Current Ip_peak [A]
V dc
Vo
Ip
Re
Le
Lm
Co
60
シミュレーション結果
図 2 にシミュレーション結果を示す。図 3 は D が 99%を
超えてしまっているため,Lac が 5μH かつ Ldc が 18μH より
も大きいときはシミュレーションしていない。
図 2(a)は,図 2(b)から得られたトランス一次側の電流のピ
ーク値である。
図 2(b)は Lac を 1μH 固定で,Ldc を 1μH,3.5μH,
5μH のときの Ip の波形である。図 2(c)は,Lac を大きくする
と,Lac の電圧降下が大きくなり,D が大きくなることを示
している。図 2(d)より Po は,Lac の値に関係なく図 2(d)よ
り,Po を大きくするには Lac と Ldc を大きくすればよいこと
がわかる。しかし,Ldc が 100μH 以上では,ほぼ一定の値に
なるため,これ以上の値を採用する意義は薄れることを示
している。最大出力時の D は,スイッチング素子や回路の
寄生素子などでの電圧降下を考慮して,上限を設ける必要
がある。D の上限を 95%とすると,Lac=3.5μH,Ldc=100μH
のときが Ldc が小さくとも Po を取り出せるため,妥当と考
える。
DC・AC リアクトル併用時の主回路
Source Voltage
Output Voltage
Rated Primary Current
Winding Resistance
Leakage Inductance
Excitation Inductance
Smoothing Capacitor
シミュレーション回路
図 1 に主回路の構成を示す。点線で囲まれた部分は変圧
器の等価回路である。変圧器は東京精電製,5kHz,300VA,
N1 側が 15V,N2 側が 50V のものをモデル化したものを用い
る。実測したところ励磁インダクタンス Lm を 162μH,漏れ
インダクタンス Le を 0.48μH であった。出力電圧 Vo は 40V
一定になるように制御される。AC リアクトル Lac は変圧器
の一次側に接続し,DC リアクトル Ldc は出力側に接続した。
回路定数を表 1 に示す。Lac と Ldc を変化させ,Ip が 20Arms
となるように負荷 RL を調整した。
D は Vuv のデューティ比,
Ip はトランスの一次側電流, Po は出力電力を示す。
3.
図1
Duty Ratio D [%]
2.
RL
Vinv
120
0.1
1
10
100
1000
DC inductance Ldc [μH]
(d)
Lac と Ldc を変化させた場合のシミュレーション結果